状態量
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状態量(じょうたいりょう)とは、熱力学において、系(巨視的な物質または場)の状態だけで一意的に決まり、過去の履歴や経路には依存しない物理量のことである。元来は熱平衡状態にある系だけで定義されるものだが,非平衡状態にも拡張されて用いられる。
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概要 [編集]
熱平衡状態にある熱力学的な系の状態は、互いに独立な幾つかの状態量の組により指定できる。独立変数であるこれらの状態量の組は状態変数と呼ばれる。他の状態量は状態変数の関数、すなわち従属変数となり、状態関数或いは熱力学関数と呼ばれる。状態関数を状態変数によって表す数式を状態方程式という。どの状態量を独立変数として選ぶかは任意であり、どの状態量も変数にも関数にもなれることから、状態変数と状態関数は状態量の同義語としても使われる。言い換えれば、状態量(状態変数)は熱平衡状態にある巨視的な系の状態を特徴づける量とも定義できる。
実用的立場から、均一系での独立変数としては、圧力、温度、体積、エントロピーのうちの2つを選ぶことが多い[1]。多成分系では、各成分物質の物質量(モル数)または各成分に対する化学ポテンシャルを、電場下にある系では分極か電場を状態変数として追加しなければならない[2]。
仕事や熱量は状態が同じでもそこに至る経路によって異なるので、状態量ではない。ただし熱量を温度で割って積分した量であるエントロピーは、その経路に依存しない状態量である。
ある熱力学的状態にあるとき、状態量の数からそれら相互間の束縛条件の数を差し引いたもの(つまり自由に決められる状態量の数)を自由度という。
示量性と示強性 [編集]
状態量すなわち状態変数は示量変数(extensive variable)と示強変数(intensive variable)の2種類に分けられる。示量性の定義は文献により、「系全体の量が部分系の量の和に等しくなること」という定義[3][4][2]と「系の大きさ、体積、質量に比例すること」という定義[5][6][7]とがある。厳密には前者の性質は相加性、後者の性質は示量性として区別する[8][9]。均一系の状態量は相加性ならば示量性となるが、部分系ごとにその量の密度が異なる不均一系の場合には相加性であっても示量性とはならない。しかし熱力学では部分系として均一なものを取ることが普通であり、部分系においては相加性と示量性が一致するようにできる。従って、相加性と示量性は区別しない流儀の方が多い。
示量性(相加性)を持たない状態変数を示強変数という。示量性状態量と示強性状態量の中には、体積と圧力のように互いに掛け合わせるとエネルギーの次元をもった示量性の量となるものがある。このような関係を(互いに)共役な関係または双対な関係と言う。
それぞれの例には次のものがある。
完全な熱力学関数 [編集]
系の熱力学的性質の情報を全て持つように、変数を選んで作られた熱力学関数のことを完全な熱力学関数(熱力学ポテンシャル)と呼ぶ。
詳細は「熱力学ポテンシャル」を参照
参考文献 [編集]
- ^ 化学大辞典編集委員会(編)「化学大辞典-第3版」共立(2001/09,初版1960/09)
- ^ a b 「物理学辞典-改訂版」培風館(1992/05)
- ^ 原島鮮「熱力学・統計力学 改訂版」培風館 (1978/09)
- ^ 都筑卓司「なっとくする熱力学」講談社 (1993/12)
- ^ 「物理学辞典-三訂版」培風館(2005/09)
- ^ 長倉三郎、他(編)「岩波理化学辞典-第5版」岩波書店 (1998/02)
- ^ 藤原邦男;兵頭俊夫「熱学入門―マクロからミクロへ」東京大学出版会(1995/06)
- ^ 佐々真一;兵頭俊夫「熱力学入門」共立出版 (2000/04)
- ^ 清水明「熱力学の基礎」東京大学出版会(2007/03)