無断駐車

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無断駐車(むだんちゅうしゃ)とは、公道、または、公有地、または、私有地に、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、駐車すること、または、駐車状態を継続することである。

概説[編集]

自動車が広く普及した社会においては、私用または業務で車両で外出した時に、公道、または、公有地、または、私有地に、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、何分・何十分・何時間などの短時間の駐車することは日常的に発生する。

自動車の保管場所の確保等に関する法律では自動車の保有者は、その車両を使用していない時に保管する駐車場を確保し警察に届け出て証明書の交付を受けなければならない[1]。法律を順守して自動車を保有する場合は、保有者は自動車を警察から交付された保管場所証明書に記載されている保管場所に保管する。法律を順守せずに自動車を保有した場合、転居後に自動車の新たな保管場所を確保しない場合、私人間で自動車を売買したが名義変更や保管場所の確保をしていない場合、私人間で貸し借りしている場合などは、自動車の保有者や使用者の自宅または職場に自動車の保管場所がない場合は、自動車の保管場所が確保されずに保有または使用されている状態になり、公道または公有地または私有地を、常時の駐車場所として、何日・何週間・何月・何年などの長期間連続して無断侵入・無断駐車・無断占拠が継続される状態になる。

違法性[編集]

日本語の匿名投稿サイトにおいて、公道以外の場所である公有地や私有地は道路交通法が適用されないから、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、その土地に侵入し、駐留または駐車し、その土地の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、その土地に駐留・駐車・占拠を継続することは、道路交通法の対象にならないから、いかなる犯罪行為でも違法行為でもなく、警察裁判所はその行為を犯罪として摘発しやめさせることはできない、公道以外の土地に対する無同意の侵入、駐留・駐車・不退去・占拠の継続はやりたい放題である、という言説が広く流布されているが、法律に不勉強で無知な人がそれを認識せずに、いかなる犯罪行為でも違法行為でもないと、誤認・誤解に基づいて、結果として犯罪行為を正当化し扇動している状況になっている[2]

上記の言説の誤認・誤解は、日本に道路交通法以外の法律が存在しなければ成り立つが、現実には道路交通法以外の法律は多数存在し、それらの法律に違反するので犯罪行為・違法行為になり、警察に摘発され、裁判で有罪判決を受けた判例も存在するので、犯罪行為・違法行為にはならないという認識は誤認・誤解である(下記の節を参照)。

公道の場合[編集]

道路交通法の第44条~第50条において違法な駐車・停車の条件が規定されている[3]。下記の節の駐停車禁止、駐車禁止の構成要件に条件に該当する場合でも、駐停車時間が短時間であり、警察官から退去するよう警告されて、直ちに退去した場合は駐停車違反として立件される可能性は低いが、警察官の退去警告に従わず駐停車を継続する場合、または、駐停車違反が長時間の場合は駐停車違反として立件される可能性が高くなる。

駐停車禁止の場所[編集]

道路交通法第44条で下記の場所での駐停車は禁止されている[3]

  • 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
  • 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分
  • 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
  • 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
  • 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
  • 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分

駐車禁止の場所[編集]

道路交通法第45条で下記の場所での駐車は禁止されている[3]

  • 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
  • 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
  • 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
  • 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
  • 火災報知機から一メートル以内の部分

私道の場合[編集]

道路法でも道路交通法でも公道と私道の定義はしていない。道路の土地の保有者が国家や自治体の場合は公道、私人である個人または法人である場合を私道と、法律上の定義ではなく一般論で表現している。

道路交通法の第2条第1項において、道路とは、

  • 道路 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項 に規定する道路、道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項 に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

と定義されている。

道路交通法上、公道と私道の区別はしていないので、道路交通法第44条の駐停車禁止規定、道路交通法第45条の駐車禁止規定は、公道でも私道でも等しく適用される。

建築基準法が規定する、建造物を建造するための敷地の位置を規定する、一般用語である(法律用語ではない)位置指定道路も、道路交通法第44条の駐停車禁止規定、道路交通法第45条の駐車禁止規定が適用される。

都市計画法が規定する、都市計画のための道路を規定する、一般用語である(法律用語ではない)開発道路も、道路交通法第44条の駐停車禁止規定、道路交通法第45条の駐車禁止規定が適用される。

公有地の場合[編集]

住居用の建造物または業務用の建造物と、その建造物が建造されている敷地で道路や隣地との境界が人工的な工作物で区画されている土地に対して、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、その土地に侵入し、駐留または駐車し、その土地の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、その土地に駐留・駐車・占拠を継続することは、刑法第130条の住居侵入罪の構成要件に該当する犯罪行為である[4][5]

国家または自治体が保有または管理する業務用の建造物と、その建造物が建造されている敷地で道路や隣地との境界が人工的な工作物で区画されている土地に対して、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、その土地に侵入し、駐留または駐車し、その土地の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、その土地に駐留・駐車・占拠を継続し、公務員の業務の執行を妨害した場合、例えば、警察車両、消防車両、救急車両、自衛隊車両などの稼働を妨害した場合、または、建造物の出入り口を封鎖して公務員を稼働できなくすること、または、国民や市民が国家や自治体の機関を利用できなくすることは、刑法第234条の業務妨害罪の構成要件に該当する犯罪行為である[6][5]

上記の住居侵入罪または威力業務妨害罪の構成要件に条件に該当する場合でも、無断侵入・無断駐車・無断占拠時間が短時間であり、土地や建造物の保有者または管理者から退去を要求されて、または、警察官から退去するよう警告されて、直ちに退去した場合は住居侵入罪または業務妨害罪として立件される可能性は低いが、土地や建造物の保有者または管理者の退去要求、または、警察官の退去警告に従わず、無断侵入・無断駐車・無断占拠を継続する場合、または、無断侵入・無断駐車・無断占拠が長期間継続されている場合は、住居侵入罪または業務妨害罪として立件される可能性が高くなる。

私有地の場合[編集]

住居用の建造物または業務用の建造物と、その建造物が建造されている敷地で道路や隣地との境界が人工的な工作物で区画されている土地に対して、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、その土地に侵入し、駐留または駐車し、その土地の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、その土地に駐留・駐車・占拠を継続することは、刑法第130条の住居侵入罪の構成要件に該当する犯罪行為である[4][5]

個人または民間の法人が保有または管理する業務用の建造物と、その建造物が建造されている敷地で道路や隣地との境界が人工的な工作物で区画されている土地に対して、その土地の所有者または管理者の同意なしに、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者の同意なしに、その土地に侵入し、駐留または駐車し、その土地の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、または、その土地に建造されている建造物の所有者または管理者から退去を要求されても退去せず、その土地に駐留・駐車・占拠を継続し、個人または法人の業務の執行を妨害した場合、例えば、個人または法人の車両を出動を妨害した場合、例えば、バス、タクシー、貨物輸送車両、物品配送用車両、職員の移動用車両などの稼働を妨害した場合、または、建造物の出入り口を封鎖してを個人または法人職員を稼働できなくすること、または、個人や法人の事業の利用者が事業を利用できなくした場合、例えば、小売店や飲食店やその他のサービス業の店舗の駐車場を占拠して消費者が利用できなくした場合は、刑法第234条の業務妨害罪の構成要件に該当する犯罪行為である[6][5]

上記の住居侵入罪または威力業務妨害罪の構成要件に条件に該当する場合でも、無断侵入・無断駐車・無断占拠時間が短時間であり、土地や建造物の保有者または管理者から退去を要求されて、または、警察官から退去するよう警告されて、直ちに退去した場合は住居侵入罪または業務妨害罪として立件される可能性は低いが、土地や建造物の保有者または管理者の退去要求、または、警察官の退去警告に従わず、無断侵入・無断駐車・無断占拠を継続する場合、または、無断侵入・無断駐車・無断占拠が長期間継続されている場合は、住居侵入罪または業務妨害罪として立件される可能性が高くなる。

地下鉄サリン事件後の、オウム真理教に対する強制捜査の時には、集合住宅の駐車場に無断で侵入し駐車していたことに対して、住居侵入罪で有罪判決を受けている。

脚注[編集]

関連項目[編集]