狂い咲きサンダーロード

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狂い咲きサンダーロード
監督 石井聰亙
脚本 石井聰亙
平柳益実
秋田光彦
製作 小林紘
秋田光彦
出演者 山田辰夫
音楽 泉谷しげる
PANTA&HAL
THE MODS
撮影 笠松則通
編集 石井聰亙
松井良彦
製作会社 狂映舎
ダイナマイトプロ
配給 東映セントラルフィルム
公開 日本の旗 1980年5月24日
上映時間 98分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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狂い咲きサンダーロード』(くるいざきサンダーロード)は、1980年に製作された日本映画。英題「Crazy Thunder Road」。

概要[編集]

逆噴射家族」「爆裂都市」「五条霊戦記」などのアクション映画で知られる映画監督の石井聰亙(現・石井岳龍)が日本大学藝術学部映画学科在籍時(当時22歳)に卒業制作として発表したインディペンデント映画である。完成後には学生映画にもかかわらず、松田優作主演の遊戯シリーズなどのプログラムピクチャーを製作していた東映セントラルフィルムの配給で全国公開されている。

劇団GAYAで座長をしていた山田辰夫や石井監督の後輩にあたる中島陽典の商業映画デビュー作であり、「いつか読書する日」「死刑台のエレベーター」などの映画監督の緒方明が助監督として、カルト映画「追悼のざわめき」などの映画監督の松井良彦が編集として、「悪人」「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」など数々のメジャー作品で撮影監督を務めている笠松則通が撮影で参加している。

劇中歌としてシンガーソングライター泉谷しげる、ロックバンドの頭脳警察のフロントマンだったパンタによるPANTA&HAL、パンクロックバンドのTHE MODSの楽曲が多数使用された。

本作で石井監督は第23回ブルーリボン賞のスタッフ賞を、主演の山田は第4回日本アカデミー賞・第5回報知映画賞・第2回ヨコハマ映画祭の各新人賞を、楽曲提供の他に美術監督としても協力した泉谷は同ブルーリボン賞の美術デザイン賞をそれぞれ受賞。また同ヨコハマ映画祭では自主製作映画賞も受賞している。キネマ旬報の第54回日本映画ベストテンでは第9位、同ヨコハマ映画祭日本映画ベストテンでは第3位に選出された。

コピーは「地獄まで咲け、鋼鉄の夢」「ロックンロール・ウルトラバイオレンス・ダイナマイト・ヘビーメタル・スーパームービー」。

物語[編集]

近未来。日本の何処かにあるという幻の街サンダーロードで鎬を削っていた暴走族達が、警察による苛烈な取締が実施される新道交法の成立を機に休戦協定を結ぶことになった。「新道交法を遵守して愛される暴走族になろう」という平和的な協定に、武闘派の鉄人暴走族として恐れられていた魔墓呂死(まぼろし)も参加を表明。かねてより恋人の典子(北原美智子)と堅気になろうと考えていた魔墓呂死リーダー・健(南条弘二)の一方的なこの決定に、特攻隊長の仁(山田辰夫)は猛反発する。あくまで暴走族としてツッパリ通すことにこだわる仁は、魔墓呂死特攻隊を率いて休戦協定の会合を襲撃、出席していた暴走族幹部達に重傷を負わせる。それでもなお協定を守ろうとする健に業を煮やした仁は、自ら新しい魔墓呂死リーダーになると宣言。仁と志を同じくする特攻隊メンバーの幸男(大池雅光)や茂(小島正資)らと新道交法を無視した暴走を繰り返す。

暴走を続ける仁に対して、協定により誕生した暴走族の連合組織・エルボー連合が制裁を加えるべく動きだした。エルボー連合は幸男を人質にして、仁にデスマッチ工場跡まで来いと要求する。多数に無勢という絶望的な状況を前にして特攻隊アジトのバックブリーカー砦からは逃亡者が続出。特攻隊は瓦解してしまう。幸男を見捨てることができない仁は、逃げずに残った茂、英二(中島陽典)、忠(戒谷広)だけで人質救出に向かう。群れをなして襲いかかってくる敵相手に果敢にも戦いを挑む仁とその仲間達。だが圧倒的優位に立つエルボー連合の前には歯が立たず、幸男は殺されてしまう。この窮地に茂からの連絡を受けた健とスーパー右翼の国防挺身隊が駆けつける。国防挺身隊で隊長を務めている魔墓呂死初代リーダーの剛(小林稔侍)による仲裁で九死に一生を得た仁達だったが、エルボー連合との衝突を避ける為に国防挺身隊に全員入隊せざるを得なくなる。しかし、厳しい戦闘訓練と徹底した政治教育に仁は全く馴染めず、街宣活動中にエルボー連合メンバーと乱闘騒ぎを起こしてしまう。仁は危険を承知で国防挺身隊からの脱退を決意。説得を試みようとした剛を振り切って飛び出していく。すぐに忠達も仁の後を追うが、その中に茂の姿は無かった。茂は、実はゲイだった剛の愛人になり、スーパー右翼として生きることを選んだのだ。

仁達は再び真夜中のサンダーロードを暴走する。それをエルボー連合が黙って見逃すはずがなく、警察や国防挺身隊に協力を要請して即座に暗殺部隊を送り込んでくる。国防挺身隊の隊員で構成された暗殺部隊の闇討ちに為す術もなく捕らわれ、チェーンソーで右手足を切断されてしまう仁。共に激しいリンチを受けた英二は脳死状態になり、忠は情容赦無いエルボー連合への恐怖から街を去っていく。孤独、そしてバイクには2度と乗れない己の体に絶望した仁は麻薬に溺れ、放浪の日々を送る。堕ちる所まで堕ちた仁だったが、それでも決してエルボー連合達への怒りと憎しみを忘れることは無かった。放浪の末に仁は闇マーケットにたどり着き、麻薬密売人のジャンキー小学生・小太郎(大森直人)の手引きで武器商人マッドボンバー(吉原正皓)と接触。ショットガンやバズーカ、ダイナマイトなどの調達に成功する。「街中のやつら全員ブッ殺してやる」。漆黒のバトルスーツで全身を覆い、復讐に心を燃やす戦闘マシーンと化した仁は、助っ人を買って出たマッドボンバーや小太郎と共にサンダーロードに殴り込みをかける。

劇中歌[編集]

「電光石火に銀の靴」
作詞/作曲/歌 - 泉谷しげる
オープニングと最終決戦で使用。アルバム「光石の巨人」収録。
「翼なき野郎ども」
作詞/作曲/歌 - 泉谷しげる
エンディングで使用。アルバム「'80のバラッド」収録。
「俺の女」
作詞/作曲/歌 - 泉谷しげる
魔墓呂死メンバーが集うスナック「クロコダイル」で、仁と健が協定を巡って対立する場面で使用。アルバム「都会のランナー」収録。
「王の闇」
作詞/作曲/歌 - 泉谷しげる
スナック「クロコダイル」で健と典子がサイレント映画風の演出で語り合う場面で使用。アルバム「都会のランナー」収録。

逸話[編集]

  • 低予算の為に撮影は過酷を極め、後に助監督の緒方は「殺人以外のことは全てやった」と発言している。重傷を負った仁の入院場面にある医療器具は、緒方がとある病院から無断で拝借したものが使用されている[1]
  • 元魔墓呂死リーダーでゲイの右翼という設定の剛を演じた小林稔侍は、自身のファンであった石井監督からの依頼に、台本を一切読むことなく出演を快諾した。経験不足からカースタントを巧くこなせないスタッフをサポートするなどして過酷な現場を支えた[2]
  • クライマックスの最終決戦の数カットでは、石井自らバトルスーツを着て演技をしている[3]
  • 北野武は「映画評論家と映画監督が選ぶトップ10リスト」の第9位にこの作品を挙げている[4]
  • ロックバンド、ギターウルフのメンバーであるセイジはこの作品の大ファンであり、「1番愛する日本映画」「何か大事なことがある前は必ず観る」とインタビューで答えている。主役の山田辰夫と雑誌で対談した際には、彼から台本をプレゼントされている[5]
  • 映画ポスターのイラストは泉谷しげるが手がけている(小林よしのりという説があったが、これは誤り)[6]

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~』、「狂い咲きサンダーロード」オーディオコメンタリー
  2. ^ 石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~』、オリジナルブックレット
  3. ^ 石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~』、オリジナルブックレット
  4. ^ http://www.combustiblecelluloid.com/faves.shtml
  5. ^ 石井聰亙作品集DVD-BOX 1 ~PUNK YEARS 1976-1983~』、オリジナルブックレット
  6. ^ http://seishun.mizushine.com/archives/1216 (『観ずに死ねるか! 傑作青春映画』出版記念特集上映会トークショーより)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]