適性検査

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適性検査(てきせいけんさ)とは、職業学業などにおける特定の活動にどれほど適した素質をもっているかを判定するための検査。

概説[編集]

職業適性検査・進学適性検査・音楽適性検査等が上げられる。具体的には知能検査学力検査性格検査、運動能力検査等の要素を組み合わせることによって就学、就業など特定目的に対する適性能力を調べる検査である。

採用活動での適性検査の役割[編集]

  • 日本では、雇用人事異動において適性検査が行われることがある。採用活動の場合、多くの求職者のエントリーシート履歴書の内容を把握し、面接を行う事は困難であることがあり、その場合に第一次審査として適性検査が用いられる。日本の採用活動で広く使われているものとしてはリクルートSPI2 (SPI) や日本エス・エイチ・エルのGAB等がある。
  • 検査の内容は業種により様々である。一般的には言語(国語)・計数(数学)・一般常識(社会・理科・時事経済・英語)・性格のジャンルで出題される。
  • 企業が一般能力・常識試験や性格検査をする理由としては、面接のみでは性格を測ることが困難であること、学力低下を踏まえ一般常識や計数・言語能力を測るためということがある。
  • 遠隔地の求職者の便宜を図るためにインターネットを利用した適性検査が2002年頃から増加した。例としては日本エス・エイチ・エルやリクルート等が挙げられる。この形式の適性検査では、IDとパスワードを別の人物が使用するいわゆる「替え玉受験」が行われたことが判明した。そのため、リクルートの関連会社であるリクルートマネージメントソリューションズが日本の各地にテストセンターを開設し、受検者の身分証明書を確認する形式を採り入れた筆記試験・適性検査を実施することとなった。

採用活動での適性検査の種類[編集]

ペーパーテスト[編集]

Webテスト[編集]

国公立中高一貫校の入学者選抜における適性検査[編集]

文部科学省の指導により、公立中高一貫校の入学者選抜においては学力検査(試験)を実施してはならないと定められているため、公立中高一貫校の多くでは一般の入学試験に変わるものとして「適性検査」が実施されている。そのため、受験ではなく受検と表記される。

「中高一貫教育校が受験準備に偏した教育を行う、いわゆる『受験エリート校』になったり、受験競争の低年齢化が生じるようなことは、教育改革に逆行するものであり、あってはならないこと」という考え方に基づくためである。

実施形式としてはいわゆるペーパーテスト方式であり、学力検査(試験)という名目を回避しながらも事実上入学志望者の学力を比較するものとの見方もある[1]。近年の公立中高一貫校の人気の高まり(主に大都市圏)により、公立中高一貫校専門の受検対策講座を実施する学習塾も増加している[2]

合格した児童の保護者の証言によると、公立中高一貫校の適性検査は家庭の生活の仕方全てが問われるという。「子どもに問いかけて調べるきっかけをつくる」『家族全員で毎日「読書タイム」をつくってみる』「親子の交換日記や手紙を書く習慣をつける」といった事例が挙げられている[1]

国公立中高一貫校の適性検査での出題特徴[編集]

  • 特定の値を解とする計算問題は出題されない[1]
  • 最終的な解よりも、解にいたる思考のプロセスが問われる傾向が顕著である[1]
  • 正解が一つに限られない問題がしばしば出題される。
  • 身の回りの現象への視点を問う問題が出題される[1]
  • ある問題を考えるのに必要な知識・情報は原則としてグラフといった資料として提示される[1]
  • 直接的に知識の有無を問う問題(暗記問題)は出題されない。
  • 作文や面接では知識よりも、考え方や表現力を重視する[1]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 本間正吾「公立中高一貫校のある景色 - 秋田県の公立中高一貫校を訪ねて -」『ねざす』第38号、神奈川県高等学校教育会館、2006年11月。 
  2. ^ 公立中高一貫ネット-進研ゼミ小学講座

関連項目[編集]

外部リンク[編集]