留保

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国際法において留保(りゅうほ)は多国間の条約適用を一部除外、または制限する意思表示のことである。

概説[編集]

留保は、多国間条約が一般化した1880年ころに確立された国際慣習であるとされ、多国間条約の特定項目について自国での適用を留保(保留)することを宣言するものである。多国間条約の成立を促進する目的での例外宣言であり、2国間条約の場合には介在しない。

多国間条約の署名の際に宣言を行うことにより実施し、条約に直接関係する国(基本的に条約に加盟する全ての国)の同意が必要となる。留保に異議をとなえ、なおかつ条約の成立に互いに反対せず署名する場合は、当該二国間関係において当該条項は適用されない(条約法条約21条3)。条約が明示的に留保を認める限り他国の受諾を要しないが、他国の同意が条約上不可欠である場合は全ての参加国の同意を必要とする(条約法条約19条、20条)。なお条約法条約国際慣習法(法的確信を伴う一般慣行)とされた諸慣習を1969年に実定条約化したものであるが、それ以前の国際慣習法の存在を否定するものではない。

奴隷制度廃止補足条約のように、条約内で禁止されている場合は留保解釈宣言を行うことはできない(この場合は条約に署名できない)。なお、条約が該当部の留保を禁止しているなど留保が条約の対象目的と両立しない場合は無効となる。

条約の留保は、本来の意義を失うまたは減じる可能性から国内外から批判が寄せられることがある。たとえば1993年6月25日に採択されたウィーン宣言及び行動計画は第1部第26項においてすべての国に可能な限り留保を避けるように要請している。この採択は各国の全権大使による採決(コンセンサス方式)によるものであり、批准を経ていない限り各国の国内法に法制化を義務づける性質のものではないが、一方で各国中央政府の行政責任者を拘束し、あるいは準拠することを世界人権会議から望まれる性質のものである。

現在日本が留保を行っている例としては、国際人権規約(とくに経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)や人種差別撤廃条約などがあげられる。

解釈宣言[編集]

解釈宣言は条約の文言そのものには留保がない一方で、その文言の解釈について他国と理解が異なる場合に行う宣言である。伝統的には留保の一部と考えられているが、国際法委員会は適用上訴の法的効果の有無で区別する立場である。この点について現在のところ国際法上の合意はない。

脚注[編集]

参考資料[編集]

関連項目[編集]