砂糖水

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砂糖水(さとうみず、: sugar water)とは、砂糖溶解させた水溶液である。

特徴[編集]

砂糖と同様の甘味を呈する。砂糖は水に対する溶解度が高く[※ 1]、大量の砂糖を溶解させたものは粘稠な液体となる。においはない。無色透明だが、砂糖の主成分であるスクロース光学異性体に由来する旋光性を持っており、偏光板を用いてこの性質を確認することができる[1]。また純水と比較して、砂糖の量に応じて屈折率が上昇しており、これを利用して糖度を計測することができる[2]。屈折糖度計はこの原理を応用している。一方、旋光糖度計は前述の旋光性を利用している。電気を通さない。

用途[編集]

歴史的風物[編集]

江戸期から昭和中期頃まで、夏の暑さを紛らすために飲用に供したものを砂糖水、あるいは冷や水と言った。江戸期は、白玉などを添えて振売で売られ[6]小林一茶の句『砂糖水ただふるまふや江戸の町』にみられるように夏の季語ともなった。

脚注[編集]

  1. ^ 室温付近での質量ベースの表現。質量モル濃度では塩化ナトリウムが上回る(大川ら 1998、p592)

出典[編集]

  1. ^ カラフル砂糖水 - 京都市青少年科学センター
  2. ^ 屈折計の概要、活用例及び校正について - 株式会社アタゴ PDF
  3. ^ べっこう飴を作ってみよう - 長崎大学 PDF
  4. ^ 平成20年度 経済産業省 社会人講師活用型教育支援プロジェクト 授業案「水溶液の性質」PDF
  5. ^ 好村 2003
  6. ^ 『歴史道Vol.2 「完全保存版」江戸の暮らしと仕事大図鑑』(朝日新聞出版、2019年)p.50.1杯4(約80円)で、さらに金を出せば、砂糖の増量もできた。歴史ミステリー倶楽部『図解!江戸時代』(三笠書房、2015年)pp.210-211.「ひゃっこい、ひゃっこい」という掛け声と共に販売し、夏の風物詩となる。絵図として、『守貞謾稿』(国立国会図書館蔵)がある(前同p.211)。

参考文献[編集]

  • 大川忠・大橋憲三「食塩は砂糖より溶けにくい? : 物質の溶解性を正しく評価する濃度表現とその有効性」『化学と教育』第46巻第9号、1998年、592-593頁、NAID 110001830183 
  • 奥田知晒・柴田亨・亀岡孝治・溝口勝「凝固点降下法による糖水溶液の水分活量係数の測定」『三重大学生物資源学部紀要』第11巻、1993年、167-176頁、NAID 110000506812 
  • 好村滋行「かき氷騒動 : 甘くない砂糖水の話」『物性研究』第80巻第2号、2003年、349-366頁、NAID 110006409089 

関連項目[編集]