相鉄10000系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 相鉄10000系電車 | |
|---|---|
相鉄10000系(2008年7月26日、ゆめが丘駅にて撮影)
|
|
| 起動加速度 | 3.0km/h/s |
| 営業最高速度 | 100km/h |
| 設計最高速度 | 120km/h |
| 減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常) |
| 編成定員 | 1,562人(標準) |
| 全長 | 20,000mm 先頭車車体長19,620mm 中間車車体長19,500mm |
| 全幅 | 2,930mm |
| 全高 | 3,978mm |
| 編成質量 | 259.1t |
| 軌間 | 1,067(狭軌)mm |
| 電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
| モーター出力 | 95kW |
| 主電動機 | かご形三相誘導電動機 (ST-MT73) |
| 編成出力 | 1,900kW (5M5T) |
| 歯車比 | 7.07 |
| 制御装置 | VVVFインバータ制御 (IPM-IGBT素子) |
| 駆動装置 | TD平行カルダン駆動方式 |
| ブレーキ方式 | 回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動 純電気ブレーキ |
| 保安装置 | 相鉄型ATS |
|
この表について
|
|
相鉄10000系電車(そうてつ10000けいでんしゃ)は、2002年(平成14年)2月24日に営業運転を開始した相模鉄道の通勤形電車。
目次 |
[編集] 概要
本系列は、老朽化した2100系、5000系および新6000系の置き換え、バリアフリー・環境対策、導入から廃車までのライフサイクルコストの節減を目的として、東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系一般形電車をベースに設計・製造された。
大手私鉄では初めて同業他社車両の設計を流用して製造された車両となった。以後、東京急行電鉄の新5000系列や東京都交通局(都営地下鉄)新宿線の10-300形などE231系の設計を流用した他社・局の車両が登場することとなる。
第4編成 (10704F) から第7編成 (10707F) までは、車両メーカーからの直接購入ではなくJLL(日本型レバレッジドリース)によるリース方式が採用され、車両導入のコストを軽減している(詳細は下記「リース会社」へ)。
車両の製造は、東急車輛製造のほか、10707Fの全車両と10702F - 10704F、10708Fの海老名(湘南台)方一部車両はJR東日本新津車両製作所が担当している。これは同所としては初の他事業者向けの車両でもある。編成の中で両社製の車両が混在している場合、車内の製造所表記は両社連名となっている。
[編集] E231系との差異
基本的には、E231系通勤タイプの図面や内装、主要な機器類をほとんどそのまま流用しているが(内装については座席の色が赤系統であること以外、ほとんど同じ)、一部機能に違いが見られる。初期車は中央・総武緩行線用(0番台)、後期車は山手線用(500番台)のものに近い。
- 車体幅は相鉄線の車両限界(JR以外の鉄道事業者では最も広い)に合わせ、同系列より20mm狭い2930mmとされた。先頭車の連結器は、他系列に合わせて密着自動式を採用している。
- 先頭車前面の形状は丸みがあり、前照灯と尾灯の周囲は曲線状に処理されている。
- 10両編成にはE231系には見られない単独電動車(1M車)が存在している。これは。電動車 (M) と付随車 (T) の比率(MT比)は1:1に強化(E231系では2:3)して加速力を高め、起動加速度は従来の9000系などと同様の3.0km/h/sを確保するためである。
- VVVFインバータ装置は、E231系通勤タイプで使われる三菱電機製IPM-IGBT素子を採用した。後に純電気ブレーキ対応に改造され、10705F以降の編成は当初から純電気ブレーキ対応である。乗務員室では車掌スイッチが他形式に合わせて鎖錠スイッチが設置されている点が異なっている。乗務員室と客室の仕切り扉の窓ガラスの形状は四角型で他系列に合わせて開閉が可能な構造とされている。その部分にも透明ガラスである点ではE231系と異なる。遮光幕はE231系と同じく中央大窓のみ設置されている。
- 本系列のドアエンジンは戸挟み安全装置付き電気スクリュー軸駆動式を使用している。これは中央・総武緩行線向けのE231系0番台と同じである。10703F以降の編成ではドアチャイムの音色が山手線用のE231系500番台と同一とされ、若干音量が低減されている。またドアエンジンも同番台と同一とされ、動作が異なる。
- 客用ドア上部のLED式車内案内表示器は最新の編成でも一段表示である。中央・総武緩行線向けのE231系0番台は次駅の案内のみであるが、本系列では乗り換え案内も可能な仕様である。次駅(漢字表記)→次駅(ローマ字表記)→種別・行先→ドア開閉方向→乗り換え案内の順に表示する。10703F以降は乗り換え案内の部分(上記の「いずみ野線は」「お乗換えです。」の部分)がスクロール表示するほか、英語表記が追加されている。また、横浜駅ですべてのドアが開くときは8000系や9000系は[両側のドアが開きます]と表示されるのに対し、本系列ではすべての案内表示器に[このドアが開きます]と表示される。
- E231系で導入されている車内自動放送は10708Fで採用された。声優は日本語を加藤純子、英語をクリステル・チアリがそれぞれ担当している。2007年5月の帯色変更後に使用が開始され、その翌年2008年3月にはその他の編成にも導入された。
- 10705F以降の編成は、大邱地下鉄放火事件を契機とした火災対策強化のため、天井の冷房吹き出し口の素材を繊維強化プラスチック (FRP) から9000系と同じ形状のアルミ合金に変更し、全連結部に相鉄では初採用となる傾斜式戸閉装置の貫通扉を設置するなどの設計変更がある。(同時期のE231系車両も、同様な変更がある)
- 貫通扉の窓ガラスには、相鉄のCIロゴ(「SOTETSU」)が印刷されたステッカーが貼付されている(11000系にも貼付。9000系以前の系列にはなし)。
[編集] 従来各系列との差異
座席は8000系や9000系の一部車両に設置されていた客用ドア間のセミクロスシートを取りやめ、すべてE231系通勤タイプの片持ち式のバケット式ロングシートになった。2-3-2の仕切り兼用の握り棒もあり、同系列の設計図面をそのまま流用している。
- 相鉄では初めてのオールステンレス車両になったほか、初めて種別・行先表示器に英文・ローマ字表記を付加した。カラーは上部にピーコックグリーン、下部にサフランイエローという色を使っており、新6000系のイメージを引き継いだものとなっている。
- 客室側窓もE231系の図面が流用され、通勤タイプと同じ巻き上げカーテンを廃した、濃色のUV(紫外線)カットガラスで、2/3が開閉可能な構造とされた。また、8000系や9000系までの1枚窓に採用されていた押しボタン操作によるパワーウインドウも取りやめ、手動での開閉仕様になった。
- 同系列と同様にTIMS (Train Information Management System) と称される列車情報管理システムを相鉄の車両で初めて搭載している。
- 主制御装置を搭載する車両(車両番号の下3桁が100番台)の車両は従来車では電動車ユニットの横浜側に連結されていたが、本系列では海老名・湘南台側に連結される。
- 電動空気圧縮機 (CP) についても同系列と同一のスクリュー式で、相鉄では初採用である。
- パンタグラフは同系列と同じシングルアーム式のPS-33B形で、モハ10100形とモハ10300形にのみに搭載され、従来系列の電動車は全車にパンタグラフが搭載されていたのとは異なる。搭載位置は車両の横浜側であり、アームの開く向きが従来車と逆である。
- ドア上部に設置されたLEDのパネルは、8000系や9000系の千鳥配置と違い、全部のドアに設置されている。ただし、この2系列と異なり本系列で流されるのは次の停車駅と乗り換え案内のみで、文字による広告は流れない。
[編集] 形式詳細
本系列で見られる形式およびその役割を記す。
- モハ10100形…中間電動車、モハ10200形とユニットを組む。VVVFインバータ装置搭載
- モハ10200形…中間電動車
- モハ10300形…中間単独電動車、VVVFインバータ装置搭載
- クハ10500形…海老名・湘南台側制御車
- サハ10600形…中間付随車
- クハ10700形…横浜側制御車
車両番号の付与方法は、従来車と同一である。
[編集] 編成
←横浜方面(1号車)
- 10両編成(10701F・10702F・10708F) - 前述したが、単独電動車モハ10300形が組み込まれる(表記「M3」)。
- クハ10700 (Tc2) - モハ10200 (M2) - モハ10100 (M1) - サハ10600 (T1) - モハ10300 (M3) - サハ10600 (T2) - サハ10600 (T1) - モハ10200 (M2) - モハ10100 (M1) - クハ10500 (Tc1)
- 8両編成(10703F - 10707F)
- クハ10700 (Tc2) - モハ10200 (M2) - モハ10100 (M1) - サハ10600 (T2) - サハ10600 (T1) - モハ10200 (M2) - モハ10100 (M1) - クハ10500 (Tc1)
[編集] 在籍数
2001年(平成13年)度から2004年(平成16年)度まで毎年増備が続けられ、2008年(平成20年)7月現在、10両編成3本(30両)と8両編成5本(40両)の計70両が在籍する。2002年(平成14年)からの3年間は8両編成のみの製造となった。2005年(平成17年)度は増備がなかったが、2006年(平成18年)度は8000系8707Fが事故で廃車されたことによる補充分として2001年度以来5年ぶりに10両編成が1本(10両)製造された。
[編集] 運用
他系列と共通の運用に就いている。8両編成(10703F - 10707F)は主に運行番号が10・20番台の運用に充てられている。8両編成で運転される列車はその旨(★マーク)が駅の時刻表にも記載されており、各停には本系列が旧7000系とともに多く使われている。10両編成(10701F・10702F・10708F)は急行・快速を中心に使用されている。
[編集] リース会社
- 10701F - 10703F・10708F:車両メーカーより直接購入
- 10704F:エスエムエルシー・エリダヌス有限会社
- 10705F:エスエムエルシー・パヴォ有限会社
- 10706F・10707F:エスエムエルシー・グルス有限会社
[編集] その他
- 本系列は車体広告車に起用されることがあり、過去にボーダフォン日本法人(現・ソフトバンクモバイル)、日立グループ、ビナウォークの広告がラッピングされた。2008年には10703Fが横浜ケーブルビジョン車体広告車として運用されていた。
- 2006年5月に横浜港開港150周年記念事業としてラッピング電車の第1弾「横濱はじめて物語号」の運行を開始した。10702Fが充当され、上記の車体広告車とは異なり扉間全体にラッピングが施された。運行開始当初、車内では網棚上の広告枠などに横浜開港記念のポスターが掲示された。このラッピングは2007年5月25日(運用上26日)に運行を終了した。また、同年6月1日からは第2弾として「走る横濱写真館」の運行を開始したが、これには10708Fが充当された。車体帯色も新コーポレートカラーの「相鉄ブルー」と「相鉄オレンジ」の組み合わせに変更された。こちらも2008年6月27日をもって運行を終了した。さらに2009年6月1日からは第4弾として「横浜開港150トレイン ~ようこそ ヒルサイド 相鉄線へ~」の運行が開始され、10701Fが充当している。なお、2008年6月1日から運行されている第3弾の「走れ!みんなの横浜号」は、本系列ではなく、新7000系7754Fが充当されている。
- 先頭車の前面には当初、現行のCIロゴとは異なるデザインの「SOTETSU」、側面の運転台側には「SOTETSU Series 10000」と表記したエンブレムがそれぞれ貼付されていたが、2006年秋から前面・側面ともに順次相鉄グループのCIロゴに貼り替えられている(事業用車モヤ700形も同様)。先述した「横濱はじめて物語」ラッピング車であった10702Fについてはラッピング貼付時に前面のみ新CIロゴに貼り替えられていたが、ラッピング終了とともに側面も新CIロゴに貼り替えられた。また、10708Fはラッピングに伴い側面のCIロゴが撤去され、ラッピング終了後もしばらくの間そのままとなっていた。
- 10708Fの横浜・海老名方先頭車には、列車無線アンテナの増設準備工事が施されている。
- 今後、2010年末までに全車両の車体帯色を「相鉄ブルー」と「相鉄オレンジ」の新しい組み合わせに変更する予定である。2009年4月時点で変更された編成は10両編成3本(10701F・10702F・10708F)と8両編成3本(10705F・10706F・10707F)である。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||

