縦深防御
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縦深防御(じゅうしんぼうぎょ、英:defence in depth、もしくは、elastic defence)は、戦闘教義の1つである。 日本語では、深層防御(しんそうぼうぎょ)の呼び名で呼ばれることもある。縦深防御は、攻撃側の前進を防ぐのではなく、前進を遅らそうとすることを目的とする。それにより、時間を稼ぎつつ、攻撃側の前進による占領地域の増加と引き換えに敵の犠牲者を増加させる戦略である。
この縦深防御の考え方は、非軍事的な戦略の記述においても広く使われている。この場合、日本語では、階層的防御(かいそうてきぼうぎょ)、多層防御(たそうぼうぎょ)、多重防御(たじゅうぼうぎょ)の名前で呼ばれる(英語での表記は同一である)。
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[編集] 軍事的な意味での縦深防御
従来の防御戦略では、全ての軍事的なリソースを前線に配置していた。この場合、その前線が攻撃側に破られた場合、残りの防御側の部隊は側面をさらし、包囲され、弱い補給線を敵にさらすという危険が存在していた。
縦深防御では、防御側がそのリソースを広く展開する必要がある。例えば、要塞や防御拠点や部隊は、前線とその後方に配置される。攻撃側は、容易に防御が強固でない前線を突破することができるが、前進するたびに攻撃側は抵抗に遭遇する。攻撃側がより奥まで進軍するにつれ、攻撃側の側面は弱体化し、その結果、前進は停止し、攻撃側に包囲される危険が生じる。、
縦深防御は、広がった防御線において、攻撃のために一部の部分に兵力を集中している様な攻撃側に対して効果的である。
撤退する先が既に準備されている防御側は、蹂躙されたり側面をさらす危険を避けつつ、前進してくる敵軍に高い犠牲を払わすことが可能である。攻撃側の前進を遅らせることは、攻撃側の奇襲効果を軽減し、防御部隊が防御の準備を行い、更に反撃を行なう時間を稼ぐことができる。
よく計画された縦深防御では、お互いに支援を行い、適切な役割を行なえるように戦力を展開する。例えば、十分に訓練されていない部隊は、前線における固定防衛戦力として配置され、一方、訓練されており装備が十分な部隊は機動予備として配置される。連続した防衛線では、異なるテクノロジーや戦術を併用する場合がある。例えば、ドラゴン・トゥース(道路障害物の一種)は戦車にとって障害となるが、歩兵にとっては障害とならない。一方、鉄条網はその逆の効果がある。縦深防御は、自然の地形と他の利点を防御側の可能性として最大限に活用することが可能である。
縦深防御の不利な点として、攻撃側に占領地を与える計画であるため防御側にとって受け入れにくいものである点である。これは、重要な軍事的もしくは経済的な拠点が前線の近くにあったり、政治的文化的な理由から敵に領土を譲ることが受け入れられないと言う場合もある。
縦深防御の初期の例として、ヨーロッパにおける丘の上の砦(hill fort)や、何重もの壁で囲まれた城(concentric castle)を中心とした防衛があげられる。これらの例では、内部の防衛線にいるものは、外側の防衛線にいるものを弓矢や火器で支援する。攻撃側は多大な損害を出しつつ、各防御線を順番に破る必要がある。その一方で、防御側は、再戦のために、後退をする選択が存在する。
最近の縦深防御の例では、第一次世界大戦での塹壕による前線であり、第二次世界大戦でのイギリスへのドイツ軍の侵攻における防御である。
[編集] 非軍事的分野での多層防御
多層防御の語は、非軍事分野においても使用される場合がある(英語の場合、defense in depthの語は非軍事分野にも広く使用されている)。特に、多層防御は、冗長性が存在することを強調した技術を意味している。すなわち、一部が故障しても機能し続けるフォールトトレラントシステムであり、全体がいきなり停止することの無い様なシステムである。例えば、4つのエンジンを持つ航空機は、1つのエンジンの信頼性が高い場合であっても、1つのエンジンしか持たない航空機と比較して、全てのエンジンが故障すると言う問題に直面することは少ない。この様に、多層防御は、人命に関わるような設備(医療機器、原子力発電等)に利用されている。また、英語のdefense in depthはそれより広い用途で使用される。例えば、火災予防において、defense in depthと言えば、火災を防ぐためにリソース全てを集中することではなく、火災報知機、消火器、避難計画、救出と消火設備の配置と、大きな火災に対して大量のリソースを配置する計画をたてることまで含む(日本語の「多層防御」はここまでの用例で使用しない)。
[編集] 情報セキュリティ分野での多層防御
詳細は多層防御 (セキュリティ)を参照
情報セキュリティ分野において、多層防御というものは、コンピュータの防御を出し抜いたり、危険にさらす様な行為に対する危険度を低減するために、多数のコンピュータセキュリティ技術の使用することを示す。例えば、コンピュータ・ウィルスに対する防衛関しての例では、個々のワークステーションにアンチウイルスソフトウェアをインストールし、ファイヤウォールやサーバでもウィルスを防止すると言うものがある。1つのソフトの問題に起因する全体への問題の波及を避けるために、様々なベンダーより供給された異なるセキュリティソフトをネットワーク上の異なる悪意のあるコードに対して使用する場合もある。

