猫絵十兵衛 御伽草紙

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猫絵十兵衛 御伽草紙』(ねこえじゅうべえ おとぎそうし)は、永尾まるによる日本漫画少年画報社の『ねこぱんち』2007年4月号から連載中。「御伽草子」ではなく「御伽草紙」が正しいタイトルである。

ハピネット運営の「Manga 2.5」により、2013年12月にモーションコミック化されている。全5話。

概要[編集]

時代設定は江戸時代。大勢の猫が居着いている「猫丁長屋」に住む猫絵師の十兵衛と、十兵衛の描いた猫絵に効能としての呪力を吹き込む元猫仙人の猫股ニタのコンビの周辺に起こる出来事を綴った一話完結様式の連載漫画[1]

ニタをはじめとした複数の猫股や化け猫の他、人に徒なす存在も登場する退治譚もあるが、ねこマンガ誌に連載されているだけに、猫を中心とした日常的な生活に、少しばかりの不思議が混じった人情話が主である[1]

作者の永尾まるは、古今東西の猫に関する民話からヒントを得ていると語っている他[2]、登場人物のモデルに実際に猫好きであった画家である歌川国芳をもってきたり[3]や、女性の木彫り職人の名を飛騨匠の祖先の伝承から採ったり、鏝絵の名人「伊豆の長八」などの実在の職人にも、作中で触れている[2]。また猫絵売り(猫の絵かき)を始め、実際に江戸時代に存在していた物売り(桜草売り、母衣蚊帳売り、七味唐辛子売り、蝶々売り、など)を作品のそこかしこに登場させ[4][5]、ストーリーに絡めて、当時の江戸の町人の風俗や季節折々の年中行事や風習の様子も盛り込まれ、描かれている。

登場キャラクター[編集]

はモーションコミックのもの。

主要キャラクター[編集]

十兵衛
声 - 増田俊樹
三笠長屋(通称・猫丁長屋)に住む、鼠除けのの絵である「猫絵」を専門にする猫絵師。動植物の絵はうまいが人物画(特に女性を描くこと)は苦手。ある程度は猫と意思疎通ができる。垂れ目と茶色の髪が特徴。一見軽そうに見えるが、結構情に厚い。本人曰く、熟女が好みである。
彼自身幼少のころの話はあまり語っていないが、実は猫に育てられた孤児で、「猫の子」と呼ばれからかわれていたらしく、西浦にも語っている。幼少のころはかなりの泣き虫だった。彼の髪紐についている透明な玉は幼少期に猫にもらったもの。
十玄との出会いは、十玄が泣かず飛ばずだった頃、大勢の猫に囲まれた十兵衛を引き取り、絵の手ほどきを教えた。形式的には十玄の惣領弟子(一番弟子)。しかし十玄と絵に関して相違があり、十玄の家を飛び出し猫絵師となった。ただし破門はされておらず、師弟関係は良好である。
ニタ
声 - 杉田智和
十兵衛と同居している人語を話す猫。正体は猫股で、かつては肥後国天草下島にあるニタ峠の猫仙人を務めていた。「理(ことわり)」と称して猫がらみのやっかいごとに首を突っ込むのが大好き。笑い声は「ニョホホ」。
普段は三毛猫の姿になっているが、周りの人間からは、「狸」「狸猫」などと散々な言われようである。それとはうって変わり人型の時は、黒髪の長髪(両サイドに茶のメッシュが入っている)、緑色の瞳のかなりの美形になる。狩衣を着用。いたずら好き、面白いもの好きだが、清白によると「いい頭領」。なぜか十兵衛がきた次の日に書置きを残し、清白に半分押し付けた形で猫仙人を引退した。いつも酒を呑んでぐうたらしている。

人間[編集]

吉野十玄
猫吉などの号を持つ絵師で十兵衛の師匠。何匹もの猫を買う猫好きで、モデルは歌川国芳[3]。弟子志願の人間にテストとして猫を描きその優劣で弟子を決めるほどの猫好き。十兵衛への絵の評価は、「植物や動物を描かせたら一品だが、人物(若い女性)はからっきし駄目だ」。
濃野初風
細目の美男子でつかみどころがない男性。伝奇物から洒落本まで節操なく書く売れっ子戯作者だが、世間では女好きで有名。十兵衛によればクラゲみたいな奴。十兵衛を気に入っており、彼との仲を「合縁奇縁の仲」と言っている。
西浦弥三郎
声 - 高橋広樹
猫丁長屋に引越してきた浪人。滅法強く幽霊や妖怪の類にも動じないが、少年時代に猫仙人(ニタ)に脅かされたことがトラウマになって猫だけは大の苦手であったが同居するトラ助と耳丸のみは触ることが出来るようになった。当初は髭面だったゆえ十兵衛にクマと呼ばれたが、身嗜みを整えたところ、かなり男前だったことが発覚。これにはニタと十兵衛も驚いた。歳は19歳、長身で剣の腕はなかなかのものである。
奎庵
声 - 塾一久
猫長長屋の近くにある寺の住職。ハナダという猫をこよなく愛していた。仕事は遅い様子。
佐助
猫丁長屋の住人で左官職人。クロの飼い主。おもとに惚れている。
おもと
薬問屋である万屋店主の末娘。佐助と相思相愛の仲。バイタリティあふれる才女で、クロを盗んだ男を裸足で追いかけたりしている。
信夫(しのぶ)
木彫り職人見習い、女性。小さい頃から木を彫って遊んでおり、それが長じて高名な職人に弟子入りした。しかし女性であることを理由に兄弟子からからかいの対象とされていた。しかし努力を忘れず、その才能を濃野初風に認められ欄間(観月猫)を作成する。また、奎庵より木彫りのハナダ(構図は十兵衛)の作成を依頼された。
松吉
声 - 山本和臣
猫丁長屋近辺で蜆売りをしている少年。弟妹が最低6人いる。父親がおらず、母親も病弱で仕事ができないため、蜆や竹を売って家族を養っている。

猫又・猫[編集]

トラ助
猫丁長屋に住む子猫。西浦に懐いている。鳴き声は「うにゅん」。西浦によくらぶらぶアタックをかましている。
クロ
佐助に飼われている黒猫。万屋に大挙して押し寄せた鼠を追い払ったことから、万屋の用心棒猫として雇われる。万屋の客から「福々しい」と言われるほど太っている。
耳丸
西浦の家の居候猫。左耳の先端が欠けているためこの名を付けられたと推測する。犬をからかって逆襲を受け(十兵衛・翻訳)、息も絶え絶えのところを西浦に救われる。魚とりが大の得意。メスである。
(ハナダ)
声 - 近藤隆
白の長毛、オッドアイの猫。異形ゆえに殺されそうになったところを、奎庵和尚に助けられ共に暮らすこととなる。奎庵を喰い殺そうとした化け鼠を十兵衛、ニタの助太刀を得て撃退するが満身創痍となり生死の境を彷徨う。ニタの機転により暗夜によって根子岳の猫王のもとに搬送された。その後、回復した様子がコラムコミックで描かれている。 
猫石
ネズミよけのご利益があるとして祠に祀られている石で、魂が宿っている。形状は猫に似る。人や子猫に化身して、参拝者の少なくなった祠を毎日のように掃除してくれた松吉の手助けをしたり、猫を虐待する人間に対する猫裁判の裁判官をしたりするなどの威力を持つ。ニタとも親しくしている。
ササ
十兵衛との約束で松吉の家に貰われてきた三毛の子猫。七夕の夜、星の欠片とじゃれているうちに欠片が松吉の母親の体内へ吸収され病状が好転する。
暗夜
根子岳の猫王の側近。ニタに呼ばれて人間界に顔を出すことがある。新米の猫王シマの教育係としても頑張っている。

単行本[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 【漫画】猫キャラが活躍する『猫絵十兵衛 御伽草子』ほか2作”. ウレぴあ総研 2012年02月24日. 2012年9月25日閲覧。
  2. ^ a b 単行本2巻「あとのはなし」
  3. ^ a b コミックス1巻 214頁
  4. ^ それぞれの登場回収録コミックス巻末解説「あとのはなし」
  5. ^ 三谷一馬『彩色江戸物売図鑑』

参考文献[編集]

外部リンク[編集]