第9回東京4歳ステークス

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第9回東京4歳ステークス(だい9かいとうきょう4さいステークス)は、1975年2月9日東京競馬場で行われた競馬競走である。カブラヤオーが優勝した。現在の共同通信杯に当たる。

レース施行時の状況[編集]

2戦目での初勝利以来いずれも2着に大きな差をつけて3連勝、ここで重賞に初出走となったカブラヤオーが、単勝オッズ1.9倍という圧倒的な人気を集める。同馬に対し、ここまでの成績を牡馬相手の重賞2勝を含む4戦4勝としていた前年の最優秀3歳牝馬テスコガビーがどういったレースを見せるかに関心が寄せられていた。また、前走京成杯でテスコガビーと接戦を演じたイシノマサルが同馬から僅差の3番人気であった。

カブラヤオー、テスコガビーは共に前走で菅原泰夫が騎乗しており、菅原は騎乗馬の選択を迫られていた。菅原は直前まで決めあぐねていたが、カブラヤオーが菅原も所属する茂木為二郎厩舎の所属馬であったことから、茂木より「カブラヤオーにはいつでも乗れる」という言葉を受け[1]、テスコガビーに騎乗。カブラヤオーには菅原の弟弟子・菅野澄男が騎乗した。

出走馬と枠順[編集]

天候:晴れ、芝:重馬場
枠番 馬番 競走馬名 斤量 騎手 単勝人気 調教師
1 1 イシノマサル 牡4 55 増沢末夫 3番人気 浅野武司
2 2 トウショウリドン 牡4 54 西野桂 6番人気 野平富久
3 3 テスコガビー 牝4 54 菅原泰夫 2番人気 仲住芳雄
4 4 カブラヤオー 牡4 55 菅野澄男 1番人気 茂木為二郎
5 5 キクノヤマト 牝4 52 横山富雄 7番人気 山岡寿恵次
6 6 ノワキタカ 牡4 56 坂本栄三郎 4番人気 久保田金造
7 7 テキサスシチー 牡4 54 加賀武見 5番人気 田中和夫

レース展開[編集]

ゲートが開くと、ここまで4戦を全て逃げ勝っていたテスコガビーが先頭に立つ。しかしその外からカブラヤオーが暴走気味に先頭を奪い、テスコガビーは2番手に控えた。このとき菅原が菅野に「ゆっくり行け」と声を掛けている[1]。しかしカブラヤオーは抑えが利かずそのまま後続を2馬身ほど離した状態で逃げ、テスコガビーが2番手、イシノマサルが3番手に続いた。そのまま道中で隊列は変わらず、最後の直線に入る。直線入り口までに1馬身ほどまで差を詰めていたテスコガビーが、外からカブラヤオーを捉えにかかる。ここで菅野がカブラヤオーに鞭を入れると、それを嫌い同馬は大きく外に斜行、テスコガビーと接触しかける。スタンドからどよめきが起こるほどの斜行により、やや体勢を崩したカブラヤオーにテスコガビーが並びかけ、さらに内側からテキサスシチーも脚を伸ばしていた。ゴール手前では3頭の激しい競り合いとなり、最後は立て直したカブラヤオーが粘りきって1着。クビ差の2着にテスコガビーが入り、追い込んだテキサスシチーはさらにハナ差の3着となった。

レース結果[編集]

着順 枠番 馬番 競走馬名 タイム・着差
1 4 4 カブラヤオー 1分52秒0
2 3 3 テスコガビー クビ
3 7 7 テキサスシチー ハナ
4 1 1 イシノマサル 2 1/2馬身
5 6 6 ノワキタカ 2 1/2馬身
6 2 2 トウショウリドン 1馬身
7 5 5 キクノヤマト 大差

出走馬のその後[編集]

優勝したカブラヤオーはこの競走の後に再び菅原泰夫とコンビを組み、皐月賞東京優駿(日本ダービー)の春クラシック二冠を制する。2着に敗れたテスコガビーも菅原騎乗で桜花賞優駿牝馬(オークス)に優勝して二冠牝馬となり、菅原はこの年の春クラシック競走を独占するという史上初の快挙を成し遂げた。カブラヤオー、テスコガビーはそれぞれのレースにおける圧倒的なパフォーマンスから1970年代屈指の名馬に数えられるようになり、この2頭が最初で最後の対戦となった本競走もまた、名勝負として語られることとなった。

脚注[編集]

  1. ^ a b 日本中央競馬会『優駿』2001年6月号 p.41