自律訓練法

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自律訓練法(じりつくんれんほう、autogenic training)とは、1932年にドイツの精神科医シュルツ(Schultz,J.H.)によって創始された自己催眠法であり、治療技法である。ストレス緩和、心身症神経症などに効果がある。

歴史[編集]

もとはドイツの大脳生理学者フォクトの臨床的催眠研究に基づく。シュルツによる技法の原型は1926年に発表した"autogene Organ bungen"である。 その後基本的枠組みが確立し、1932年に自律訓練法として再体系化されたものが発表された。この年が自律訓練法の創始年とされている。 日本で自律訓練法が初めて紹介されたのは1950年代に入ってからのこととなる。

自律訓練法の構成[編集]

最も一般的な自律訓練法は、次の背景公式(基礎公式ともいう)と第1公式~第6公式の合計7つの公式からなる。

  • 背景公式
気持ちがとても落ち着いている。
  • 第1公式
手足が重い。
  • 第2公式
手足が暖かい。
  • 第3公式
心臓が静かに打っている。
  • 第4公式
呼吸が楽になっている。
  • 第5公式
お腹が暖かい。
  • 第6公式
額が涼しい。


これらの公式を順に心の中で繰り返し唱え、自己催眠状態になっていく。

自律訓練法では、特有の生理的変化や意識状態(めまい、脱力感など)が生じることもあるため訓練の後は消去動作を行うことが推奨されている。


消去動作 - 下記の運動により特有の生理的変化や意識状態が取り消される。


  • 1 両手の開閉運動
  • 2 両肘の屈伸運動
  • 3 大きく背のび
  • 4 深呼吸


目的に応じて、一部の公式を省いたり、別の公式にするなどした変法も多い。

なお、数学などでもないのに「公式」という言葉を使うのは奇異に聞こえるが、自律訓練法では「公式」というのが普通である。

効果[編集]

自律訓練法は、疲労回復、ストレス緩和、仕事や勉強の能率向上、抑鬱(よくうつ)や不安の軽減などの効果がある。

また、心身症、神経症などの精神科、心療内科領域の病気にも効果がある。

実施方法[編集]

実施に先立ち、以下のようなことに注意する。専門家の指導の元に行うことが好ましい。

  • 実施場所は、気が散らないように、静かで快適な温度の場所がよい。
  • 極端な空腹感や満腹感があるときや便意のあるときは、気が散るので実施を避ける。
  • 衣服はゆったりとしたものが良い。身体を締め付けるベルトやネクタイは外す。
  • 姿勢は仰向けか、椅子に座った姿勢が良い。目は閉じる。
  • 1回あたりは最大でも5分程度に留めておく。1日に2~4回程度が適量と言われている。
  • 心臓、呼吸器、消化器、脳に疾患のある場合は、行なうべきではない。

準備が出来たら、背景公式~第1公式~第6公式までを心の中で唱える。身体が公式通りになることを感じとれるように注意を集中する。しかし、緊張状態になってはいけない。

成功すれば各公式のような感覚を得られるはずである。このときは、感覚的なものだけでなく手足の温度の上昇、心拍数の減少などの身体的な変化が実際に起きている。

自律訓練法を終了するときには、消去動作(終了動作などともいう)を行なう必要がある(自律訓練法後に就寝する場合は必要ない)。これを怠ると不快感や脱力感などが起こることがある。消去動作は、手足の屈伸を数回行い、背伸びと深呼吸を行なってから目を開ける。

副作用[編集]

正しい方法で行わなかった場合には、かえって自律神経が乱れたり強い不安感に襲われる事がある。リラックスできる環境で行われるべきである。

関係文献[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

九州大学病院心療内科 自律訓練法

関連事項[編集]