秀吉 (NHK大河ドラマ)

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秀吉』(ひでよし)は、1996年1月7日から12月22日にかけて放送された第35作目のNHK大河ドラマ。原作:堺屋太一、脚本:竹山洋、主演:竹中直人。全49話。

秀吉
ジャンル ドラマ
放送時間 日曜20:00-20:45(45分)
放送期間 1996年1月7日-12月22日(全49回)
放送国 日本の旗 日本
制作局 日本放送協会
製作総指揮 西村与志木
演出 黛りんたろう 他
原作 堺屋太一
脚本 竹山洋
出演者 竹中直人
沢口靖子
高嶋政伸
市原悦子
村上弘明
赤井英和
松たか子
有森也実
細川直美
西村雅彦
大仁田厚
伊武雅刀
渡辺徹
中尾彬
玉置浩二
野際陽子
財津一郎
古谷一行
真田広之
仲代達矢
渡哲也 他
オープニング 小六禮次郎
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目次

[編集] 作品内容と反響

[編集] 概要

堺屋太一の小説『秀吉』(主人公:豊臣秀吉)、『豊臣秀長』(主人公:豊臣秀長)、『鬼と人と 信長と光秀』(主人公:明智光秀織田信長)の3作品を物語の基とし、脚本家の竹山洋自身が創作した逸話なども随所に取り入れてドラマ化した。

豊臣秀吉(羽柴秀吉)を主人公にした大河ドラマは、1965年の『太閤記』以来、31年ぶり2作目。『八代将軍吉宗』の総集編が終わった後の予告で「これがドラマだ!」と強調、蓋を開ければ竹中直人のエネルギッシュな前向きの演技や、厳格ながらも人間味溢れる信長像を演じた渡哲也[1]、おね役の沢口靖子、秀長役の高嶋政伸、なか役の市原悦子、足利義昭役の玉置浩二[2]千利休役の仲代達矢、光秀役の村上弘明などの脇役たちの存在感もそれぞれ光るものがあり、視聴率は当初の予想を大きく上回ることになる。平均視聴率30.5%、最高視聴率は37.4%と、歴代の大河ドラマの中でも上位に位置する高視聴率を記録した。この作品以降平均視聴率が30%を越えた作品は存在しない。

また、豊臣秀吉役の竹中直人が事あるごとに、右手で5文字を強調しながら言う決め台詞「心配御無用!」は、その年の流行語となった。第1話で、褌(ふんどし)の横から竹中の陰部が見え隠れしたことも、話題になった(大仁田厚演じる蜂須賀小六が竹中を担ぎ上げる場面。なおこの場面は総集編でもモザイクも入らずにしっかりと放送されている)。

当時高級食品だった豆腐を百姓が食べている[3]、当時日本にいなかったはずの[4]が出てくる、秀吉の母・なかが軍議の席に乱入するなど、時代考証を無視した描写が少なからず存在した。

本作では、秀吉の生涯を人間味を重視して描くとともに、秀吉の弟・秀長(小一郎)にも光が当てられている。秀長が最重要キャラクターとして本格的に登場する大河ドラマは『おんな太閤記』以来15年ぶりであり[5]、『太平記』で足利尊氏の弟・足利直義を演じた高嶋政伸が彼の実務面での奮迅振りを好演した。

浪人時代の明智光秀も初回から登場し、秀吉との出会いと、織田家に仕官した後の互いに認め合う良きライバルとしての関係が描かれている。秀吉・信長に次ぐ準主役的な扱いで、その家族・家臣もストーリーの中で大きく取り上げられている。光秀が信長に虐げられて本能寺に至るまでの過程が詳細に描かれており、村上弘明が悲劇的な光秀を好演した。

[編集] 「本能寺」

本能寺の変を題材とした第30回の放送では、裏番組のJNN系列でアトランタオリンピック女子マラソンが放送され、その視聴率戦争が話題になった[6]。この影響もあり、29話まで平均32%を超えていた視聴率は26%に下がってしまった(放送日程参照)。

本能寺での信長の最期は、自ら太刀を振るっての殺陣で明智軍を震え上がらせ、燃え盛る炎の中で白装束の信長が「人間五十年」で有名な幸若舞「敦盛」の一節を謡った後、「神か…、神が死ぬか!」と叫び頚動脈を自ら斬り、大量の血を吹き出させながら絶命する という、大河ドラマ史に残る壮絶なシーンとなった。この最期は信長を演じた渡哲也自身の発案であると、後に民放番組に出演したとき渡本人が明かしている。数ある本能寺の映像作品の中で、切腹以外の方法で死ぬ信長の描写は初めてであるという。その後、頚動脈を斬る信長は2006年の『功名が辻』でも描かれた。

本能寺に至る理由として、本作では信長による光秀への冷遇(敵地への領地替えや、光秀の母・美が八上城に人質に取られているにも関わらず、信長が八上城主・波多野秀治秀尚を殺害してしまう等)と共に、信長によって長男信康と正室築山を失った徳川家康、および信長に茶道を冷遇された千利休の二人が、光秀に謀反をけしかけるという陰謀説を採用している。なお、ストーリーブックに収録されていたあらすじでは、明智光秀が小栗栖で死なずに天海と名を変え徳川家康に仕えたことを示唆する展開がなされていたが、実際に放映された作品では史実どおりに光秀は小栗栖で死んでいる。なお、作中では石川五右衛門が光秀の首を坂本城に届け、届けられた光秀の首を抱えてひろ子が琵琶湖へ入水自殺するという顛末となっている。

また翌週の8月4日男子マラソンはNHKで放送されるため、休止の予告として放送の最後に、鎧姿の秀吉が「がんばれニッポン、心配御無用!ニカッ!」と語り掛ける特別なスポットが放映された。そのため第31話の予告はカットされた。

信長死後の平均視聴率は32%→28%と4ポイントも落ちてしまった。信長生前はアトランタオリンピック女子マラソンと克ち合った第30話を含めても、平均32.06%であった。また、30%を超えた回は信長生前は30話中26話、信長死後は19話中5話であった。

[編集] 描かれなかった秀吉の晩年

織田信長の死までは秀吉の光り輝くサクセスストーリーが展開されるが、天下人となった後は朝鮮出兵や千利休の切腹など、秀吉の陰の部分にも注目する展開になっている。しかし、話自体は秀吉が栄華を極めていた時期、史実からすると小一郎秀長や、母・なか(大政所)が亡くなった時点で終了し、甥・秀次一家の惨殺や朝鮮出兵の失敗などの晩年部分は描かれなかった。なお、竹中本人は2003年の再放送でのインタビューの際「天下を取った後の堕ちてゆく秀吉を演じたかった」と発言している。この理由は定かではない。なお、後者に関しては1965年の『太閤記』でも同じことが起こっている(信長役は高橋幸治)。ちなみに『太閤記』(全52回)での本能寺は第42回(1965年10月17日)、『秀吉』(全49回)での本能寺は第30回(1996年7月28日)である。

本編の最終回は、秀吉がおね[7]のご機嫌を伺う為に大坂城で催した架空の花見と、そこに顔を出した面々(秀吉に殺される秀次、豊臣家に殉じた三成淀殿、豊臣家から天下を奪う家康ら)を華やかに描きつつ、最後には一人となった秀吉が亡き母に辞世を伝え、城の中に現出した桜に向かい一人とぼとぼと歩いていく、という彼自身と一族の最期を暗示する様なラストシーンが描かれた。

ただし、総集編では描き方が変わり、秀吉が同じ道を「さよなら!あぁ~~~!(花吹雪で飛ばされる)来年の大河ドラマ・毛利元就もよろしく!心配御無用!」とアドリブを入れたバージョンで完結し、ラストの印象自体が本編と総集編とでは大幅に変わったものになっている。

[編集] あらすじ

尾張国中村の百姓の子として生まれた日吉(後の秀吉)は諸国流浪中の明智光秀に出会い、光秀に触発されて武士になる夢を抱く。

やがて織田信長の下に足軽として仕官した秀吉は、弟・秀長との絶妙なコンビネーションで一夜城の建設や竹中半兵衛の調略等に成功し、織田家中の中でめきめきと頭角を現す。

一方、一浪人にすぎない光秀の才能を嗅ぎ分けた信長は光秀を破格の厚遇をもって家臣として迎える。秀吉はそんな光秀にライバル心を燃やし、二人の出世競争が始まった。

[編集] スタッフ

[編集] キャスト

[編集] 豊臣家

[編集] 豊臣家臣

[編集] 織田家関係

[編集] 明智家関係

  • 明智光秀村上弘明
    秀吉や秀長と並ぶ本作第三の主人公
    明智家当主。家族思いの性格で、とりわけ母を大切にしていた。
    まだ、流浪していた頃、秀吉がドジョウすくいをしているのを見つけ、鉄砲の試射を見せる代わりにドジョウを分けてもらうといったごく友好的な出会いであった。
    やがて足利将軍義昭の使者として光秀は織田家に現れ、信長に共に仕えるようになる。百姓出で礼儀作法に疎いながらも人なつこい秀吉と、武士階級の出で教養は深いが生真面目に過ぎるが故に周りとすれ違いやすい光秀が互いの個性を発揮し、短所を補いながら立身出生の競争を行う。
    その後、人質となっていた母を信長が見殺ししたことなどが重なり、光秀は本能寺の変を引き起こした。その、知らせを聞き、中国大返しを秀吉はなしとげた。光秀は石川五右衛門に秀吉との同盟を託そうとするが、無理と聞かされ、長年の友情を築き上げてきた秀吉と決戦するため山崎の地に向かう。
  • ひろ子有森也実
    光秀の妻
  • 野際陽子
    光秀の母。信長の人質となっていたが、磔刑に処せられる。物語序盤で、周囲の武士が信長を鬼に例えたところ、「鬼には仕官できませぬな。いずれ、鬼は人に退治されるもの」と因縁めいたことを話した。
  • 明智秀満青島健介
    家臣
  • 斎藤利三上條恒彦
    家臣
  • 溝尾庄兵衛今福将雄
    家臣

[編集] 徳川家関係

[編集] その他の武将

[編集] その他

[編集] 架空 / 実在不明(主な配役のみ)

[編集] 放送日程

放送回 放送日 演出 視聴率
第1回 1月7日 太陽の子 佐藤幹夫 26.6%
第2回 1月14日 桶狭間の奇跡 29.2%
第3回 1月21日 運命の花嫁 黛りんたろう 33.5%
第4回 1月28日 黄金兄弟 33.2%
第5回 2月4日 男の値段 佐藤幹夫 34.6%
第6回 2月11日 一夜城 柴田岳志 35.0%
第7回 2月18日 妻の秘密 黛りんたろう 33.7%
第8回 2月25日 知らぬ顔の半兵衛 佐藤幹夫 33.2%
第9回 3月3日 猿のかく乱 柴田岳志 32.0%
第10回 3月10日 浮気いたし候 黛りんたろう 37.4%
第11回 3月17日 絶体絶命 佐藤幹夫 34.7%
第12回 3月24日 比叡山焼き打ち 柴田岳志 31.2%
第13回 3月31日 極秘情報 黛りんたろう 30.7%
第14回 4月7日 小谷落城 佐藤幹夫 28.4%
第15回 4月14日 どくろの盃 柴田岳志 32.7%
第16回 4月21日 隠し子発覚! 黛りんたろう 33.5%
第17回 4月28日 かあちゃんと母御前 佐藤幹夫 28.0%
第18回 5月5日 切腹命令 柴田岳志 29.4%
第19回 5月12日 父の家出 黛りんたろう 31.7%
第20回 5月19日 軍師の条件 真銅健嗣 32.4%
第21回 5月26日 命の重さ 柴田岳志 31.2%
第22回 6月2日 母御前、はりつけ 黛りんたろう 30.6%
第23回 6月9日 半兵衛の死 佐藤幹夫 36.6%
第24回 6月16日 左遷寸前 柴田岳志 32.8%
第25回 6月23日 温泉に行きたく候 大友啓史 33.9%
第26回 6月30日 史上最大のお歳暮 真銅健嗣 33.2%
第27回 7月7日 三成登場 佐藤幹夫 31.3%
第28回 7月14日 高松城水攻め 柴田岳志 33.5%
第29回 7月21日 敵は本能寺 黛りんたろう 31.3%
第30回 7月28日 信長、死す 佐藤幹夫 26.4%
第31回 8月11日 天下への道 柴田岳志 26.8%
第32回 8月18日 夢を継ぐ者 鹿島由晴 29.7%
第33回 8月25日 光秀の首 黛りんたろう 29.9%
第34回 9月1日 女の天下獲り 佐藤幹夫 31.8%
第35回 9月8日 美しき刺客 柴田岳志 33.1%
第36回 9月15日 家康VS秀吉 加藤拓 29.5%
第37回 9月22日 天子様の御落胤!? 黛りんたろう 31.8%
第38回 9月29日 黄金の茶室 加藤拓 23.9%
第39回 10月6日 かあちゃん、人質 佐藤幹夫 22.2%
第40回 10月13日 誘惑 中島由貴 27.9%
第41回 10月27日 決別の朝顔 黛りんたろう 29.1%
第42回 11月3日 淀の子、誕生 柴田岳志 25.0%
第43回 11月10日 花戦さでござる 大友啓史 27.2%
第44回 11月17日 秀長、逝く 佐藤幹夫 29.1%
第45回 11月24日 利休切腹 黛りんたろう 30.0%
第46回 12月1日 母の悲しみ 佐藤幹夫 30.5%
第47回 12月8日 かあちゃんの死! 柴田岳志 25.9%
第48回 12月15日 五右衛門、釜ゆで[11] 佐藤幹夫 27.3%
最終回 12月22日 夢のまた夢 黛りんたろう 27.1%
平均視聴率30.5% (視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)

※8月4日はアトランタオリンピック女子マラソン放映のため休止 ※10月20日は衆議院総選挙開票速報のため休止

[編集] 総集編

  1. 太陽の子
  2. 天下布武
  3. 本能寺の変
  4. 夢のまた夢

※総集編はNHKアーカイブスで視聴可能。

[編集] 映像ソフト化と再放送

本作も通常放送回・総集編のマスターテープは全て保存されているが、総集編が2003年の正月に総合テレビで一括放送されたのを除き、通常放送回はスカパー!の有料専門チャンネルでも一度も再放送されたことが無く、NHKアーカイブスでの視聴も不可能である。これらの理由をNHKは公表していない。映像ソフト化も長年完全版・総集編共に行われてこなかったが、2012年1月25日に完全版と総集編のDVDが発売されることになった。併せて、レンタル盤もリリースされる。また、チャンネル銀河にて2012年2月より放送予定である。

[編集] 脚注

  1. ^ 渡は『勝海舟』を病気で途中降板して以来久々の大河ドラマ出演となった。番組終了後、大阪新歌舞伎座での自身の初舞台公演でも信長役を2回演じ、その後2002年には宝酒造の日本酒「松竹梅」のCMでも、織田信長のような役を演じている。久々の大河出演にあたって、所属する石原プロモーション専務の小林正彦は「渡哲也の完全復活のチャンス」と位置づけ、積極的なプロモーションを展開。
  2. ^ 足利義昭を演じた玉置浩二は、所属するロックバンド「安全地帯」の活動休止後、しばらくは目立った活動がなかったが、この作品における、玉置の怪演とも評される名演技で、この影響から同年から翌年にかけて、民放のドラマシリーズで三作の主演を果たすことになった。なお玉置の芝居は義昭初登場時は物腰の柔らかい落ち着いた口調で演じていたが、徐々に声が甲高くなりハイテンションな演技へと変化していった。この事について玉置は「渡哲也さんとか多くの人々が僕にひれ伏すのを見てたらつい甲高くなっちゃった」と語っている。
  3. ^ 小一郎が道普請をして稼いだ金を全て使ったという台詞があり、高級食品であるという描写はされている。
  4. ^ OPで秀吉に寄り添う犬がパグとなっている。このことに関してNHK宛てに投書があり、第26話のオープニングで「パグは中国原産であり、ヨーロッパをはじめ世界中に渡った事から、当時日本にこの犬が居た事は誰も否定出来ない」と説明している。
  5. ^ 兄・秀吉が登場する映像作品の多さとは全く対照的に、秀長が登場する映像作品は他局のテレビドラマ作品や映画まで見渡してもごく僅かであり、彼が主要キャラクターとして位置づけられている作品は大河ドラマ史上『おんな太閤記』と本作しか存在しない。
  6. ^ 本能寺の変の放送日、ANN系列ではプロ野球「阪神 - 巨人」が放送され、NHKで秀吉が始まる8時の直前に、実況担当のABCアナウンサー・武周雄が「間もなく8時、我々の敵はアトランタ本能寺にあり!」と言った。その後、8時を回った直後に「ここから見て頂いている方は本当のプロ野球ファン!」とコメントしている
  7. ^ このドラマで初めて秀吉の妻の名前が「ねね」ではなく「おね」として呼ばれた。この呼び名は6年後の『利家とまつ』でも引き続いて使用された。
  8. ^ 基本的に語り役は宮本隆治(NHKアナウンサー・当時)だが、所々になかを演じる市原悦子のナレーションも入り、なかの死後はおね役の沢口靖子も語りを行った。このように語り役が三人もいるという珍しいドラマでもある。ただし宮本は状況説明、市原・沢口は心情説明と役割分担がなされている。
  9. ^ 秀吉の母、なかは最初から最後まで尾張弁で演じ通した。
  10. ^ 石田三成の少年時代を演じた小栗は2009年の『天地人』で再度、成人後の石田三成を演じることになる。その際、少年時代の三杯の茶のエピソードに触れた際、本作での映像をモノクロ化して流用している。
  11. ^ 大泥棒石川五右衛門は秀吉の幼馴染のがんまくの後の姿という設定で、終盤での釜茹で処刑のエピソードに一週丸々費やした。この回は全シーンが処刑場のセット内で撮影されている。


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