牛疫
牛疫(ぎゅうえき、独:Rinderpest)とは牛疫ウイルスの感染を原因とする偶蹄類の感染症。家畜伝染病予防法における法定伝染病であり、対象動物はウシ、スイギュウ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ、イノシシ。牛疫の患畜、擬似患畜は牛肺疫、口蹄疫、アフリカ豚コレラの患畜、口蹄疫、アフリカ豚コレラの擬似患畜と共に殺処分の義務がある。
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原因 [編集]
齧歯類を自然宿主とするパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae) 、モルビリウイルス属(Morbillivirus) に属する 牛疫ウイルスRinderpest ウイルスが原因の感染症。一本鎖のマイナスRNAウイルスであり、大きさは約150nm、エンベロープを有する。同属のウイルスとして犬ジステンパーウイルス(CDV)および麻疹ウイルスがある。
疫学 [編集]
感染動物の排泄物の飛沫などに直接接触することで伝播する。感受性のある動物でも種によって、牛でも品種によって感受性に差があり、和牛では感受性が高い。
2010年までに牛疫を世界から撲滅する計画がFAOによって策定[1]され、活動が続いており、2011年に撲滅宣言が発表された[2]。
- 世界 歴史的には古くからある伝染病で、約4000年前のエジプトの文書や旧約聖書にも登場する。18世紀のヨーロッパでは、約2億頭の牛が死亡した。この大流行は、社会的に多大な影響を与えている。例えば、ローマ帝国の東西分裂の引き金となり、植民地主義を台頭させアフリカの植民地化を促進させた。ほかには、職業獣医師、獣医学専門大学が登場するきっかけとなった。更に複数国家にまたがる家畜伝染病対策体制を整備させ国際獣医学会議、国際獣疫事務局(OIE)を発足させた。
- 日本では1894年(明治27年)に朝鮮半島から輸入された牛で発生し、港湾検疫が開始されるきっかけとなった。1918年に蠣崎千晴が世界最初の牛疫ワクチン(不活化ワクチン)を開発した。
1922年以来発生がない。
症状 [編集]
自然感染に対して最も感受性の高い動物は牛と水牛であり、2から9日の潜伏期の後、突然の41度程度の発熱、食欲減退、鼻汁、口腔内の点状出血や潰瘍がみられ、下痢を示す。その後、脱水症状を示し起立不能となる。発熱から6~12日後の死亡率が高く、第3週まで生存すれば回復する。
診断 [編集]
診断には兎免疫血清を用いたCF反応や寒天ゲル拡散法、ELISAなどが用いられる。
治療 [編集]
効果的な治療法は存在しない。
予防 [編集]
予防には弱毒生ワクチンが用いられる。但し、2010年までの根絶計画に基づき、2002年末からはワクチンの接種は中止されている。
日本では10万頭分のワクチンを動物衛生研究所が製造し、国が備蓄している[3]。
関連項目 [編集]
参考文献 [編集]
- 清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4874020747
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
- 牛疫ウイルス感染 MDCK 細胞の電子顕微鏡的研究 (PDF) 岡山大学
脚注 [編集]
- ^ 2010年末までに牛疫の根絶を 財団法人 日本生物科学研究所 日生研たより 2008年(平成20年)5月号
- ^ FREEDOM FROM THE WORLD NO.1 CATTLE PLAGUE : RINDERPEST (PDF) FAO
- ^ 牛疫(rinderpest) (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
外部リンク [編集]
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