玄椿

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玄椿』(くろつばき)とは、漫画家の河惣益巳が描く漫画のシリーズ名である。偶数月28日発売の白泉社隔月誌「メロディ」に掲載。


目次

[編集] 概要

主人公は祇園甲部芸妓(げいこ)、「胡蝶」。舞いの天才として生を受けた彼女を取り巻く人間模様が描かれる。舞台は主に祗園であるが上七軒神楽坂など、別の花街を舞台としたエピソードもある。

[編集] 登場人物

[編集] 清白屋の人々

寧井結花(やすい ゆいか)
主人公。祇園甲部の置屋「清白屋(すずしろや)」所属の芸妓であり、同時に清白屋のオーナーでもある。芸妓としての名前は「胡蝶」。
父親は歌舞伎俳優の北浜京次郎(死亡)で、母親は同じく清白屋所属の芸妓だった「相模」(死亡)。夫は恵慈。姉芸妓は「乙女」。京舞井上流の舞いの達人。夫を深く愛しているが、自分の芸を受け継がせる子供を産む為、各界の舞踊の名手を愛人に持つ。金剛流の仕舞の名手でもある。
芸妓名は椿の品種「胡蝶侘助」より。
寧井恵慈(やすい けいじ)
結花の夫で清白屋の経営を実質的に担当。また投資会社「K・G・ファンド」を経営する実業家でもある。京都大学経済学部卒。父は映画俳優だった由村弘希(死亡)。母は清白屋所属の芸妓だった英勝(死亡)。三味線日舞居合道等さまざまな特技を持つが、特筆はやはり料理で、鞍馬山の毘沙門天の眷属である二匹の阿吽虎が特に彼の料理を好んでいる。
天倫(てんりん)
清白屋の先代女将。恵慈の祖母。もともとは清白屋に仕込みで入った舞妓であったが、芸妓となった後に先々代の清白屋の女将の養女となって清白屋を継承。芸妓としても名の通った存在であったが、胡蝶が襟代えをして芸妓となった後、病気療養の為、愛人の朝賀英尚とともにハワイに渡る。若くして逝った二人の娘(英勝・相模)の忘れ形見たちを気にかけていたが、恵慈と結花の結婚を機に帰国。しばらくして病没。芸妓名は椿の品種「天倫寺月光」より。
乙女(おとめ)
本名は千津(名字不明)。元清白屋所属の芸妓で、現在は清白屋の女将。
西陣の染め屋の娘であったが家が破産・廃業した際に清白屋の先代の女将だった天倫に引き取られた。その後、清白屋所属の芸妓となるが、後に老実業家に落籍されて結婚。しかし夫の死後、夫の一族に放擲されて清白屋に舞い戻り、恵慈に依頼されて雇われ女将となる。
バイタリティ溢れる女性で、恵慈が中学生だった頃に童貞を強奪したこともある。夏世は中学の同級生で親友。女将としてはなかなか有能らしく、お茶屋営業を再開した清白屋を繁盛させている。また唐糸や太郎ら舞妓たちへの愛情も深い。
芸妓時代は舞や鳴り物よりも話術と愛嬌が売りで、その客あしらいの巧さは相模をして、話術面は乙女を見習えと胡蝶を諭させたほどであった。そうした事情もあり、胡蝶との姉妹の絆は現在も強い。
姉芸妓は相模。芸妓名は椿の品種「乙女」より。
相模(さがみ)
結花の実母。本名不明。
清白屋所属の芸妓で舞いの名手であったが過労により早死にした。祇園にある辰巳大明神の境内に捨てられていた所を「天倫」に拾われ、養女となる。歌舞伎役者の愛人との間に生まれた一人娘が結花。
姉芸妓は「英勝」。芸妓名は「相模侘助」より。
英勝(えいしょう)
恵慈の実母。本名不明。
清白屋所属の芸妓で女将・天倫の娘。父は朝賀英尚。映画俳優と恋に堕ち恵慈を産んだが若くして死去した。
芸妓名は「英勝寺佗助」より。
唐糸(からいと)
本名不明。清白屋所属の舞妓。もともと井上流を習っていたが両親の海外赴任に伴い清白屋に入って舞妓となる。
姉芸妓は「胡蝶」。芸妓名は「菱唐糸」より。
太郎(たろう)
本名は摩歩。清白屋所属の舞妓。
高校では陸上選手としてインターハイ優勝を経験したが、女らしさに乏しい自分にコンプレックスを抱いていた時に「胡蝶」に出会い、芸妓を志す。170cmを超える長身で抜群の身体能力を持っており、その女性離れした肺活量を活かした能管の素質は鞍馬の魔王尊も一目置くほど。姉芸妓は「胡蝶」。芸妓名は「太郎冠者」より。

[編集] 若宮家

若宮周一(わかみや しゅういち)
若手歌舞伎俳優で胡蝶の愛人の一人。恵慈の弟分。恵慈に認められて「胡蝶」の後継者の為の種を提供することになったが、現在まで役目を果たせていない。姉は宝塚歌劇団のトップスターの一人。現在は若宮虹之助を名乗っている。胡蝶の愛人となってから踊りの技術は格段に上達しており,胡蝶がスランプに陥った際に虹之助の踊りを見て立ち直ったこともある。
若宮虹四郎(わかみや こうしろう)
大名跡を持つ歌舞伎俳優で胡蝶の愛人の一人。虹之助の父。歌舞伎踊りの若宮流の家元。
若宮虹子(わかみや こうこ)
宝塚歌劇団のトップスターの一人。性同一性障害者で,女性にしか興味が無い。胡蝶の愛人の一人。

[編集] 朝賀家

朝賀英尚
もとは仏門で修行をしていたが、第二次大戦後、実業家に転身。一代で総合商社「アサカ物産」を築き上げる。天倫の内縁の夫。天倫の死の直後に後を追うようにして急逝。財産の半分を清白屋に残した。
朝賀昌子
英尚の正妻。器量の大きな女性で、恵慈からも一目置かれている。

[編集] その他京都の人々

夏世(なつよ)
清白屋の裏の医院「芙蓉」の院長を務める女医。
「芙蓉」はかつては置屋だったが、一人娘の夏世は家業を継がず医者になった。京都大学医学部を出た後、アメリカでの勤務医を経て実家を医院に改装して開業[1]。乙女の中学校の同級生で恵慈や清白屋の芸妓・舞妓たちの良き姉貴分。専門は外科。
梅衣(うめきぬ)
本名不明。上七軒の「春告」に所属する美人芸妓。乙女と同じく西陣の染め屋の娘であったが、家が破産・廃業した際に春告に引き取られた。とある事件をきっかけにして清白屋と付き合いが始まり、現在では胡蝶の友人。大阪の実業家と愛人関係にある。
真広(まさひろ)
名字不明。室町にある京友禅の染物屋「橘正屋(きっしょうや)」の主人。居合いの達人でもある。恵慈の幼馴染みでともに鞍馬寺で剣の修業をしていた。後に結花に求婚するも振られる。息子一人あり。

[編集] 神楽坂の人々

十子(とおこ)
名字不明。神楽坂の芸者「一二三(ひふみ)」と実業家の間に生まれた娘。母と死別した後、上七軒の「春告」に引き取られ、仕込みとして育つ。店出し前の17歳の時、母が所属していた置屋「加祖江(かぞえ)」に円満移籍。
三五(さんご)
本名不明。加祖江の三代目女将。
逸未(いつみ)
名字不明。三五の養女。母はかつて加祖江に所属していた芸者であったが児童虐待によって親権養育権を失った。現在は司法実習生
正田松籟(しょうだまつかぜ)
エッセイスト・実業家。神楽坂界隈の町火消しから発展した企業グループ「正田組」の八代目組長。中学生時に鞍馬山を訪問し、恵慈や真広と知り合う。

[編集] 神仏

魔王尊(まおうそん)
鞍馬寺の本尊の一柱。胡蝶の舞いのファンで、しばしば物語に絡む。
阿吽(あうん)
鞍馬寺の毘沙門天が清白屋に用がある際に使わす二匹の虎。恵慈の料理が大好物。毘沙門天を祀る古刹にはそれぞれ別の個体が存在しているらしく、神楽坂の善国寺には鞍馬とはまた違った阿吽が棲みついている。

[編集] その他

胡蝶ら清白屋の芸妓・舞妓たちの師匠は五世井上八千代であるが、この女性の夫の九世観世銕之亟成田美名子の漫画『花よりも花の如く』の監修者で、作中に登場する相葉匠人のモデルである。