炎上 (ネット用語)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

炎上(えんじょう)とは、サイト管理者の意図する範囲を大幅に超え、非難・批判のコメントやトラックバックが殺到することである(意図したものは「釣り」と呼ばれる)[1]

目次

[編集] 概説

ブログソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)内の日記は、別途設定をしない限り、誰でもコメント欄にメッセージを残すことが出来る。ブログ執筆者の発言や行動に反応して、多数の閲覧者がコメントを集中的に寄せる状態を炎上と表現する。この場合、コメントには当該発言に対する否定的な意見や、発言に無関係な中傷を包含するものが多い。

元々は、ネットニュース(ニュースグループ)において、意見の対立が次第に感情的な人格批判の応酬になって行く様子を『フレーミング』と呼んでいたことに由来しており、この用語はRFC1855にも記載されている。弁護士小倉秀夫は、掲示板上で投稿が殺到することをフレーミング・炎上と呼び、ブログ上でコメントが殺到することをコメントスクラムと呼ぶという使い分けをしている[2][3]

なお、議論は全くなく、無意味な書き込みや煽り文句ばかりの状態は『荒らされる』と表現される。これは例えば、有名人が逮捕されたときや、有名でなくとも世間を震撼とさせる凶悪事件の被疑者主催のブログが明らかになったときに、『逮捕記念』などのコメントが殺到した場合をいう。また、インターネット掲示板チャットに、趣旨と関係のない書き込みや批判、誹謗中傷が多数寄せられ機能不全に陥ることも『荒らされる』という。炎上しているブログが便乗・愉快犯によって『荒らされる』ことも多々見受けられる。

ゼロ年代末からは1回の投稿につき140字までという制限のあるミニブログであるTwitterが台頭しているが、ブログでみられるような炎上現象はそこではあまり観測されない。その理由として、ある特定の利用者に対する他の利用者たちの反応を確認するには通常のタイムラインではなく検索機能を使用する必要があるため炎上に近い現象が起こってもそのことに気づきにくいこと、また各ツイートは(記録としては保存されているとはいえ)時間がたてば流れて消えていくという感覚を強調した設計になっていることが考えられる。[4]

[編集] 原因

コンピュータ利用教育学会(CIEC、シーク)によれば以下の5つが主原因とされている[5]

[編集] 反社会的な記事・言動

SNS日記や簡易ブログは未成年の利用も多いため、飲酒や喫煙に関しての日記が第三者に発見され、2ちゃんねるなどに晒されることで炎上につながる。また、自身の犯罪行為、反道徳的行動の自慢や、他人の犯罪行為の擁護・社会的弱者の悪口など、反道徳的に受け取れる発言も炎上の原因となる。

テレビやラジオの番組で非常識なコメントや視聴者を不快にさせる言動があった場合も炎上の原因になる。

[編集] 間違った知識

法律や科学知識、または社会問題の原因に関して、間違った知識を根拠に他者を批判すると炎上の原因となる。特に有名人・知識人などが間違うと揚げ足取り的な炎上が起こる。

[編集] 主義の対立

主義イデオロギー上の対立から、炎上にいたる場合もある。政治的社会的に対立が鮮明なイシューについて、ある一方の立場からの発言をすると、その反対の立場の者から火がつく。対象者は政治家や弁護士、市民団体など、それなりに社会的地位があることが多い。特定の立場からの否定的コメントが一度に多数投稿される事例も後を立たない。

[編集] 提灯記事(ステルスマーケティング

企業などから金品を受け取り、指定商品の広告記事を書くことに関して、広告であることを明示しないと炎上が起こる場合がある。これは米国でもFlog(Fake blog)と呼ばれ、問題とされている。

[編集] 身分を隠して自組織の擁護

上記提灯記事に類するが、企業や組織に所属する者がその企業や組織を擁護する記事を身分を隠して第三者を装って書いた場合に炎上する。例として、新聞社の記者が第三者を装い、自社の記事を攻撃した者を非難した際に、ドメインの登録名から身分が判明し、炎上した例がある。

[編集] その他

単純な揚げ足取りから盛り上がって炎上する場合もある。ただ、それなりの訪問者がいるブログでもない限り起こりにくい。

[編集] 炎上の実例

[編集] 芸人名誉毀損一斉検挙事件

2009年2月5日警視庁は、“スマイリーキクチ女子高生コンクリート詰め殺人事件に関与した”という前提でブログのコメント欄に誹謗中傷する書き込みをした18人の男女を名誉毀損被疑で書類送検し、それとは別に脅迫を行った1名を脅迫被疑で書類送検し、最終的にはその多くが不起訴となった。

スマイリーキクチや所属事務所は事件とは無関係であり事実無根であると一部のネットにて表明し、刑事告訴を明言していたとしている。書き込んだ者たちはを真に受けていたとみられるが、書籍などでスマイリーキクチのかかわりを匂わす物もある[6]

警察の検挙を受け、スマイリーキクチは「10年間もの間、事実無根の噂で誹謗・中傷を受けた。家族や友人に被害を受けるのではと思い被害届を出した[7]。今後はこのようなことが無いようにしてほしい[8]」とコメントした。

ブログ炎上で一斉検挙となった初のケースである。

[編集] その他の「炎上」の事例

  • AKB48のメンバー大島麻衣が、2008年1月14日放送の日本テレビ系『オジサンズイレブン』で、「オジサンにミニスカートから出ている足を見られただけでチカンと思う」と発言。放送後、大島のブログに「自分から見せといて痴漢呼ばわりか」などと批判する書き込みが殺到して炎上した。この件について大島はブログで謝罪した[9]爆笑問題がこの炎上を書籍や漫才のネタにしている)。
  • サイバーエージェントが2009年5月13日水曜日に女性の婚活をサポートするために始めたモバイルサイト『男の子牧場』は、サービスの開始直後から個人情報の侵害などを指摘され、同社の広報担当者のブログが炎上する事態となった[10][11]。同社は直ちに「男の子牧場」のサービスを見直した。週明けの2009年5月18日(月)に新規会員登録を停止し、その翌日の2009年5月19日火曜日にサービスを停止した[12][13]。同社は「サービスを再開する予定はない」としているとのこと(産経新聞の報道[13])。同社のプレスリリースには「ご提供頂きました登録情報、および男性プロフィール情報につきましては、当社で責任をもって廃棄させて頂きます」と明言されている[12][13]
  • ネット書店Amazon.co.jpのサイト上で、2006年に書籍化されたケータイ小説の『恋空』のカスタマーレビュー欄に、作品内容の稚拙さを非難・揶揄するレビューが殺到したことがある(恋空#作品への評価を参照)。
  • 2011年4月20日の甲子園球場の阪神戦において、巨人の脇谷亮太のプレーを巡って誤審が発生。これに関連して、脇谷が試合終了後に不適切な発言をしたことで、脇谷の本人のツイッターに批判が殺到。この発言には他球団のファン、巨人ファン両方からも批判が殺到した[14]

[編集] 脚注

  1. ^ 「学びとコンピューターハンドブック」(東京電機大学出版 CIEC編集 68P~72P)
  2. ^ 東浩紀濱野智史編「ネット公共圏と炎上をめぐる問題」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』 河出書房新社、2010年、245頁。ISBN 978-4309244426
  3. ^ 小倉秀夫 (2005年4月16日). “コメントスクラムについて”. 小倉秀夫の「IT法のTop Front」. Wired Vision. 2008年12月27日閲覧。
  4. ^ 「ポストised、変化したことは何か1」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』472頁。
  5. ^ 学びとコンピューターハンドブック(東京電機大学出版)、68P~72P
  6. ^ 北芝健「治安崩壊」p71、その他
  7. ^ “ブログ炎上事件でスマイリー「被害に遭ったのは自分」”. スポーツニッポン. (2009年2月5日). http://www.sponichi.co.jp/entertainment/flash/KFullFlash20090205099.html 2009年2月6日閲覧。 
  8. ^ “スマイリーキクチのブログ「炎上」で立件”. サンケイスポーツ. (2009年2月5日). http://www.sanspo.com/geino/news/090205/gnj0902052217017-n1.htm 2009年2月6日閲覧。 
  9. ^ 「足を見るオジサンはチカン」 アイドル「AKB48」大島ブログが大炎上ジェイ・キャスト2008年1月16日
  10. ^ ITmedia News 「男の子牧場」炎上、「牧場メーカー」「女の子牧場」などパロディサイト乱立 2009年5月15日
  11. ^ ZAKZAK - 男性を家畜扱い「男の子牧場」開始2日で存亡の危機 2009/05/16
  12. ^ a b CyberAgentプレスリリース2009年05月18日 「男の子牧場」のサービス停止について 2009年5月21日閲覧
  13. ^ a b c 「男の子牧場」サービス停止 家畜扱い批判受け - 産経ニュース 2009.5.18 19:57 2009年5月23日閲覧。
  14. ^ 世紀の大誤審招いた“ウソつき男”巨人・脇谷内野手に大バッシング!Exciteニュース、2011年4月22日

[編集] 関連項目

[編集] 関連文献

  • 中川淳一郎 『ウェブを炎上させるイタい人たち ―面妖なネット原理主義者の「いなし方」』 宝島社〈宝島社新書〉、2010年2月、ISBN 978-4-7966-7580-2

[編集] 外部リンク

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語