短期大学
短期大学(たんきだいがく)は、修業年限(学位を修了するまでに最低限在学する年数)2年または3年とする大学のことである。
- 本項には別称である短期大学部(たんきだいがくぶ)も解説されている。
目次 |
[編集] 概要
短期大学は、「深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成する」[1]ことを主な目的としている。
大学の一種であり、法令文においては「学校教育法第百八条第三項の大学」が短期大学を指す語である。それ以外の通常の大学の修業年限は、4年[2]としている。
短期大学の修了者には、短期大学士の学位が授与される。また、各省庁の養成施設の認定を受け、免許等を取得する試験の全て、あるいは一部免除などの待遇が設けているところも少なくない。
第二次世界大戦降伏後の学校教育法の施行により、第二次世界大戦前からの旧制専門学校が新制大学に移行する際に、大学設置基準に満たない学校が出たために暫定の制度とされたが、1950年に「当分の間」とされながらも制度が作られ、事実上恒久化された(1990年代になって「当分の間」でなくなる)。1950年に設置した短期大学は公立17校・私立132校で合計149校となっている。
修業年限が、4年制の通常の課程の場合(法令上は「大学(短期大学を除く)」)と表記されているが、修業年限が、2年または3年制の課程の場合(法令上は「大学の修業年限は、2年または3年」)と定められている。通常の大学には学部が置かれるのに対して、短期大学には学科が置かれる。
短期大学制度の発足当初から置かれている主要な学科は、教養、英文学、日本文学、保育学などに関する学科を中心とし、勤労者向けに夜間に教育を行う経済学、工学などに関する学科もあった。1990年代から看護学に関する学科を置くなど、昼間に教育を行う福祉学に関する学科も増えてきた。
なお、1990年代に増加した看護学の学科を置く短期大学は、看護師取得に必要な要件の変更から、通常の大学への改組が相次いでいる。
[編集] 短期大学部
小学校・中学校・高等学校の別称である初等部・中等部・高等部と同様に短期大学の別称である短期大学部(たんきだいがくぶ)も存在する。短期大学部は、(通常の)大学に併設する短期大学に付けられる名称の1形態である。
大学に併設する短期大学は、教育環境・教育研究が進んでいることがある。大学に併設する短期大学が募集停止された場合は、ほとんどが併設大学の学部への改組や、併設大学の新設学部となる場合が多い(ただし、家政系の学科などは継承されずに消滅するケースも目立つ)。
初期に設置された旧制大学から続く私立大学の短期大学部は主に、1950年より日本大学短期大学部、明治大学短期大学部(2003年度をもって学生募集を終了)、東京農業大学短期大学部、近畿大学短期大学部、龍谷大学短期大学部が設置された。
国立大学の短期大学部(現在、国立短期大学はすべて廃止された)は、1951年より名古屋工業大学短期大学部、九州工業大学短期大学部、京都工芸繊維大学工業短期大学部、長崎大学商科短期大学部の4校が設置された。
公立大学の短期大学部は、1951年より静岡県立大学短期大学部、会津大学短期大学部が設置され、2007年には島根県立大学短期大学部が新設された。
[編集] 医療系(3年制)
修業年限が3年の短期大学には看護系・衛生技術系(医療関係)などがある。
医療技術の高度化による教育の拡張により、旧帝国大学の国立大学付属およびその他の国立大学付属の医療技術短期大学が全国の各地域にあったが、ほとんどが同学校法人の設置する大学医学部の保健学科などに改組した。
私立では慶應義塾看護短期大学があったが、新設学部として改編し、2003年に慶應義塾大学看護医療学部となった。そのほか、国公私立の短期大学が併合や合併、大学に改組した場合が過去に数多く存在する(新制大学参照)。
現在ある医療技術系は、埼玉医科大学短期大学や日本歯科大学東京短期大学(新潟校舎を含む)などがある。
[編集] 専攻科
1992年に学位授与機構(現・独立行政法人大学評価・学位授与機構)による「認定専攻科」制度が開始され設置されるようになってから、短期大学専攻科を修了し機構の審査に合格すれば、大学編入学をすることなく学士の学位が取得できるようになった。
[編集] 歴史
[編集] 第二次世界大戦前
産業革命によって、「男性は外で働き、女性は家で家事をする」という性別的分業が明治時代にできあがったといわれる。 女性は家事をすることが求められたため、第二次世界大戦前の当時において女子教育を行う学校とされていた高等女学校や旧制女子専門学校では、家政学が取り入れられていた。 現在の、大妻女子大学や実践女子大学といった家政学を学ぶ教育機関が多かった(中には、日本女子大学や津田塾大学のように外国語を学ぶための女子教育を行う学校もあった)。 また、義務教育修了後の進学(高等小学校や、旧制中学校または高等女学校)が少なかったため、男女問わず高等教育の就学率は低かった。
[編集] 第二次世界大戦降伏直後
旧制高等学校は、学校教育法の施行以前に、「ジュニア・カレッジ」として、短期大学に相当する学校としての存続を模索したが、連合国軍総司令部 (GHQ/SCAP) に認められず頓挫した。同様に、大学設置基準に満たない旧制専門学校も対象に、当初は一時的な処置として、短期大学という制度が制定された。
大学への編入学が1990年代まで制限されたため、旧制高校復活ともいえる専門教育準備のための一般教育系学科を置く短期大学の設置はなく、 わずかに学芸学部の2年課程や専門課程を欠いた医学部進学課程(医進)の設置が見られた程度である。
[編集] 学校教育法の施行後
学校教育法が施行されて、それまでの分岐型の教育システムから6・3・3制の単線型学校体系に統一された。 4年制大学に女性が進学できるようになったが、1950年に短期大学が開学すると、当時は女性の初婚年齢が低かったため、特に女性の進学先として、家政や人文学系の学科が多く就学年齢が短い短期大学は好まれ、栄養学や保育・教員などの専門職や事務職員を養成した。短期大学は、女性の高等教育への進学機会を与え、女性の社会進出の先駆けを果たした。
また、昭和30年代には、国立の工業短期大学が長岡、宇部、久留米に設置されたが、1962年に高等専門学校制度が発足すると全て高等専門学校に転換された。
高度経済成長期から安定成長期にかけては、女性は結婚して男性を支えるという前提で雇用体系が組まれていたため、女性の仕事は補佐的な仕事が多かった。 1980年代前半まで、女性が短期大学卒業であれば企業への就職が有利で、尚且つ、学校推薦で入社できたため、短大卒女子学生の就職率は高かった。
[編集] 近年
1985年に男女雇用機会均等法が制定され、 「一般職」と「総合職」という2つの形態の職種が生まれると、 女子大学や短期大学は、女性が一般職に就職しやすいためバブル期には、女子の進学先の人気となり、第2次ベビーブーム世代の在学時期と重なる平成6年には在学者数がピークを迎えた。
バブル景気が終わり平成不況によって経費削減を迫られた上に、1996年に法改正によって派遣社員が増加したため、大企業を中心に男女区別なく総合職のみに限定して採用を行う企業や、事務のみの一般職を廃止して地域内での移転に留めて仕事を行う地域総合職(銀行および証券会社など)が中心となる時代に突入した。
学科の専攻分野の特徴の影響により、1990年代前半までは女性が短期大学に進学する比率が比較的高かった。 しかし、1990年代後半から男性の学生が増え始めた。男子だけの東洋食品工業短期大学包装食品工学科が兵庫県川西市にあるが、2008年度より男女共学化された。
2007年からマスメディアにより少子化が騒がれはじめ、2008年9月のリーマンショック以降、「100年に一度の大不況」といわれ、2011年3月に発生した東日本大震災などの影響により、大学受験生はますます有名大学への進学に傾いている。そのため人気のない大学・短期大学は倒産する時代にきている。
現在では、大学の増設(その大部分は短期大学から4年制大学への改組)や少子化の影響で、女性の高学歴志向やキャリア志向により、寿退社(結婚退社)の考えがなくなったため、晩婚化が進み、女性が4年制大学を卒業して、総合職や地域総合職に就くことが一般化した。
その結果、短期大学の数は平成に入って以降(特に2000年代以降)、激減している。特に工学・看護学系の分野で顕著である。 しかし、その大部分は4年制大学への改組であり、閉学となる場合は既に同一学校法人が存在する場合がほとんどで、大学への改組にあたって校名も共に変更することが多く、単なる大学の新増設としかうつっていない模様である。
[編集] 教育研究
大学を今後どのように発展させるかが、文部科学省の中央教育審議会の大学部会で審議されている。
短期大学は総合的な教育研究を行っているため米国のコミュニティ・カレッジと同様な学位を与えるべきとする答申があり、2005年に施行された学校教育法改正により、従来の学術称号(準学士)から学位(短期大学士)へ変更がなされ、修了者に対する学位の授与や、大学への編入学の拡大などがされた。
また、幼稚園教諭二種免許状をはじめとする普通免許(学校教員)の課程を置いているのは以下のとおり。
小学校教諭・中学校教諭二種免許状が取得できる課程があるのは主に、東海大学短期大学部、徳島文理大学短期大学部、関西外国語大学短期大学部、帝京大学短期大学、三重短期大学、鹿児島県立短期大学に設置されている。
そのほか、編入学実績で挙げられるのは、産業技術短期大学、京都経済短期大学、大月短期大学、大阪女学院短期大学 等がある。
女子短期大学として著名であるのは、青山学院女子短期大学、立教女学院短期大学、上智短期大学(2012年より上智大学短期大学部に改組)、南山大学短期大学部、武庫川女子大学短期大学部、京都女子大学短期大学部(2010年度を最後に学生募集を終了)がある。
[編集] 構内
- 最低限必要とされる設備など
- 教室・事務室・学長室・専任職員・研究室・図書館・課外活動施設・体育館・グラウンド
- 教育環境
- 建物面積21.5m²以上、土地面積64.0m²以上
[編集] 脚注
[編集] 参考文献
- 大手公共図書館所蔵短期大学解説冊子
[編集] 関連項目
|
|||||||||||||||||||||||||||||||
| 前段階の学校 | 現学校 | 次段階の学校 |
| 短期大学 2年制 or 3年制 18歳以上から2年間、3年間 |
||
| 同段階の学校 | ||
| 注1: 高等専門学校の専攻科は含まない。 | ||