犢子部

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犢子部(とくしぶ、: Vātsīputrīya, ヴァートシープトリーヤ)は、釈迦の没後300年頃に分派した、部派仏教の一派である。上座部系の説一切有部から分派した。

この派は、輪廻の主体としての人格的主体である「補特伽羅」(ほとがら、: Pudgala, プドガラ)を、五薀のほかに想定したことが特徴である。その理由は、生命とは五薀の仮和合(けわごう)によって構成された仮の存在で実体を持たない(無我)という説と、人間が死んだ後に輪廻するという、二つの説を説明するためであると考えられる。

「主体が存在しない輪廻」の理解に苦しんだ後代の仏教徒が、無我説と輪廻説をつなぎ合わせるために、苦肉の策として、無自性である五蘊の他に、死後も存続する「補特伽羅」を想定した。この説は、輪廻に主体を想定するため、「補特伽羅」という名称で常住の主体(アートマン)を認めることになる。結果、常住論に陥るため、理論上、輪廻の解脱を語ることができなくなってしまう。

脚注・出典[編集]

関係論文[編集]

関連項目[編集]