粉砕機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
テーブルトップのハンマーミル

粉砕機(ふんさいき、Mill)は、固体の物質を小片に粉砕するための単位操作を行う機械である。多くの種類の粉砕機があり、粉砕されるものにもまた多くの種類がある。歴史的に、製粉機は、人力(乳鉢)、家畜、風(風車)、水(水車)等を動力としてきた。今日では、電気で動くものもある。

粉砕は、物体を内部の結合力に打ち勝つ大きさの力にさらすことで行われる。粉砕後は、物体の大きさや形は変わっている。

粉砕は、主に以下のような目的で行われる。

  • 物体の表面積を増やす。
  • 物体を目的の大きさに揃える
  • 物体のパルプ化

粉砕の法則[編集]

粉砕に関する多くの研究にも関わらず、粉砕の操作と粉砕の結果を結びつけるような公式はまだ得られていない。目的とする粒径に必要な粉砕操作の計算は、粒径によって次の3つの半経験モデルが使われる。

  • KICK for d > 50 mm
    W_K=c_K(\ln d_A - \ln d_E)\,
    c_K=1.151 c_B {d_{BU}}^{-0.5}\,
  • BOND for 50 mm > d > 0.05 mm
    W_B= c_B \left(\sqrt\frac{1}{d_E} - \sqrt\frac{1}{d_A}\right)\,
  • RITTINGER for d < 0.05 mm
    W_R=c_R \left(\frac{1}{d_E} - \frac{1}{d_A}\right)\,
    c_R=0.5 c_B {d_{BL}}^{0.5}\,

ここで、W は kJ/kg の単位で表した粉砕の仕事量、dA は粉砕前の物質の大きさ、dE は粉砕後の粒径である。

また、cKcBcR は粉砕係数であり、dBU = 50 mm、dBL = 0.05 mm(BONDの範囲の上限、下限)、BONDの粉砕係数cB は用いる材料によって異なる。

粉砕度[編集]

粉砕の結果を評価するためには、粉砕する前の物質の粒径(1)と粉砕した後の物質の粒径(2)の比である粉砕度で表される。値の定義の仕方にはいくつかの方法がある。

  • 粒径d80 を用いる方法。d80 の代わりにd50 や別の粒径が用いられることもある。
    Z_d=\frac{d_{80,1}}{d_{80,2}}\,
  • 比表面積を用いる方法。体積に関する比表面積Sv 、質量に関する比表面積Sm は実験で求められる。
    Z_S=\frac{S_{v,2}}{S_{v,1}}=\frac{S_{m,2}}{S_{m,1}}\,
  • 見かけの粉砕度。粉砕機の口径a を用いて表される。
    Z_a=\frac{d_1}{a}\,

粉砕機構[編集]

粉砕の過程において、粉砕機は摩擦や圧縮の力によって物質を粉砕し、粒径を揃える働きをする。粉砕には多量のエネルギーが必要なため、異なる機械による粉砕に必要なエネルギーを測定する方法が、近年提案されている[1]

ボールミル
細粒を得るための粉砕機の代表的なものはボールミルである。少し傾いて、または水平に回転するシリンダーの中に、通常は砂か金属でできたボールが詰まっており、ボールとの衝突や摩擦によって粉砕が行われる。シリンダーの一方から粉砕したい物体を入れ、もう一方から粉砕されたものが排出される。ボールミルは、ポルトランドセメントを製造するのに一般的に用いられている。これらの工業用途のボールミルは大型機械である。小さいボールミルは、研究室等でサンプルを細かくするのに用いられる。
ロッドミル
構造はボールミルとほぼ同じであるが、粉砕媒体としてボールではなくロッド(金属製の円柱)を使用する。回転するドラム(胴体)によって、粉砕物にロッドの衝撃が与えられることで粉砕されるもの。ボールミルに比べて過粉砕されにくく、比較的均一な粒度の製品が得られる。
SAGミルの動作原理
SAGミル
SAGミル(Semi-Autogenous Grinding mill、準自生粉砕)とは、粉砕に大きな石と鉄のボールの両方を用いるものを指す。SAGミルには、6-15%が帯電している最も小さなボールが用いられる。
ドラムの回転により、中の大きな石と鉄のボールが投げ上げられ、物体と衝突して粉砕される。摩擦によってさらに小さな粒径になる。SAGミルはその直径の大きさと筒の短さが特徴である。ミルの内側には、内部で物体を混ぜるための板が並んでいる。SAGミルは主に金、銅、白金工業で使われ、鉛、亜鉛、銀、アルミナ、ニッケル工業にも適用されている。
自生粉砕ミル
回転するドラムによって大きい石が投げ上げられ、石同士が衝突して粒子を圧縮する。上述のSAGミルと原理は似ているが、金属ボールは用いられない。"Run Of Mine"の略でROMミルとも言われる。
小石ミル
ドラムの回転により、小石と粒子の間に摩擦が起きる。鉄ボールによる鉄の混入が許されない場合に使われることがある。
高圧粉砕ロール
押しつけられた2枚のローラーの間に物体が挿入され、回転運動によって狭い隙間を進む。高い圧力によって物体は小さな粒子に粉砕される。
互いに平行のローラーの代わりに、逆向きに動くローラーが用いられることもある。また同じような原理のものに、2つかそれ以上の車輪を用いたエッジランナーがある。
縦軸インパクタ(VSI)ミル
物体と摩耗板の自由衝突を利用する。回転加速器により、粒子の速度が加速される。VSIクラッシャーと同じ原理である。

粉砕機の種類[編集]

メーカー[編集]

出典[編集]

  1. ^ Baron M., Chamayou A., Marchioro L, Raffi J., Adv. Powder Technol., 2005, 16, 3, 199-212.

関連項目[編集]

外部リンク[編集]