続・若い季節

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続・若い季節
監督 古澤憲吾
脚本 長瀬喜伴
原作 小野田勇
製作 渡辺美佐
出演者 淡路恵子
中尾ミエ
伊東ゆかり
園まり
三橋達也
音楽 宮川泰
主題歌若い季節
撮影 山田一夫
編集 黒岩義民
配給 東宝
公開 日本の旗 1964年3月20日
上映時間 82分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 若い季節
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続・若い季節』(ぞくわかいきせつ)は、1964年3月20日に公開された古澤憲吾監督の東宝の劇映画である。東宝スコープ、カラー、82分。

キャッチコピーは「目標はシブイいい男! 全社員若さと笑いでばく進せよ!」。

概要[編集]

OP冒頭で映された後楽園競輪場(写真は1974年当時)。画面左は小石川後楽園、右は後楽園球場

1962年10月に公開された『若い季節』の続編。ただし続編ながらスタッフの大半は変わっており、出演者も、前作と同じ役でスライド出演したのは淡路恵子沢村貞子人見明古今亭志ん朝のみで(志ん朝が演じた朝太は前作では学生だが、本作では宣伝部社員。また、「朝太」は志ん朝自身の二つ目までの高座名でもある)、後は大半が一新された。

本作では中尾ミエ園まり伊東ゆかりの「スパーク3人娘」が主演しており、3人が好みの男性をポスターのモデルにした事から巻き起こる騒動を描いている。なお本作は、1963年公開の『ハイハイ3人娘』『若い仲間たち うちら祇園の舞妓はん』(双方とも宝塚映画製作・佐伯幸三監督)に続き、スパーク3人娘にとって3作目の出演作(主演は『ハイハイ』に次いで2作目)だが、事実上最後の作品となった。

今回も古澤監督の演出は快調で、スパーク3人娘を始め、田辺靖雄鈴木やすし(現:ヤスシ)・志ん朝らが歌うシーンが随所に挿入されている。また冒頭で「続」とタイトルが出た直後、当時の後楽園競輪場(現在の東京ドームの所在地)で「若いきせつ」とタイトルが人文字で構成され、続けて当時の東京都心各地を空撮で映し出すオープニング・タイトル[1]は迫力があり、本作の後も『日本一のゴマすり男』『大冒険』などの古澤映画、ひいては当時の東宝映画の名物シーンの一つとなった。

本作も正編同様、1986年11月29日TBSの『土曜映画招待席』で放送されて知られる様になり、1990年代にはLDが発売されたが廃盤、2008年には東宝から、正編と2作品セットの形でDVD化、2014年12月29日には講談社DVDマガジン「東宝 昭和の爆笑喜劇」より発売された。

ストーリー[編集]

冒頭、棚尾社長の乗るオープンカーが降りた「首都高速都心環状線・呉服橋出入口」[2]
冒頭、棚尾社長の乗るオープンカーが降りた「首都高速都心環状線呉服橋出入口[2]
3人娘が行ったボウリング場がある「品川プリンスホテル」
3人娘が行ったボウリング場がある「品川プリンスホテル

プランタン化粧品は新たに、男性用化粧品「メンズ・セット」を発売した。だが売れ行きはサッパリ。そこで野呂宣伝課長に調べて見ると、ポスターのモデルがいかさないと判明、急遽新しいポスターを作る事になる。その一方でプランタンは販売網強化のため、サン興業からの融資を頼むべく、棚尾社長の姉が女将を務める「料亭・さわむら」に井橋社長を呼んだが、来たのは有田専務だった。その頃、プランタンのチャームガールのミエ・まり子・ユカの3人は、会社の帰りボウリング場へ行く。そこで3人娘はハンサムな男と知り合う。その男はサン興業の社長秘書・石塚というのだった。3人はすっかり一目惚れ。

3人娘が井橋社長を招いた「三愛ビル[2](OPでも一瞬撮された)

翌日棚尾は、ポスターのモデルを社内募集、採用されたら3万円の賞金を出すと発表。これを聞いた宣伝部員の鈴木と進藤は、それぞれスカウトに赴くもドジばかり、そして進藤からこの事を聞いた3人娘は、早速好みの男性の写真を撮って募集した。数日後、採用されたと聞かされた3人娘が会社に行ってみると、3人ともモデルは同じだった。そこで棚尾がこの男について質問すると、3人娘は「この男は石塚といい、サン興業の社長秘書である」と言う。融資の渡りに船だと喜んだ棚尾は、早速採用、3人娘にはそれぞれ3万円が与えられた。そして後日、石塚を会社に呼ぶと、ポスターを作成、その夜は3人娘・石塚・鈴木・進藤、そして給仕のヤスオと共に、ナイトクラブで楽しい夜を過ごした。

やがてポスターはどんどん作られ、街のあちこちに貼られ、そのポスターは「化粧界に大革命」とマスコミで大評判、そしてメンズ・セットは飛ぶ様に売れた。ところが、サン興業から「融資の件は諦めてくれ」と電話がかかってくる。 そしてポスターのモデルの石塚の正体は、サン興業の井橋社長だったことが判明(「石塚」は彼の秘書の名)。直ちにポスターは撤収、これに激怒した3人娘は、早速サン興業に乗り込んだ。だが当の井橋は何の事か分からないという。どうやら井橋はそうとは知らずに、書類にメクラ判を押したのだ。しかし、それだけでは3人娘の気は収まらなかった。そこで井橋は気分転換にと、3人娘をボウリング場に誘い、皆を喜ばせた。同時に融資も予定通り行う事となった。

数日後、棚尾がサン興業へ赴きお礼をすると、その席上、井橋は「近々アメリカへ市場調査に行く」と発言、そして次の日曜には3人娘とドライブに行くと伝えた。そして当日、井橋や3人娘は、棚尾・鈴木・進藤・ゆき子と共に、高原へドライブに出かけ、大らかに歌を歌った。もちろん3人娘は、井橋がアメリカに行く事を知る由もなかった。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

挿入歌[編集]

若い季節〜白い風に胸はって」

作詞:永六輔(「若い」)、岩谷時子竹内伸光(「白い」)/作曲:桜井順(「若い」)、宮川泰(「白い」)/歌:コーラス
オープニング。後楽園競輪場の人文字シーンでは「若い季節」が流れ、東京空撮シーンでは「白い風に胸はって」のハミングが流れる。

「いつか俺だって」[4]

作詞:?/作曲:宮川泰/歌:田辺靖雄
野呂課長にぶつかり叱られたヤスオ給仕が、不満タラタラに歌う。階段上部からのシーンに転換する時は、爆発状のワイプとなる。

「このまま気楽に」[4]

作詞:?/作曲:宮川泰/歌:藤田まこと
サン興業内で、有田専務が歩きながら軽妙に歌う。

「若いモンはなってない」

作詞:青島幸男/作曲:萩原哲晶/歌:谷啓
叱ろうとした販売員たちが姿を消し、谷田主任が不満タラタラに歌う。谷特有の「タメ」有り。
3人娘が「素敵なセブンティーン」を歌った「日比谷公園」の大噴水

「素敵なセブンティーン」

作詞:岡田敏和/作曲:宮川泰/歌:スパーク3人娘
「おじさま」(井橋社長)に出会った喜びを、夜の日比谷公園の大噴水前(正編でジェリー藤尾が歌った場所)で歌い踊る。

「宣伝部の歌」[4]

作詞:?/作曲:宮川泰/歌:コーラス、鈴木やすし、古今亭志ん朝
4番まで有り、1・2番は社内で歌い踊る。3番は鈴木、4番は進藤がモデル探しに街中で歌う。

「涙なんかふっとばせ」

作詞:河野洋/作曲:広瀬健次郎/歌:田辺靖雄
昼休み、プランタンのビルの屋上でヤスオ給仕が大らかに歌う。

営業部の歌(人生劇場)

作詞:佐藤惣之助/作曲:古賀政男/歌:人見明
社長からの指示により「メンズ・セット」売り上げ促進のため、営業部員たちが社内で化粧をすることになった際、営業課長が化粧にあわせてアカペラで歌う。なお、営業部員たちが洗面所まで行く場面には、古澤十八番の『軍艦マーチ』が流される[5]

「あたしのおじさま」[4]

作詞:?/作曲:宮川泰/歌:スパーク3人娘
モデル募集の賞金を貰った3人娘が、ホリゾント内で歌う。1番は伊東、2番は園、3番は中尾が歌い、他の2人は「お世辞でしょう!?」「子供よ!!」と突っ込む。

「白い風に胸はって」

作詞:岩谷時子・竹内伸光/作曲:宮川泰/歌:田辺靖雄、スパーク3人娘、鈴木やすし、古今亭志ん朝
ナイトクラブ内で上機嫌になったヤスオ・3人娘・鈴木・進藤が歌う。OPでも使われた歌。

「おじさんをやっつけろ!」[4]

作詞:?/作曲:宮川泰/歌:スパーク3人娘
せっかく作ったポスターが撤収され、「おじさんに騙された」と思い込んだ3人娘が、サン興業の社長室で、井橋・有田の目の前で憎々しげに歌う。途中で社長室がホリゾントに変わる、古澤映画特有のシーン有り。
ラスト、棚尾たちが訪れた「玄岳」近辺

「若い季節」

作詞:永六輔/作曲:桜井順/歌:スパーク3人娘
エンディング。箱根へドライブに行った井橋と3人娘、そして棚尾たちの場面で流される(予告編でも使用[6])。道路は『クレージー作戦 先手必勝』・『クレージー大作戦』でもお馴染みの「伊豆スカイライン」。そしてラスト場面で棚尾らが手を繋ぐ場所は、これまた『クレージー大作戦』で使われる「玄岳」。

同時上映[編集]

こんにちは赤ちゃん

  • 脚本:長瀬喜伴/監督:松林宗恵/主演:小林桂樹梓みちよ
  • 「製作」は美佐の夫にして、当時の「渡辺プロダクション」社長・渡邊晋であり、渡辺プロによる2作品が初めてカップリングされた。
  • 梓の同題ヒット曲の映画化で、一足早く同年2月に公開された日活作品との競作となったが、主題歌が梓の歌唱で流れるのは、この東宝版のみとなっている。
  • なお田辺靖雄・谷啓・三木のり平の3名は、この作品にも出演している。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ シリーズ前作『若い季節』では、オープニング・タイトルの終了直後、冒頭から空撮が用いられていた。
  2. ^ a b 「東宝 昭和の爆笑喜劇」・「続・若い季節」(講談社)16頁 2014年
  3. ^ ポスターや予告編ではクレジットされているが、OPではノンクレジット。
  4. ^ a b c d e 記録が無く、「東宝 昭和の爆笑喜劇」(講談社)の解説のために付けた仮題(出典:「東宝 昭和の爆笑喜劇」・「続・若い季節」12頁 2014年)
  5. ^ 曲は正編に使用したものをアレンジしているが、予告編では正編と同じバージョンを使用。
  6. ^ ただしコーダ部分は正編から流用。

外部リンク[編集]