相鉄9000系電車

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相鉄9000系電車
相鉄9000系新塗装編成(2007年4月22日、二俣川 - 希望ヶ丘間)
相鉄9000系新塗装編成
(2007年4月22日、二俣川 - 希望ヶ丘間)
編成 6M4T
営業最高速度 100 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度 3.5 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
編成定員 1,510人(標準)
全長 20,000 mm
全幅 2,900 mm
軌間 1,067(狭軌) mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
編成出力 4,320kW (6M4T)
主電動機 かご形三相誘導電動機
東洋電機製造TDK-6140A
主電動機出力 180kW
歯車比 49:9 (5.44)
駆動装置 直角カルダン駆動
制御装置 VVVFインバータ制御
制動方式 遅れ込め制御付き回生ブレーキ併用電気指令式電磁直通空気ブレーキ・保安ブレーキ
保安装置 相鉄型ATS, ATS-P 
EB装置 デッドマン装置
製造メーカー 東急車輛製造

相鉄9000系電車(そうてつ9000けいでんしゃ)は、1993年平成5年)から導入された相模鉄道通勤形電車

解説の便宜上、個別の編成について記述する場合は編成中の横浜側の先頭車(1号車)のクハ9700形の番号を取り、「9701F」(Formation = 編成)のように書くことによって各編成を表すことにする[1]

概要[編集]

本系列は、老朽化の進む大量の6000系電車を置き換えるために8000系電車と並行して1993年(平成5年)から2001年(平成13年)にかけて10両編成7本(70両)が製造された。

本系列は8000系よりも後に登場しているが、本系列を製造している間にも8000系を引き続き製造し、並行して導入していったことが特筆される。車両の製造は全車両が東急車輛製造が担当しており、それまで新造車を日立製作所のみに発注してきた相鉄としては異例であった。また、現在のところ、自社開発車両としては最後の型式で、次に導入された新型式10000系電車JR東日本の車両を全面的にベースにしている。

車体[編集]

相鉄では従来、屋根上の冷房装置は大きいものを一つだけ乗せる集中式のみ採用してきたが、小さいものを複載せる集約分散式を初めて採用した。先頭車の連結器には車体と同色のカバーをかぶせることによって、車体との一体感を出すなどの視覚的工夫がみられる。

相鉄の従来車と同じく車体はアルミニウム合金製であるが、従来のクリアラッカー塗装に対して、本系列ではカラー塗装されている。基調とする色は白色で当初は純白に近い色のフッ素樹脂系塗料が採用されたが、それが汚れやすいことが判明したため、後に現行の少々グレーがかった色を基調とする塗装へと変更された。

統一カラー導入以前のデザイン[編集]

導入の経緯・以降については「#更新工事」参照

上述の白色に赤色帯でアクセントをつけている。また、先頭車側面片側の赤色帯は、相鉄(Sotetsu)の頭文字を表す”S”をデザインしていた。

8000系との共通点[編集]

デザインは8000系を基本としており、前面の左右非対称、統一カラー導入以前の赤帯のアクセント、車体と一体感のある排障器、ブラックフェイスといわれる1980年代より流行している前面窓周りを黒く塗り前面窓を大きく見せるデザイン、幅の広い車体とその裾を絞っている点、10両編成で導入となった点、ライト類の配置など共通する個所も多い。このうち、ライト類については前照灯尾灯の他に急行灯が設置されているが、現在は使われていない。

車内設備[編集]

基本的に8000系に準ずる。相鉄では初めて床材が色分けされ、中央部が大理石模様となった。また、車椅子スペースを両先頭車に設置されたのも相鉄初である。

座席はロングシートを基本とするが、8000系と同様に10両編成中の2両にはセミクロスシートを採用している。これらの座席の生地の色はオレンジ色で、優先席部は青色(登場時は灰色)である。7人掛けのロングシート部分は3+1+3人分に濃淡で色分けされており、着席区分を分けるようにされた。窓は従来の車両と同じくパワーウィンドウ仕様でボタン操作一つで開閉が可能である。

走行設備[編集]

モーターの制御装置は東洋電機製造製の回生ブレーキ付GTO素子VVVFインバーターを採用した(一部の編成は後述のように日立製インバータに更新されている)。動力車はモハ9100形とモハ9200形でユニットを組む2両1組のユニット構成となっており、前者には2両分8個のモーターを制御するVVVF装置が、後者には車内照明や冷房装置の電源用として電動発電機(MG)とブレーキやドアの開閉に用いる圧縮空気を生産する空気圧縮機(CP)を搭載する。

主電動機(走行用モーター)には2代目5000系電車で採用されたものとほぼ同じ東洋電機製造製のTDK-6140系(出力180kW)を採用、10両編成で10両のうち6両が動力車であるために編成全体での出力は実に4320kWとなり、相鉄で一番パワフルな編成となっている。車軸への動力伝達は相鉄伝統の直角カルダン駆動方式台車は東急車輛製造のもので電動車がTS-907型、付随車がTS-908型を名乗り、どちらもディスクブレーキを車輪外側に装備するなど従来からの独自路線は健在である。なお、完全新造ではなくMGについては6000系からの廃車発生品を用いることで導入コストの削減を図っている。

運転機器[編集]

運転台
(ATS-P設置改造後、モニタ装置の表示器は後年に交換されたもの)

モニタ装置を装備しており、車両の運用の管理や扉の開閉状況などが確認できるようになっている。マスターコントローラーとブレーキハンドルを備える2ハンドルといわれるシステムである。

保安設備[編集]

全ての編成に自動列車停止装置(ATS)、列車無線とデッドマン装置が備えられている。

2000年代半ばに発表された神奈川東部方面線計画により、相鉄線で用いられているATSと列車無線をJR仕様のものに変更する予定である。また、運転士の体調が急変した時に列車の暴走を防ぐ装置として、デッドマン装置に加えてJR仕様のEB装置が追加で設置された(後述)。

編成[編集]

9701F - 9707F

 
横浜
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式 クハ9700
(Tc2)
モハ9100
(M1)
モハ9200
(M2)
サハ9600
(T2)
モハ9100
(M1)
モハ9200
(M2)
サハ9600
(T1)
モハ9100
(M1)
モハ9200
(M2)
クハ9500
(Tc1)
機器類   CONT,PT MG,CP,PT   CONT,PT MG,CP,PT   CONT,PT MG,CP,PT  
備考 車椅子     女性専用車
弱冷房車
セミクロス     セミクロス 弱冷房車 車椅子
凡例
  • M : 走行用モーターの有る車両、電動車。
  • T : 走行用モーターのない車両、付随車。
  • c : 運転台の有る車両、制御車。
  • CONT:主制御器(VVVFインバータ、1C8M[2])
  • MG:電動発電機 (Motor-generator)
  • CP:電動空気圧縮機 (Compressor)
  • PT:集電装置 (Pantograph)
  • セミクロス : セミクロスシート
  • 車椅子 : 車椅子スペース

製造時期の差異[編集]

本系列で変更になっている箇所については8000系も同等の変更がなされている。

1次車[編集]

1992年に製造された9701F(入線は1993年)と、1993年に製造された9702Fが該当する。行先表示器は幕式、車両妻部にLED式の案内表示器が設置(3行)されているが、ドアチャイムは当初設置されていなかった(その後2次車も含め設置済み、後述)。なお、案内表示器は8000系のものを改良したもので、従来より文字を小さくするとともに2行での大きな文字にも対応できる装置である。大文字では明朝体を表示する。

2次車[編集]

1995年に製造された9703Fが該当する。この編成より行先表示器がLED式に変更された他は1次車と同じである。

3次車[編集]

1996年に製造された9704Fと9705Fが該当する。この編成より車内の案内表示器が客用ドア上部に変更(1行・千鳥配置)された。

4次車[編集]

1999年に製造された9706Fと2001年に製造された9707Fが該当する。3次車とほぼ同じだが、パンタグラフがシングルアーム式となった。また、ドアの動作音が若干静かになっている。なお、9706Fはいずみ野線いずみ中央駅 - 湘南台駅間の開業に合わせて製造された。このグループは後年にシングルアーム式のパンタグラフに交換された編成とはパンタグラフの集電舟の本数が異なっていたが、9706Fは2010年3月に、9707Fは2007年10月に他編成と同一のものに交換された。

更新工事[編集]

グループロゴ貼付前の旧塗装編成。
側面のS字が特徴。
(2005年2月13日、二俣川駅)
グループロゴ貼り付け後の旧塗装編成。
この編成はすでに新塗装化されている。
(2007年4月22日、二俣川 - 希望ヶ丘間)

以下の更新工事が施されている。とくに車内設備については後に登場した10000系電車や11000系電車に準じるように改造されている。ただし、編成において施工内容の異なるものがある。

車体[編集]

  • パンタグラフを菱形からシングルアーム式への交換。
  • 運転台に新しいモニタ装置並びにICカードリーダーを設置。
  • ロゴ - 車体前面貫通扉下部および車体側面に相模鉄道のCIにより作られた「S」の字をイメージしたロゴマークが貼付された。
  • 側扉を東京メトロ10000系などに類似したステンレス製のものへ交換(現時点では2010年12月に交換された9701Fと2011年11月に交換された9702Fのみ)。
  • 前照灯をシールドビームからより視認性の高い、コイト電工製のLEDに交換。その周りを黒枠がしてある。[3]また、2014年6月に相模大塚で開催された『さよなら赤帯旧塗装 車両撮影会in相模大塚』にて、すでに改造を終えていた旧塗装の9705Fが今までのシールドビームに取り換えられて展示された。
  • 車いすスペースのシールの貼る位置が扉真ん中らへんの横から、番号表示の横に変更されている。
  • 弱冷房車のシールが新しいものに変更され新たにその号車の扉横にも貼られた。

塗装[編集]

2007年4月から、これまで各系列ごとに異なっていた車体のカラーリングについて全車両、青とオレンジを用いた新コーポレートカラーへの統一が進められている。新しい塗り分けは当時最新型であった10000系電車に準じるもので、前面窓周りが黒く塗られたブラックフェイスも8000系電車と近いものに変更され、本系列の特徴であった左右非対称のデザインは目立たないものになっている。本系列の9707Fは相鉄の車両で最初に塗り替えられ、4月22日いずみ野駅で開催された展示(撮影)会にて披露されている。9705F以外の編成が塗り替えられている。なお、9705Fも2014年度末には塗り替えられて、旧塗装編成は消滅する見込み。

  • 9707F - 2007年4月19日 - 相鉄の車両で最初の新塗装。
  • 9701F - 2007年7月10日 - この編成から車両番号の表記と書体を10000系と同じものに変更。
  • 9703F - 2008年4月10日
  • 9702F - 2011年11月4日
  • 9706F - 2013年8月15日
  • 9704F - 2014年3月20日

車外設備[編集]

2014年4月27日ダイヤ改正で新たに特急新設やダイヤパターンが大きく変わったため、同年3月~4月頃種別幕が交換された。快速が緑から青に、各停が黒・青からグレーに変更した。またフォントの大きさが小さくなった。

  • 2014年度内に9701F、9702Fは、8000系更新工事と同様に車外表示機をフルカラーLED化に変更予定。

車内設備[編集]

  • 優先席(旧、シルバーシート)の生地の色を灰色から青色へ変更。(2002年頃?より)
  • 女性専用車の設定。(2005年より)
  • ドアチャイムの設置 - 未設置だった9703Fまでの初期編成が対象に設置された。音色は9704F以降とほとんど変わらない。
  • 9701Fは、モーター更新の際に1・10号車のみ客用ドアに視覚障害者への配慮のためにドア中央部の車内側は黄色く着色された他、床に11000系と同じような黄色の滑り止めも兼ねた点字ブロックが貼付された他、優先席部分の配色が11000系のような配色となった。
  • なお2014年度内に初期車(9701F~9703F)は、妻部(車両の連結面)にあった表示機を新型に変更予定。
  • 弱冷房車のシールが新しいものに変更された。
  • つり革
  • つり革は従来の丸型から三角形のものに変更し、同時にセミクロスシート車については増設された。また同時期に優先席部分に設置されているものについては白色からオレンジ色のものに交換された。(2005年より)
  • 座席
  • スタンションポールの設置 - 混雑時につかまったり、お年寄りや子供が着席・起立時に補助として使用することが期待される棒状の設備で、形状は11000系に準じる曲線型のもので7人掛けのロングシートの中央付近で3+4人に分けるように設置されている。(2008年より)
  • クロスシート部分の背もたれ上部(頭が当たる部分)を汚れの目立たないビニール・レザーに張り替えた
  • 車内案内表示の内容
  • ナンバリング導入により2014年4月27日より初期車は、車内表示機の駅名後ろに(○○)を表示。停車中は、駅名後ろに〇〇となる。一方後期車は、駅名後ろに(SO-〇〇)を表示。長い駅名の場合は、スクロール表示となる。(〇〇・○○は、数字を意味)
  • また2014年度中に6本の蛍光灯がLEDに変わる予定。

保安設備[編集]

前述のように神奈川東部方面線計画が進んでいることによりJR仕様のものに変更される予定である。

  • 運転室真上の屋根上にJRと同等の空間波列車無線アンテナが設置された他、一定時間運転操作をしないと列車を停止させるEB装置が設置された。また、ATSはJRと同じATS-P型という種類に変更される。このアンテナは本系列では屋根上スペースの関係で1本設置となっている。これに合わせて乗務員室の仕切り壁に新しい機器が設置された。この機器には車掌用の仕業表が入れられる枠がついている。これらは2008年7月から11月にかけて全編成に対して施工された。


走行設備[編集]

2012年より制御装置が日立製のIGBT素子VVVFインバータに順次更新されており、停止時まで回生ブレーキが動作する全電気ブレーキも採用されている。停車時には東急5050系に似た磁励音を発する。この更新については、「安全報告書2014」の中で、車両性能の向上、安定輸送の確保とされている。

  • 9702F - 2012年
  • 9706F - 2013年
  • 9707F - 2013年
  • 9705F - 2013年
  • 9701F - 2014年
  • 9703F - 2014年
  • 9704F - 2014年

運用[編集]

他形式と共通運用で、通常は特急急行快速各停の10両編成の運用に充当されている。都合によっては、8両編成の運用を10両編成のまま代走することもある。[4]

エピソード[編集]

  • 車体の前面デザインや寸法については先に登場した8000系から変更を受けているが、東日本旅客鉄道(JR東日本)の相模線205系500番台に近似していたため、相鉄による相模線買収の噂における根拠として語られた。相模鉄道の広報誌にも「相模線への直通運転構想」にという形で記述されたことがある(相鉄瓦版・第122号)。現在、相鉄は神奈川東部方面線を建設してJR線へ相互直通運転を行う計画がある。
  • 当初、9702Fのパンタグラフに旧式のPS13が搭載されていたため、鉄道ファンを驚かせることもあった。
  • 2011年10月より、かしわ台~相模国分(信)の下り線で9701Fを使用した新型保安装置の性能確認試験が深夜、線路封鎖の上で実施されている(不定期)。試験後の回送は、かしわ台駅1番線まで入換扱いで下り線を逆走した。

脚注[編集]

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  1. ^ 相鉄では9701×10のように横浜側の先頭車の番号×編成内の車両数で編成を表すことが公式とされる
  2. ^ 1台の制御機器が8台のモーターを制御するという意味
  3. ^ なお最初に交換された9707Fの横浜寄り(9707)のほうだけ黒枠がなかったが現在は変更され他の編成と同等になった。
  4. ^ 現時点では、土曜休日でのいずみ野線系統の特急が挙げられる。

関連項目[編集]


外部リンク[編集]