第四紀の大量絶滅

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第四紀の大量絶滅 は、新生代第四紀に起こった古生物の大量絶滅である。本項においては更新世後期の絶滅を中心に解説する。第四紀の中では完新世、すなわち1万年前から現在の期間においてもホモ・サピエンスの環境破壊による大量絶滅が進行中であり、地球上の生物の少なくとも50%以上が絶滅する見込みであるが、これについては本項での記述の対象としない。(生物多様性#生物多様性への脅威を参照)

概要[編集]

第四紀の大量絶滅は、更新世の後半、おおむね最終氷期とその終了後(約7万年前-1万年前)に起こった。主に絶滅の対象となったのは「メガファウナ」と呼ばれる巨大型の動物相である。これらは特にアメリカ大陸オセアニアに発達しており、大量絶滅もこの地域で最も激しかった。

最も壊滅的な打撃を受けたのは巨大化が進んでいたゾウ目である。デイノテリウム科・マストドン科・ステゴドン科・ゴンフォテリウム科のゾウ達は枕を並べて全滅し、最後に残ったゾウ科もマンモス属が滅び、アフリカゾウアジアゾウマルミミゾウのわずか3種のみが生き残った。しかしこれらも完新世大量絶滅を生き残れる可能性はほとんどない。

アメリカ大陸で繁栄した異節上目も、メガテリウム(巨大ナマケモノ)・グリプトドン(巨大アルマジロ)などの大型種が絶滅した。オセアニアで繁栄した有袋類も、ディプロトドン(巨大ウォンバット)・プロコプトドン(巨大カンガルー)などの大型種が絶滅した。また、南アメリカ大陸に生き残っていたマクラウケニアが絶滅したため、滑距目が消滅した。

ネコ目スミロドン(巨大トラ)・ダイアウルフ(巨大オオカミ)・ホラアナグマ(巨大クマ)・アメリカライオン(巨大ライオン)などの大型肉食獣が絶滅した。鯨偶蹄目オオツノシカ(巨大シカ)・スタッグムース・ステップバイソンウマ目エラスモテリウム(巨大サイ)など大型草食獣も数多く絶滅した。

その他にも、爬虫類メガラニア(巨大トカゲ)・メイオラニア(巨大カメ)、鳥類のテラトルニスコンドル(巨大ハゲタカ)などが絶滅した。

ヒト属についても、サピエンスが急速に全世界に拡散し、ホモ・エレクトスネアンデルタール人などの化石人類が駆逐され絶滅した。

原因[編集]

第四紀の大量絶滅が起こった原因については、全世界に広がったサピエンスの乱獲により滅ぼされたとする「過剰殺戮説」と、氷河期と間氷期を繰り返した更新世の急速な気候変動により滅びたとする「気候変動説」が対立しており、現在もにぎやかに議論が続いている。どちらの説も、絶滅の時期や動物相と一致しない部分があり、十分な説得力を持てていない。また、マンモスについては伝染病により絶滅したとの説もあり、狩猟・気候変動・伝染病などの複合的な要因により大量絶滅が起こったという玉虫色の説明を行う学者も多い。

疑似科学では、オーストリア人アレクサンダー・トールマンの「超古代彗星衝突説」がある。彼の主張によれば、9,500年前に地球に氷彗星が衝突した。この際の大津波により、聖書の記述どおりノアの洪水が起き、プラトンの記述どおりアトランティス大陸が沈み、その他世界各地の神話どおりの大災害を起こして回ったという。さらに舞い上がった塵により寒冷期が訪れ、マンモスなどの大量絶滅が起こったという。この説は、欧米の創造論者や超古代文明信奉者に一定の支持を得ている。

また、定向進化説論者は、しばしば「マンモスの長すぎる牙」や「オオツノシカの大きすぎる角」をあげつらい、これらの動物は大きすぎる牙や角のせいで滅びたと主張する。そして「進化の暴走とそのなれの果て」の好例として嘲笑の対象とする。(詳しくは定向進化説の項を参照)

関連項目[編集]