経済産業大臣指定伝統的工芸品
経済産業大臣指定伝統的工芸品(けいざいさんぎょうだいじんしていでんとうてきこうげいひん)は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年5月25日、法律第57号)に基づいて経済産業大臣により指定された日本の伝統工芸を指す。
[編集] 概要
行政用語では伝統的工芸品と呼ばれ、次の要件により指定される。
- 工芸品であること。
- 主として日常生活の用に供されているもの。
- 製造過程の主要部分が手工業的であるもの。
- 伝統的技術又は技法によって製造されるもの。
- 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること。
- 一定の地域で産地形成されていること。
2009年(平成21年)4月現在、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品は全国に211品ある。 内訳は織物(33)、染色品(11)、その他繊維品(4)、陶磁器(31)、漆器(23)、木工品・竹工品(28)、金工品(14)、仏壇・仏具(16)、和紙(9)、文具(9)、石工品(4)、貴石細工(2)、人形・こけし(8)、その他工芸品(16)、工芸材料・工芸用具(3)となっている[1]。
なお、北海道は全都道府県で唯一、伝統的工芸品の指定を受けている品目が存在しない。伝統的工芸品産業振興協会編著の『伝統的工芸品ハンドブック』では、法律において「伝統的」と認められる年数について「100年以上の歴史を有し、現在も継続しているもの」との基準が示されており[2]、北海道においては先住民族であるアイヌが固有の文字を持たず口承のみが世代間の知識の伝達手段であったため、古来よりその工芸品が生産されて来たことを示す文献が残されていないことも一因となっている。但し、北海道において伝統的工芸品の指定に向けた動きが全く無い訳ではなく、2007年には全国伝統的工芸品公募展にアイヌの民族衣装(アットゥシ)が出品され、奨励賞を受賞している[3]。また、2000年の時点では千葉県と熊本県にも指定品目が存在しなかったが、2003年に千葉県の1点・熊本県の3点が指定された。
[編集] 生産額
伝統的工芸品の生産額は1974年以降、日本の経済成長の波に乗り年々増加を続け、1980年代には年間5000億円前後の水準を維持していた。とくに1984年には生産額が5237億円とピークを迎えた。しかしながら、国民の生活様式の変化やバブル景気崩壊後の長引く景気の低迷、海外からの安価な生活品の輸入などの理由から2003年には2003億円と半減した。2003年度における各産地の関連工芸品総生産額は約6037億円であり、指定伝統的工芸品は工芸品総生産額の約1/3を占めていることになる。2006年にはさらに1773億円まで落ち込んでいる[4]。
生産額の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室の資料を基に作成[4])
- 「S」は昭和年度、「H」は平成年度を表す
- 下の数字は生産額(単位10億円)を表す
| 年代 | S49 | S54 | S59 | S61 | S63 | H2 | H4 | H5 | H8 | H10 | H12 | H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | |
| 生産額 | 305 | 383 | 383 | 454 | 509 | 539 | 461 | 354 | 321 | 298 | 314 | 225 | 235 | 219 | 214 | 202 |
[編集] 企業数及び従事者数
企業数は1979年の34043社から2006年には16704社と半減し、従事者数は1979年の287956人から2006年には93365人と1/3にまで減少している[4]。
また30歳未満の従業者の比率も1974年の28.6%から2006年には6.1%まで落ち込み、伝統的工芸品産業は高齢化が進んでいる[5]。
企業数及び従事者の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室の資料を基に作成[6])
- 「S」は昭和年度、「H」は平成年度を表す
- 下の数字は企業数(単位100人、青棒)及び従事者数(単位1000人、緑棒)を表す
| 年代 | S49 | S54 | S59 | S61 | S63 | H2 | H4 | H5 | H8 | H10 | H12 | H14 | H15 | H16 | H17 | H18 | ||||||||||||||||
| 企業数 | 305 | 383 | 383 | 454 | 509 | 539 | 461 | 354 | 321 | 298 | 314 | 225 | 235 | 219 | 214 | 202 | ||||||||||||||||
| 従事者数 | 280 | 287 | 236 | 249 | 229 | 205 | 186 | 152 | 137 | 114 | 96 | 106 | 103 | 100 | 98 | 93 |
[編集] 経済産業大臣指定伝統的工芸品一覧
カッコ内の年号は伝統的工芸品に指定された年。なお、厳密には、甲州手彫印章(2000年7月31日指定)までは通商産業大臣によって指定されたもので、八女提灯(2001年7月3日指定)以降は経済産業大臣によって指定されたものである。
※印は、複数の都道府県にまたがって指定されているもの。
[編集] 青森県
- 津軽塗(漆器、1975年)
[編集] 岩手県
[編集] 宮城県
[編集] 秋田県
[編集] 山形県
[編集] 福島県
[編集] 茨城県
[編集] 栃木県
[編集] 群馬県
[編集] 埼玉県
[編集] 千葉県
- 房州うちわ(その他工芸品、2003年)
[編集] 東京都
- 村山大島紬(織物、1975年)
- 本場黄八丈(織物、1977年)
- 多摩織(織物、1980年)
- 東京染小紋(染色品、1976年)
- 東京手描友禅(染色品、1980年)
- 江戸指物(木工品、1997年)
- 江戸和竿(竹工品、1991年)
- 東京銀器(金工品、1979年)
- 江戸木目込人形(人形、1978年)※
- 江戸からかみ(その他工芸品、1999年)
- 江戸切子(その他工芸品、2002年)
- 江戸節句人形(人形、2007年)
- 江戸木版画(その他工芸品、2007年)
[編集] 神奈川県
[編集] 新潟県
- 塩沢紬(織物、1975年)
- 本塩沢(織物、1976年)
- 小千谷縮(織物、1975年)
- 小千谷紬(織物、1975年)
- 十日町絣(織物、1982年)
- 十日町明石ちぢみ(織物、1982年)
- 羽越しな布(織物、2005年)※
- 村上木彫堆朱(漆器、1976年)
- 新潟漆器(漆器、2003年)
- 加茂桐箪笥(木工品、1976年)
- 燕鎚起銅器(金工品、1981年)
- 越後与板打刃物(金工品、1986年)
- 越後三条打刃物(金工品、2009年)
- 新潟・白根仏壇(仏壇・仏具、1980年)
- 長岡仏壇(仏壇・仏具、1980年)
- 三条仏壇(仏壇・仏具、1980年)
[編集] 山梨県
[編集] 長野県
- 信州紬(織物、1975年)
- 木曽漆器(漆器、1975年)
- 松本家具(木工品、1976年)
- 南木曽ろくろ細工(木工品、1980年)
- 信州打刃物(金工品、1982年)
- 飯山仏壇(仏壇・仏具、1975年)
- 内山紙(和紙、1976年)
[編集] 静岡県
[編集] 愛知県
- 有松・鳴海絞り(染色品、1975年)
- 名古屋友禅(染色品、1988年)
- 名古屋黒紋付染(染色品、1988年)
- 赤津焼(陶磁器、1977年)
- 瀬戸染付焼(陶磁器、1997年)
- 常滑焼(陶磁器、1976年)
- 名古屋桐箪笥(木工品、1981年)
- 名古屋仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 三河仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 豊橋筆(文具、1976年)
- 岡崎石工品(石工品・貴石細工、1979年)
- 尾張七宝(その他工芸品、1995年)
[編集] 岐阜県
[編集] 三重県
[編集] 富山県
[編集] 石川県
- 牛首紬(織物、1988年)
- 加賀友禅(染色品、1975年)
- 加賀繍(その他繊維製品、1991年)
- 九谷焼(陶磁器、1975年)
- 輪島塗(漆器、1975年)
- 山中漆器(漆器、1975年)
- 金沢漆器(漆器、1980年)
- 金沢仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 七尾仏壇(仏壇・仏具、1978年)
- 金沢箔(工芸用具・材料、1977年)
[編集] 福井県
[編集] 滋賀県
[編集] 京都府
- 西陣織(織物、1976年)
- 京鹿の子絞(染色品、1976年)
- 京友禅(染色品、1976年)
- 京小紋(染色品、1976年)
- 京黒紋付染(染色品、1979年)
- 京繍(その他繊維製品、1976年)
- 京くみひも(その他繊維製品、1976年)
- 京焼・清水焼(陶磁器、1977年)
- 京漆器(漆器、1976年)
- 京指物(木工品、1976年)
- 京仏壇(仏壇・仏具、1976年)
- 京仏具(仏壇・仏具、1976年)
- 京石工芸品(石工品・貴石細工、1982年)
- 京人形(人形、1986年)
- 京扇子(その他工芸品、1977年)
- 京うちわ(その他工芸品、1977年)
- 京表具(その他工芸品、1997年)
[編集] 大阪府
- 大阪欄間(木工品、1975年)
- 大阪唐木指物(木工品、1977年)
- 大阪泉州桐箪笥(木工品、1989年)
- 大阪金剛簾(竹工品、1996年)
- 堺打刃物(金工品、1982年)
- 大阪浪華錫器(金工品、1988年)
- 大阪仏壇(仏壇・仏具、1982年)
[編集] 兵庫県
- 丹波立杭焼(陶磁器、1978年)
- 出石焼(陶磁器、1980年)
- 豊岡杞柳細工(木工品、1992年)
- 播州三木打刃物(金工品、1996年)
- 播州そろばん(文具、1976年)
- 播州毛鉤(その他工芸品、1987年)
[編集] 奈良県
[編集] 和歌山県
[編集] 鳥取県
[編集] 島根県
[編集] 岡山県
[編集] 広島県
[編集] 山口県
[編集] 徳島県
[編集] 香川県
[編集] 愛媛県
[編集] 高知県
[編集] 福岡県
- 博多織(織物、1976年)
- 久留米絣(織物、1976年)
- 小石原焼(陶磁器、1975年)
- 上野焼(陶磁器、1988年)
- 八女福島仏壇(仏壇・仏具、1977年)
- 博多人形(人形、1976年)
- 八女提灯(その他工芸品、2001年)
[編集] 佐賀県
[編集] 長崎県
[編集] 熊本県
[編集] 大分県
- 別府竹細工(竹工品、1979年)
[編集] 宮崎県
[編集] 鹿児島県
[編集] 沖縄県
- 久米島紬(織物、1975年)
- 宮古上布(織物、1975年)
- 読谷山花織(織物、1976年)
- 読谷山ミンサー(織物、1976年)
- 琉球絣(織物、1983年)
- 首里織(織物、1983年)
- 与那国織(織物、1987年)
- 喜如嘉の芭蕉布(織物、1988年)
- 八重山ミンサー(織物、1989年)
- 八重山上布(織物、1989年)
- 琉球びんがた(染色品、1984年)
- 壺屋焼(陶磁器、1976年)
- 琉球漆器(漆器、1986年)
[編集] 脚注
- ^ 伝統的工芸品とは
- ^ 北海道には伝統工芸品はない!?(excite コネタ)
- ^ 平成19年度 全国伝統的工芸品公募展 審査結果
- ^ a b c 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)
- ^ 伝統的工芸品の現状
- ^ 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)