癌胎児性抗原

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癌胎児性抗原(癌たいじせいこうげん、: Carcinoembryonic antigen, CEA)は、腫瘍マーカーの一つで、細胞接着因子に関係する分子量約20万の糖タンパク質の一つ。ヒトの大腸癌組織と胎児の腸管から発見された蛋白で有った事が呼称の由来となった。

概要[編集]

当該腫瘍マーカーのみで癌を検出することは困難である。補助的検査に使用され、他の所用マーカーや臨床検査方法(CT検査、MRI検査、内視鏡検査、超音波)などと併用される[1]。高値である場合は、他の診断方法を併用し精密検査を行う。1-2ヶ月程度の期間をおいた後に再検査を行い、変動が無ければ高値でも問題ないこともある[2]。また、外科手術後の経過観察にも用いられ、再発・転移の有無判断材料のひとつとしても利用される[3]が、胃癌に於いては術後の高値と再発の相関は低いとする報告がある[4]

癌胎児性抗原に関係した細胞接着因子を構成するヒトの遺伝子はCEACAM1, CEACAM3, CEACAM4, CEACAM5, CEACAM6, CEACAM7, CEACAM8, CEACAM16, CEACAM18, CEACAM19, CEACAM20, CEACAM21等がある。

高値を示す病態[編集]

主に腺癌に対する指標となるが、腫瘍がなくても喫煙により数値の上昇が見られる。

悪性疾患
消化器癌(大腸癌、胃癌、胆道癌、膵臓癌、肝臓癌 など)
その他の癌(肺癌、乳癌、子宮癌、尿路系癌、甲状腺髄様癌 など)
良性疾患
肝炎(急性・慢性)、肝硬変、閉塞性黄疸、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、糖尿病、慢性肺疾患、甲状腺機能低下症[5]、腎不全、加齢、喫煙、粘液嚢胞腺腫[6]、原発性肺クリプトコッカス症[7] など

基準値[編集]

5 ng/mL 以上

歴史[編集]

1965年カナダフィル・ゴールドサミュエル・オーキン・フリードマン によって大腸癌の組織から抽出された。

参考書籍[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 大倉久直 腫瘍マーカーは早期診断にどこまで有用か 日本内科学会雑誌 Vol.94 (2005) No.12 P2479-2485
  2. ^ CEA:消化器系がんの腫瘍マーカー 腫瘍マーカー
  3. ^ 耐糖能障害とともにCEA値が推移した胃癌術後腫瘍マーカー偽陽性の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.70 (2009) No.1 P62-65
  4. ^ 胃癌治癒切除後の腫瘍マーカー測定の臨床的意義 日本消化器外科学会雑誌 Vol.22 (1989) No.9 P2217-2222
  5. ^ 症例 頸動脈狭窄と冠動脈3枝病変を有し,CEA上昇の対応に苦慮した甲状腺機能低下症の1例 内科 114(2), 337-340, 2014-08
  6. ^ 血清CEA高値を契機に発見された虫垂粘液嚢胞腺腫の2例 日本農村医学会雑誌 63(1), 49-56, 2014
  7. ^ 五十嵐知文、中川晃。吉田豊、西山薫、阿部庄作 血清CEA高値を示した原発性肺クリプトコッカス症の1例 日本胸部疾患学会雑誌 Vol.32 (1994) No.4 P339-343

外部リンク[編集]