第80回アカデミー賞

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第80回アカデミー賞
開催日 2008年2月24日
会場 コダック・シアター
司会 ジョン・スチュワート
ハイライト
作品賞 ノーカントリー
最多部門受賞 ノーカントリー(4)
最多部門
ノミネート
ノーカントリーゼア・ウィル・ビー・ブラッド(8)
TV放映
放送局 ABC
開催時間 3時間21分
視聴率 約3200万人
18.7%(エーシーニールセン調査)
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第80回アカデミー賞(だい80かいアカデミーしょう)は、2008年2月24日に発表・授賞式が行われた。司会はコメディアンのジョン・スチュワート

作品賞を受賞したのは『ノーカントリー』。候補作は『つぐない』、『JUNO/ジュノ』、『フィクサー』、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。

概要[編集]

対象となるのは2007年中にロサンゼルスで封切られ、1週間以上商業公開が行われた映画。5829人の会員が投票権を持つ。

授賞式の開催場所は7回目となるコダック・シアター、中継は2014年までの契約が完了しているABCで33回目[1]

司会は前々回も努めたジョン・スチュワート。2006年8月に開催された第58回プライムタイム・エミー賞で司会を務めた矢先の起用である。プロデューサーは前々回以来14回目のギル・ゲイツ。演出は第69回から12年連続のルイス・J・ホーヴィッツ

2007年12月12日に、『北北西に進路を取れ』などで4度美術賞候補になったロバート・ボイルに対して、名誉賞が授与されることが発表。美術監督が名誉賞を受賞するのは史上初である。

今回、アカデミー賞は80周年を迎えることもあり、公式のポスターと80周年を記念したポスターの二通りが発表された。前者は「スター・ウォーズ」シリーズのポスターのイラストレーターで知られるドゥルー・ストゥルーザンと彼の息子のクリスチャンがデザインし、黒の背景に後ろからフラッシュを浴びる金色のオスカー像を中心にそえたデザインとなっている。後者はこれまで作品賞を受賞した作品のポスターが螺旋状に連なってオスカー像を形成しており、最後の80作目の位置は発表前の現在はクエッションマークとなっている。

現在、2007年11月からの全米脚本家組合のストライキにより、テレビ中継用の脚本が書けない状況であるため、授賞式の開催が危ぶまれる状況であるが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは予定通り開催することを明言している[2]

この年の候補作品にはR指定を受けた流血描写の多い暴力的な作品が多くノミネートされている。

主な日程[編集]

以下の時間は全てPST(太平洋標準時)である。

(参考:General Timetable

候補について[編集]

発表は2008年1月22日午前5時30分(PST)より、サミュエル・ゴールドウィン・シアターで発表された。会長のシド・ギャニスと共に発表を担当した俳優はキャシー・ベイツで、登場まで明かされなかった。

最多候補となったのは、作品賞候補にもなった『ノーカントリー』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の2作品で8部門となる。両者は2部門を除いて同じ賞を争うことになる。

演技部門では、助演男優賞候補のハル・ホルブルックが82歳と339日での候補となり、男優の史上最年長候補記録となった(これまでの男優の最年長候補記録はラルフ・リチャードソンの82歳と49日、女優も含めるとグロリア・スチュアートの87歳と221日)。授賞式時には83歳となり、もし受賞を果たせば受賞記録も更新する。同じく助演女優賞で候補となったルビー・ディーも83歳での候補であり、同様に受賞を果たせば記録更新となる。また、80歳以上の俳優が複数人候補になったのは、史上初の出来事。

ケイト・ブランシェットは、演技部門で2部門候補となった史上11人目の俳優となった。助演女優賞候補は前年の『あるスキャンダルの覚え書き』に続く2年連続。主演女優賞での候補作『エリザベス:ゴールデン・エイジ』で演じたエリザベス1世役は、9年前の前作『エリザベス』でも同役で候補となっている。同じ役でのアカデミー賞候補は、ビング・クロスビーピーター・オトゥールヘンリー2世の役を別々の映画で2度演じて候補になった)、アル・パチーノポール・ニューマンに次ぐ、5人目となった。女優では初となる。更に助演女優賞の『アイム・ノット・ゼア』で候補となったのは男性の役であり、女優が男性を演じて候補になったのは『危険な年』で受賞もしたリンダ・ハント以来2人目となる(身体的には男性である役を含めば、『トランスアメリカ』のフェリシティ・ハフマンなどもいる)。

コーエン兄弟は、『ノーカントリー』で作品賞・監督賞脚色賞候補となり、変名のロデリック・ジェインズ名義でも編集賞候補になったため、1作品から4部門で候補になったことになる。3部門で候補になることは珍しくはないが4部門(1つの部門で複数候補になったのは含まない)は稀であり、これはウォーレン・ベイティが『天国から来たチャンピオン』と『レッズ』で2度成し遂げて以来の快挙である。また、監督賞でコンビで候補になったのは、これまた『天国から来たチャンピオン』のウォーレン・ベイティバック・ヘンリー以来となる3組目であった。

撮影賞では、ロジャー・ディーキンスが『ノーカントリー』と『ジェシー・ジェームズの暗殺』の2作で候補になった。撮影賞での2作同時候補は1972年開催の第45回アカデミー賞ロバート・サーティースが成し遂げて以来35年ぶりとなった(ちなみにこの時サーティスは受賞しなかった)。歌曲賞では、前年の『ドリームガールズ』に続いて、『魔法にかけられて』が3つ候補を独占。どの曲とも作詞・作曲はアラン・メンケンスティーヴン・シュワルツのコンビであり、両者とも3候補を得ることになった。衣装デザイン賞候補のマリット・アレンは、前年の11月に亡くなっているため死後の候補となっている。録音賞で候補になったケヴィン・オコネル(『トランスフォーマー』)は実に20度目のノミネートであるが、未受賞である。

日本関係として、前年に引き続き辻一弘が『マッド・ファット・ワイフ』でメイクアップ賞候補になった。日本人の二年連続候補は史上初となる。また外国語映画賞で、浅野忠信が主演した『モンゴル』(カザフスタンからのエントリー)が候補になっている。

統計[編集]

候補数 作品名 部門 受賞数
作品別の候補と受賞(太字が受賞)
8 ノーカントリー 作品賞監督賞助演男優賞脚色賞、撮影賞、編集賞、録音賞、音響編集賞 4
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、音響編集賞 2
7 つぐない 作品賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、作曲賞 1
フィクサー 作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、作曲賞 1
5 レミーのおいしいレストラン 脚本賞、作曲賞、録音賞、音響編集賞、長編アニメ映画賞 1
4 潜水服は蝶の夢を見る 監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞
JUNO/ジュノ 作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞 1
3 ボーン・アルティメイタム 編集賞録音賞音響編集賞 3
魔法にかけられて 歌曲賞 (3)
エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜 主演女優賞、衣装デザイン賞、メイクアップ賞 2
スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 主演男優賞、美術賞、衣装デザイン賞 1
トランスフォーマー 録音賞、音響編集賞、視覚効果賞

候補と受賞の一覧[編集]

太字は受賞である。

また、以下での人名表記は

  1. 作品の日本語公式情報およびAMPAS公式サイトの日本版とWOWOWによる授賞式放送での表記に準ずる。
  2. 見当たらない場合はデータベースサイトなどを参考。
  3. それでもない場合は英語表記のままとする。

作品賞[編集]

監督賞[編集]

主演男優賞[編集]

主演女優賞[編集]

助演男優賞[編集]

助演女優賞[編集]

脚本賞[編集]

脚色賞[編集]

撮影賞[編集]

編集賞[編集]

美術賞[編集]

衣装デザイン賞[編集]

メイクアップ賞[編集]

作曲賞[編集]

歌曲賞[編集]

録音賞[編集]

音響編集賞[編集]

視覚効果賞[編集]

外国語映画賞[編集]

長編アニメ映画賞[編集]

長編ドキュメンタリー映画賞[編集]

短編ドキュメンタリー映画賞[編集]

短編アニメ映画賞[編集]

短編実写映画賞[編集]

プレゼンター[編集]

エピソード[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ACADEMY OF MOTION PICTURE ARTS AND SCIENCES (2007年12月21日). “Key Dates Announced for 80th Academy Awards®”. 2008年2月17日閲覧。
  2. ^ AFPBB News (2008年1月9日). “アカデミー賞主催者が授賞式決行を表明”. 2008年2月17日閲覧。
  3. ^ エレン・ペイジの名義でノミネート
  4. ^ MovieWolker (2008年2月23日). “パリスにアカデミー賞授賞式出入り禁止令”. 2008年2月26日閲覧。
  5. ^ The Mirror (2008年2月25日). “Lindsay Lohan throws strop after Oscars parties snub”. 2008年2月26日閲覧。