炎上 (映画)

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炎上
Enjō
監督 市川崑
脚本 和田夏十
長谷部慶治
原作 三島由紀夫金閣寺
製作 永田雅一
出演者 市川雷蔵
仲代達矢
音楽 黛敏郎
中本利生邦楽
撮影 宮川一夫
製作会社 大映
配給 大映
公開 日本の旗 1958年8月19日
上映時間 99分(モノクロ)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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炎上』(えんじょう)は、1958年8月19日公開の日本映画三島由紀夫小説金閣寺』をもとに市川崑監督が映画化した、白黒作品。主演は市川雷蔵。製作は大映

概要・製作[編集]

大映の時代劇スター・市川雷蔵の初現代劇主演作品で、吃音の青年を演じた。初めはこの役を川口浩が演じる予定だったが、大映社長の永田雅一に反対されたため監督の市川崑は雷蔵を起用することにした。しかし会社内では反対の声も多かったが、雷蔵はこの役を好演し、キネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン賞男優主演賞などを受賞し、彼の演技は高く評価された。そしてこの作品が雷蔵をトップスターになるきっかけでもあった。

原作は、主人公の内面に迫る、あまりにも完成度の高い作品だったため、市川崑は原作の脚色は無理と判断した。そこで三島から創作ノートを借りて、これをもとに和田夏十にオリジナル脚本『炎上』を新たに書き上げさせた。そのため、映画と原作とでは登場人物の名やあらすじの一部が異なるものとなっている(例:金閣寺 → 驟閣寺(しゅうかくじ))。

公開時の惹句は、「何が彼に放火させたのか、信じるものを失った青年の怒りと反抗!」「三島、崑、雷蔵この異色トリオが放つ、本年度ベストワンを約束された文芸巨篇」「金色の国宝に放火してまで、若い魂が反逆し続けたものは…」「誰も知らない! 誰も解ってくれない! 何故おれが国宝に火をつけたかを…」である。

併映は、天野信監督『消えた小判屋敷』(出演:梅若正二美川純子)。

あらすじ[編集]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

エピソード[編集]

撮影を担当した宮川一夫は本作が初めてのシネスコでの撮影で、横長の画面の空間をどう生かすか悩んで撮影中はずっとカメラのファインダーを覗いていた。監督の市川崑は「覗かせてもらうのが大変だった」と語っている。

作品評価・解説[編集]

『炎上』の試写を見た後、原作者の三島由紀夫は、「シナリオの劇的構成にはやや難があるが、この映画は傑作といふに躊躇しない。黒白の画面の美しさはすばらしく、全体に重厚沈痛の趣きがあり、しかもふしぎなシュール・レアリスティックな美しさを持つてゐる。放火前に主人公が、すでに人手に渡つた故郷の寺を見に来て、みしらぬ住職が梵妻に送られて出てくる山門が、居ながらにして回想の場面に移り、同じ山門から、突然粛々と葬列があらはれるところは、怖しい白日夢を見るやうである。俳優も、雷蔵の主人公といひ、鴈治郎の住職といひ、これ以上は望めないほどだ。試写会のあとの座談会で、市川崑監督と雷蔵君を前に、私は手ばなしで褒めた。かういふ映画は是非外国へ持つて行くべきである。センチメンタリズムの少しもないところが、外国人にうけるだらう」[1]と高い評価をしている。

受賞歴[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 三島由紀夫『裸体と衣裳』(新潮社、1959年)

参考文献[編集]

  • 『決定版 三島由紀夫全集第42巻・年譜・書誌』(新潮社、2005年)
  • 『決定版 三島由紀夫全集第30巻・評論5』(新潮社、2003年)
  • 『三島由紀夫と映画 三島由紀夫研究2』(鼎書房、2006年)

外部リンク[編集]