経過勘定

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経過勘定(けいかかんじょう、deferred and accrued accounts)は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、または提供を行う場合において、適正な損益計算を実現するために発生する勘定である。

概要[編集]

会計処理の原則である実現主義発生主義費用収益対応の原則に基づき、実際の現金収支の時期とは関係なく、役務の効果のある期間にわたり、費用と収益を期間配分する必要から生じた勘定である[注釈 1]

既に提供を受けている、または提供を行っている役務に対して、支払を行っていない、または支払を受けていない対価について、発生分を見越して計上する見越勘定(accrued accounts)と、未だ提供を受けていない、または提供を行っていない役務に対して、支払を行った、または支払を受けた対価について、未発生分を繰延べて計上する繰延勘定(deferred accounts)に大別される。

前者には未払費用未収収益、後者には前払費用前受収益がある。

経過勘定項目の具体例[編集]

経過勘定項目には、以下の4種がある[1][2]

経過勘定項目 費用・収益の別 繰延・見越の別 概要
前払費用 費用 繰延 支払っているが次期以降の費用になる金額
未払費用 費用 見越 支払っていないが当期の費用になる金額
前受収益 収益 繰延 受け取っているが次期以降の収益になる金額
未収収益 収益 見越 受け取っていないが当期の収益になる金額

未決済項目との違い[編集]

未決済項目である未払金未収金前払金前受金とは、以下の点で区別する。

  • 経過勘定は継続的役務提供契約のみから生じる
  • 未決済項目は役務提供契約以外からも生じる
  • 経過勘定は役務の提供又は受領が部分的に完了したもの
  • 未決済項目は役務の提供又は受領がすべて完了したもの
  • 未決済項目は役務の提供又は受領がまったく行われていないもの

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 経過勘定項目は、収益および費用の認識基準である「発生主義」の考え方の具体的な現れといえる。

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 佐々木理恵『これから始める人の簿記入門』新星出版社、2015年2月。ISBN 978-4-405-02544-8 

関連項目[編集]