神仙伝

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神仙伝』(しんせんでん)は、中国西晋東晋時代の葛洪の著したと伝えられる書。ただし、『隋書経籍志や『抱朴子』の自序・内篇の記述から葛洪が『神仙伝』を記したことは確かだが、現行本は葛洪原作のものから改変が加えられ、収められた仙人のメンバーや文章は旧本とは異なるとする見方が強い。全10巻。

概要[編集]

神仙伝の漢魏叢書本では、「老子は上三皇のとき元中法師、伏羲のとき鬱華子、(中略)湯王のとき錫則子、文王のとき文巴となる。或人曰く、にあり、にあり、にあって陶朱公となる」と、この老子に関する記述などは明確に転生を示しており、仏教の影響もみえる。現行本では90人以上の神仙譚がある。

平凡社版の『神仙伝』の解説によると

  • 郭璞は、葛洪とは同時代人といってもよく(7歳差の開きがあるだけ)同世代の人物を仙人として扱うのは無理があるだけではなく、『太平広記』に引用された記述に「晋書有伝」という記載がある。これは太平広記が書かれた宋代に「晋書有伝」の文字が入っていたバージョンがあったと同時に、葛洪が(の時代に成立した)晋書を参考にしながら『神仙伝』を書けるはずがないので間違い無く後代に追加されたと見ることができる[1]

内容[編集]

漢魏叢書』別史本に基づく平凡社ライブラリー版による[2]

脚注[編集]

  1. ^ 平凡社ライブラリー版, pp. 443–444, 沢田瑞穂「解説」.
  2. ^ 平凡社ライブラリー版, p. 450, 沢田瑞穂「解説」.

参考文献[編集]

  • 劉向; 葛洪 著、沢田瑞穂 訳『列仙伝・神仙伝』平凡社平凡社ライブラリー〉、1993年9月。ISBN 4582760198 
    • 『中国の古典シリーズ 4 抱朴子 列仙伝・神仙伝 山海経』(平凡社、1973年6月)が底本。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]