群馬県立中央中等教育学校

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群馬県立中央中等教育学校
地図北緯36度21分25.2秒 東経139度2分46.1秒 / 北緯36.357000度 東経139.046139度 / 36.357000; 139.046139座標: 北緯36度21分25.2秒 東経139度2分46.1秒 / 北緯36.357000度 東経139.046139度 / 36.357000; 139.046139
国公私立の別 公立学校
設置者 群馬県
設立年月日 2004年4月
共学・別学 男女共学
学期 3学期制
学校コード D210210000012 ウィキデータを編集
中等教育学校コード 10176B
所在地 370-0003
群馬県高崎市新保田中町184[注 1]
外部リンク 公式ウェブサイト
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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群馬県立中央中等教育学校の位置(群馬県内)
群馬県立中央中等教育学校

群馬県立中央中等教育学校(ぐんまけんりつ ちゅうおうちゅうとうきょういくがっこう、英称:Gunma Prefectural Chuo Secondary School 《=GCS》 )は、群馬県高崎市新保田中町にある公立中等教育学校群馬県立中央高等学校を前身として2003年度に設置、2004年4月に県内初の公立中等教育学校として開校した(群馬県初の中等教育学校は私立の創世中等教育学校)。

概要[編集]

2000年に群馬県の中高一貫教育研究会議により中高一貫教育の基本的な考えがまとめられ、群馬県立中等教育学校の設置が発案された。後に校名を群馬県立中央中等教育学校として開校した。2022度現在、15-20期生の約760名が在籍している。

地球市民の育成を目標に英語教育に取り組んでいる。英語科の授業では外国人講師 (教員) やALT (外国語指導助手) と共に学習する時間が設けられる。

本校に入学するには毎年1月下旬に行われる入学者選抜試験に合格しなければならない。開校初年度は受験倍率が10倍を越す勢いであったが、年を経るにつれ数字は落ちている。県内の公立中高一貫校の中では受験倍率が最も高い。

コミュニケーション能力の育成に伴い履修科目を創設するなど独自のカリキュラムを敷いている。創設された科目等、詳細は教育・取り組みの項参照。

本校開校には、元国際連合事務次長明石康が関わったことも知られている。そのため、校内に明石ルームがある(後述)。

沿革[編集]

  • 2000年10月2日 - 群馬県中高一貫教育研究会議が、中高一貫教育の基本的な考え方を公表
  • 2002年1月8日 - 群馬県立中等教育学校の設置構想が公表される
  • 2002年9月18日 - 群馬県立中等教育学校の基本構想が県教育委員会で承認
  • 2003年1月6日 - 校名を「群馬県立中央中等教育学校」とすることが公表される
  • 2003年3月12日 - 群馬県議会において県立学校設置条例の一部改正議決
  • 2003年4月1日 - 群馬県立中央中等教育学校教職員として、校長以下8名が発令
  • 2004年1月25日 - 初めての入学者選抜実施
  • 2004年4月1日 - 群馬県立中央中等教育学校開校
  • 2004年4月7日 - 県知事出席のもと第1回入学式挙行 第1期生129名入学
  • 2004年6月26日 - 新校舎完成 使用開始
  • 2005年12月22日 - 元国連事務次長 明石康 (現 群馬県立女子大学外国語教育研究所長) を迎え、開校記念式典及び交流館落成記念式典を挙行
  • 2006年4月1日 - 群馬県立中央高等学校の募集停止
  • 2008年3月 - 第一回地球市民語学研修(ボストン・ニューヨーク方面)実施
  • 2008年10月 - 第一回海外修学旅行(5学年シンガポール方面)実施
  • 2009年3月1日 - 群馬県立中央高等学校最後の「卒業式」及び「継志式」挙行
  • 2009年3月31日 - 群馬県立中央高等学校閉校
  • 2010年3月31日 - 第一回卒業式挙行
  • 2011年4月1日 - 2学期制から3学期制に変更
  • 2012年4月1日 - 時間割を55分授業・1日6時間方式に変更
  • 2013年10月3日 - 創立10周年記念式典挙行
  • 2014年4月1日 - スーパーグローバルハイスクール文部科学省から指定される。(5年間)
  • 2019年4月1日 - スーパーグローバルハイスクール指定を終え、Frontier Education for World Citizenship(FEWC)を導入。[1]

基礎データ[編集]

校章[編集]

「G」は地名の群馬、「C」は校名の中央、「S」は中等教育学校の「Secondary School」で、この3つを基調に、地球がイメージできる親しみやすいものとした。また、中心部の「S」は握手をイメージしており、地球市民としてみんなで協力する大切さを表現した。色は、「G」は緑で大地、「C」は青で空、「S」は赤色で太陽を表している。さらに、「GCS」には本校の目指す生徒像として次の意味もある。

G
Goodwill (思いやり)
C
Confidence (自身、信頼)
S
Superb (優秀)

校歌・スクールソング[編集]

校歌
母体校である群馬県立中央高等学校 (中央高校) の校歌を引き継いだものである。校舎近辺の風景、生徒が持つべき規範が示されている。草野心平が作詞、彼はこの校歌を作詞するにあたって当時の中央高校校舎の屋上に行き、思索に耽ったと言われている。
スクールソング
愛唱歌として英語によるスクールソングが開校とともに制作された。歌詞には、夢や希望を持って勉学に邁進し地球市民となるよう努力することがうたわれている。作詞は初代校長の若林勝利、作曲は小長谷宗一。しかし普段の学校生活で歌われることは無く、実際に歌える生徒も少ない。

教育・取り組み[編集]

主な特色[編集]

  • 先進的な英語教育に力を入れている。特に英語で自分の意志を表現する英語コミュニケーション能力は授業を始め様々なところで活用されている。1-2年次の生徒が行くイングリッシュキャンプでは1泊2日の研修の中でたくさんの外国人講師やALTと英語による交流を深め、生徒の英語に対する強い自信につながっている (イングリッシュキャンプの詳細は、学校行事の項参照) 。
  • また、生徒の自立心向上のため、三つの“NO”がシンボルとして挙げられている。
    • NO Chime
    • NO Garbage
    • NO Orders

学習科目[編集]

※前期課程生の学習教科

  • 主要5教科 (国語科・社会科・英語科・数学科・理科)
  • 実技4教科 (技術家庭科・芸術科 (音楽・美術) ・保健体育科)

1-2年生

  • WC科(MCI/II)→FEWCに統合
  • FEWC (FEWCⅠA・ⅠB/ⅡA・ⅡB)
  • 他3教科 (ICT・COM・GE)→平成24年度に廃止

3-5年生

  • WC科(GS I / II / III)
  • FEWC (FEWCⅢA・ⅢB/Ⅳ/Ⅴ)
  • 他4教科 (ICT・ECOM・GE・IM)→平成24年度に廃止

6年生

  • WC科(CS)
  • 他4教科 (ICT・ECOM・GE・IM)→平成24年度に廃止

World Citizen科[編集]

MC/GS/CSの3つの教科からなる。複数人でグループを作り、それぞれが学年で与えられたテーマをもとに班ごとでテーマを設定し、1年を通じて研究する。研究の成果は学年末に発表し、学校代表となった班は様々な大会で発表する。学年を重ねるにつれて、研究の内容をより詳しいものにしている。略称はWC科。

  • MC I(Multi Cultures I:エムシーワン) - 平成28年度までは、多文化理解をテーマに研究していたが、平成29年度からは過去に行っていたICTに近い内容の授業をしている。平成31年度からはFEWCに統合され、FEWCⅠBとなった。
  • MC II(Multi Cultures II:エムシーツー) - 平成28年度までは、多文化理解をテーマに研究していたが、平成29年度からは統計資料の使い方を学習している。平成31年度からはFEWCに統合され、FEWCⅡBとなった。
  • GS(Global Studies:ジーエス)・CS(Contemporary Studies:シーエス) - 世界をテーマに研究している。5年生と6年生は、英語で論文を書き、発表する。

Frotier Education for World Citizenship (FEWC、総合的な学習の時間)[編集]

各学年ごとに設定されたテーマに沿って個人で研究を行う。提出物として、論文を作成するほか、WC科と同様に研究の成果を学年末に発表する。学校代表となった生徒は、様々な大会で発表している。5年生になると英語で論文作成・発表を行い、全員が各種コンクールへ論文を応募する。また、3年生は模擬国連も行う。

(テーマの概要)

1年生 - 身近な地域とSDGs

(自分の市町村について、SDGsを巻き込んで考える探究活動)

2年生 - 群馬探究

(群馬の現状と未来、郷土群馬のあり方を考える探究活動)

3年生 - 日本探究と世界学習

(日本の現状と未来の探究、模擬国連による世界の課題の学習)

4年生 - 世界探究

(グローバルな社会課題、探究とイノベーション学習)

5年生 - 世界へ発信

(国際的視野から分析、英語での論文、世界に意見発表)

廃止された科目とその学習内容[編集]

一般に他校で言う総合的な学習の時間の一環として行われていたものである。

ICT[編集]

(アイシィーティー:Information Communication Technology)

コンピュータを活用し、課題処理に取り組む。生徒一人一人には専用のアカウントがあり、一人一台使えるデスクトップコンピューターがある。また、全館無線LANが通っているので、廊下や体育館以外どこでもコンピュータが使えることになる。

  • タッチタイピング (ブラインドタッチ) の習得
  • プレゼンテーション能力の習得
    • これはMicrosoft PowerPointを用いて行う。生徒はこれを1年次から取り組んでいるため、ほぼ全ての生徒がプレゼンテーションを行うことができる。また、これはGEの授業でも活用されるため時にICTの時間にGEをすることもある。
  • BASICを用いたプログラミング
  • ソフトを用いた映像作り
  • 情報モラル教育

など

IM/ECOM (現在:AEE)[編集]

(アイエム/イーコム (エーイーイー))

国際 コミュニケーション 能力 の育成を 目標にIM (前期課程3年次) /ECOM (AEE)(後期課程:4-6年次) を必修科目とし独自のカリキュラムで学習する。現在は英語科目の一部として新たに組み込まれており、外国人講師やALTによる英語のみを使った授業が行われている。

廃止前に行われていた主な活動は

  • 日本語のコミュニケーション能力の習得
  • 日本語の高度な会話技術の取得
  • 日本語の情報整理能力の習得
  • 英語の会話技術の習得
  • 英語の発信型コミュニケーション能力の習得

など

学校行事[編集]

  • 入学式
  • 新入生宿泊オリエンテーション
    • 新しい環境での学校生活に慣れるため1年次の生徒が妙義または赤城での宿泊を通して友人との交流を深めるもの。
  • 尾瀬ネイチャーラーニング
    • FEWCⅠBの一環として、毎年1年生が尾瀬に日帰りで学習に向かう。
  • 群馬巡検
    • FEWCⅡBの一環として、毎年2年生が群馬県内の絹産業に関する施設に取材に向かう。
  • 研究機関訪問
    • FEWCⅡA・ⅢA・ⅣAの一環として、毎年2・3・4年生が研究の成果を専門の研究機関に発表しに行く。
  • ジュネーブ国連研修
    • FEWCの一環として、毎年8月に3・4年生の希望者がスイスジュネーブにある国連機関を訪問する。
  • SGHハワイ語学研修(SGH終了後廃止)
    • スーパーグローバルハイスクールの活動の一環として、毎年8月に、3・4年生の希望者がハワイ島での研修活動を行う。
  • 地球市民語学研修
    • 毎年3月に、4・5年生の希望者がボストン及びニューヨークで研修活動を行う。
  • 開校記念式典
  • 芸術鑑賞教室
    • 日本文化や外国の文化に触れるため毎年1回行われている。
  • イングリッシュキャンプ
    • 1-2年次の生徒が1泊2日で英語学習に取り組む。この中では英語スキット (英語劇) コンテストも行われ、授業では事前に準備もすすめられる。
  • オープンスクール(学校公開)
    • 毎年10月の下旬か11月上旬の土休日に行われる。
  • 修学旅行
    • 3年…京都・奈良
    • 5年…マレーシア(2015年度まで)・シンガポール
  • 校内合唱コンクール(前期課程のみ)
  • 校内百人一首大会(前期課程のみ)
  • 前期課程修了証書授与式
    • 義務教育終了の節目として修了証書授与式を行う。
  • グローバルウィーク
    • スーパーグローバルハイスクールの活動の一環として毎年9月に開かれる、地球市民育成プロジェクトやWC科、明石プロジェクト等の課題研究の中間発表会。2月から3月には、1年間の研究のまとめとしてテーマ別・学年・全校の成果発表会も開かれる。いずれも外部の有識者を招いて行われる。

また、隔年で体育祭文化祭 (朋友祭) を行う (奇数年度が体育祭、偶数年度が文化祭) 。新型コロナウイルスの影響により、2020年度朋友祭が中止となり、2021年度に朋友祭と体育祭を合わせた紫陽祭(しようさい)が行われた。

明石プロジェクト[編集]

本校創設者でもある明石康の名にちなんだ、希望者参加制の研究活動。複数のゼミが存在し、それぞれが研究を進めている。ほぼ生徒主体のものである。その資金はSGH指定校への助成金からなっている。

学校施設[編集]

校舎概略[編集]

校舎は地上6階建て、と学校の校舎としてはとても高いものとなっている。校舎内にはエレベーターが2機あり、主に教諭や管弦楽部が使用する。同じ敷地内に中央高校の校舎も並立していたが、2012年2月までに工事により解体された。

校舎外部の壁面はクリーム・茶色系統。教室内部の壁面や机・椅子等には群馬県産の木材 (杉) を使用する(基礎期のみ)などこだわりも見せている。

前身である群馬県立中央高等学校は校舎の壁が白く、これが校歌の歌詞の由来となっている。

主な施設・設備内容[編集]

教室
各学年1-4組で学習時に使用する。教室内には扇風機 (4台) 、エアコン (1台) 、ガスヒーター (1台) が設置されている。また、黒板ではなくホワイトボードを使用している (これは本校全ての部屋がそうである) 。昼食時にはここで食事することができる。
少人数教室
本校の特徴である、数学や英語で少人数教育を行うのに使用される。エアコン完備。休業中には自習室としても使用される。
日本文化学習室
日本文化に対する理解を目標に書道・百人一首・伝統楽器の演奏の時に使用される。
ICTルーム (1・2)
生徒一人一台使用できる数のコンピュータ (32台) 、教師用コンピューター(2台)、教師用コンピューターの拡張画面(16台)、また4台のプリンター、複合機1台を備える。総合の授業で使用できる。
マルチメディアライブラリー(MML)
多数の蔵書や洋書の他、CD・DVDなどの視聴覚資料、新聞や雑誌も置かれる。また、司書がリクエストに応じて、群馬県立図書館や高崎市立図書館などから本のレンタルや新しく購入してくれる。
資料を活用する授業を行う場合にも生徒分の机、椅子があるため使用できる。パソコンも机の上に置かれている。
明石ルーム
本校創設者でもある明石康の名にちなみ名前を付けられた多目的室。
交流館
校舎と2階でつながっている別建物。2005年度に落成。学習、または部活動での合宿時に使用したり、和室があるため茶道・華道なども行える。
カフェテリア
いわゆる食堂。セルフ形式となっているため生徒や教職員などが利用する場合は事前に食券を購入する必要がある。外もテラスとなっているため天気の良い日にはそこでも食事ができる。自動販売機4機がここに置かれている。
ホール (中央ホール/多目的ホール)
正面玄関入ってすぐの所が中央ホールである。各種発表会での会場、また大型モニターが設置されているため学校説明会などや小規模の集会にも使用される。設置されている展示ボックスには中央中等に関係する著名人の展示品や賞状などが置かれている。
2-4階の中央部分の広いスペースが多目的ホールである。長テーブルやイスが置いてあるため生徒が学習するときなどに使用される。また、集会時にも使われる。
総合実習室1-6
理科や技術家庭科の授業で使用する。教室はエアコン完備。
体育館 (第一/第二) ・トレーニングルーム
トレーニングルームには、各種器具が備わっており、雨の日などの部活動で活用されている。
むげんかん
校庭南側にあるトレーニング施設。野球部が使用する。中央高校が甲子園出場した際に建てられた。
テニスコート
校庭の南に2面あるが、2014年度に校舎のすぐ南にさらに2面設置され、計4面ある。

部活動[編集]

6学年あるため一貫して同じ部活動を続けることができ、逆に前期後期で違う部活動に所属することもできる。部活動の所属・入退部は自由なため好きなことができる。なお、中体連高体連 (高野連) 等、学年で所属する団体が異なるため部活動は前期・後期に分けられる (以下、 (前/後) と表記されているものである) 。逆に管弦楽部・科学部・将棋部は6学年一緒に活動する。

部活動の下の位置付けとして、5人以上で構成されると認可される同好会がある。以前は、校内に活動場所がない等の理由から学校外で諸活動をしている生徒 (水泳・体操・スキーなど) は、特別に大会参加時のみ部活動に所属していると扱い、それらの活動は「設置外部活動」と呼ばれていた。2016年度より設置外部活動は廃止となり、学校の認可を必要とする大会に参加する場合は全て同好会か部活動の設置が条件となった(2015年度までの設置外部活動は全て同好会に移行されている)。

  • 水泳同好会 (前/後)
  • 放送同好会 (後期のみ入会可能)
  • 剣道・空手同好会 (後期のみ入会可能)

著名な出身者[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 職員室は高崎市に位置する。校庭の一部は群馬県前橋市川曲町に含まれる。

出典[編集]

  1. ^ FEWC(フューク)の概要イメージ”. 2021年5月31日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]