腫瘍マーカー

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腫瘍マーカー(しゅようマーカー、: Tumor marker)は、癌の進行とともに増加する生体因子のことで、主に血液中に遊離してくる因子を抗体を使用して検出する臨床検査のひとつである。また、生検検体や摘出された腫瘍の病理組織標本を免疫染色し、腫瘍の確定病理診断組織型の鑑別に用いられる。 多くの腫瘍マーカーは健康人であっても血液中に存在するので、腫瘍マーカー単独で癌の存在を診断できるものはPSA前立腺癌のマーカーに用いる)など少数であるといわれている。しかし、癌患者の腫瘍マーカーを定期的に検査することは、再発の有無や病勢、手術で取りきれていない癌や画像診断で見えない程度の微小な癌の存在を知る上で、確実ではないが有用な方法である。

一覧[編集]

代表的な腫瘍マーカーと主な陽性疾患
腫瘍マーカー 主な陽性疾患
癌胎児性蛋白
AFP(α-フェトプロテイン 肝細胞癌 卵黄嚢腫瘍 など
AFP-L3%(AFPレクチン分画) 肝細胞癌
BFP(塩基性フェトプロテイン) 各種癌
尿中BFP 膀胱癌
CEA(癌胎児性抗原 大腸癌 胃癌 膵癌 胆道癌 肺癌 子宮癌 卵巣癌 乳癌 など
乳汁中CEA 乳癌
癌関連抗原(糖鎖性)
BCA225 乳癌 など
CA 15-3 乳癌 など
CA 19-9 膵癌 胆道癌 胃癌 大腸癌 肺癌 卵巣癌 子宮体癌 など
CA 50 膵癌 胆道癌 胃癌 大腸癌 肺癌 卵巣癌 子宮体癌 など
CA 54/61 (CA546) 卵巣癌 など
CA 72-4 卵巣癌 胃癌 大腸癌 膵癌 胆道癌 など
CA 125 卵巣癌 子宮癌 膵癌 胆道癌 など
CA 130 卵巣癌 子宮癌 膵癌 胆道癌 など
CA 602 卵巣癌 子宮癌 膵癌 胆道癌 など
CSLEX(シアリルLex抗原) 肺癌(特に腺癌) 膵癌 胆道癌 卵巣癌 大腸癌 など
DUPAN-2(膵癌関連糖蛋白抗原 膵癌 胆道癌 胃癌 大腸癌 卵巣癌 など
KMO-1 膵癌 胆嚢癌 胆管癌 肝癌 など
NCC-ST-439 膵癌 胆道癌 胃癌 大腸癌 乳癌 肺腺癌 など
SLX(シアリルLex-i抗原) 肺癌(特に腺癌) 膵癌 胆道癌 卵巣癌 大腸癌 など
SPan-1 膵癌 胆道癌 胃癌 大腸癌 肺癌 悪性リンパ腫など
STN(シアリルTn抗原) 卵巣癌 膵癌 胆道癌 肺癌 胃癌 大腸癌 など
CYFRA(サイトケラチン19フラグメント) 肺癌(特に扁平上皮癌) など
癌関連抗原(その他)
SCC抗原(扁平上皮癌関連抗原) 各種扁平上皮癌食道癌 子宮頚癌 皮膚癌 肺癌 頭頚部癌 など
TPA(組織ポリペプチド抗原) 各種固形癌 白血病 悪性リンパ腫 など
IAP(免疫抑制酸性蛋白) 各種癌
ICTP(I型コラーゲンC-テロペプチド) 肺癌 前立腺癌 乳癌 などの骨転移
CTx(I型コラーゲン架橋C-テロペプチド) 肺癌 前立腺癌 乳癌 などの骨転移
尿中BTA(膀胱腫瘍抗原) (再発)膀胱癌
尿中NMP22(核マトリックスプロテイン22) 尿路上皮癌
組織産生抗原
PIVKA-II() 肝細胞癌
PSA(前立腺特異抗原 前立腺癌
SP1(妊娠特異蛋白) 絨毛性疾患 など
γ-Sm(γ-セミノプロテイン) 前立腺癌
フェリチン 各種癌 各種血液疾患
ホルモン
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン 絨毛性疾患 卵巣癌 精巣腫瘍 など
ProGRPガストリン放出ペプチド前駆体 肺小細胞癌 など
カテコールアミン 褐色細胞腫
HVAホモバニリン酸 神経芽細胞腫 褐色細胞腫 悪性黒色腫 など
VMAバニリルマンデル酸 褐色細胞腫 神経芽細胞腫
カルシトニン (CT) 甲状腺髄様癌
その他各種ホルモン  
酵素アイソザイム
ALP(アルカリフォスファターゼ 肝障害 など
PL-ALP(胎盤性ALP)  
GAT(癌関連ガラクトース転移酵素) 卵巣癌 など
LDH(乳酸脱水素酵素  
NSE(神経特異エノラーゼ) 肺小細胞癌 甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 神経芽細胞腫 など
PAP(前立腺酸性フォスファターゼ) 前立腺癌
ペプシノゲン (PG) I/II比 萎縮性胃炎(分化型胃癌ハイリスク群)
癌関連遺伝子産生物
erbB-2 乳癌(低分化型腺癌

関連人物[編集]

関連項目[編集]