稟議書

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通商産業省で作成された稟議書(起案書)。最終的な決裁者である「大臣」に至るまで、多くの者が承認の印を押している。

稟議書(「ひんぎしょ」、なお「りんぎしょ」は慣用読みである→百姓読みを参照)とは、稟議のために作られる文書のことである。官庁では起案書ということが多く、企業では稟議書のほか、起案書、立案書などということもある。

概要[編集]

稟議書は、稟議を行うための文書である。稟議とは、会社・官庁などの組織において、会議を開く手数を省くため、担当者が簡易案件を作成して関係者に回し、それぞれに同意のための捺印と承認を求めることをいう。

組織の意思決定は、原則として会議によって行われる。例えば、会社の業務執行の決定などを行う取締役会は、原則として、役員の会議によらなければならず、持ち回り決議は例外的に許されるのみである。しかし、会議は時間も費用もかかるため、日常的な業務に関する意思決定や簡易な決裁は、決裁権者を定めて一任することも多い。ただ、最終的な決裁権者にすべての判断が求められると、個々の案件についての考慮・審査がおろそかになるおそれがある。また、決裁前に、決定内容に関係する者が承認していれば、決定後の業務執行も円滑に行われる。そこで、決裁権者が決裁する前に、多数の関係者を関与させ、より慎重に幅広く考慮・審査する仕組みが、稟議である。

また、組織において形成された意思の内容および意思の形成過程は、文書の形で記録に残すことが望ましい。これは、業務遂行上の便宜のみならず、後に第三者から見て監査・調査することを容易にするためでもある。会議によって組織の意思決定を行った場合には、会議の結果として決定された事項について、会議録または決定の要点を摘示した文書が作成され、記録に残される。これに対して、稟議によって意思決定する場合には、まず担当者が最終的に決定される意思内容を示した文書を作成し、この文書を関係者が回覧して、承認したことを示すサイン・を記した稟議書を作成する。最終的な決裁権者は、関係者が決定内容を承認していることを確認して決裁し、組織としての最終的な意思決定が行われる。

このように、稟議および稟議書は、比較的大規模な組織の意思決定に用いられる方法である。

書式[編集]

稟議書の書式は、組織により異なる。各組織の内部文書とされることが多いため、書式は各組織ごとに、独自に定められている。下記に一例を挙げる。

(題名)業務用自動車の購入について
(本文)標記の件、下記の通り自動車を購入したくお伺いいたします。

1.理由  配送用自動車が老朽化しており、買い替えの必要が生じたため。
2.価格  ***円

以下、購入先の業者名、予算は**円計上してあったが、実績(実際の額)は**円で差額が**円、といった内容を記載し、見積書を添付する。

また、上記のような物品購入の場合、ある一定の基準額があり、それを超える場合に稟議書を書く企業が多いようである。

また、人事異動・昇進、契約の締結など、組織の決裁を仰ぐあらゆる事柄に稟議書が使われる。

まず、稟議を起案する本人、そしてその上席の上司、最終的には決裁権を持つ者の印鑑(またはサイン)をもらうことによって決裁とするのである。決裁権者は概ね金額によって決まる。例えば**万円以上の契約の場合は社長の決裁が必要、といった具合に社内で基準をつくっている。

稟議書の保管・管理[編集]

稟議および稟議書は企業や組織の内部文書として、総務部等の部署が保管・管理する事が多い。

稟議書の監査[編集]

稟議書を外部の監査人が監査することもある。公認会計士による監査などである。

また、国税局印紙税調査でも稟議書を監査することがある。契約書は内容によっては印紙税を貼らなければならない。そこで印紙税が貼られているか監査するとともに、その契約を結んだときの稟議書をチェックするのである。

そのため、各企業とも稟議書は長期保存しなければならず、社内規定で保存期間を定めている。内容によっては永久保存する必要がある場合もある。

関連項目[編集]