スキゾイドパーソナリティ障害

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
統合失調質人格障害から転送)
移動: 案内検索
スキゾイドパーソナリティ障害
分類及び外部参照情報
ICD-10 F60.1
ICD-9 301.20
MedlinePlus 000920
MeSH D012557
プロジェクト:病気Portal:医学と医療
テンプレートを表示

スキゾイドパーソナリティ障害(スキゾイドパーソナリティしょうがい) (Schizoid personality disorder, SPD) とは、DSMパーソナリティ障害のなかで、大きな区分である「クラスターA」に属する一型である。社会的関係への関心のなさ、孤独を選ぶ傾向、そして感情的な平板さを特徴とする。

ちなみに統合失調症といかにも関係がありそうな名前であるが、スキゾイドは「社会的に孤立していて対人接触を好まず、感情の表出が乏しく、何事にも興味関心がないように見える」という性格特徴を表す言葉であって、統合失調症とは違うものであり、統計学的にもスキゾイドパーソナリティ障害の人が統合失調症になりやすいという証拠は出なかった。また、本症は身の回りへの興味・関心がないだけで、対人恐怖症や、社会問題になっているニートひきこもりとも違うものである。

2002年までは分裂病質人格障害と呼ばれていたが、精神分裂病が統合失調症へと変更されたことに連動して『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』の2003年新訂版でスキゾイドパーソナリティ障害に変更された。『ICD-10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン』では2005年11月の版から統合失調質パーソナリティ障害となっている。

診断[編集]

DSM-IV-TRでは次の診断基準のうちの少なくとも4つ以上を満たすことで診断される。

  1. 家族を含めて、親密な関係をもちたいとは思わない。あるいはそれを楽しく感じない
  2. 一貫して孤立した行動を好む
  3. 他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても少ししかない
  4. 喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない
  5. 第一度親族以外には、親しい友人、信頼できる友人がいない
  6. 賞賛にも批判に対しても無関心にみえる
  7. 情緒的な冷たさ、超然とした態度あるいは平板な感情

特徴[編集]

本障害の特徴は、身の回りへの興味・関心と自己表現力の欠如である。人との交流を避け、口数は少なく、抑揚も乏しく、よそよそしい。そして、人と深く関わることによって自分と相手が変化することを怖れる。相手にのみこまれ自分の独立性を失ってしまう恐怖におびえる。そのため、他人との関わりを避ける。彼らの心には、よく知らない人と親密であるという不確かな(空想の)観念が存在することがある。

彼らの反応には攻撃的な行動が滅多にないため、ほとんどの脅威は、現実のものであれ想像のものであれ、空想上の全能感もしくはあきらめによって処理される。彼らはしばしば孤独に見える。しかし時に、このような人は独創的、創造的な観念を抱き、それを展開して世間に提示することがある。性格は、非社交的で静寂、控えめ、そして無頓着である。仕事では、コツコツと成果を上げ、評価されるが、自分が納得すればそれでよく、「嬉しい」という感情が起きない。少年期〜青年期に「私はこれがやりたい」など、自分の意志を両親など周りの大人から否定(もしくは過干渉)され続けて育ち、自分の意志を表現しようとは思わなくなった(諦めた)人に多くみられる[1]

本人は、本障害によって、生活する上で困ることが何一つないため、カウンセリングなどを受けに行くことはなく、また行ったとしてもすぐ診療をやめてしまう。しかし、それによって他人に迷惑をかけることはないので、本人が困っていなければ診療をする必要はない[1]

動物や幼児を手懐けることには長けていることがある[2]

症状が似ている広汎性発達障害との鑑別に苦慮することもある。

脚注[編集]

  1. ^ a b 渡辺登『こころの病気がわかる事典』
  2. ^ 『カプラン臨床精神医学テキスト』

参考文献[編集]

  • 渡辺登『こころの病気がわかる事典』日本実業出版社、1999年
  • 『カプラン臨床精神医学テキスト』メディカルサイエンスインターナショナル