神宮輝夫

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神宮 輝夫じんぐう てるお
人物情報
生誕 (1932-02-26) 1932年2月26日
日本の旗 日本 群馬県高崎市
死没 (2021-08-04) 2021年8月4日(89歳没)
日本の旗 日本 東京都世田谷区
出身校 早稲田大学第一文学部
早稲田大学大学院文学研究科
学問
研究分野 児童文学
研究機関 青山学院大学
白百合女子大学
学位 文学修士
主要な作品 『世界児童文学案内』(1964年
『アーサーランサム全集』(1968年
学会 日本児童文学学会
主な受賞歴 日本児童文学者協会賞1964年
サンケイ児童出版文化賞1966年
児童福祉文化賞(1968年
国際グリム賞2009年
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神宮 輝夫(じんぐう てるお、1932年2月26日 - 2021年8月4日)は、日本児童文学者翻訳家研究家青山学院大学名誉教授。

来歴[編集]

群馬県高崎市生まれ[1]。旧制・群馬県立高崎中学校、旧制・第一早稲田高等学院を経て、早稲田大学第一文学部英文科卒業、早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。在学中から早大童話会に参加し、鳥越信古田足日山中恒らと活躍。「小さい仲間」の同人となる。

英国児童文学の翻訳を精力的に続け、アーサー・ランサム全集のほか、リチャード・アダムズウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』、モーリス・センダックかいじゅうたちのいるところ』、ジョン・ロウ・タウンゼンド『アーノルドのはげしい夏』、ウィリアム・メインロイド・アリグザンダーアラン・ガーナーなど、戦後の代表的な作品の多くを手がけた。また、自身による創作・評論なども多数ある。

1964年、『世界児童文学案内』で日本児童文学者協会賞、1966年、サンケイ児童出版文化賞。1968年、『アーサー・ランサム全集』で児童福祉文化賞、2009年、国際グリム賞受賞。青山学院大学教授、白百合女子大学教授、野間児童文芸賞巖谷小波文芸賞選考委員などを務めた。

2021年8月4日、間質性肺炎のため東京都世田谷区の病院で死去[2][3]。89歳没。

作品[編集]

著書[編集]

  • 『世界児童文学案内』(理論社) 1963
  • キャプテン・クック』(三十書房) 1964
  • 『海からきた力もち』(ポプラ社) 1969
  • 『天をもちあげたヨンジー』(ポプラ社) 1969
  • 『のらねこたいしょうブー』(偕成社) 1969
  • 『童話への招待』(日本放送出版協会) 1970
  • 『たけのこくん』(大日本図書) 1974
  • 『児童文学の中の子ども』(日本放送出版協会、NHKブックス)1974
  • 『現代日本の児童文学』(評論社) 1974
  • 『タマタン』(偕成社) 1976
  • 『てのひらのはかせさん』(講談社) 1977
  • 『ブタがビラをくばるとき』(小学館) 1980
  • 『現代イギリスの児童文学』(理論社) 1986
  • 『現代児童文学作家対談』全10巻(偕成社) 1988 - 1992
  • 『児童文学の主役たち』(日本放送出版協会、NHK市民大学)1989

共著[編集]

  • 『英米児童文学史』(瀬田貞二猪熊葉子共著、研究社出版) 1971
  • 『世界の童話作家』(日本児童文学学会編、ほるぷ出版)1972
  • 『講座日本児童文学 第3巻日本児童文学の特色』(猪熊葉子等編、明治書院)1974
  • 『講座日本児童文学 第5巻現代日本児童文学史』(猪熊葉子等編、明治書院)1974
  • 『イギリス児童文学の作家たち ファンタジーとリアリズム』(猪熊葉子共著、研究社出版) 1975
  • 『比較文学シリーズ 欧米作家と日本近代文学 ロシア・北欧・南欧篇』(福田光治、剣持武彦、小玉晃一 編、教育出版センター)1976
  • 『現代児童文学作家対談 全10巻』(偕成社)1988-
  • 『児童文学の異界・魔界』(白百合怪異研究会 編、てらいんく)2006
  • 『現代児童文学論集 多様化の時代に 1970-1979』(日本児童文学者協会 編、日本図書センター)2007
  • 『近代童話作家資料選集 第七巻 赤い鳥、その他 赤い鳥研究・子どもと文学』(宮川健郎 編・解説、クレス出版)2015

編著[編集]

  • 『名作にまなぶ私たちの生き方 全10巻』(小峰書店)1965-1966
  • 『子供に読ませたい本』(矢崎源九郎、社会思想社)1966
  • 『子どもの世界文学 全巻』(講談社)1971-
  • 『世界児童文学百科 現代編』(原書房)2005
  • 『佐藤さとるファンタジー全集 全16巻』(復刊ドットコム)2010-2011
  • 『子どもの世紀 表現された子どもと家族像』(神宮輝夫、高田賢一北本正章 編著、ミネルヴァ書房)2013

監修[編集]

  • 『ほんとうはこんな本が読みたかった! 児童文学の「現在」セレクト57』(原書房)2000
  • 『だから読まずにいられない 5つのキーワードで読む児童文学の「現在」新セレクト53』(原書房)2000
  • 『暗くなるまで夢中で読んで 日本の子どもの本の現在セレクト62』(神宮輝夫、野上暁 監修、原書房)2002
  • 『歴史との対話 十人の声』(神宮輝夫、早川敦子 監修、近代文芸社)2002

翻訳[編集]

  • 『白い世界の魔術』(J・M・スコット、平凡社) 1957
  • 『インディアンの少年』(メアリー・バフ、麦書房) 1958
  • 『カモノハシ・ピーター』(アイネズ・ホーガン、麦書房) 1958
  • 海底二万マイル』(ジュール・ベルヌ岩崎書店、ベルヌ冒険名作選集) 1959
  • 『黒馬の怪盗』(ミーダー、講談社) 1960
  • 『名探偵ホームズの危機』(ドイル、岩崎書店、ドイル冒険・探偵名作全集) 1960
  • 宇宙戦争』(H・G・ウェルズ、岩崎書店) 1961
  • 『西部冒険旅行』(マーク・トウェーン、岩崎書店、マーク・トウェーン名作全集) 1962
  • 『うみべのまちタッソー』(ウイリアム・パパズ、らくだ出版) 1962
  • コンチキ号漂流記』(トール・ハイエルダール、偕成社) 1963
  • 『中央アジア探検記』(スウェン・ヘディン、偕成社) 1964
  • 『ほらふきマックス』(エーロン・ジューダ、学習研究社) 1965
  • 『デビッドの秘密の旅』(ハリー・クルマン、あかね書房) 1965
  • ちびくろサンボのぼうけん』(ヘレン・バンナーマン、偕成社) 1965
  • 『とこ屋のチャーリー』(エーロン・ジューダ、学習研究社、新しい世界の童話シリーズ) 1966
  • 『ダニーのすてきなおじさん』(レオナード・H・エバーズ、偕成社) 1966
  • 『十一わの白いハト』(ジェイムズ・リーブズ、学習研究社) 1966
  • 『魔法のうわぎ』(ウォルター・デ・ラ・メア、大日本図書) 1968
  • 『魔神と木の兵隊』(P・クラーク、あかね書房) 1968
  • 『チムひとりぼっち』(エドワード・アーディゾーニ、偕成社) 1968
  • 『チムのいぬトーザー』(アーディゾーニ、偕成社) 1968
  • 『かいていりょこう』(フレッド・フレーガー、日本パブリッシング) 1969
  • 『ロバートのはなとばらのはな』(ジョーン・ハイルブロナー、日本パブリッシング) 1969
  • 『女王陛下の山賊団』(ランドルフ・ストウ、偕成社) 1970
  • 『アルフレッド王の戦い』(C・ウォルター・ホッジズ岩波書店) 1971
  • 『鉄の巨人と宇宙こうもり』(テッド・ヒューズ講談社) 1971
  • ふくろう模様の皿』(アラン・ガーナー、評論社) 1972
  • 『三月のかぜ』(イネス・ライス、講談社) 1972
  • 『まいごのミニー』(アネット・マッカーサー=オンスロー、小学館) 1975
  • 『森の子ユーフー』(マッカーサー=オンスロー、小学館) 1975
  • ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち 』上・下(リチャード・アダムス、評論社) 1975、のち文庫
  • 『ぼく、ひとりでいけるよ』(リリアン=ムーア、偕成社) 1976
  • 『太陽へとぶ矢 インディアンにつたわるおはなし』(ジェラルド・マクダーモット、ほるぷ出版) 1976
  • 『にじにのるおとこ』(ジェイン・ヨーレン、ほるぷ出版) 1976
  • 『小さな犬の小さな青い服』(ウィニフレッド・ラベル、光村図書) 1977、のち『光村ライブラリー第9巻』に収録
1977年から1991年の小学3年生国語教科書に掲載

アーサー・ランサム[編集]

  • ツバメ号とアマゾン号』(アーサー・ランサム岩田欣三共訳、岩波少年文庫) 1958、のちアーサー・ランサム全集1 1967、のち岩波書店 世界児童文学集29 1993、のち岩波少年文庫 2010
  • 『ツバメ号の伝書バト』(ランサム、岩波書店、岩波少年少女文学全集16) 1961、のちアーサー・ランサム全集6 1967、のち岩波少年文庫 2012
  • 『シロクマ号となぞの鳥』(ランサム 、岩波書店) 1963、のちアーサー・ランサム全集12 1968
  • 『ツバメの谷』(岩波書店、アーサー・ランサム全集2) 1967、のち岩波少年文庫 2011
  • 『長い冬休み』(岩波書店、アーサー・ランサム全集4) 1967、のち岩波少年文庫 2011
  • 『海へ出るつもりじゃなかった』(岩波書店、アーサー・ランサム全集7) 1967、のち岩波少年文庫 2012
  • 『ひみつの海』(岩波書店、アーサー・ランサム全集8) 1967
  • 『女海賊の島』(岩波書店、アーサー・ランサム全集10) 1968
  • 『スカラブ号の夏休み』(岩波書店、アーサー・ランサム全集11) 1968
  • 『空とぶ船と世界一のばか ロシアのむかしばなし』(ランサム、岩波書店) 1970
  • 『アーサー・ランサム自伝』(アーサー・ランサム、白水社) 1984
  • 『アーサー・ランサムの生涯』(ヒュー・ブローガン、筑摩書房)1994
  • 『ロンドンのボヘミアン』(アーサー・ランサム、白水社) 2000
  • 『ヤマネコ号の冒険』(アーサー・ランサム、岩波少年文庫) 2012
  • 『オオバンクラブ物語』(アーサー・ランサム、岩波少年文庫) 2011

エリック・リンクレーター[編集]

  • 『月にふく風』(リンクレイター、講談社) 1965
  • 『緑の海の海賊たち』(エリック・リンクレーター、新日本出版社) 1967
  • 『変身動物園 カンガルーになった少女』(エリック・リンクレイター、晶文社) 1992

アリソン・アトリー[編集]

  • 『サム・ピッグおおそうどう』(アリソン・アトリー童心社) 1967
  • 『サム・ピッグだいかつやく』(アトリー、童心社) 1967
  • 『小さな赤いめんどり』(アトリー、大日本図書) 1969
  • 『グレー・ラビットとヘアとスキレルスケートにいく』(アリスン・アトリー、童話館出版、グレー・ラビットのおはなし1) 2003
  • 『ねずみのラットのやっかいなしっぽ』(アリスン・アトリー、童話館出版、グレー・ラビットのおはなし2) 2003
  • 『ふくろう博士のあたらしい家』(アリスン・アトリー、童話館出版、グレー・ラビットのおはなし3) 2004

フィリップ・ターナー[編集]

  • 『シェパートン大佐の時計』(フィリップ・ターナー、岩波書店) 1968
  • 『ハイ・フォースの地主屋敷』(フィリップ・ターナー、岩波書店) 1969
  • 『シー・ペリル号の冒険』(フィリップ・ターナー、岩波書店) 1976

ロイド・アリグザンダー[編集]

ロジャー・デュボアザン[編集]

  • 『ベロニカ』(ロジャー・デュボアザン、日本パブリッシング、水曜文庫) 1970
  • 『かばのベロニカ』(ロジャー・デュボアザン、佑学社、かばのベロニカシリーズ1) 1978
  • 『みんなのベロニカ』(ロジャー・デュボアザン、佑学社、かばのベロニカシリーズ2) 1978
  • 『ひとりぼっちのベロニカ』(ロジャー・デュボアザン、佑学社、かばのベロニカシリーズ3) 1978
  • 『ベロニカはにんきもの』(ロジャー・デュボアザン、佑学社、かばのベロニカシリーズ4) 1979
  • 『ベロニカとバースデープレゼント』(ロジャー・デュボアザン、佑学社、かばのベロニカシリーズ5) 1979

ジョン・ロウ・タウンゼンド[編集]

  • アーノルドのはげしい夏』(ジョン・ロウ・タウンゼンド、岩波書店) 1972
  • 『海賊の島』(タウンゼンド、岩波書店) 1976
  • 『ぼくのあそびば』(タウンゼンド、岩波書店) 1979
  • 『未知の来訪者』(タウンゼンド、岩波書店) 1981
  • 『愛ときどき曇り』(タウンゼンド、晶文社) 1988
  • 『ひとりぼっち』(タウンゼンド、晶文社) 1988

モーリス・センダック[編集]

  • かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック冨山房) 1975
  • 『ケニーのまど』(センダック、冨山房) 1975
  • 『ヘクター・プロテクターとうみのうえをふねでいったら』(センダック、冨山房) 1978
  • 『アメリカワニです、こんにちは』(センダック、冨山房) 1981
  • 『ジョニーのかぞえうた』(センダック、冨山房) 1981
  • 『チキンスープ・ライスいり』(センダック、講談社) 1981
  • 『ピエールとライオン』(センダック、冨山房) 1981
  • 『まよなかのだいどころ』(センダック、冨山房) 1982
  • 『わたしたちもジャックもガイもみんなホームレス』(センダック、冨山房) 1996

その他[編集]

  • 『とげのあるパラダイス 現代英米児童文学作家の発言』(エドワード=ブリッシェン、偕成社)1982
  • 『オックスフォード世界児童文学百科』監訳(マリ・プリチャード、ハンフリー・カーペンター、原書房)1999

脚注[編集]

  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.453
  2. ^ 神宮輝夫氏死去 児童文学者、青山学院大名誉教授”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2021年8月13日). 2021年8月14日閲覧。
  3. ^ 「かいじゅうたちのいるところ」 神宮輝夫さん死去”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2021年8月13日). 2022年3月3日閲覧。