現代病

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現代病(げんだいびょう、:Modern diseases)とは、現代生活様式や環境が過去と比較してみると異なっているからこそ発生したり蔓延する病気をさす言葉。「現代病」という名称の病気が存在しているわけではない。

概要[編集]

特に多く問題となっている現代病はストレスを原因とした病気であり、うつ機能性胃腸症などが存在する[1][2]アトピー性皮膚炎喘息花粉症などのアレルギー性疾患は近年になって急増し、日本人口の1/3が罹患しているともいわれている[3][要高次出典]。他には現代では生活の様々な場面がIT化された事により増加している眼精疲労テクノストレスなどといった現代病が問題となっている。


新型うつ病(現代型うつ病)[編集]

従前からの典型的なうつ病とは異なる特徴を持つものの総称で、現代型うつ病とも呼ばれる[4][5]。日本のマスメディアなどで上記の非定型うつ病とほぼ同義に扱われているが、専門用語ではなく、精神医学的に厳密な定義はない[6]。従来のメランコリー親和型の性格標識を持たない患者を指すことが多い。
現代型(新型)うつ病は、マスコミ用語であり、精神医学的に深く考察されたものではなく、治療のエビデンスもない[7]
DSMにもICD-10にも新型うつ病と言う分類は無く、日本のみの非学術・非医学用語である。

原因[編集]

ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸のアンバランス[編集]

必須脂肪酸の代謝経路とエイコサノイドの形成

ヒト及びその他の動物にとっては、体内でω-6脂肪酸リノール酸等)とω-3脂肪酸α-リノレン酸、DHA等)の2系統の多価不飽和脂肪酸を合成できないので必須脂肪酸となっている。ω-9脂肪酸系統の不飽和脂肪酸は18:0のステアリン酸から18:1のオレイン酸に変換することができて体内で合成できるので必須脂肪酸ではない。現代では高リノール酸食が蔓延している。

炎症性のあるロイコトリエンプロスタグランジンのようなアラキドン酸カスケードの原料であるω-6脂肪酸(リノール酸)の摂り過ぎと代謝酵素が共通してるために拮抗関係にあるω-3脂肪酸α-リノレン酸)との摂取バランスがこわれて過敏性が増加しアレルギーが惹起されやすくなっているとの報告がある[9]。高リノール酸食用油やそれを素材とする食品が、アレルギー反応と深く関わっていると指摘されている[10][要高次出典]。アトピー性皮膚炎患者に対してω-6脂肪酸(主としてリノール酸)の含有量の低い食事を与えたところアトピーに改善効果が認められた[11]

うつ病が20世紀になって増加しているがω-6脂肪酸を多く含む植物油の摂取が増加したことと軌を一にする。[要出典]

日本の患者数の年度ごとの増加傾向には、高齢化やうつ病についての啓発活動による受診率の増加が原因としてあげられる。[12]

うつ病患者においてはω-6脂肪酸からアラキドン酸を経て生成される炎症性の生理活性物質であるエイコサノイドのレベルが高いということが示されている[13][14]。シーフードをたくさん摂取するところほど母乳内のドコサヘキサエン酸(DHA)は高く、産後うつ病の有病率は低かった。母体から胎児への転送により、妊娠・出産期には母親には無視できないω-3脂肪酸の枯渇の危険性が高まり、その結果として産後のうつ病の危険性に関与する可能性がある。健常者と比較してうつ病患者はω-3脂肪酸の蓄積量が有意に低くω-6脂肪酸とω-3脂肪酸の比率は有意に高かったことが指摘されている[15]

男性より女性のほうが2倍ほどうつ病になりやすいとされている[16]

女性の発症率の高さについては、妊娠・出産期・閉経期・月経前(PMSPMDDセロトニンの減少)の女性ホルモン、セロトニンの激減がマタニティブルーや産後うつに関与している可能性がある。産後うつは乳児の育児時の睡眠不足もある。[17]日本ではうつ病が増加傾向にあるが、女性の高齢化による自然増もある。

DHAは精液網膜リン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分である。DHAは脳内にもっとも豊富に存在する長鎖不飽和脂肪酸である[18]。DHAの摂取は中の中性脂肪トリグリセライド)量を減少させ、心臓病の危険を低減する。また、DHAが不足すると脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告がある[19]アルツハイマー型痴呆[20][21]やうつ病などの疾病に対してもDHAの摂取は有効であるといわれている。[要出典]
ω-3脂肪酸の摂取がうつ病の治療に効果があるか、日本でのエビデンスは希薄である。[7]

脚注[編集]

  1. ^ 神保勝一ストレス社会の現代病 機能性胃腸症 (goo ヘルスケア、2007年10月2日)
  2. ^ 第6回会社に行けなくなる“新型うつ病”とは?(2/2) web R25 2010.04.07
  3. ^ 木南英紀、奥村康 順天堂大学【アトピー疾患研究センター】設立の意義 (アトピー疾患研究センター)
  4. ^ 用語解説(専門家向け)、『こころの耳』 厚生労働省
  5. ^ 職場を襲う "新型うつ"NHKスペシャル、2012年4月29日放送
  6. ^ 新型うつ病とはどのようなものでしょうか?うつ病Q&A』 日本うつ病学会
  7. ^ a b 平成24年7月26日 日本うつ病学会治療ガイドライン 日本うつ病学会
  8. ^ USDA National Nutrient Database
  9. ^ 馬場實、中川武正:食物アレルギーの手引き、南江堂、1、54-55、1994
  10. ^ 4章増えているアレルギー、炎症性の病気と脂質栄養」『 脂質栄養学の新方向とトピックス
  11. ^ 下田妙子 「アトピー性皮膚炎患者の低n-6系列多価不飽和脂肪酸食の効果(自然科学編)」『九州女子大学紀要』自然科学編 37(2), 2000-09, 15-23 NAID 110004624905
  12. ^ うつ病の患者さんは増加しているのでしょうか? 日本うつ病学会
  13. ^ Smith RS (August 1991). “The macrophage theory of depression”. Med. Hypotheses 35 (4): 298–306. PMID 1943879. 
  14. ^ Hibbeln JR, Salem N (July 1995). “Dietary polyunsaturated fatty acids and depression: when cholesterol does not satisfy”. Am. J. Clin. Nutr. 62 (1): 1–9. PMID 7598049. 
  15. ^ 岡田斉、萩谷久美子、石原俊一ほか「Omega-3多価不飽和脂肪酸の摂取とうつを中心とした精神的健康との関連性について探索的検討-最近の研究動向のレビューを中心に」『人間科学研究』(30),2008,pp87-96. NAID 120001859287
  16. ^ 厚生労働省 うつ病対策推進方策マニュアル(doc)
  17. ^ 女性のうつ病 JCPTD
  18. ^ Quinn JF, Raman R, Thomas RG, et al. (November 2010). “Docosahexaenoic acid supplementation and cognitive decline in Alzheimer disease: a randomized trial”. JAMA 304 (17): 1903–11. doi:10.1001/jama.2010.1510. PMC 3259852. PMID 21045096. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=3259852. 
  19. ^ Richardson AJ (April 2006). “Omega-3 fatty acids in ADHD and related neurodevelopmental disorders”. Int Rev Psychiatry 18 (2): 155-72. doi:10.1080/09540260600583031. PMID 16777670. 
  20. ^ Oksman, M.; Iivonen, H.; Hogyes, E.; Amtul, Z.; Penke, B.; Leenders, I.; Broersen, L.; Lütjohann, D. et al. (2006). “Impact of different saturated fatty acid, polyunsaturated fatty acid and cholesterol containing diets on beta-amyloid accumulation in APP/PS1 transgenic mice”. Neurobiology of Disease 23 (3): 563–572. doi:10.1016/j.nbd.2006.04.013. ISSN 09699961. 
  21. ^ Uauy R, Dangour AD (May 2006). “Nutrition in brain development and aging: role of essential fatty acids”. Nutr. Rev. 64 (5 Pt 2): S24–33; discussion S72–91. PMID 16770950.