福袋

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福袋(ふくぶくろ)は、広義には、福(幸福幸運)が入っているのことを指す、古来の日本語。また、今様の狭義では、近現代日本における習慣の一つを指す。

尾形光琳 『大黒図』
福袋と米俵を背負い、右手に打出小槌、左手に竹の杖を持った大黒天。紙本墨画1705年宝永2年)頃の作。上野理一旧蔵、MIHO MUSEUM所蔵。[1]

古来の福袋[編集]

古来、日本で言う福袋は、福(幸福、幸運)が入っている袋のことで、代表的なものは、福の神である大黒天打出小槌(うちでのこづち)とともに携えている大きな布袋である(■右上の画像を参照のこと)。また、隠れ里に暮らすたちが隠し持っていたりする宝物入りの布袋なども福袋と呼ばれることが多い。

後述の「番組タイトルとしての福袋」および「ファン・サービスとしての福袋」も参照のこと。

商習慣としての福袋[編集]

駅前にて売り出される、福袋
手さげ袋(cf. 袋#紙袋)に複数の異なる品が同封され、通常より低価格で販売される。島根県出雲市出雲市駅前のツインリーブスホテル出雲にて、2006年1月2日撮影。

今様の狭義で言う福袋は、近現代の日本における習慣の一つ。年始(正月)用の割安な商品として企画販売される、袋詰め商品であり、複数の異なる品が同封されているものである。

何が入っているか伏せられていることをコンセプトに、幸福幸運を引き当てることができる可能性、すなわち、ささやかな射幸性を謳うことを特徴とする(ただし、近年[平成以降]は内容を明かした上での販売が例外的でなくなってきている)。

現代では、年始(実際は初売り前後から)に、百貨店を中心としたさまざまな業態の店で販売される。なかには、旅行マンションリフォーム権、自動車学校自動車教習所の受講権、見合い、等々、袋に納まらない・納めるような種類でない商品が、「初売り」などでなく「福袋」の名で取引される[2]場合も散見される。 また、近年では、アメリカ合衆国台湾香港でも一部の企業・店舗にて販売されている(詳しくは後述)。

歴史[編集]

発祥[編集]

大丸呉服店(百貨店大丸の前身)が、元号は不明であるが、江戸時代に端切れ(裁断した後の残り布)などを袋詰めにして初売りで販売した記録がある[3]1907年明治40年)には、鶴屋呉服店(松屋の前身)が福袋の販売を始めている(中身と価格は不明)[3]1911年(明治44年)には、いとう呉服店(松坂屋の前身)が「多可良函(たからばこ)」の名で福袋の販売を始め、当時の値段は50であった[3][4]

日本国外への広がり[編集]

アップル社の日本における直営店である Apple Store 銀座店が、2004年の正月に福袋を販売したところ、好評であったため、本国のアメリカ合衆国でも、旗艦店舗を新規にオープンする際には、福袋を "lucky bag (ラッキーバッグ)" という名前で販売するようになった[5][6]。 そのほか、"mystery bag (ミステリーバッグ)" とも呼ばれる。 また、ハワイホノルルにあるショッピングモールであるアラモアナセンターでは、2005年から正月に福袋を販売している[7]

近年、日本の諸都市にある中華街[8]や、台湾および香港の日本資本および地元資本の百貨店(例えば台湾では、新光三越遠東百貨zh]等の各店で毎年、数百・数千個を販売[9])などでも、春節の際に福袋が販売され、日本と同じ名で呼ばれている。また、春節の休暇を利用して来日する中華圏中華人民共和国を含む)の観光客を対象にして、日本の店舗が福袋を販売するようになってきている[10]。この場合、中国系の客の志向を反映して中身を確かめられる福袋が用意されるのが通常である。

年表[編集]

年表化することのむずかしい内容が多いため、ここに示す歴史的経緯は断片的なものである。

特徴[編集]

現代の福袋[編集]

現代の一般的な福袋
東京都渋谷区竹下通りで若者向けに売り出される低価格の福袋

福袋は内容非公開の商品であり、現代においても基本的にその販売条件に変わりはない。組み合わせた商品の合計価格以下で販売されるため、購入者がどれだけ有用で豪華な内容であるかに期待できるギャンブル的な要素を含む商品である。しかし、福袋は客寄せの目玉商品であると同時に、その多くは店側の在庫処分的性格も有しており、価格以上の商品が入っていたとしても、売れ残りや不人気商品で埋められていたりする場合があり、そういった福袋は、インターネット上で「袋(くそぶくろ)」「袋(うつぶくろ)」などとも喩され、店側も自虐的に「不幸袋」や「不吉袋」などと称するケースも増えている[11]

福袋の多くが非公開ではあるが、中身に宝飾品宝石など)・電気製品などが含まれる高額なものや衣料品の場合、購入前に中身の確認が許される、袋の素材が透明で中身が見える、あらかじめ内容が公表されている、指定された商品群からの選択性になっている、などといった方法が執られることがある。特に、貴金属のような高価な品物は、客寄せのためにショーケースに展示して販売される。

手さげ袋に納まらない大きさの商品(小さくない家電品など)や、自転車自動車住宅旅行などといったそもそも袋に納める種類のものでない物件やサービスが、福袋の名で販売される場合[2]には、手さげ袋に目録を入れるという形式が執られる(これらは実質、「福袋」と言うより「初売り商品」ではある)。

福袋が日本で最も早く販売されるのは千葉県浦安市にあるイクスピアリであり[要出典]1月1日元日)の午前0時から販売される。ただし、インターネット上の通信販売サイト等では、1月1日に購入者に商品を配達するため、その数日前に販売を開始する例もある。

なお、近年は一部の家電量販店において、「お年玉袋」等の名称で、実質的に福袋と同内容の商品を大晦日から販売を開始する例も見られる。

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)では、一般懸賞における景品類の最高額および総額について、最高額は販売価格が5,000円未満の場合20倍まで、5,000円以上の場合10万円まで、総額は売上予定総額の2%までと定められている[12]。しかし、景品を付ける形ではなく、組み合わせた商品の合計価格以下で販売する形(値引)であれば、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」であるので景品表示法における景品類には該当せず[13]、最高額および総額の規定は適用されない(ただし、値引の内容や程度によっては不当廉売に該当する可能性がでてくる)。

その他の福袋[編集]

番組タイトルとしての福袋[編集]

「新春 福袋スペシャル」などといったように放送番組のタイトル等に「福袋」というフレーズが使われることは、日本では珍しくない。これらが「日本古来の福袋」と「商習慣として福袋」のいずれに通じる意味合いで使われているかは判断しがたいが、例えば、テレビアニメサザエさん 〜新春福袋スペシャル〜』であれば、商習慣としての福袋の意味合いは見られず、バラエティ番組志村けんのバカ殿様 〜新春! お笑い福袋大放出スペシャル〜』であれば、商習慣としての福袋の意味合いが多分に含まれていることが分かる。

ファン・サービスとしての福袋[編集]

日本において、芸能人スポーツ選手放送番組やその他の企画ものなど、ファンに支えられて仕事が成り立つ職種の人々や企画ものが、イベントの出し物として、あるいは、ファンに対する感謝を表す物として、「福袋」と銘打った贈り物を用意することがある。この場合の「福袋」は、商習慣として福袋であることは稀で、日本古来の福袋、すなわち「(ファンにとっての)福が入っている袋」という意味合いを持ったものが多い。ただ、神ならぬ身で選んだ品が的を射ているとは限らず、福と感じるかどうかは受け取った側が決めることであるから、「日本古来の福袋」の意味合いで用意し、謙遜の心でもって「商習慣としての福袋」と同じ意味合いで贈る「ファン・サービスとしての福袋」も、あるかも知れない。

ゲームの中の福袋[編集]

ボードゲーム形式のコンピュータゲーム・シリーズでテレビゲーム・シリーズである桃太郎電鉄シリーズハドソン)には、使用アイテムの一つに「福袋カード」というものがある。プレイ内で福袋を開けると個別に使える「カード」を1〜8枚入手できるのであるが、どのような働きを持つ種類のカードが出るかはランダムで、有用なカードが入手できる場合もあれば、損害系カード(不利益なイベントを起こす類いのカード)が入っている場合や、また別の福袋カードが入っている場合もある。最後のケースは別として、だいたいにして良い物が手に入るが、ほしくもない物を手にしてしまうリスクもある「福袋カード」のこういった特徴は、商習慣として実際に売られている「福袋」の特徴をよく反映している。この例に限らず、コンピュータゲームやテレビゲームには、係る福袋の特徴をゲーム性に結び付けて作品に採り入れているものが非常に多く見られる。

その他の特記事項[編集]

福袋方式の自動販売機
東京都新宿区北新宿東中野新宿の境界あたりには、「夢のお宝1000円自動販売機」「一夢 1000円」と銘打った“福袋方式”の自動販売機が設置されているが、これは、千円札を投入してランダムで商品が出てくる自動販売機で、何が商品になっているかは買ってみるまでいっさい分からないというものである[14]2007年(平成19年)1月3日にバラエティ番組『モヤモヤさまぁ〜ず2』(cf.) で紹介されて話題になった1基であるが、似たような自動販売機は他所にも設置されているとのことである。

脚注・出典[編集]

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  1. ^ 大黒図(尾形光琳筆)”. (公式ウェブサイト). MIHO MUSEUM. 2012年1月25日閲覧。
  2. ^ a b 和田創[1] (2008年12月23日). “速報…来年の福袋の中身”. 和田創 講演講師の引き出し(通称・真逆講師)(個人ブログ). 個人(和田創). 2012年1月25日閲覧。
  3. ^ a b c 恩田ひさとし. “福袋の歴史”. 福袋に夢をかける「福袋研究会」(ウェブサイト). 福袋研究会. 2009年1月1日閲覧。前述のMSN産経ニュース記事に福袋の起源に関するコメントを寄せたフリーライター・恩田ひさとしによる調査の詳細。
  4. ^ えーっ!!「福袋」にマンション?”. MSN産経ニュース(ウェブサイト). 産業経済新聞社 (2008年12月13日). 2009年1月1日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ “Apple Fans, Do You Feel Lucky ?” (英語). (website) (WIRED). (2004年2月27日). http://www.wired.com/gadgets/mac/news/2004/02/62455 2009年1月1日閲覧。 
  6. ^ “Grand Opening Lucky Bags” (英語). ifo Apple Store.com. (2004年2月). http://www.ifoapplestore.com/stores/lucky_bags.html 2009年1月1日閲覧。 
  7. ^ “Japan's New Year tradition has a new home” (英語). (website) (Honolulu Star-Bulletin). (2004年12月30日). http://archives.starbulletin.com/2004/12/30/features/story2.html 2009年1月1日閲覧。 
  8. ^ “旧正月彩る伝統芸 神戸・南京町で春節祭開幕”. 神戸新聞ニュース(ウェブサイト) (神戸新聞社). (2012年1月23日). http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004763060.shtml 2012年1月25日閲覧。 
  9. ^ 2011年福袋購買情報!(IN 台灣)” (zho). 官不官情報網站(ウェブサイト) (2011年1月). 2012年1月25日閲覧。
  10. ^ “春節商戦、出足は順調 秋葉原・新宿に中国人”. 日本経済新聞 電子版 (日本経済新聞社). (2012年1月24日). http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C889DE1EAE0E6E3E2E0E2E0E1E2E3E0E2E3E08698E0E2E2E2 2012年1月25日閲覧。 
  11. ^ お買い得価格情報 2007年12月27日号”. (ウェブサイト). AKIBA PC Hotline (2007年12月27日). 2009年12月23日閲覧。※パーツショップのクレバリーが「あけおめ不幸袋」を販売。
  12. ^ 景品規制の概要 - 景品表示法”. (公式ウェブサイト). 消費者庁. 2009年12月23日閲覧。
  13. ^ 不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件 (PDF)”. (公式ウェブサイト). 消費者庁. 2010年1月1日閲覧。
  14. ^ “1回千円の「お宝自販機」をひたすらやり続けた結果”. BIGLOBEニュース(ウェブサイト) (BIGLOBE). (20??-06-28). http://news.biglobe.ne.jp/trend/0628/gad_110628_6063840591.html 2012年1月25日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]