心中

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

無理心中 から転送)

心中しんじ(ぢ)ゅう)は、相愛の二人が一緒に自殺すること。情死。転じて2人以上で一緒に自殺することにも用いる。正確に意訳できる英単語はなく、日本独自の死生観と言われる。

心中とは他人に対して義理立てをする意味で用いられていたが、江戸時代には、刺青切指等の行為と同様に男女の相愛を意味するようになる。自らの命をも捧げる事が義理立ての最高の証と考えられたことから、現在の心中の意味になった。情死を賛美する風潮も現れ、遊郭遊女と心中する等の心中事件が増加して社会問題となる。

幕府は心中は漢字の「忠」に通じるとしてこの言葉の使用を禁止し、相対死(あいたいじに)と呼んだ。心中した者を不義密通の罪人扱いとし、死んだ場合は「遺骸取捨」として葬式埋葬を禁止し、一方が死に、一方が死ななかった場合は生き残ったほうを死罪とし、また両者とも死ねなかった場合は非人身分に落とした。1722年には心中物の上演を禁止した。

情死を主題とする物語を「心中物」という。近松門左衛門の『曽根崎心中』、浮世草子『心中大鑑』、落語品川心中』等が知られる。

[編集] 心中の種類

情死
相愛の男女による心中。この世で結ばれないことから、来世で結ばれることを願う。
一家心中
一家そろって自殺する事で、家族心中・親子心中ともいう。子供に関しては、ほとんど無理心中の形であると考えられる。自分が自殺しようとしたとき、自分の子(稀に親)が現世に一人残されるのを不憫に思い、子(または親)を殺して自殺すること。実質的な無理心中だが、日本では悲劇として語られることが多かったため、分けて考えられる事も多い。近年では老老介護介護疲れや生活苦による老年齢の親子や夫婦による一家心中などが報道されることが多い。
無理心中
相手の合意無く行われる心中で首謀者が相手を殺害する。実際は殺人として扱われ、首謀者が生き残れば当然殺人罪に問われる。恋愛のもつれから恋人を殺害して自殺する場合など。一家心中の状況で子供を殺害して心中に及びながら当人だけは生き延びた場合などは非難の意味を込めて無理心中と呼ぶ場合がある。近年ではストーカーが最終手段としてストーカー被害者を殺害して自殺するというケースが報告されている。
ネット心中
インターネット自殺サイト等で知り合った見ず知らずの複数の他人が、一緒に自殺すること。お互いに全く繋がりがないという点が、従来の心中とは異なっており、社会問題として取り上げられる事が多い。状況としては2人以上の複数人で、密室の中で練炭をたいての集団自殺をする事例が多い。

[編集] 関連項目

[編集] 関連書

  • 堀江珠喜 『純愛心中』「情死」はなぜ人を魅了するのか 講談社現代新書 講談社 ISBN 4061498258
  • 小林恭二 『心中への招待状』華麗なる恋愛死の世界 文春新書484 文藝春秋 ISBN 4166604848
  • 仲晃『「うたかたの恋」の真実』ハプスブルク皇太子心中事件 青灯社 ISBN 4-86228-003-X C1022
他の言語