臥牛 (植物)

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臥牛
Gasteria armstrongii 003.jpg
分類APG III
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物 Liliopsida
: クサスギカズラ目 Asparagales
: ツルボラン科 Asphodelaceae
: ガステリア属 Gasteria
: 臥牛 Gasteria armstrongii
学名
Gasteria armstrongii
Schönland (1912)
または
Gasteria nitida var. armstrongii
(Schönland) Jaarsv.
和名
臥牛
英名
Cow-Tongue Cactus
Map of South Africa G armstrongii area.png
臥牛の自生地

臥牛がぎゅう、英名:cow-tongue cactus)は、南アフリカ共和国東ケープ州原産のツルボラン科(またはアロエ科ユリ科 #分類・学名参照)ガステリア属の多肉植物である。株全体の形状を、牛が寝ているさまに見立てて臥牛と呼ばれる。

概要[編集]

多くの多肉植物と同様に主に葉の観賞用に栽培される。特に日本において交配が盛んである[1]。戦前より観葉植物として栽培、交配され、様々な品種がつくられるようになった(#繁殖参照)。この時、ザラ肌、広葉、短葉、ダルマ(丸く厚い形)、条斑などの特徴を出すことが基本的な改良点となっている[2]。これら改良種は、海外でもG.armstrongii Japan hybridなどの名称で扱われている。また、ガステリア属間での交雑が容易であるため、臥牛的形状を持ちながら、斑紋や色彩が入るなどの雑種も多い。

分類・学名[編集]

新エングラー体系ではアロエ科、クロンキスト体系ではユリ科に分類される。APG植物分類体系においてアロエ科はツルボラン科にまとめられる。属名のガステリアは、胃を表すギリシャ語"gaster"を語源とする。これは、ガステリア属の花が総じて胃の形状であることに由来する。1912年、南アフリカ共和国グラハムスタウン、アルバニー博物館所長で植物学者でもあるS.ショーンランドにより、地元ポート・エリザベスの多肉植物蒐集家W.アームストロングを記念して"armstrongii"と名付けられた[3]。また、E.ヤールスフェルトのDNA研究(1992)によってGasteria nitidaの亜種と提唱されている[4]

特徴[編集]

Gasteria armstrongii fig01.jpg
暗紫色に変色した臥牛
花の断面図
種子

肉厚の葉が対生し3対6枚ほど互生しながら発達する。ロゼット状に回転する場合もある。成長した株の一般的な葉の幅は20〜40ミリメートル。葉の差し渡しは50〜150ミリメートル。重なった高さは地上部で20〜40ミリメートルである。葉にほとんど目立った模様がなく、表面はやや光沢があり、2ミリメートル前後の粒状の凹凸があるが、個体によっては凹凸のほとんどないものもある。株周囲に仔を吹くことが多い。発芽後3〜5年で開花サイズに成長し初夏に開花する。花茎は中央から300ミリメートル以上伸び、20〜30ミリメートルの薄い朱色の細壺形の花を10〜30個程度つけ、下方から順に約1週間開花する。株中央部から下方に独立した太い主根が数本ほど長く伸びる。これは降雨期の短い自生地において、乾燥した土壌に浸み込んだ水分を得るためである。

自生地での生態[編集]

おもに、南アフリカ共和国東ケープ州ヒューマンスドルプ周辺から東のガムトゥース川にかけての丘陵地や農地に自生する。砂地や潅木の下に、なかば埋まった状態で他の多肉植物などとコロニーを形成する。乾季(5〜9月)は休眠し、1月を中心とした夏場の雨季に成長し開花する。花蜜食のタイヨウチョウポリネーターとなり繁殖する[5]。南アフリカでは絶滅危惧IA類にあげられている[6]

栽培[編集]

成長は緩慢であるが非常に強健で、耐寒性も強く乾燥にも耐えるため、栽培・管理は容易である。地上部の大きさに対して長く太い直根を伸ばすため、鉢は深めのものが好ましい。強日光下や乾燥下で暗紫色に変色し休眠状態になるため、夏場の直射日光下では遮光が必要となる。自生地での一日の気温が12℃〜22℃間(年間平均)であるため、日本での成長時期は春から初夏、秋から初冬となる。この間は表土が乾いたら潅水し、他の時期はやや控える。温度、日照、通風を管理する場合この限りではない。植替え時期は問わないが、成長時期に行うことが好ましい。

繁殖[編集]

種子繁殖[編集]

自家不和合性があり[7]、単体あるいは同一DNAのカキ仔間では結実しないため人工授粉によって結実させる。結実は容易であり、種子の発芽率も良好である。このため、現れた特徴に合った名称を持つ様々な交配品種が存在する。採取した種子は貧栄養な用土に播種し、潅水、あるいは霧吹きなどで乾燥させないようにする。約3週間で発芽する。

栄養繁殖[編集]

株の周囲に仔を吹く無性生殖によって繁殖する。仔はすでに発根しているので、親株からはずしてカキ仔としてそのまま用土に植える。葉をはずして一般的な葉挿しで発根させ、仔を吹かせることで増やすこともできる。

脚注[編集]

  1. ^ [1](cactus-art.biz内Gasteria armstrongiiのページ)
  2. ^ 月刊「カクタスガイド」Vol.13 No.8(1999)日本カクタス企画社
  3. ^ [2] (The International Plant Index 内のページ)
  4. ^ Aloe 29(1): 12, 28 (Jaarsveld)[3] (The International Plant Index 内のページ)
  5. ^ [4](plantzafrica.com内Gasteria armstrongiiのページ)
  6. ^ Red List of South African Plants [5]
  7. ^ American Journal of Botany Vol. 54, No. 5 (May - Jun., 1967), pp. 611-616 [6] (参考ページ)

参考リンク[編集]

  • Cactus and Succulent Society of America (米国サボテン多肉植物協会) [7]
  • Cactus art[8]
  • hortipedia The Garden Info Portal [9]