緩和時間

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緩和時間(かんわじかん、: relaxation time)とは、系が非平衡から平衡に向かって変化するとき、変化に要する時間の目安である。ここでいう平衡とは熱力学的平衡に限らず、注目する量が一定となる定常状態を指す。

多くの場合、緩和時間は、ある時刻での非平衡状態における値と平衡状態における値の差を時間に対する変化率で割った値と定義される。

これは、横軸を時間にとってある量の時間変化をグラフに描いたときの、ある時刻における接線が平衡値と交差するまでの時間ということである。ただし緩和時間のうちに平衡値に達するのはあくまで時間変化を表す曲線の接線であり、実際に平衡に達するかどうかは無関係である。

時間に対する変化率が平衡との差に比例する場合、緩和時間は時刻に対し一定となる。

平衡値との差は時間とともに指数関数的に減衰する。緩和時間後には始点となる時刻での値の e-1 倍 (≈ 37 %) にまで減少する。

\begin{align}
&\frac{dx(t)}{dt}=\frac{1}{\tau_\mathrm{relax}}\left(x_\mathrm{eq} - x(t)\right)\\
&\Longrightarrow~ x(t)=x_\mathrm{eq} - \left(x_\mathrm{eq} - x(0)\right)\operatorname{e}^{-t/\tau_\mathrm{relax}}\,.
\end{align}

ここでそれぞれ、

x(t)\,: 注目する量、x_\mathrm{eq}\,: 注目する量の平衡状態での値(eq は equilibrium の略)、
t\,: 時刻、\tau_\mathrm{relax}\,: 緩和時間、\frac{dx(t)}{dt}\,: 注目する量の時間変化率(時間微分

を表す。\operatorname{e}^{-(t+\tau_\mathrm{relax})/\tau_\mathrm{relax}}
=\operatorname{e}^{-1}\operatorname{e}^{-t/\tau_\mathrm{relax}} なので、緩和時間ごとに 1/e 倍されていくことが分かる。

緩和時間は平均寿命に等しく、緩和時間の ln 2 倍 (≈ 69 %) が半減期となる。 対数関数指数関数逆関数であり \operatorname{e}^{a \ln b}=b^a という関係が成り立つので、 t=0 を基準とすると t=-\tau_\mathrm{relax}\ln\frac{1}{2} = \tau_\mathrm{relax}\ln 2 のとき半減期を迎えることになる。 以降、\tau_\mathrm{relax}\ln 2 だけ時間が経過するごとに注目する量が半分に減少する。

時間変化率が平衡との差に比例せず緩和時間が一定でない場合、緩和時間は適切な指標になり得ないため、その値そのものには意味がなくなる。

緩和時間の例[編集]

関連項目[編集]