特発性過眠症

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特発性過眠症(とくはつせい[1]かみんしょう)とは、持続性あるいは反復性の日中の過度の眠気の発作を主症状とする睡眠障害の一種である。そもそも特発性とは、原因が判明していないことを指す言葉であり、特発性過眠症の原因は判明していない。

他の過眠症状を持つ睡眠障害と同様、一般への知名度が低いうえ、専門医が非常に少ないため、罹患者に対する正しい診断・治療が受けられないことや、まわりの人間からの理解が得られにくいなど、罹患者には大きな負担がかかっているのが現状である。なお、他の過眠症状を持つ睡眠障害ナルコレプシー睡眠時無呼吸症候群など)と比べても、知名度は低い。

ICSD-2では、特発性過眠症を、長時間睡眠を伴うものと伴わないものに細分化している。

症状[編集]

睡眠発作
日中の、耐え難い眠気に襲われるという発作。
急激な眠気ではなく、徐々に強まる眠気という特徴から、車の運転等においては眠気を感じてから休息を取ることが可能であるとされる。
ナルコレプシーよりは日中の眠気は弱い(入眠潜時の平均値は6.2分±3.0分[2])とされる。
目覚めが悪い
朝の目覚めが悪く、頭が重い、頭が痛い、たちくらみ、めまいがするなどの症状が多く報告される。重度の場合、見当識障害の報告もある。
日中の睡眠発作後、すっきりとしない場合が多い。

原因[編集]

中枢神経系に原因があると推測されているが、明確な原因は判明していない。

長時間睡眠を伴う特発性過眠症については、ヒスタミン神経系の伝達が低下している可能性についての研究報告がある。

診断[編集]

以下は、ICSDによる診断基準。

  • 長時間にわたる睡眠エピソード、過度の眠気、あるいは過度に深い睡眠の訴え。
  • 夜間睡眠が長時間に及ぶこと、あるいは頻繁な日中の睡眠エピソードの存在。
  • 発症は徐々で、多くの場合25歳未満で発症する。
  • 訴えの持続が少なくとも6カ月以上。

但し、通常は「他の睡眠障害によって、過眠症状を説明できない」という診断基準を設ける場合が多い。他の過眠障害と区別するための診断基準としては、以下のようなものがある。

  • ナルコレプシーの主症状である、情動脱力発作を伴わない。
  • 睡眠時無呼吸やむずむず脚など、他の睡眠障害を示す、目に見える特徴を伴わない。

ICSD-2では、特発性過眠症を、長時間睡眠を伴うものと伴わないものに細分化されているため、診断基準に主睡眠の睡眠時間の長さ(長時間睡眠を伴わないものは6~10時間、長時間睡眠を伴うものは10時間以上)や日中の睡眠エピソードの長さが付け加えられている。

治療[編集]

  • 自然治癒した報告はほとんどない。
  • 通常の精神賦活剤では効果がみられないことが多い。
  • モダフィニルメタンフェタミンが有効である場合があるとの報告もあるが、効果について明確なところは判っていない。

その他[編集]

  • 25歳以前の発症が一般的で、ICSD-2の診断基準にも含まれている。なお、小児での発症はほとんど報告されていない。
  • 罹患率は不明だが、ナルコレプシー(約500~600人に1人)の10分の1程度と見られている。
  • 性差は見られない。

出典[編集]

  1. ^ 「とっぱつせい」ではない。
  2. ^ 過眠症ランド - 長時間睡眠を伴う特発性過眠症

関連項目[編集]

外部リンク[編集]