無指向性無線標識

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無指向性無線標識(むしこうせい むせんひょうしき、: Non-Directional (Radio) BeaconNDB)は、主に中波帯の電波を用いて航空機を誘導する無線標識。標識局を中心として航空機がどの方向にいるかを知ることができる。これを利用するためには航空機側にADF(自動方向探知機)が必要である。近年では同様の情報が得られより精度がよいVORにほとんどその用途を取って代わられ、さらに絶対位置を知ることが可能なGPSに取って代わられつつある。

目次

動作 [編集]

基本原理 [編集]

位置が既知の2つの標識がある場合、標識へのそれぞれの角度を知ることで三角測量により現在位置を知ることができる。この航法の基本原理に基づいて設置されたのがNDBである。NDB局は、公開された周波数で定められた内容のモールス信号を音声変調して送出しており、緯度経度も既知である。なおVOR局2つの場合はNDB局2つを用いるのと同様の測位原理であるが、VORと多く併用されるDMEを用いれば1つの局への角度・距離によって測位を行なうことができる。

NDB局は190kHzから1,750kHzの間の周波数で運用される。送出内容は、そのNDB局のコールサイン(英字1~3文字)をモールス符号で表したものがAM変調されている。日本では531kHzから1602kHzまでが放送に使用されているため、この範囲だけ除外されている。

航空機側では方位を知ることができる受信設備が必要で、現在は自動方向探知機(ADF)を1つないし2つ装備していればNDBを利用した航法が可能である。なお何らかの理由でNDBが利用できない非常の場合、既存のAMラジオ局を受信できるならば全く同じ原理で方位を知ることも可能である。

NDBがVORに比べ精度が低い理由は、主に後述の中波の直進性が低いという問題、航空機側の方向探知の誤差が大きいという問題による。

設置・運用 [編集]

NDB局は中波ラジオ局と同様の周波数帯・運用方式であるため、局の周波数はラジオ局と同様に割り振られている。すなわち、北米では530kHz~1,700kHzまでの10kHz間隔であるが、その他の世界中では531kHz~1,602kHzの9kHz間隔(9の倍数kHz)で運用されている。なお航空機側の受信機の周波数指定は1kHz単位でできるものが多いため、どちらでも支障はない。

NDB局の多くは50W以上の出力をもち、中には2kW以上の局もある。もちろん出力が大きければ遠くから受信することはできるが、中波は超短波に比べ直進性が低いため、山などの回り込みやマルチパスによる誤差には注意を要する。この点は超短波を利用したVORと逆のメリット・デメリットになる(超短波は直進性は強いが回りこみが起きにくいため山の陰では受信できない)。

利用方法 [編集]

航空機側の受信機には、方位計と連動して任意の方向に指向性をもったバーアンテナループアンテナが必要である。最も簡単には、このアンテナの指向性を振り、受信強度が最強となる方向(または最弱となる方向の直角方向)が局の方角ということになる。

自動方向探知機(ADF)は指定された周波数の信号を受信し、アンテナの方向をサーボ制御することで、自動的に方向を検出する仕組みである。ADFに最もよく用いられるループアンテナの指向特性は、最強付近より最弱付近の角度の方がはっきりしているため、電波が受信できなくなる方角にアンテナを振り向けるサーボ制御により局の方角を知る(この場合、音声出力用の受信機はもう1つ、方向探知用のアンテナと直角に指向性をもったアンテナを装備したものが必要になる)。

これらの方式では、180度異なる方位は同一として表示されることになるが、2局のいずれかまたは両方が180度逆の方向にあると表示されたとしても、測位する場合に支障はない(2本の直線の交点は一意に決まる)。

ADFでは検出された局の方位を、計器盤の方向指示器(relative bearing indicator、RBI)に表示する。ADFを2機装備していれば、測位に必要なNDB局2つのそれぞれの方角をリアルタイムで追うこともできる。

航空機側の受信機には音声出力もあり、コールサインを確認することによっても目的の局を受信しているか分かる仕組みになっている。なお受信機の周波数帯もAM放送(531kHz~1,602kHz)を含んでいるため、上記に非常時に利用可能と記したAMラジオ局の場合は、放送内容を確認することで目的局を確認できる。AMラジオ局は航空地図上に記載されていないため、送信所(放送局ではない)の緯度・経度を知ることも必要であり、例えば航空情報マニュアルなどにその情報がまとめられている。

Airspace Fix Diagram

最も簡単な測位方法を右図に示す。航空機の受信機からみてNDB局1が080度(260度でも同じ)の方位に、NDB局2が200度(020度でも同じ)にみえるとき、地図上で赤・青2本の直線を引けば、交点(FIX)の位置が求まる。

この他の利用方法としては、NDB局を航空機の進行方向から相対的にみて常に同じ方角になるように飛ぶと螺旋状に接近していくことを利用したホーミング航法(最も簡単には航空機前方に常に見据えて飛ぶと、風に流された場合でもNDB局に到達する)、滑走路両端(またはその延長)の2つのNDB局への方位が重なるように進入する着陸方式、などがある。

関連項目 [編集]