算法少女
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『算法少女』(さんぽうしょうじょ)は、安永4年(1775年)に出版された和算書。当時の和算書で唯一、著者が女性名義になっている珍しい本であり、現在では国立国会図書館などでわずかに見ることの出来る稀覯本である。
本書を題材に、児童文学作家の遠藤寛子が小説『算法少女』を著している。
[編集] 和算書『算法少女』とその時代
『算法少女』序文によると、娘が父親の協力の下にこの本を著わしたとあるが、本名はない。父親は壺中隠者、娘は単に平氏とあり、同時に章子の印章がある。当時は弟子の名前で師匠が自分の業績や研究を発表することが行われていたので、実際の著者は「壺中隠者」と見られる。しかしそれでも、この時代の和算書に女性が名前を連ねるのは他に例がなく、その意味でも日本の文化史上貴重な本といえる。あとがきは俳人の谷素外(号は一陽井)。和算が学問であると同時に趣味的な分野として受け止められていたことが窺える。
著者「壺中隠者」の正体については長く不詳のままだったが、数学史家・三上義夫の研究によって医師千葉桃三であることが明らかになった。
時代背景としては、その6年前の明和6年(1769年)、田沼意次が老中格に昇進し、田沼時代が本格化した。鎖国令が緩和され、諸外国の進んだ文物が日本に入ってきた。安永3年(1774年)、杉田玄白、前野良沢らによる『解体新書』が著された。経済力を持った町人庶民が文化を発展させる一方、地方では飢饉から一揆が引き起こされた。その結果、困窮民が都市部に流入し、貧富の差が増大した。
[編集] 関連書籍
- 壷中隠者・撰 『算法少女』 平章子・編、古典数学書院、1935年、謄写版。
- 藤田貞資 『算法少女之評』 古典数学書院、1938年、謄写版。
- 小寺裕 『和算書「算法少女」を読む』 筑摩書房〈ちくま学芸文庫 Math&Science〉、2009年11月10日。ISBN 978-4-480-09255-7。