無線電話用特定小電力無線局
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無線電話用特定小電力無線局(むせんでんわようとくていしょうでんりょくむせんきょく)とは、特定小電力無線局の一種で400MHz帯を使用し近距離の音声通信を行うためのもので、特定小電力トランシーバー、特小トランシーバーなどと呼ばれるものである。
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概要 [編集]
無線局の免許や無線従事者の資格は不要で誰でも自由に使用できる。 その反面、 総務省規定に定められた技術基準に適合することが認証された技適マークがついた機器(適合表示無線設備という。)のみしか利用できない。 また、筐体は容易に開けられないように特殊ねじなどが用いられているので、利用者は改造はもちろん保守・修理の為であって分解してはならない。 改造したものは技術基準適合証明が無効となるので、不法無線局となる。 なお、日本独自の制度であるので外国での使用はできない。持込みができたとしてもその国で使用を許可されたということではない。
特定小電力無線局が法制化された1989年(平成元年)から郵政省(現 総務省)告示 [1] に無線電話用が用途の一つとして定められている。
種類
次の二つに大別される。
- 421MHz帯及び440MHz帯、422MHz帯を使用するもの
- 413MHz帯及び454MHz帯を使用するもの
普及状況
総務省が三年毎に実施する電波の利用状況調査の中で、無線電話用特定小電力無線局を含む免許不要局の出荷台数を調査している。(出荷台数参照)
421MHz帯及び440MHz帯、422MHz帯を使用するもの [編集]
特徴 [編集]
制度化当初から郵政省令(現 総務省令)無線設備規則及び告示 [1] に技術基準が定められ、この内の周波数や空中線電力、通信時間制限などに変化は無い。 更に電波システム開発センター(略称 RCR)(現 電波産業会(略称 ARIB))が技術基準を含めて標準規格「RCR STD-20 特定小電力無線局 無線電話用無線設備」を策定している。 電波型式は、当初FM(アナログ)のみであったが、後にデジタルが追加され、一筐体にアナログとデジタルの両方式を搭載したものがある。
規格には中継器を附属装置とすることが考慮されている。 中継器には、
- 無線機そのものが中継器の機能を併せ持つもの
- 高周波部と制御部を分離でき高周波部を屋外・高所に設置して見通し範囲の改善を図るもの
- 中継器というよりも業務無線やMCA無線との接続装置というべきもの
- 中継器相互間をLANやインターネットで接続して法人・団体内の通信網として利用できるもの(この中にはIP電話や登録型デジタル簡易無線に接続できるものもある。)
がある。
通信方式としては、
- 交互に送信する単信方式、
- 携帯電話と同様に二者間で同時通話ができる複信方式、
- 中継器を介するため複数波を使用するが交互送信の半複信方式、
- 一方的に音声やデータを送る単向通信方式、
- 狭いエリア内の放送といえる同報通信方式
がある。 これを無線機器としてみると、ウォーキートーキー、インターカム、ワイヤレスインターホン、 車載無線機と車から離れた運用者との中継システム、 自動車セキュリティ機器に組み込まれた車内音モニタシステム、 機器の異常状態を通報する音声自動通報システム、 工場や展示会などの案内ガイドシステムなどがある。
通信内容に制限は無いが、
- 空中線電力が最大10mWなので近距離通信に限定されること
- 多くの使用者が周波数を共用しているため通信を行いたいときにできない可能性があること、
- 通信の秘匿性がデジタル方式導入により向上したとはいえ他の業務無線より低いこと
からレジャーや重要性の低い業務に使用される。
技術基準 [編集]
周波数
- 単信方式、単向通信方式、同報通信方式用(12.5kHz間隔21波)
- 422.0500~422.3000MHz(422.1875MHzは周波数制御用)
- 複信方式、半複信方式、同報通信方式用(12.5kHz間隔56波、18.45MHz間隔の二周波数28組として使用)
- 421.5750~421.9125MHz(421.8000MHzは周波数制御用)
- 440.0250~440.3625MHz(440.2500MHzは周波数制御用)
電波型式
F1D、F1E、F2D、F2E、F3E、F7W、G1D、G1E、G2D、G2E、G7E、G7W、D1D、D1E、D2D、D2E、D3E、D7E、D7W
- 全ての電波型式のものが製造・販売されているわけではない。
空中線電力
10mW以下
その他
- 通信時間を自動的に3分(又は送信時間を30秒(周波数制御用チャネルでは0.5秒))以内に制限し、その際は2秒経過しなければその後の通信を行わない機能を有しなければならない。
- 空中線電力1mW以下で421.575~421.8MHz又は440.025~440.25MHzを使用する場合には不要。
- 一定レベル以上の受信信号(絶対利得が2.14dBの空中線に誘起する電圧が7μV以上)があると(複信方式及び半複信方式のものにあっては、受信周波数に対応する送信周波数における)送信を禁止する機能(キャリアセンス)が必要。
- 空中線電力が1mW以下の複信方式又は半複信方式は、自局の送信周波数でキャリアセンスを行うことができる。
- 一の筐体に収められており、容易に開けることができないこと。ただし、電源設備、制御装置、送信装置及び受信装置の動作の状態を表示する表示器、音量調整器及びスケルチ調整器、送話器及び受話器、周波数切替装置、送受信の切替器は一の筐体に収めることを要しない。
- 空中線電力の許容偏差:上限20%、下限50%
- 帯域外領域におけるスプリアス発射の強度の許容値:25μW以下
- スプリアス領域における不要発射の強度の許容値:25μW以下
- 占有周波数帯幅の許容値:8.5kHz
- 周波数の許容偏差:0.0004%
- 送信装置の隣接チャネル漏洩電力:搬送波の周波数から12.5kHz離れた周波数の±4.25kHzの帯域内に輻射される電力が搬送波電力より40dB以上低いこと
注意事項 [編集]
周波数
無線機の搭載チャネル(通話波)数は様々なものがあり、市販された実績のあるものを掲げる。
単信方式
- 422.05~422.175MHzの11チャネル機(ビジネス用と称した。)
- 422.2~422.3MHzの9チャネル機(レジャー用と称した。)
- 両者を搭載した20チャネル機
- ビジネス用の2チャネルを省略した18チャネル機
- レジャー用、ビジネス用の表記は制度開始当初の郵政省のガイドラインによるもので、使用状況にあわせて周波数を限定しようと試みたものである。メーカーもレジャー用のみの販売や販路を家電製品なみに多様に、ビジネス用を業務用機に準ずるものとして限定したが、レジャーとビジネスの区別もあいまいで用途を制限する法的根拠もなく至るところでチャネル数の不足を招き、程なく20チャネル機も製造、3種類を販路にこだわらず市場に投入するに至った。
複信方式
- 421.575~421.7875MHzと440.025~440.2375MHzの18チャネル機
- 421.8125~421.9125MHzと440.2625~440.3625MHzの9チャネル機
- 両者を搭載した27チャネル機
- 3種類が市販された経緯は単信方式と同様で9チャネル機がレジャー用、18チャネル機がビジネス用に相当する。
単信方式と複信方式
- 単信11チャネルと複信18チャネルを搭載した29チャネル機(ビジネス用に相当)
- 単信9チャネルと複信9チャネルを搭載した18チャネル機(レジャー用に相当)
- 単信20チャネルと複信27チャネルを搭載した47チャネル機
チャネル番号はRCR STD-20に規定されてはいるが、実際にはメーカーや機種によて異なり使用前には交信できるかの確認が必要である。
電波型式
アナログはF3E、デジタルはF1E(GMSK、4値FSK)のものがあり、アナログとデジタル、異なるデジタルは交信できない。
その他
- 周波数と電波型式とが一致すれば基本的にどのメーカーのどの機種とも交信できる。
- スケルチ機能のうち、トーンスケルチ、デジタルコードスケルチについては仕様が統一されているもののメーカー毎に表示が一致していないものがあり、製造時の設定条件によっては異なる機種で動作が不確実になることもある。
- 秘話機能、MCA方式などメーカー独自の機能については他社機種では動作が保証されない。
アマチュア無線類似の利用 [編集]
一部のアマチュアは、アマチュア無線に類似した利用をしている。
- 不特定の者との交信。この場合、小出力でアンテナ交換不可という制約を逆手に取り、山頂など見晴らしの良い所から運用する(アマチュア無線のQRP運用に相当)。
- ラジオダクトを利用した遠距離通信の実験(同 アマチュア無線#遠距離通信 (DX) )。
- レジャー用3ch(422.225MHz)が多用される。
- 高所に設置したりインターネットに接続した中継器を一般に開放して広域で交信する手段の提供(同 レピーターやD-STAR)。
413MHz帯及び454MHz帯を使用するもの [編集]
特徴 [編集]
工場・プラントなどの事業所構内、建設・工事現場などで使用していた作業連絡用陸上移動局が特定小電力無線局に移行したもので、これもARIBが「標準規格 RCR STD-31 空中線電力1mW以下の陸上移動業務の無線局(作業連絡用)の無線設備」を策定している。 親局と多数の子局との間で双方向同時通話を行うものが一般的で、親局が454MHz帯を子局が413MHz帯を使用しているものが多い。
技術基準 [編集]
周波数
同報通信方式、複信方式又は半複信方式用(96波)
- 413.7000~414.14375 MHz(6.25kHz間隔72波、インターリーブ)
- 454.0500~454.19375 MHz(6.25kHz間隔24波、インターリーブ)
電波型式
F2D、F3E
空中線電力
1mW以下
- 給電線の使用は可能である。
- アンテナは絶対利得2.14dB以下でなければならない。
その他
- 通信時間の制限はなく、キャリアセンス機能も不要
- これ以外の条件は、421MHz帯及び440MHz帯、422MHz帯を使用するものと同様である。
注意事項 [編集]
- 子局の周波数は72波の内の任意の24波とされている為、メーカーや機種によっては交信できないことになるので導入前に周波数の確認が必要である。
- チャネル番号はRCR STD-20(RCR STD-31ではない。)に規定されてはいるが、実際にはメーカーや機種毎に異なり使用前には交信できるかの確認が必要である。
- 秘話機能などメーカー独自の機能については他社機種では動作が保証されない。
旧技術基準による機器の使用期限 [編集]
技術基準の改正により、無線設備規則附則に「平成17年11月30日までに認証を受けた適合表示無線設備の表示は平成34年12月1日以降は表示されていないものとみなす」とある。 すなわち、旧技術基準で認証された機器は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない。
沿革 [編集]
1989年(平成元年) 特定小電力無線局の一種として制度化された。
- 呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられていたが、メーカー記号と製造番号を送信するもので具体的な使用者を特定できるものではない。
1998年(平成10年) 呼出名称記憶装置の搭載が廃止された。
2000年(平成12年) 電波型式にデジタルが追加された。
2001年(平成13年) 作業連絡用の空中線電力1mW以下の陸上移動業務の無線局が免許不要となり無線電話用とされた。
2005年(平成17年) 平成17年11月30日までに認証を受けた適合表示無線設備は、平成34年12月1日以降は使用できないとされた。
2006年(平成18年) 電波の利用状況調査結果の中で、無線電話用特定小電力無線局を含む免許不要局の出荷台数が公表された。
- 以降、三年周期で公表される。
出荷台数 [編集]
| 年度 | 平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | 平成17年度 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 |
| 台数 | 203,510 | 214,811 | 241,408 | 410,090 | 421,376 | 445,812 | 279,455 | 241,497 | 252,841 |
「電波の利用状況調査の調査結果」 [2] [3] の「第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)」による。
諸外国の類似規格 [編集]
日本以外の400MHz帯を使用する免許不要の無線電話用システムには以下のものがある。 周波数が異なるためこれら諸外国の機器は日本で使用できない。
米国 [編集]
- Family Radio Service(FRS)
- 周波数:462MHz帯7チャネル及び467MHz帯7チャネル
- 電波型式:F3E、F2D
- 最大実効輻射電力:0.5W
CEPT加盟国 [編集]
- 周波数:446MHz帯8チャネル
- 変調方式:周波数変調
- 最大実効輻射電力:0.5W
- Digital PMR 446
- 周波数:446MHz帯16チャネル
- 変調方式:デジタル変調
- 最大実効輻射電力:0.5W
注 CEPTとは、欧州郵便電気通信主管庁会議のことである。加盟国であっても導入されていない場合がある。
脚注 [編集]
- ^ a b 平成元年郵政省告示第42号 電波法施行規則第6条第4項第2号の規定に基づく特定小電力無線局の用途、電波の型式及び周波数並びに空中線電力(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
- ^ 過去の電波の利用状況調査の調査結果及び概要(総務省電波利用ホームページ)
- ^ 平成23年度電波の利用状況調査の調査結果の公表(総務省 - 報道資料 平成24年5月18日)
参考文献 [編集]
- 電波法及び関係省令・告示
- 電波産業会標準規格