灼眼のシャナの登場人物

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灼眼のシャナの登場人物(しゃくがんのシャナのとうじょうじんぶつ)は、高橋弥七郎ライトノベル作品『灼眼のシャナ』及び同作品を原作とする同名の漫画アニメゲームドラマCDに登場する人物の一覧である。

※「CD」は『電撃hp』で誌上通販されたドラマCDの声優

主要人物[編集]

シャナ(Shana)
声 - CD 堀江由衣/アニメ 釘宮理恵
本作品の主人公かつヒロイン。“天壌の劫火”アラストールと契約した『炎髪灼眼の討ち手』という称号を持つフレイムヘイズ。『大地の四神』には『眩き炎』と形容された。
腰の下まである長い髪を持ち、凛々しいまたは可愛らしい顔立ちと称される東洋系の少女。見た目の年齢は11、2歳前後に見えるが不老であるため実年齢は不詳[1]。契約した時は12歳以上、フレイムヘイズとなったのは数年前で、未だ人間だった時間の方が長い。
普段は黒髪に黒目だが、戦闘時は称号が示す通りの炎髪灼眼となり、アラストールの翼の皮膜の一部を顕現させた自在に変形する黒衣『夜笠』をコート状にして纏う。
フレイムヘイズには珍しく、自在法をほとんど使わず、体術や大太刀型宝具贄殿遮那』を用いた白兵戦を得意としていた。
契約直後から白兵戦においてはフレイムヘイズの中でもトップレベルの実力を持っていたが、若年での契約やアラストールの力が大きすぎたこと、「今在るものを最大限に活用する」性格から「今在るより強い力」に対する欲求が薄かったため、その力を上手く引き出し使いこなすことが出来なかった。そのため自在法は封絶やトーチ製作・加工・割り込みなどフレイムヘイズに必要最低限のもの程度しか使えず、アラストールの力をほとんど使いこなせない点について密かなコンプレックスを抱いていた。
悠二と共闘した際に飛翔をイメージした炎『紅蓮の双翼』(アニメ版では鳥の翼状)を顕現できるようになり、それをきっかけとして自在法の開発や技術向上の鍛錬を始める。その結果、炎弾や炎の放出、火炎放射や炎の凝縮による大太刀の形成、炎の物体としての具現化など、さまざまな種類の固有の自在法を使えるようになる。
しかし後に、異能の力と大太刀『贄殿遮那』と自由を奪われ、悠二とも離れたことから「今在るより強い力」への欲求が高まり、鍛錬で自在法制御の下地を作っていたことも相まって、アラストールの“存在の力”をようやく全て把握。新たな能力を具現化させ、また今まで鍛錬で培った自在法の精度も大幅に上がった。XVIII巻で発現した新たな能力である自在法を見抜くの目には『審判』、炎の放射と凝縮による大太刀には『断罪』、形を定めない炎の放射には『飛焔』、紅蓮の炎の様々な形での物体化・具現化には『真紅』と名付けた。
非常に才能豊かであり、フレイムヘイズにならなければ世界的、歴史的に多大な影響力を与えていたであろう「運命」を持っていた。その『運命という名の器』の大きさから、「在るべくして在るもの」「偉大なる者」と称されることもあり、「アラストールの存在の巨大さ」に耐えられず爆死するはずの、『トリガーハッピー』によるアラストールの強制的な顕現に耐えている。アニメ版では不完全かつ設定が異なるとはいえ、アラストールを顕現させる『天破壌砕』から生きて帰ってきた。
フレイムヘイズになる前に受けた英才教育から学校では教師を黙らせるほど学業優秀でスポーツ万能である一方、フレイムヘイズに必要ない家事一般に関しては疎く興味がない。一応の「自宅」代わりだった平井家は(ヴィルヘルミナが訪れるまで)寝床や着替えなどシャナが使う範囲は整頓されていたがそれ以外は完全に放置されていた。特に料理の腕前は何を作っても「黒コゲのなにか」になってしまうほど壊滅的だったが、吉田との大特訓の末にパンネンクックは作れるようになった(SII巻『ドミサイル』)。
生真面目で実直で、無駄を嫌い、見栄や飾り気と言うものに無縁の性格。フレイムヘイズとして純粋培養されたため、フレイムヘイズとしては優秀だが、常識や社会性に乏しい箱入り娘で他者と関わることを好まず、「人間」としては幼く未熟。「フレイムヘイズであること」を精神基盤とし、人間としての精神基盤を持っていなかったが、悠二と出会って共に行動し、また御崎市で多くの人間と交流を持ちながら暮らすうちに「人間の少女」としての感情が芽生える。都合が悪いと「うるさいうるさいうるさい」と言ってごまかす癖がある。
大の甘党で、特に『天道宮』で暮らしていた時代によく与えられていたメロンパンが大好きで独自の拘りを持つ。作中ではメロンパンを食べているシーンが頻繁に出てくる。
契約相手であるアラストールは父とも兄とも言える存在であり、師匠として友人として「家族」として全幅の信頼を寄せている。同様に、育ての親でもある『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルに対しても深い親愛の情と強い精神的な絆を持つが、精神面、特に恋愛面で過保護な彼女に反発する場面もしばしば見られた。
赤ん坊の頃、偶然起きた「不幸な出来事」によって寄る辺を無くし命を落とそうとしていたところを、新たな『炎髪灼眼の討ち手』となる人材を探していたヴィルヘルミナに助けられ『天道宮』へ拾われた。新たな『炎髪灼眼の討ち手』に「復讐者としてのメンタリティを持たない、使命に純粋なフレイムヘイズであること」を求めたアラストールの意向により、そのまま名前を付けられず、フレイムヘイズとしての徹底した英才教育を受けて育った。
拾われて約12年後、ある事件を機に「予定より幼い」時期にフレイムヘイズとして契約。直後に「史上最悪の“ミステス”」“天目一個”を倒し、核となっていた宝具『贄殿遮那』を手に入れる(V巻)。
その後は『贄殿遮那』のフレイムヘイズと名乗り、基本的にアラストールと「二人で一人」きりで各地を旅し戦ってきた。成り行きなどで出会ったフレイムヘイズもおり、彼らはシャナ曰く「お喋り男(=ピエトロ・モンテヴェルディ)に爆弾女(=レベッカ・リード)、乱暴絵描き(=ミカロユス・キュイ)に弾き語り(=パウラ・クレツキー)、偏執狂(=セシリア・ロドリーゴ)に肝っ玉母さん(ムッタークラージェ=ゾフィー・サバリッシュ)」とのこと。そして日本のとある田舎町で“徒”を討滅した(0巻『オーバーチュア』)後、御崎市へと至った。
本編では4月末、御崎市で活動していた“紅世の徒”の一党を探索中に“ミステス”坂井悠二と遭遇。「“狩人”フリアグネが狙う“ミステス”」を囮にするため、悠二と行動を共にするようになる。その際、悠二と同じクラスにいたトーチ「平井ゆかり」に存在を割り込ませたため周囲の人間からは「平井ゆかり」と認識されたが、悠二は「本物の平井ゆかり」と区別するため(武器である『贄殿遮那』から取って)「シャナ」と呼び始めた。フリアグネとの決戦以後は自らも「シャナ」を名乗るようになり(I巻)、後に事情を知らない周囲の人間にも「シャナ」の名があだ名として浸透していった(VIII巻)。
出遭った当初は悠二を「トーチというモノ」として扱っていたが、「素の自分」へ対等に接して協力し、フリアグネとの戦いにおいて思わぬ有能さと信頼のおける姿を見せた悠二を、特別な存在と認識するようになる。ただし、生まれ育った環境から他者との関わりを好まず、社会性や他者との交流で生まれる感情に乏しかったため、その認識が恋愛感情と言う自覚はなかった。
フリアグネ討滅後も「『零時迷子』の“ミステス”を見張るため」に御崎市に定住。『天道宮』を出て以降、初めて一定の場所へ長期滞在することになる(I巻)。悠二を見張る必要性から、御崎高校や坂井家で初めて普通の人間としての生活を送るようになり、悠二の母・千草やクラスメートたちとの交流を通じて、徐々に社会性や一般常識、人情の機微などを身に着けた。特に、悠二へ好意を抱くクラスメート吉田一美に強い対抗意識を持つようになり、彼女の行動の意味を知ることで、今まで疎かった感情面について理解を深め、「フレイムヘイズではない、人間の少女」のメンタリティが形成されていった。それと同時に徐々に悠二への好意を自覚し始め、フレイムヘイズの使命から外れた自身の恋愛感情に戸惑い悩むようになる。
また、夏祭りの“徒”襲撃の際に吉田、クラスメートの佐藤啓作、田中栄太にも正体を明かし、秘密を共有するようになった(VII巻)。吉田が“紅世”に関わることで恋愛における優位性を失い、精神の根幹である「フレイムヘイズであること」にも揺らぎを生じるが、文化祭の騒動と前後して「フレイムヘイズも人を愛する」ことを知り、迷いを払拭。吉田に対しても、同じ想いを抱く友人として互いを認め合うようになった(XI巻)。
クリスマス・イヴを吉田との恋の決戦日と定め、悠二に選択を迫るが、直後に悠二のトーチとしての絆が消失(XIV巻)、精神的に非常に危うくなりながらも、悠二の生存を信じ続けた。翌年1月初頭、[仮装舞踏会]の盟主“祭礼の蛇”と化して御崎市に帰郷した悠二と戦い敗北、[仮装舞踏会]の本拠地たる『星黎殿』へ拉致される(XVI巻)。
『星黎殿』では、盟主の代行体が想いを寄せる「姫」と言う待遇ながら、“祭礼の蛇”坂井悠二の策略によりアラストールと引き離され、宝具『タルタロス』により絆の繋がりを含む異能の力を封じられ、大太刀『贄殿遮那』も取り上げられた上で幽閉される。この間に盟主の命に背いた“頂の座”ヘカテーに暗殺されかけるが、自身の機転で“祭礼の蛇”坂井悠二を介入させてこれを回避。“祭礼の蛇”の神体を取り戻すべく『神門』に入る“祭礼の蛇”坂井悠二たちを『星黎殿』から見送った(XVII巻)。
数日後、『星黎殿』に直接乗り込んできたヴィルヘルミナたちの作戦を契機に、カムシンの『ラーの礫』によって自身も重傷を負いながらも、半壊した世話係の“燐子”(声 - アニメ 佐々木未来)を隠し持っていた短剣で止めを刺して幽閉から逃れて、やって来た“天目一個”によって異能の力と『贄殿遮那』を取り戻した。そして負傷から回復し、ウアルとの戦いの中で新たな能力を得て「本当の自分」を見出してウアルを討滅した後、ヴィルヘルミナたちと合流、“祭礼の蛇”神体の帰還を阻止すべく『神門』に突入した(XVIII巻)。
そして『神門』と“祭礼の蛇”神体を繋ぐ『詣道』の途中で、万一に備え待ち伏せしていた“壊刃”サブラクをヴィルヘルミナたちに任せて一人で先に進むものの、“祭礼の蛇”神体の復活には間に合わず、“祭礼の蛇”神体と共に『詣道』を遡って来る悠二たちと遭遇。敵対する悠二に自身の思いを告白し、悠二とは異なる「二人で生きる道」を探すことを宣言。それでも“祭礼の蛇”坂井悠二の決意は変えられず悠二と交戦を始めるが、“祭礼の蛇”神体の帰還を阻止することは出来ず、ヴィルヘルミナたちと合流した後に“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した(XIX巻)。
“祭礼の蛇”神体がこの世に帰還して1度目の大命宣布を行ったことによって減衰したフレイムヘイズ兵団の士気を高めるために『真紅』でバティンを討滅するも、“祭礼の蛇”坂井悠二の2度目の宣布により、行動原理を喪失し総崩れになったフレイムヘイズ兵団を援護すべく、ゾフィーたちと合流。悠二を阻止する決意をしながら『大命』に対抗する具体策がないことに気づかされたが、『大命』の内実を知り参戦を決意した『大地の四神』の一人センターヒルから、世界の歪みが発生する本当の理由を聞かされ、『大命』への対抗策を見出す。そしてセンターヒルの協力の下、兵団の生き残りを救出するため、ヴィルヘルミナと共に“千変”シュドナイの足止めを引き受ける。自らの役割を果たした後は、キアラの“ゾリャー”に牽引され戦場から無事に脱出した(XX巻)。
その後は対抗策の準備を水面下で進めつつ、戦死したセンターヒルの遺志を残る『三神』に伝えるべく、香港を経由してアメリカ・ニューヨークに渡り、『三神』の協力を取り付けることに成功。御崎市に向かう飛行機の中で、天罰神の契約者として全世界のフレイムヘイズたちに宣布を行い、彼らに新たな行動原理を与えた(XXI巻)。
御崎市決戦では、“ゾリャー”に乗って新世界『無何有鏡』創造の儀式場である『真宰社』へ到達、ヴィルヘルミナと組んで儀式の防衛に当たる“祭礼の蛇”坂井悠二やシュドナイと交戦に入った(XXI巻)。その攻防の最中、改変した『大命詩篇』の断片を宝具『コルデー』に仕込んで新世界『無何有鏡』の卵に打ち込み、新世界『無何有鏡』へ「人間を喰らえなくする」理を組み込んだ。しかしタイムリミット直前、改変が無効化できると知らされ敗北感を味わうものの、結局新世界『無何有鏡』は改変されたまま完成し、シャナの作戦は結果的に成功した(XXII巻)。
新世界『無何有鏡』の完成後は、「坂井悠二の計画」の内容を聞くために吉田とマージョリーと共に悠二と対面し、その内容に驚愕しながらも平井ゆかりを再生させるために、平井ゆかりへの存在の割り込みを止めて彼女のトーチを悠二に渡しながら最後の対決を開始し、ようやく互いの気持ちを確かめ合い、悠二と誓いのキスを交わした。そして、悠二とアラストールと共に新世界『無何有鏡』へ旅立った(XXII巻)。
新世界へ渡り来た後、混沌期と呼ばれるようになった“紅世”から新世界へ渡り来た大量の新来の“徒”たちが無軌道な放埓を行い始めてから、一旦の沈静化を迎えるまでの数ヶ月の期間で、悠二と二人で大活躍した模様。
そして新世界へ渡り来てから一年後の春、悠二と別行動をとって『天道宮』を訪れて『両界の嗣子』ユストゥスの成長の様子を見聞きしたり、新世界の外界宿の再編成の状況などについてヴィルヘルミナたちと話し合った。そして悠二と合流した後、ウァラクの手引きで日本のとある古びた陸上競技場に誘き出した[マカベアの兄弟]の構成員たちに対する作戦の変更を悠二から提案され、それを承諾した。そして、とある古びた陸上闘技場で[マカベアの兄弟]の“王子”の一人であるダーインを討滅した後、『真紅』で天罰神の擬似神体を顕現させた後でアラストールが天罰神の『神託』を告げて、残った“徒”たちを解放した。そして作戦終了後に、悠二から変更した作戦に対する感想を聞かれて、アラストールと共に率直な意見を告げた後で悠二を励ました(外伝『ホープ』)。なお、新世界に渡り来てから一年以上経過しているが、未だに御崎高校の制服を着ている。
遠い未来、“祭礼の蛇”は微睡みの中で、人間と“徒”の共存を説いて回る行者となった坂井悠二の隣に、シャナの存在を感じている(XXII巻エピローグ)。
アニメ版で「シャナ」と名付けられたのは、平井ゆかりの存在に割り込むよりも前である。アニメの設定では身長141cm。炎髪を表現するため、アニメでは髪の周囲に透過光処理された火の粉を纏っている。
“天壌の劫火(てんじょうのごうか)”アラストール[Alastor]
声 - CD 大塚明夫/アニメ 江原正士
シャナと契約している男性の“紅世の王”。“天壌の劫火”(全てを焼き尽くすという意味)が真名と呼ばれる本名であり、アラストールは通称。“コキュートス”と呼ばれる金の輪を意匠した黒い宝石(アニメ版では中で火の粉のような煌きが見える)の付いたペンダント型の神器に意思を表出させている。炎の色は紅蓮。『裁きの業』と『大地の四神』に形容されていた(XX巻)。
顕現した姿は、灼熱の炎の中に漆黒の塊を秘め、夜空を思わせる皮膜を張った翼と本物の灼眼を持った有翼有角の巨人を形作る紅蓮の焔。
通常は単なる“紅世の王”として扱われるが、より正確には“王”にして“紅世”でのに相当する超常的存在の内の一柱であり、「“紅世”真正の魔神」とも呼ばれる。司る権能は『審判』と『断罪』である『天罰神』であり、この世で人間と契約したのも「世界のバランスを乱し両界に仇なす同胞に天罰を与える」ためである。この世を跋扈する“徒”からは「天罰狂いの魔神」とも呼ばれる。普段はフレイムヘイズの器に収まるために休眠状態にあるが、彼の神威召喚『天破壌砕』にて顕現した際には神としての絶大な力を発揮する。持ちたる力は天罰神の権能そのものである討ち滅ぼすための力と炎であり、『炎の魔神』とも称される。彼のフレイムヘイズ『炎髪灼眼の討ち手』も同じ力を持つため、数少ない本当の意味での「炎使い」となる。なお、ここで言う『魔神』とは「神をも殺す神」という意味である(XVII巻)。また、創造神“祭礼の蛇”や導きの神“覚の嘯吟”と異なり眷属はいない。
普段は威厳に溢れた毅然とした性格をしており、厳しさでしか他人に当たれないとも言われるが、女心や恋愛など自分の及ばぬところに絡むと非常に狼狽する脆さがある。また、ヴィルヘルミナ曰く女性に対して押しが弱い。生真面目でフレイムヘイズの使命に対して人一倍真摯であるが、同時に割と世話好き。“神”として、また過去に最強のフレイムヘイズと謳われたことに対して、それなりに自負心を抱いていた様子であり、数百年表舞台に出なかったことで彼の威令が零落していたことを知った時はショックでしばらく意気消沈していた。
契約者であるシャナとは非常に強い精神的絆で結ばれているが、シャナから「少女としての悩み」を(異性であるため)隠されると動揺したり不満を抱いたりする場面も多い。赤ん坊の頃から育てたシャナに対して保護者的な感情を持っている面もあり、シャナと親密になりつつある悠二に難色を示すが、その成長ぶりを認めてもいる。また、常に的確なアドバイスを与える悠二の母・坂井千草に一目置いており、特に「少女としてのシャナ」の精神教育については全幅の信頼を寄せている。
数百年を共に過ごした『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルおよび契約相手“夢幻の冠帯”ティアマトーに対しては、お互いの性向を熟知し信頼しているが、そのせいで弱い立場に立たされることも少なくない。
シャナの先代にして初代『炎髪灼眼の討ち手』であるマティルダ・サントメールとは相思相愛の仲であり、彼女が亡くなった後も現在まで愛し続けている。そのため、マティルダに想いを寄せる[とむらいの鐘]所属の“紅世の王”、“虹の翼”メリヒムとは、互いに恋敵としても快く思っていなかった。
16世紀初頭までは先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメールと契約し“徒”を討滅していたが、16世紀初頭の『大戦』でマティルダを失い(X巻)、以降は『天道宮』の『カイナ』でこの世に留まったまま約500年間、ヴィルヘルミナとティアマトーや“虹の翼”メリヒムと共に何人もの次代の『炎髪灼眼の討ち手』候補を育てていた(V巻)。『炎髪灼眼の討ち手』候補育成においては、候補者を“存在の力”に馴染ませ繰り方を教えていた模様。
『天道宮』にいた数百年の間にも、唯一『天道宮』外で活動が可能だったヴィルヘルミナから詳細な報告を受けており、現代社会に対してもそれなりの知識を持っている。しかしヴィルヘルミナに、電気工事などの手順や仕組みまで逐一説明されていたため、そうした知識にも造詣が深い反面、本人はそれを情けないと思っている。
シャナと契約後は、事前の教育不足を補うべく彼女を指導しつつ「二人で一人」で各地を旅し、次々と“徒”を討滅していた。しかし彼自身が実戦から長く遠ざかっていたこと、“紅世”での常識を基準に考えこの世の常識に疎かったこと、シャナへの無理強いを好まなかったことなどから、指導には不十分な面もあり、『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュに叱咤される場面も見られた。
『零時迷子』の“ミステス”坂井悠二と出会い、御崎市に定住するようになってからは、早い時期にシャナが悠二へ好意を抱いていると気づく。保護者感情から一時は二人の接近に強い反発心を抱くが、悠二の母・千草に諭され、以後はシャナを信頼し彼女の精神的成長を見守るようになった。
「戦力」としての悠二は早い時期から認めているものの、「シャナの戦友」としては未熟なため、「シャナが好意を抱く男性」への反発心も含め、手厳しい指導をたびたび行っていた。
1月初頭、“祭礼の蛇”坂井悠二によってシャナと共に『星黎殿』に連れ去られ(XVI巻)、彼に一度だけ与えられた情報収集のチャンスを活かして、意思を表出させる神器“コキュートス”を“祭礼の蛇”坂井悠二の胸に移して[仮装舞踏会]の目的を探っていた。その結果、“祭礼の蛇”の狙いにある程度気付いた模様。
“祭礼の蛇”坂井悠二によれば、現在の契約者シャナを殺害すれば、即座に“紅世”へ帰還し、どんな相手であろうと再契約して、最悪の機に現れ『天破壌砕』を使わせて『創造神』たる自分の討滅を図り、それが失敗すれば更に何度でも成功するまで同じことを繰り返すだろうと推測されている(アラストール自身、その推測に納得している)。そのためシャナは、アラストールの動きを封じるためもあって『星黎殿』で飼い殺し的に幽閉されていた。
そして『大命』第二段階実行のために『久遠の陥穽』に向かった“祭礼の蛇”坂井悠二らを監視・情報収集するために、共に両界の狭間に赴く(XVII巻)。そして『詣道』の最奥部である『祭殿』にて“祭礼の蛇”神体の覚醒・復活を見届けた後にシャナの元へと帰還し、シャナに情報を伝えた。そして、シャナが『詣道』を遡って来る悠二たちに追いついた後の交戦の中でシャナが自身の思いを告白した時には、一人だけ密かにため息を吐いた。そして“祭礼の蛇”坂井悠二が天罰神の力を脅しの道具に使ったことに対して問いかけられた時には、シャナと契約した時の誓いの言葉を口にし、シャナの決意を見届ける覚悟を告げた。そしてヴィルヘルミナたちと合流した後に、最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影の助けによってその場を離脱し、“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した(XIX巻)。
この世に帰還し、“祭礼の蛇”坂井悠二の二度の宣布によってフレイムヘイズ兵団が崩壊した後、センターヒルから「両界の歪み」が発生する真の原因を聞き、誰もが沈黙する中で真っ先にシャナに戦意を問いた(XX巻)。そしてニューヨークから御崎市に向かう特別便の飛行機の中でシャナたちに、今回の戦いでは天罰神という高みではなく一人の戦士として今作戦が最良と「信ずる」と表明した(XXI巻)。
そして、御崎市決戦の最中にシャナが『コルデー』に仕込んだ改変の自在式を『大命詩篇』の繭に打ち込んだ後に、シャナと共に天罰神としての裁断を告げた。そして、午前零時になり創造神“祭礼の蛇”の神威召喚『祭基礼創』が発動すると同時に天山山脈で発動した導きの神“覚の嘯吟”シャヘルの神意召喚『嘯飛吟声』によって、『約束の二人』による『両界の嗣子』の誕生を告げられた時には、驚きを隠せなかった。そして新世界『無何有鏡』が創造された後に、シャナと悠二の最後の激突の最中、シャナが悠二への思いを再び告白したときには忍び笑いを漏らした。そして、和解したシャナと悠二と共に新世界『無何有鏡』へ旅立った(XXII巻)。
新世界へ渡り来てから一年後の春、悠二と別行動をとってシャナと共に『天道宮』を訪れて、ヴィルヘルミナたちと近況について話し合った。そして、日本のとある古びた陸上競技場でシャナと悠二が[マカベアの兄弟]の“王子”であるダーインとカルンを討滅した後、シャナが『真紅』で天罰神たる自身の擬似神体を顕現した直後に天罰神としての『神託』を告げた。そして作戦終了後に、悠二から変更した作戦に対する感想を聞かれて、シャナと共に率直な感想を告げて、作戦を変更した理由を聞いた後で悠二を励ました(外伝『ホープ』)。
なお、アラストールとはユダヤ教キリスト教の神話における地獄の刑執行長官の名アラストルで、神器『コキュートス』はダンテの『神曲』に登場する地獄の最下層、氷結地獄の名である。
坂井 悠二(さかい ゆうじ)
声 - CD 森田成一/アニメ 日野聡
もう一人の主人公。“紅世の徒”が作りだした、喰われて死んだ人間の代替物であるトーチにして、その中でも特殊なトーチである“ミステス”。
御崎市内の普通高校・御崎高校の一年生で、物語開始当初の4月末は15歳。7月の夏祭りが行われた頃までに16歳になっている。
トーチの中でも“ミステス”と呼ばれる、内部に宝具を宿すトーチ。宿す宝具は『零時迷子』。その能力により毎晩零時に“存在の力”が回復する他、封絶の影響を受けない。また“存在の力”に対して非常に敏感で、“徒”やフレイムヘイズにも感じ取れないトーチの鼓動や入念に偽装された自在式の中でも違和感を正確に感じ取ることができる。これは『零時迷子』の内部のヨーハンが干渉していた結果であり、彼は“徒”の気配を察知させて悠二をそれに近づけ、内部の宝具を狙った“徒”の“存在の力”を『戒禁』によって取り込むことで復活しようとしていた。
シャナの鍛錬に付き合ったり、シュドナイの腕を取り込むなどで、自在法や“存在の力”の流れに触れ、顕現の感覚と体得し自分の“存在の力”を制御できるようになり、数カ月かけた鍛錬で初歩的な自在法を習得。炎の色は、本来ならば自分の“存在の力”を喰った“徒”の炎の色を薄めた色(悠二の場合は“狩人”フリアグネの炎の色を薄めた薄い白色)のはずだが、何故か正体不明の銀色の炎を顕現させていた。
“徒”やフレイムヘイズとの戦いを通じて、炎を防ぐ指輪型宝具『アズュール』と片手持ちの大剣型宝具『吸血鬼(ブルートザオガー)』を入手しており、戦闘時にはこれらの宝具も活用する。
普段は大人しく頼りない印象を与える平々凡々な少年だが、真剣になれば熟練のフレイムヘイズ以上に優れた洞察力と推理力を発揮し、勝てる見込みのない敵にハッタリをかまして時間を稼ぐなど土壇場での度胸も持ち合わせる。ただし緊張感が伴わない場面では洞察力を全く発揮できず、非常に鈍感。親友の池曰く「要領がいいようでどこか抜けた」性格。
「真剣になればなるほど落ち着く」性格であり、真剣に取り組んだ物事に対して感情のままに動くことより、感情以外の何かを根底に動くことが多い。こういった面は敵を誘い出すために自分の同類であるトーチを大量消費する作戦を自ら立てるなどのある種ドライな面としても現れており、その性質から「本質が感情の面にない、特殊な人格の持ち主」ではないかとヴィルヘルミナには推測されている。
その反面、恋愛といった理屈が通用しない事柄に対しては疎く、またトーチである自身の悩みからそういった感情を持つ余裕がないため、はたから見ると優柔不断である。ただし一度決めたことや約束したことは何があっても守ろうとするなど、誠実で理想家の面も見られる。シャナには尻に敷かれ、基本は逆らえないが、はっきりと意見を言うこともある。
父・貫太郎と母・千草の3人家族(両者の詳細は坂井家の項を参照)。双子の兄がいた(ことから名前に「二」の字が入っている)が出産直後に逝去したため、そのことは知らされず、事実上一人っ子として育つ。また12月に母の妊娠が判明した。
人間であった「本物の坂井悠二」は、物語開始以前に“狩人”フリアグネの一党に喰われ死亡。その喰い滓がトーチに加工された直後、宝具『零時迷子』が宿り“ミステス”となった。また、この時点で『零時迷子』は既に、[仮装舞踏会]の計略により宝具『暴君 I 』へと変化し始めていた。
本編開始後の4月末、『零時迷子』の能力により封絶内部でも動けるようになっていたため“燐子”の襲撃を目撃、偶然通りかかったシャナに助けられ「この世の本当のこと」を知らされた。そして自身がいずれ存在ごと消滅する「本物の坂井悠二の代替物」と言う事実に落ち込み悩むが、“狩人”フリアグネとの戦いの中で徐々に自分の気持ちを整理し、「坂井悠二の代替物」でしかない自分に出来ることを探して、シャナへ協力するようになった(I巻)。
フリアグネ討滅以降は、「シャナに守られる存在」から「シャナの役に立つ存在」へのステップアップを目指し、朝はシャナと体術の鍛錬を行い、夜は「『零時迷子』の能力を利用したエネルギー・タンク」として彼女の鍛錬に付き合うようになる。そのシャナに力を渡す際の副次効果で、未熟ながら“存在の力”の流れを感じ操作できるようになる(III巻)。また、当初は一般的なトーチ程度の“存在の力”しか持っていなかったが、後にシュドナイの腕を吸収したことで並の“徒”を超える量の“存在の力”を手に入れ(VII巻)、さらに清秋祭終了間際に“紅世の王”に匹敵する“存在の力”を保有し(XIII巻)、また“存在の力”の制御の基本を体得した(VII巻)。
当初は自身が「人間ではない」こと、「人間と言う枠から外れた」ことを恐れ、人間としての自分や平穏な日常への未練を断ち切れない面があった。その後、吉田や佐藤、田中と言った身近な友人たちが「人間ではない」自分を受け入れ、また秘密を共有するようになったこと(VII巻)で、徐々に不安を払拭。“存在の力”の制御を体得したこともあって幾つかの初歩的な自在法を身につけ、恐れを克服した(XI巻)。また母・千草の妊娠を機に、平穏な日常と未来を守る役割の大切さを実感し、日常への未練を断ち切る「覚悟」と共に、「この戦いをいつか終わらせる」という自分自身の望みを抱くに至る(XIII巻)。その成果の結実として、クリスマス・イヴに現れた“徒”の一人ザロービを独力で討滅した(XIV巻)。
シャナからはフリアグネ戦を機に、クラスメートの吉田一美からは本編開始以前から、好意を寄せられ、自身も二人に好意を持つようになる。
シャナに対しては「“ミステス”となった自分にとって一つしかない未来の象徴」と捉え、「使命に純粋なフレイムヘイズ」であるシャナの役に立つことへ拘り、時折彼女を意識しながらも恋愛対象と見ることを自制していた。そのため、自分への感情でシャナが変化し「少女としての好意」を持つようになったことには全く気付かず、後にシャナの方から行動に移したことで、その好意にようやく気づいた。
吉田一美に対しては「自分にとっては過去のものとなった、平穏な日常の象徴」と捉え、その好意には当初から気づいていた。しかし自分が既に人間ではないことから、好意に対してハッキリとした態度を取れず、一貫して「彼女の好意を受け止め甘えるだけ」の態度を取り続けた。
両者からの好意を知って以降も、自分がトーチであることからの人間への未練や理屈や打算で二人の好意に答えることを忌避したことと、自分の恋愛感情がどういうものが自分でも分からなかったことから、二人のためにも決断をしたいと思いつつも、決断できずにいた。しかしクリスマス・イヴに、シャナと吉田から二人のどちらを選ぶかの決断を迫られて覚悟を決め、シャナを選ぶ。その次の瞬間、イヴに現れた“王”サブラクから密かにポケットに入れられていた宝具『非常手段』が起動し、自らに内在していた黒い影に導かれて[仮装舞踏会]本拠地『星黎殿』へ転移。『暴君 I 』と化していた『零時迷子』と『星黎殿』にあった『暴君 II 』が合一して、[仮装舞踏会]盟主祭礼の蛇の代行体となる。同時に炎の色は“祭礼の蛇”と同じ黒色となり、またトーチとしての坂井悠二が保っていた周囲との関連性は失われ、存在の消失を感じ取れない人たちに忘れ去られた。持っていた宝具『アズュール』と『吸血鬼』は引き続き使用し、他にも鎧甲型宝具『莫夜鎧』を纏い、髪に取り付けた『竜尾』も使用するようになった。
悠二自身は“祭礼の蛇”の掲げる『大命』を、自身の望みである「この戦いをいつか終わらせる」方法として受け入れ納得した上で、“祭礼の蛇”と合一した。そのため“祭礼の蛇”と合一した後も、坂井悠二としての記憶はそのまま残り、両者が融合しているような状態になった。
合一当初は[仮装舞踏会]構成員たちから反感を買ったり不安に思われたりしていたが、盟主お披露目の式典で力や“紅世の徒”としての在り様で他の“徒”を圧倒し、[仮装舞踏会]全構成員から盟主として認められる。ただし、あくまで「盟主の代行体」として認められたのであり、『三柱臣』など一部を除いて「坂井悠二」本人が認められたわけではなく、最終決戦において「坂井悠二」が危険な状態になっても構成員は援護しようとしなかった。
翌1月上旬に“祭礼の蛇”坂井悠二として御崎市に帰郷、シャナたちと対峙する。そこでマージョリーとヴィルヘルミナを巧みに足止めしつつシャナと対決、彼女を瀕死に陥らせた上で[仮装舞踏会]の本拠地『星黎殿』へと拉致する(XVI巻)。その目的は『大命』の下準備であり、“祭礼の蛇”に唯一対抗し得る“天壌の劫火”のフレイムヘイズを[仮装舞踏会]の監視下に置き、場合により殺害すること、まもなく起こるであろう[仮装舞踏会]対フレイムヘイズの総力戦に御崎市のフレイムヘイズたちが参戦するのを阻止すること、そしてシャナが参戦した場合の不慮の死と言う万一の危険の回避であった。そのため『星黎殿』ではシャナを、“逆理の裁者”ベルペオルの宝具『タルタロス』で異能の力を封じたうえ、策略でアラストールとも引き離し客室に幽閉。“天壌の劫火”の顕現を警戒した“頂の座”ヘカテーによるシャナ暗殺を防ぎ、逆にシャナが死ぬことで予想される危険性をヘカテーに説いた(XVII巻)。
一方で“祭礼の蛇”神体をこの世へ取り戻すべく、ヘカテーの導きで『星黎殿』を中国中南部に移動させ、その地で『久遠の陥穽』へと通じる『神門』を創造し、アラストール・『三柱臣』・教授(とドミノ)・サブラク・ロフォカレを伴って『久遠の陥穽』へと出立する(XVII巻)。
『神門』と“祭礼の蛇”神体を結ぶ『詣道』では、両界の狭間との隔離が不完全な場所に出現する最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影を撃退しながら、ヘカテーの先導によって『詣道』を突き進む(XVIII巻)。そして『詣道』の最奥部である『祭殿』にて、ベルペオルとヘカテーによって“祭礼の蛇”神体が覚醒・復活するのを歓喜の表情で見届けた。そして“祭礼の蛇”神体と共に『詣道』を遡っている途中で、追いついて来たシャナと遭遇し、シャナの姿と告白と決意を見聞きしたことで衝撃を受ける。それでも「“ミステス”坂井悠二」の決意は変わらず、シャナと交戦し続けるが決着がつかず、シャナがヴィルヘルミナたちと合流した後に、色付く影たちの助力によってその場を離脱するのを見届けると、“祭礼の蛇”神体たちと共に『神門』を抜けてこの世に帰還(XIX巻)。世界中の“徒”とフレイムヘイズに向けて、両界の狭間に新世界『無何有鏡(ザナドゥ)』の創造を宣言する大命宣布を行い、フレイムヘイズ兵団に決定的な敗北を与える。さらに2度目の宣布で『無何有鏡』完成がフレイムヘイズの行動原理を失わせると示し、フレイムヘイズ兵団を崩壊に追い込む。その後、真の決戦場にして『大命』完遂の場として御崎市を選び、各軍との合流などの準備を整え、神体や『三柱臣』等と共に御崎市へ向けて出発した(XX巻)。
『星黎殿』が日本に到着してすぐに単独で御崎市に向かい、『星黎殿』の到着に先立って吉田たちと再会、「坂井悠二の計画」のために吉田を『星黎殿』に迎え入れる。彼女の持つ御崎市のイメージを逆用し、“屍拾い”ラミーに調律の逆転印章を起動させて、『無何有鏡』創造の足がかりとなる両界の狭間への入口を開ける(XXI巻)が、これは「坂井悠二の計画」のために吉田一美の存在を[仮装舞踏会]に認めさせる理由付けに過ぎなかった。
『無何有鏡』創造の儀式が始まり、シャナとヴィルヘルミナが攻め込んで来ると、シュドナイと共に儀式の防衛に当たる(XXI巻)。決戦の最中、『永遠の恋人』ヨーハンの分離と“探耽求究”ダンタリオンの消滅により大幅に弱体化するものの、存在消失の危機に瀕し坂井悠二独自の自在法『グランマティカ』を無意識で発動、危機を回避する。『グランマティカ』は、透明なレンガ状のブロックを組み合わせて状況に応じた任意の自在式を作りだす、様々な局面に対応できる万能な自在法。しかし戦闘の最中で発動した自在法を熟知する余裕はなく、『無何有鏡』完成まで『グランマティカ』を自由自在に使うことはできなかった(XXII巻)。
『無何有鏡』完成後は“祭礼の蛇”の仮装意思総体と分離、分離した後も炎の色は黒のままで、纏っていた鎧甲『莫夜鎧』も引き続き使用。御崎市へ残って「坂井悠二の計画」として“螺旋の風琴”リャナンシーから譲り受けたこの世で完全に存在をなくした遺失物を復元する自在式と、“徒”の移住でこの世に残された莫大な“存在の力”と調律のキーパーソンとなった吉田一美を使い、自身を除いた本物の平井ゆかりを含めた“徒”に喰われる前の御崎市を再生した(XXII巻)。しかしその代償として、『無何有鏡』創造の前段階である調律の逆転印章の起動によって、御崎市は互いの結びつきを失って「ない」も同然の状態であったため、『無何有鏡』に御崎市だけは再現されなかった(XXII巻)。“祭礼の蛇”と分離した後も彼の意識が維持される理由は不明だが、(宝具『贄殿遮那』と同様に)宝具『零時迷子=暴君』そのものに坂井悠二の意識が宿っていると考えられる。
御崎市が再生した後は未練なく新世界『無何有鏡』へ渡り、自身の我侭を押し通した罰として、自身の目的である「人間と“徒”の共存」が実現するまで新世界『無何有鏡』を一人で流離おうと考えていたため、一緒にいることを望むシャナと最後の対決に臨む。その途中、夏祭りの騒動でシャナに宛てて書いた「なんでも言って ちゃんと聞くから」と言う手紙とその意味に衝撃を受け、戦意を喪失。その後のシャナの告白に「シャナ、君が好きだ。世界を変えてやる、と思えるほどに」と答え、シャナとキスを交わした直後に『アズュール』に刻み込まれていた転生の自在式が発動し、自身が確固たる独自の存在になった後、シャナとアラストールと共に新世界『無何有鏡』へと旅立った(XXII巻)。
新世界へ渡り来た後、混沌期の初期にこの世(旧世界)から新世界へ渡り来た古参の“徒”たちに「新世界とそこに住む者たちを守れ」と道を指し示し、シャナと二人で大活躍した模様。しかし、この世(旧世界)と新世界で坂井悠二がとった行動から、新世界の“徒”たちからは、恐怖と等分の困惑から敵とみなされている。[仮装舞踏会]の将たちには「自ら盟主の立場に立った」こと、「使えるモノなら神をも使う」姿勢から一目置かれている。一方で、新世界のフレイムヘイズたちと秩序派の“王”たちからは、シャナと共に距離を置かれた上で遠巻きの敬意と嫌忌から避けられており、『天道宮』及び外界宿への出入りは認められていない。そうしていつしか、坂井悠二は異端の傑物として、『廻世の行者』という異名で呼ばれるようになった。
新世界へ渡り来てから一年後の春、シャナ(とアラストール)と別行動をとって、ピルソインの案内で日本のとある定食屋で人化したリベザルと再会した。そして、食事しながら[マカベアの兄弟]に対する[仮装舞踏会]の方針をリベザルから聞いた後、人間と“徒”の共存を実現するという目的と手段を取り違えかけていたことをリベザルから指摘され、忠告を受けた。そしてシャナと合流した後、シャナとアラストールに日本のとある古びた陸上競技場に誘き出した[マカベアの兄弟]の構成員たちに対する作戦の変更を告げて、その作戦を説明した。そして、とある古びた陸上競技場で生贄のふりをして[マカベアの兄弟]の“王子”であるダーインとカルンと遭遇。すぐに現れたシャナにダーインを任せると、悠二は『グランマティカ』で陸上競技場を包み込んで“徒”たちを逃がさないための檻とした後で、カルンと交戦を開始して、カルンを討滅した。そしてシャナがダーインを討滅した後、アラストールが天罰神の『神託』を告げた後で、『グランマティカ』を解除して残った[マカベアの兄弟]の構成員たちを解放した。そして作戦終了後に、シャナとアラストールに変更した作戦に対する意見を聞いた後で、作戦を変更した理由を説明してシャナとアラストールに励まされた(外伝『ホープ』)。シャナと同じく、未だに御崎高校の制服を着て行動している(本人曰く「ケジメ」で後一年は続ける模様)。トーチ時、代行体時に入手した宝具は未だ使用しているが、『竜尾』の解析と再起動は1年後の春の時点ではうまくいっていない。また、『零時迷子』は機能を停止している。
遠い未来、隣にシャナを連れながら、人間と“徒”の共存を実現させるために、その理念を説いて回る行者となった坂井悠二の姿を“祭礼の蛇”は微睡みの中で見ている(XXII巻エピローグ)。
アニメの設定では身長165cm。ちなみに原作挿絵とアニメでは目の色が違う。アニメ版では性格が多少異なり、冴えた部分はかなり少なく、トーチに対する意識やシャナに対する態度など違いがあった。また、シュドナイの腕を取り込んでおらず、第1期終盤にて『渾の聖廟』でへカテーと器を合わせたことで“存在の力”の量が“紅世の王”に匹敵する量に増えたとされていた。第2期終盤ではヘカテーに『零時迷子』を抜き取られたものの、“存在の力”が尽きる前に『零時迷子』を取り戻した。

人間[編集]

御崎高校の生徒[編集]

吉田 一美(よしだ かずみ)
声 - CD 佐藤朱/アニメ 川澄綾子
悠二の高校からのクラスメイトで、大人しく控えめな少女。当初は“紅世”とは無関係の一般人だったが、シャナたちと関わっていたことで『儀装の駆り手』カムシン・ネヴハーウに調律の協力者候補に選ばれたことを機に“紅世”と関わるようになった。
親しい者を除いて、同級生にすら敬語を使うほど内気で弱気。しかし悠二やシャナとの関係や“紅世”に関する事件を通じ、精神的に強く成長していった。同級生の中でもスタイルが良く、料理全般、特に野菜を使ったものが大の得意など、シャナとはさまざまな点で対照的な面がある。9月生まれ(『ドミサイル』より)。健という中学1年生の弟がいる。
物語開始以前から悠二のことが好きだったが、内気な性格ゆえ告白はできずにいた。しかしシャナの出現を機に、悠二へ接近。その後、カムシンとの出会いを切っ掛けに、悠二がトーチであると知ってショックを受けるが、その上で「トーチというモノ」ではなく人間として好きだと告白し、悠二を涙させた。この時の経緯からカムシンを非常に尊敬しており、「それでも、良かれと思うことを選ぶ」という彼の言葉を、決意する勇気を出すために時々思い出していた。
恋敵のシャナに対して、当初はトーチに割り込んだと知らず幼馴染として親しく接していたが、一方で恋愛感情の自覚がないシャナに批判的であった。しかし彼女の正体を知った後は、本人やシャナの精神的成長に伴い、同じ想いを抱く友人として互いに認め合うようになっていった。
クリスマス・イヴに、三角関係を終わらせるため悠二に選択を迫るが(XIV巻)、直後に悠二が失踪。“紅世”と長く関わったため悠二のことは忘れず、シャナに励まされ悠二の生存を信じ続けた。翌年1月、“祭礼の蛇”坂井悠二襲来時に田中と共にマージョリー・ドーの命を繋ぎとめたが、“祭礼の蛇”坂井悠二がシャナを選んだことを悟り、一度は希望を失った(XVI巻)。
悠二が去った後、フレイムヘイズたちに“紅世”との関わりから身を引くよう(親切として)勧められたが、“紅世”に関わったのは自らの意思であり、その選択は誰にも否定できないと語り、フレイムヘイズたちをも感心させた(XVII巻)。
文化祭での騒動の際、“彩飄”フィレスから宝具『ヒラルダ』を受け取るものの、使用のリスクとフィレスの真意を計りかねて思い悩む(XIII巻)。そして対[仮想舞踏会]戦を控えた翌年1月、御崎市を訪れたカムシンと再会した際に、彼に『ヒラルダ』の秘密を打ち明けた(XVII巻)。
2月、大命成就のため『星黎殿』を伴い御崎市にやってきた“祭礼の蛇”坂井悠二と再会。「坂井悠二の計画」のために協力を要請され、これを了承した。『星黎殿』が変形した『真宰社(しんさいしゃ)』へ招かれ、御崎市全体を覆う巨大な封絶が張られると、ベルペオルの宝具『タルタロス』で身に着けていた『ヒラルダ』の機能を封じられ、両界の狭間への入口を開けるために彼女と同調している『調律』を利用された(XXI巻)。
その後も『真宰社』に留まり一部始終を見ていたが、『無何有鏡』儀式の妨害に現れたシャナたちと悠二たちの決戦に巻き込まれ、ヘカテーとシュドナイやシャナと悠二の愛情の形について考えを巡らせるうち、フィレスが『ヒラルダ』を渡した真意を悟った。その真意、フィレスとヨーハンの二人を『互いに望まない形』から変える奇跡、そしてその奇跡の意味を悠二とシャナの二人に見出してもらうことを望み、『タルタロス』による封印をシャナに断ち切ってもらった直後に『ヒラルダ』を使用し“彩飄”フィレスを召喚した(XXI巻)。そのまま死亡するかと思われたが、『ヒラルダ』の本当の起動条件と、“存在の力”に対する耐性を得ていた事から生き残り、『約束の二人』と[百鬼夜行]と共にその場を離脱した。更にヨーハンからヴィルヘルミナへの伝言と、『約束の二人』の子供ともいうべき『両界の嗣子』となる歪んだ球形のフラスコを託される。その後、[百鬼夜行]と共に戦場を逃げ回り、カムシンとヴィルヘルミナの尽力で危機を凌いだ。新世界『無何有鏡』完成後は、ヴィルヘルミナへの伝言で起動・誕生した『両界の嗣子』ユストゥスを彼女に託して旅立ちを見送り、「坂井悠二の計画」のキーパーソンとして御崎市の復元を手伝った。そして再生された御崎市を見ながら、新世界『無何有鏡』へと旅立った悠二とシャナを万感の涙ながらに見送った(XXII巻)。新世界『無何有鏡』完成後の2か月で髪を伸ばし始めた。
アニメの設定では身長158cm、エカテリーナという名の小型犬を飼っている。第1期の後半でカムシンから神器“サービア”の飾り玉の1つを貰って封絶の中で動けるようになったため、第1期終盤での『星黎殿』での決戦、第2期での近衛史菜が転入してきた時やフィレスの襲来と背信、ヘカテーとフェコルーの襲来を目撃していた。またクリスマス・イヴに『ヒラルダ』を通じて、『零時迷子』の『戒禁』が弛んだほんの僅かな間だけ聞こえてきたヨーハンからの伝言をシャナたちに伝えた。
『灼眼のシャナたん』における吉田一美
『灼眼のシャナたん』やアニメ版キャストにおけるドラマCDでは本編とは180度違った性格を見せることがあった。シャナに対してあからさまな敵意・殺意を抱く、悠二に対して性的な劣情を隠さない、などであった。特に『灼眼のシャナたん』では凶悪な表情を伴う。このために黒吉田と俗称されていた。いつも悠二とシャナたんのやり取りを「吉田専用」と書かれた電柱の影から見ていた。
性格以外にも、悠二曰く「小さくなっても力はそのまま」のはずのシャナたんの斬撃を片手の指2本で易々と白刃取りする、手製のお菓子を食い荒らしたシャナたんに制裁するなど、シャナたんがフレイムヘイズの力を解放していない状態とは言え、人間離れした一面を見せた。
シャナたんとは基本的に敵対関係だが、近衛史菜が現れた時は一時的に共闘した。
佐藤 啓作(さとう けいさく)
声 - アニメ 野島健児
悠二の高校からのクラスメイトで、「とりあえず美をつけてもよい」容姿の華奢な少年。当初は“紅世”とは無関係の一般人だったが、『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーとの出会いを機に“紅世”と関わるようになった。
基本的に軽薄で要領や人当たりの良いクラスのムードメーカーだが、勉強は苦手。御崎市の旧家の息子だが家族とは確執があり、現在は豪邸で家政婦たちの世話を受けつつ居候のマージョリーと2人暮らしをしている。
田中栄太・緒方真竹とは中学からの同級生。特に田中とは親友で、共にシャナと出会う以前に悠二の友人となっていた。後に悠二とも親友と呼べる仲になる。
現在は更生しているが、中学時代は「狂犬」と呼ばれるほど反抗的で荒れており、当時のことを忘れていない者も多い。
御崎市を訪れたマージョリーに目を付けられ、田中と共にサポートに当たる(II巻)。彼女を「親分」と慕い、今以上に役に立ちたいと日々努力を重ねるが、フレイムヘイズと“徒”の戦いに直接参戦するには弱すぎることを思い知り(VII巻)、以後は頭脳面で役立つことを目指して雑学の習得に励むが、それでも思うようにいかず苦悩する。その思慕は、当初は「親分と子分」であったようだが、いつしか男女のそれへと変化していった様子。
マージョリーと出会った後も悠二やシャナの正体は知らなかったが、夏祭りの“徒”襲撃を機に秘密を共有するようになる(VII巻)。同時に悠二と自分の差をたびたび感じては罪悪感や無力感を抱いていたが、文化祭の騒動を機にその差をようやく受け入れた(XIII巻)。その後、一般人が関わる外界宿(アウトロー)の存在を知ってからは、マージョリーをサポートするため外界宿への参入を考えるようになり、悠二を介して外界宿へその意思を伝え、外界宿に役立つ人脈作りのため、有力な人脈を持つ親と和解し家族の住む東京へ移ることを検討し始める(XIII巻、XIV巻)。
クリスマス・イヴに失踪した悠二のことは、“紅世”と長く関わったため忘れず、外界宿への参入に焦りを覚えはじめる。翌年1月、学校を休み外界宿の初等連絡員として東京へと向かう。その際“徒”の接近を察知し、御崎市のフレイムヘイズたちに迎撃体制を整えさせる一翼を担ったが、その“徒”が“祭礼の蛇”と合一した悠二だとは知らなかった(XVI巻)。外界宿東京支部に到着後は、『骸躯の換え手』アーネスト・フリーダーの策により軟禁状態に置かれたが、『輝爍の撒き手』レベッカ・リードに助けられ、マージョリーに宛てた対[仮装舞踏会]戦資料を託され御崎市への帰路に着いた(XVII巻)。
帰宅後、昏睡状態のマージョリーに自身の素直な気持ちを打ち明けて口付けし、彼女を目覚めさせる。そしてマージョリーの想いを受け入れ、遂に両思いになった(XIX巻)。
その後は対[仮装舞踏会]戦に参じるマージョリーに同行(XIX巻)。撤退戦の準備として、中国南西部の戦場近辺に配置された『天道宮』で董命たちと作業に当たっていたが、戦況の変転によってマージョリーが戦場に赴いた後、地中に埋伏された『天道宮』に避難してきたフランソワたちを出迎えた(XX巻)。
フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には飛行機でニューヨークに移動し、シャナたちと合流。シャナたちと『大地の三神』の会合を見届けた。その後、シャナたちが特別便の飛行機から降りて御崎市に突入した後も、飛行機に残って別行動に移った(XXI巻)。御崎市決戦では、他の外界宿の人員と共に御崎市の監視班に配属され、近隣の大戸市から御崎市を監視していた。しかし、新世界が創造されて封絶が解除されると田中に電話し、それによって御崎大橋で戦闘がまだ行われているのを知ると急いで御崎市に向かい、御崎市の復元の実行によって街中の人々に響き渡る坂井悠二の声を聞き、シャナたちが新世界へ旅立つ直前にマージョリーと合流した(XXII巻)。新世界『無何有鏡』完成後は、外界宿の仕事の都合から東京の学校へ転校した。
アニメの設定では身長167cm。第1期では中学時代の荒れ気味の性格が強く残っており、田中とは親しいが悠二たちとの交友関係はほとんどない。第2期からは闘いを通じて交友関係もでき性格も多少丸くなったが、悠二に対して対抗心を抱き相談することを拒絶するなどやはり性格が異なる。
緒方が砕け散ったショックから田中がマージョリーから渡された付箋を手放したことで自分たちの道が分かたれたことを知るが、彼の決断を賞賛するなど田中と二人で一緒の道を行くことにはあまり拘っていない。しかし、マージョリーに対して戦線離脱を告げることは自ら為すべきだと考え、対サブラク戦でのサブラクの罠の一環であるザロービに同行せざるを得なかった悠二のSOSを受け取った田中がそれを伝えに来た折、田中が自ら告げるまで彼の代わりにマージョリーに言うことなく親友を見守っていた。
第3期アニメでは昏睡状態からマージョリーが目覚めた後、原作にはなかった撤退戦への出立前の二人の様子が描かれ、マージョリーと男女の仲になったことが示唆されていた。
田中 栄太(たなか えいた)
声 - アニメ 近藤孝行
悠二の高校からのクラスメイトで、愛嬌のある面付きをした大柄な少年。当初は“紅世”とは無関係の一般人だったが、『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーとの出会いを機に“紅世”と関わるようになった。
基本的に律儀で穏やかな性格で、勝負事などは真剣に楽しむ反面、恋愛事には鈍感で不器用。シャナ曰く、学園で一番身体能力が高い。
佐藤啓作・緒方真竹とは中学からの同級生。特に佐藤とは親友で、共にシャナと出会う以前に悠二の友人となっていた。
中学時代は荒れており、佐藤と共に喧嘩をして回るのは日常茶飯事だった。そのため、母親からは佐藤と手を切って欲しいと思われているが、本人は意に介していない。
御崎市を訪れたマージョリーに目を付けられ、佐藤と共にサポートに当たった(II巻)。彼女を「親分」と慕い、彼女の役に立ちたいと佐藤と共に努力を重ねるが、その思慕はあくまで「親分と子分」と言う立場を前提としたものであった。
マージョリーと出会った後も悠二やシャナの正体は知らなかったが、夏祭りの“徒”襲撃を機に秘密を共有するようになった(VII巻)。また、その襲撃中に緒方から告白を受け(VI巻)、戸惑いながらもそれまで以上に親しく付き合い始めた。その後、文化祭の騒動時に、封絶の中で彼女が砕け散る様を目撃してしまい、緒方への想いを自覚すると同時に、“紅世”と関わることを恐れ始めた(XII巻)。一方で、当初の誓いのままマージョリーのために道を模索する佐藤と自身を比較し、不甲斐ない思いを抱くようになった(XIII巻)。
悠二からはクリスマス・イヴに(XIV巻)、佐藤からは彼が東京外界宿へ向かう途中に(XVI巻)、フレイムヘイズたちへの連絡役を任され、恐怖に怯えながらも友人たちの信頼を裏切れず、自らの役割を果たした。特に佐藤が御崎市を発って以降は、人手不足から渋々ながらマージョリーのサポート役を続けた。
クリスマス・イヴに失踪した悠二のことは、“紅世”と長く関わったため忘れず、悠二が“徒”側に寝返ったと知って戸惑い怒りを覚えたものの(XVI巻)、それでも“紅世”への恐怖心は拭えず、既に自分の手に余る事態であることも理解していた(XVII巻)。
“祭礼の蛇”坂井悠二との戦いでマージョリーが昏睡状態に陥る(XVI巻)と、佐藤の帰宅を待ちながら、彼が戻るまで毎日マージョリーの様子を見ていた(XVII巻)。その後、レベッカに助けられた佐藤が御崎市に戻ると、御崎市駅の改札口で出迎え、彼を自分なりに励ました(XIX巻)。
2月、吉田たちと共に妊娠中の坂井千草を見舞う。その帰りに“祭礼の蛇”坂井悠二と再会し、吉田を連れ去ろうとする悠二から、新世界『無何有鏡』を創造する理由を聞き出す。その話の中で“徒”側に寝返ったはずの悠二が、以前と変わらず御崎市や家族や友人たちを守ろうとしていることに気付く。そこで、御崎市からの逃亡を勧める悠二に対し、自在式の栞を手放し普通に過ごすから自分たちを守ってみせろと告げて彼への信頼を示し、握手を交わして悠二の前から立ち去った(XXI巻)。
そして、新世界『無何有鏡』が創造されて封絶が解除された直後に、携帯電話にかかってきた佐藤からの連絡で事情を知った直後に御崎大橋で(マージョリーとシュドナイの)戦闘が行われていることに気付く。そして、佐藤からの再度の連絡でシャナと悠二が和解して一緒に新世界へ旅立ったことを知って、涙を流して見送った(XXII巻)。
アニメでの設定では身長175cm。佐藤ほどではないが性格が原作と異なる。第2期アニメでは“紅世”には関わらないという結論も出して、親友の佐藤にマージョリーのしおりを渡して決別の意を告げていた。
池 速人(いけ はやと)
声 - CD 笹田貴之/アニメ 野島裕史
悠二の中学からの同級生で、親友と呼べる間柄。悠二やシャナたちの身近にいるが、“紅世”とは無関係の一般人。
学業優秀で人当たりも良く、さまざまなことをそつなく人並み以上にこなし、ごく自然に皆のトップに立ち場をまとめる、天性のリーダー気質を持った少年でクラス委員も務める。通称「正義の味方メガネマン」。
吉田一美が悠二に好意を持っていることに気づき、二人の仲を取り持とうと吉田に助力する内に吉田に好意を抱くようになり、吉田の気持ちと己の感情と理性の板ばさみに苦悩する。悠二たちが表面は変わっていないように見えて実は変わっている現実を見て自分も変わらなければいけないと思い悩む。そして一つの決意としてクリスマス・イヴに振られるのを承知で吉田一美に告白し、振られた(XIV巻)。
クリスマス・イヴに悠二が失踪して以降、悠二のことは忘れており、「吉田一美に想いを告げ、結果振られた」という事実から年が明けても一美と気まずい関係が続いていたが(XVI巻)、共に学校で過ごす内に「気まずさ」も薄れていった(XVII巻)。
二月に、吉田一美たちと共に母の友人である妊娠中の坂井千草を見舞った。そして坂井家を出たところで悠二と遭遇し、田中の頼みで緒方と共に先に帰途に着いた(XXI巻)。
アニメ版やOVAでは乗り物酔いをしやすい体質を持っており、遊園地の子供用の乗り物や観覧車でさえも酔ってしまう。特に第2期アニメでは、損な役割や抜けたところが多く作られ、ギャグキャラクター的な位置付けになっている。文化祭では運営委員仲間の藤田に仕事を手伝わされ過ぎ、ダウンしてしまった(準備期間中はそのせいで「始まる前に終わった」感じになってしまった)。
緒方 真竹(おがた またけ)
声 - アニメ 小林由美子
悠二の高校からのクラスメイトで、ボーイッシュな女の子。悠二やシャナたちの身近にいるが、“紅世”とは無関係の一般人。
「かわいいよりかっこいい」と評される快活な性格。バレー部員で1年ながらレギュラーを掴んでいる。
佐藤啓作・田中栄太とは中学からの同級生。特に明記はされていないが、中学時代から佐藤家に出入りしており未成年ながら飲酒を嗜むなど、中学時代は佐藤・田中と共に素行不良であったことが伺える。
田中に好意を抱いており、彼のそばにいたいがために悠二たちと関わるようになった。夏祭りの“徒”襲撃中に田中に告白。きちんとした返事はもらっていないが、周囲からはほぼ公認カップルの扱いを受けている。また、当初は田中が慕うマージョリーのことを誤解していたが、誤解が解けた後は「身近で頼れる大人の女性」として彼女を尊敬している様子。
文化祭の騒動時に封絶の中で「壊され」、田中の心に影を落とした(XII巻)。しかし“存在の力”を失わなかったため、通常の人間のまま修復されており、その後も何も知らないまま日常生活を送っているが、田中の心情が変化したことには気づいている(XIII巻)。
クリスマス・イヴに悠二が失踪して以降、悠二のことは忘れており、悠二の帰還時に一度すれ違ったが全く気付かなかった(XVI巻)。その数日後に、悠二に振られて元気のない吉田一美を気遣った(XVII巻)。
二月に、吉田一美たちと共に坂井家を訪れて妊娠中の坂井千草を見舞った。そして坂井家の玄関を出たところで悠二と遭遇し、田中に言われて池と共に先に帰っていった(XXI巻)。
平井 ゆかり(ひらい ゆかり)
声 - アニメ 浅野真澄
悠二のクラスメイトの1人。物語開始前に“狩人”フリアグネの一派に家族ごと襲われ死亡、揃ってトーチとなっていた。その後、悠二と出会ったシャナが彼の見張りに都合が良い立場として存在を割り込ませたため、周囲の一般人には平井ゆかり=シャナと認知されている。平井ゆかりが“絆”以外消えてしまったことを聞いた悠二が、自分だけでも消えてしまった「本当の平井ゆかり」のことを覚えているために、フレイムヘイズの少女と平井ゆかりが別人である証明として、名無しのフレイムヘイズの少女に「シャナ」と名付けることとなる。
原作では、物語開始時にトーチとなった前後の平井ゆかりが登場する場面はないが、以前はどのような人物であったかが語られている。かつては隣席の悠二とは何度かノートを貸した程度の仲だった。悠二は目立たず大人しかったとしているが、シャナによれば「灯りも消えかけてた」トーチだったため、実際の性格は不明。また吉田一美とは幼馴染で、吉田が対等に話せる数少ない友人の一人であった。
シャナが平井ゆかりの存在に割り込んで間もなく、家族のトーチも燃え尽きた。平井家の住居であったマンションは、御崎市におけるシャナの寝床兼倉庫として使われ、その後シャナとヴィルヘルミナの共同生活の拠点となった。
『星黎殿』に拉致されたシャナが宝具『タルタロス』によって異能の力のみならず、絆の繋がりも封じられてしまった際には、シャナが存在を割り込んだ平井ゆかりはその痕跡が消え、存在の消失を感じ取れない人たちにも忘れ去られた(XVII巻)。その後、『星黎殿』攻防戦で一時的に復活した“天目一個”がシャナの右手首にはめられていた『タルタロス』の一部を断ち切ったことで(XVIII巻)、坂井千草たちはシャナが存在に割り込んでいる平井ゆかりのことを思い出した(XXI巻)。
御崎市決戦終結後、「坂井悠二の計画」によって御崎市で喰われた存在が復元されている最中、悠二の要望に応じシャナが彼女への割り込みを止めたことで、本当の平井ゆかりも両親と共に復元された。シャナが彼女に割り込んでいる間に築き上げた周囲との関連性(坂井千草との交友関係など)は引き継がれた(XXII巻)。しかし、その復元の影響で去年四月から二月中旬頃までの記憶の全健忘者が多い中、一人だけ断片的な記憶が残っていることに悩みを抱えており、未だにカウンセラー(と言う名目の外界宿関係者)からカウンセリングを受けている。
アニメ版や劇場版ではオリジナルキャラクターとして物語序盤に登場し、トーチとなる以前の様子も描かれた。腰まである長髪をツーサイドアップにした少女の姿で描かれており、池速人に好意を持っていた。また、悠二とシャナが出会った際の“燐子”に喰われた人間の1人になっている。彼女がトーチになったと知った悠二は、燃え尽きる前に池と思い出を作ってもらおうと努力したが、“存在の力”が尽きる寸前だったため、池は彼女をほとんど無視していた。このエピソードではトーチの悲劇性が顕著になっている。シャナが存在を割り込ませる際には1度消滅したトーチの残滓を利用し、またその時点ですでにシャナの命名がなされているため、悠二が彼女の人格を尊重する描写は学校では「平井ゆかり」として接するようにというシャナの指示を無視するという表現に変更された。
漫画版では悠二の回想でわずかに描かれており、ストレートのロングヘアーとなっており顔つきもアニメ版と大幅に異なる。
中村 公子(なかむら きみこ)
声 - アニメ 藤村歩
悠二のクラスメイトの一人で、“紅世”とは無関係の一般人。化粧が趣味の活発な性格で、イベントなどの際にはクラスの中心として活躍する。一美にせがまれて悠二の写真を渡したのも彼女。また、世俗に疎いシャナを色々と面倒見ているが、「ロミオとジュリエット」などは余計な脚色を付けて教えている節がある。シャナや一美にセクハラをすることもある(XI巻)。
年が明けた3学期初日、吉田一美と池速人を見て気まずい空気が漂っているのを、思春期の女子ゆえに気付くが、何があったか聞き出そうとするなど、無遠慮かつ無神経な性格が窺える。尚この時は、藤田晴美に口を塞がれて止められた(XVI巻)。
第1期アニメと第2期アニメの中間で販売されたOVAから登場していた。
藤田 晴美(ふじた はるみ)
声 - アニメ 升望
悠二のクラスメイトで、1年2組の副クラス委員。“紅世”とは無関係の一般人。メガネがトレードマーク。肝心なところで大ポカする癖がある。即決即断の性格で、深く考えて行動するタイプの池とはクラス委員として名コンビを組んでいる。内気な吉田が下の名前で呼ぶ数少ないクラスメート。何でも背負いがちな池が他人に頼れるようになったことに気付き、同時に池にそのことを気付かせた(XIII巻)。
年が明けた3学期初日、吉田一美と池速人との間に気まずい空気が漂っているのを、思春期の女子ゆえに気付き、無遠慮に何があったかを聞こうとした中村公子の口を塞いで止めさせた(XVI巻)。
第1期アニメと第2期アニメの中間で販売されたOVAから登場していた。第2期アニメでは原作と違って池の事情を考えずに振り回す性格になっており、清秋祭運営委員の1人で池に仕事を任せてばかり居た結果、池はダウンしてしまった(彼女が池が始まる前に終わった感じを作り出した原因)。さらに終了後も引きずり回し続けた。
浅沼 稲穂(あさぬま いなほ)・西尾 広子(にしお ひろこ)・川上 正太郎(かわかみ しょうたろう)
悠二たちの隣のクラスの1年1組の生徒。清秋祭の際に仮装衣装の生地を2組から提供されたのを受けて(ヴィルヘルミナが調達したもの)、シャナに礼を述べている。また川上はパレードの『赤ずきん』猟師役でベスト仮装賞にノミネートされた。
浅沼はロングヘアの活発な少女で、西尾はショートのおとなしめの少女。川上は「華麗なるラブハンター」と称される一方、物忘れが激しいらしい。
黒田 寿子(くろだ としこ)
悠二たちの隣のクラスの1年3組の生徒。清秋祭の仮装パレードでは『不思議の国のアリス』のアリス役を務め、ベスト仮装賞にノミネートされている。その際、「アリスというよりハートの女王様」と称されている。
近衛 史菜(このえ ふみな)
声 - アニメ 能登麻美子
アニメ版のオリジナルキャラクター。第2期二話終盤で悠二たちのクラスへ転校してきた少女で、“頂の座”ヘカテーに瓜二つの顔をしている。また右手首に鎖を輪にしたブレスレットを付けている。シャナや悠二はヘカテー本人ではないかと疑い、あらゆる方法で試したが、結局は傷口から血が流れていたことから人間と判断した。
長年、買い手のつかなかった大きな屋敷に引っ越してきたばかりで、老紳士的な執事(声 - アニメ ふくまつ進紗)と二人暮らし。常に敬語で話し、教科書を出したり着替えたりするのに他人の手を借りる、登下校に送迎が必要など、浮世離れしたお嬢様。周囲に告げず1人でどこかへ行く(そのたびに悠二や一美が探し周る)、学校の机にテーブルクロスを敷く、注意されても耳を貸さないなど、マイペースで天然な性格。転校初日から悠二のことを気に入って(席を悠二の横にするように先生に頼んだり、何かと悠二の袖をつまむなど)悠二に執着し、その無自覚な行動でシャナや一美を悩ませた。
その正体は[仮装舞踏会]が送り込んだヘカテーが作り上げた自身の偽りの器(人間の偽装体)。前述の通り血を流していたが、これはブレスレットに変化していた“逆理の裁者”ベルペオルの宝具『タルタロス』の一部により『“紅世”との関係性』を断たれていたためである。そのため気配や身体構成は人間のと何ら変わりはないものであった。
文化祭の騒動の際、悠二の中から『暴君』が顕われたことを知ったベルペオルが、『タルタロス』を操作して右手首のブレスレットを砕き、封絶内でも動くことができるようになった(この時、一緒にいた執事は爆発している)。そして悠二たちの前に現れ、ヘカテーの大杖『トライゴン』で『暴君』の顕現を抑えて『零時迷子』に刻印を打ち込んだ(原作ではヘカテー自身が行っている)。その直後、現れたヘカテーに器を開き、その記憶と感情を回収されて同化・消滅した。消滅後は存在の消失を感じ取れない人たちには忘れ去られた。
上原(うえはら)・菅野(すがの)・佐々木(ささき)・荻原(おぎわら)
声 - アニメ 大須賀純(上原) 中尾衣里(佐々木) 井口裕香(荻原)
アニメ版で判明している1年2組の生徒たち。上原は男子生徒。菅野は活発そうなポニーテールの少女で、当初悠二の左隣の座席だった(後に近衛史菜と席替えしている)。佐々木はショートカットの少女。荻原はショートボブの少女。その他、出席点呼や体操着から複数の名前が確認できる。
高井(たかい)
声 - アニメ 桐井大介
アニメ版で登場する生徒。悠二たちとは別のクラスの男子生徒で、図書委員に所属しているようである。

坂井家[編集]

坂井 千草(さかい ちぐさ)
声 - CD 皆口裕子/アニメ 櫻井智
悠二の母で専業主婦。人当たりがよく常に笑顔を絶やさないが、意外に押しが強く、また高い見識の持ち主であり人の心の機微にも鋭い。家事一般に精通しており、料理上手で特に炒め物が得意。本人曰く運動神経も悪くないらしい。
子供の扱いに慣れており、また世話好きで面倒見が良い。感情表現に拙いシャナに対しては豊富な人生経験からしばしば的確なアドバイスを与え、アラストールやヴィルヘルミナとも教育論において対等に渡り合い、彼らから一目置かれている。アラストールのことを「アラス トオルさん」(アクセントは「ア」におく)と呼ぶ。
実年齢よりかなり若く見える。しかし年齢を若干気にしており、貫太郎にも自分の年齢をあまり教えないように言っている。第IX巻における悠二の発言からすれば、千草・貫太郎夫妻の年齢は30代半ばから40歳前後と推測される。
貫太郎の発言から、養護施設の類で育ったらしいことが窺える。
夫の貫太郎とは学生結婚で、今なおラブラブな良き夫婦。十二月に、妊娠していたことが判明する(XIII巻)。
悠二のことは、彼のトーチとしての関連性の消滅とともに忘れている。そのため、シャナとのつながりが不自然になっていた。吉田のことも「シャナちゃんのお友達」という認識になっていた(XVI巻)。
シャナが悠二に拉致され、宝具『タルタロス』によって絆の繋がりを封じられると、シャナのことも忘れてしまった(XVII巻)。しかし、『星黎殿』攻防戦で一時的に復活した“天目一個”によってシャナの右手首にはめられていた『タルタロス』の一部が切断・消失したことで、シャナ(が存在を割り込んでいる平井ゆかり)のことを思い出した(XVII巻)。
アニメ版から登場していた。
坂井 貫太郎(さかい かんたろう)
声 - アニメ 藤原啓治
悠二の父。職業は本人曰く『困った人の相談に乗る』仕事で、普段は海外に単身赴任している。他人を驚かせるのが好きらしく、普段から帰宅の際に事前の連絡は入れない様子。冗談やジョークをよく言うが、妻の千草曰く「笑えないのにショックばかり大きい」。
細身の体型だが、かなりの大食らいでしかも無茶な食べ方をする。運動神経が良く、シャナの飛び蹴りを偶然に助けられながらもかわしたほどである。尾行や調査の手腕は一流で、大戸ファンシーパークでヴィルヘルミナを追跡した際には彼女に全く気取られず、しかも僅かな時間で変装を次々と取り換えてみせる手腕を示した。
見た目は妻・千草同様とても若々しいが、千草への配慮であまり年齢は言わないようにしている。
学生時代、当時恋人であった千草の妊娠を機に結婚。(恐らくはそのために)実家から勘当され、現在も交流はない。
仕事で海外にいたが7月、御崎市(の駅近辺)が教授との戦いで壊滅したニュースを聞きつけ、家族を心配して休みを貰って一時帰宅した。その際にシャナやヴィルヘルミナ・カルメル、吉田一美と顔を合わせ、シャナと「息子を酷い目に合わせようとしている」ヴィルヘルミナの話し合いの場を設けるのに一役買った(IX巻)。その後すぐ仕事に戻ったが、12月中旬に再び帰宅、悠二に千草の妊娠を告げ、今まで黙っていた「双子の兄」の存在を明かした(XIII巻)。
悠二のことは、彼のトーチとしての関連性の消失によって完全に忘れている。二月に、コネを使った特別便で日本に戻って来て妊娠中の千草を見舞い、その最中に吉田や田中たちの訪問を受けた(XXI巻)。
「双子の兄」について悠二には黙っていたのは、悠二が「見知らぬ兄」の存在を受け止められるか分からず逆に傷つけるかも知れなかったことと、自分たちが辛い思いをして一生胸の内に秘めておくつもりだったため(位牌供養をどうしていたかは不明)。
第2期アニメから登場していたが、登場する時期が少しずれ、帰ってきた理由も違う。また原作と異なり坂井家に長期間滞在しており、清秋祭のパレード行列を千草と共に見物している。また、原作ではシャナとヴィルヘルミナを尾行し、見つかった際に尾行の理由を冗談で「趣味」と言ったのに対し(本当の理由は2人が危険な人物でないかを探るため)、アニメでは本当に「女性を尾行するのが趣味」となっており、尾行する人物も異なる。清秋祭終了後に単身赴任に戻ったが、12月中旬に再び帰ってきて千草の妊娠を告げたところまでは原作通りだが、クリスマス・イヴを千草と2人きりで過ごしている。
坂井 三悠(さかい みゆ)
悠二たちが新世界へ旅立ってすぐ後の二月下旬に生まれた貫太郎と千草の娘で、悠二の妹。誕生時にはすでに悠二との繋がりは消えていたが、御崎市の復元を行った際に御崎市の人々に響いた悠二の声から、悠二がそこにいた証として“三”の文字ともう一つの文字“はるか”をあわせて名付けられた。

その他の人間[編集]

ドナート
中部イタリア、ウルビーノ出身の芸術家。“螺旋の風琴”リャナンシーとは恋仲であったが、彼女の力の源を知った怒りと悲しみから、彼女と仲たがいする。リャナンシーが去った後、それを生涯悔やみ続け、友人たる“髄の楼閣”ガヴィダにリャナンシーに向けての一つの言伝を依頼し、この世を去った。ガヴィダ曰く「純情な爺い」。
ゲオルギウス
大法螺吹きの修士の男で、『永遠の恋人』ヨーハンの父。夢と現実に境を持たず、代わりに他人にその境を飛び越えさせる弁舌と狂熱を持つ。
その大法螺を“彩飄”フィレスに気に入られ、さまざまな欲望を叶えてもらっていた。しかし欲望はやがて金と女のみとなり、最後には使えもしない自在法で「自らに活力を取り戻す」ことを望んだ。そのためにフィレスを欺き、息子ヨーハンを殺そうとしたため、それを目撃し激しい怒りを覚えたフィレスに殺された。
類似人物としてゲオルギウスキリスト教聖人・竜殺しの伝説で有名)と、ゲオルク・ファウスト(『ファウスト』の主人公・ファウスト博士のモデル)がいる。
ハリー・スミス
外界宿の人間の構成員で、19世紀末に壊滅したハワイ諸島ホノルル外界宿の唯一の生き残りである青年。その後、現地調査員として活動し、1901年に外界宿の再設置にやって来た『鬼功の繰り手』サーレ・ハビヒツブルグと『極光の射手』キアラ・トスカナを補佐するため行動を共にする。生真面目で堅苦しく、また過去に母や妹を“徒”に喰われ失っている。
その正体は、「本物のハリー・スミス」の妹であるハリエット・スミス。ホノルル外界宿壊滅の原因が兄と知り、その真意を知るため、兄を装って外界宿調査員として活動しつつ[革正団]に協力していた。しかし、戦闘に巻き込まれ怪我を負ったことでキアラたちに正体を知られたため、キアラたちと袂を分かち、現地で活動していた[革正団]と合流。“征遼の睟”サラカエルから兄の真意を聞かされ正式に[革正団]の一員となった。
[革正団]サラカエル一味の活動がキアラたちに阻止された後は、サラカエルの遺言に従い「その後の世界」を『約束の二人』と共に見届け、天寿を全うする。キアラ達とは遂に相容れることはなかったが、『約束の二人』とは友誼を結んだようである。なお[革正団]サラカエル一味壊滅の際に、物体の組成や構造を瞬時に解析する宝具『ノーメンクラタ』を入手しており、彼女の死後は友誼を結んだ“彩飄”フィレスが形見として所持している。
頂辛(こうしん)
東アジアにある外界宿を統べる『傀輪会(かいりんかい)』の最高幹部『大老』の1人である老人。若き日に『剣花の薙ぎ手』虞軒に絡んで一撃でのされて以降、彼女を愛するようになり外界宿に参加した模様。『傀輪会』はゾフィー・サバリッシュの「一時撤退し潜伏せよ」との指示に従わず、独断で近隣の外界宿の勢力を集結させシュドナイ率いる軍勢と一大会戦を決行するが大敗、もはや上海総本部も陥落が決定的となった時、彼はこのまま“徒”の手に掛かるのではなく愛するフレイムヘイズの手によって逝くことを選び、『剣花の薙ぎ手』虞軒の手によって死亡した。
第三期アニメには未登場。
董命(とうめい)
『傀輪会』の構成員で、野戦服の似合いすぎる壮年の中国人。ヴィルヘルミナからマージョリーに託された『引潮』作戦を遂行するに当たって、通信諸雑務の要員として『傀輪会』から派遣された構成員たちのリーダーである。しかもマージョリーに同行している佐藤の為に董命を含む日本語を話せる者たちが派遣され、佐藤に外界宿構成員としての心構えをレクチャーしていた。
第三期アニメには未登場。
吉田 健(よしだ けん)
声 - アニメ版ドラマCD 寿美菜子
外伝『セレモニー』に登場。吉田一美の弟。姉の想い人である悠二がシャナと仲良さそうにしていた所を街で目撃し、姉の誕生日に悠二に対していたずらを行う。わずかだが本編にも登場する。
大上 準子(おおがみ じゅんこ)
声 - アニメ 伊藤かな恵
0巻『オーバーチュア』に登場。父親(アニメ 上田燿司)と母親(アニメ 大浦冬華)と兄がいる。濱口幸雄とのデート中に“纏玩”ウコバクに“存在の力”を喰われて死亡する。そのトーチは翌日、『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)によって存在に割り込まれた。
濱口 幸雄(はまぐち ゆきお)
声 - アニメ 浅沼晋太郎
0巻『オーバーチュア』に登場。大上準子と付き合っていた。本人の知らぬ間に、大上準子を喰った“徒”を捜す『贄殿遮那』のフレイムヘイズ(=シャナ)に協力させられた。最終的には完全に準子の存在を忘れてしまうが、所持していたアクセサリーの結び目を見た際には無意識の内に涙を流していた。
斉藤 隆代(さいとう たかよ)・宇垣 成子(うがき せいこ)・尾崎 夕紀乃(おざき ゆきの)
声 - アニメ 伊瀬茉莉也(斉藤)・早見沙織(宇垣)・後藤麻衣(尾崎)
0巻『オーバーチュア』に登場。大上準子のクラスメートで友人。それぞれ斉藤は普通の、宇垣は男勝りな、尾崎は丁寧口調の少女。
大峰 悟(おおみね さとる)
声 - アニメ 保村真
名前はアニメ版のみ。悠二たちのクラス担任。温厚な性格。
ドラマCDでは、教職に就く前はメロンパン職人だったと語っている。
岡田(おかだ)
声 - アニメ 園部好徳
名前はアニメ版のみ。御崎高校の英語教師。教え方にやや難があるようで、シャナに欠点を指摘されて閉口している。
近藤(こんどう)
声 - アニメ 桐井大介
名前はアニメ版のみ。御崎高校の体育教師。教師たちに文句をつけるシャナを懲らしめるためにマラソン授業を行う。しかしシャナはへばることはなく、逆に体調を崩した一美を叱責するが、シャナと悠二の機転でやりこめられてしまう。その後は授業内容を改善していき、生徒からの受けも良くなっていく。作品ごとに容姿が異なる。
ビリー・ホーキン
1864年、南北戦争の裏で勃発していた『内乱』の最中で、『大地の四神』率いる西軍の一部隊であるフレイムヘイズと人間のインディアンたちの混成部隊[パドゥーカ]によって故郷の開拓村を焼き払われた上に、右目まで潰された人間の少年。村を焼き払ったインディアンたちが口にしていたフレイムヘイズという言葉だけを頼りに荒野を彷徨った末に行き倒れていたところを、フレイムヘイズを殺すための宝具制作のために討ち手を憎む人間を探していた“狩人”フリアグネ一向に助けられる。そして、互いの事情を知ったことで利害の一致を見たビリーは、フリアグネたちや合流したフリアグネの古い友人である[宝石の一味]の頭コヨーテと行動を共にしながら、銃の腕を磨きつつ復讐の機会を待った。
そして二ヶ月後、コヨーテが得た情報を元に、遂に[パドゥーカ]が通過するであろうとある狭隘地でフリアグネと共に待ち伏せ、遂に[パドゥーカ]と遭遇。銃で[パドゥーカ]の半数を射殺し、残りの半数はフリアグネが“存在の力”を喰らって殺害した。そして、ただ一人残った[パドゥーカ]の指揮官であるフレイムヘイズ『氷霧の削ぎ手』ノーマン・パーセルと交戦、ノーマンの自在法『スペイキル』と『アクス』によって致命傷を負いながらも、フリアグネと思いを縒り合わせて投擲した銃を素材に銀の拳銃型宝具を作り出し、その宝具でフリアグネがノーマンを撃って爆死させ、遂に仇を売った。そして、銀の拳銃型宝具を『トリガーパッピー(発砲狂)』と名付けて、仇を嘲笑いながら最高の気分のまま死亡した。
セレーナ・ラウダス
新世界『無何有鏡』の地中海をクルーズする豪華客船『ロード・オブ・ザ・シーズ』号の客室乗務員。年齢は二十すぎ、髪の色は暗い茶色と異なるが、面差しはヘカテーに似ている。同船の貴賓室に陣取る貴婦人(その正体は、[仮装舞踏会]将帥との合流地点として本船に乗り合わせたベルペオル)の目に止まったことで、本来の業務を外れて貴婦人専属のサービス要員となる。船が人間の犯罪者によるシージャック事件に巻き込まれる中、無風の貴賓室を次々と訪れる多様珍妙な来客を応対し、一連の騒動後に『夢のような景色』を目撃する。

ミステス[編集]

宝具をその身に宿した特別なトーチ。ミステスの消滅により宝具が無作為転移する様相から、「旅する宝の蔵」とも呼ばれる。宿す宝具によって、特異な能力を持つこともある。

坂井悠二(さかい ゆうじ)
声 - CD 森田成一/アニメ 日野聡
宝具『零時迷子』を核にするミステス。詳細は前述の主要人物・坂井悠二の項を参照。
“天目一個”(てんもくいっこ)
声 - アニメ 菅生隆之
宝具『贄殿遮那』を核にするミステス。見た目は隻眼鬼面の鎧武者。肉体を持たず鎧の中は空っぽ、フレイムヘイズと“徒”の“存在の力”を喰らうなど、トーチの中でもかなり異質の存在。『贄殿遮那』の能力により、自身に対する自在法による干渉を無効化し、気配を持たないという特性を持つ。自身に最低限の封絶を張っているため、人間には見えない。
強者を求めて各地を彷徨い、行き遭った“徒”やフレイムヘイズを見境なく攻撃し、その“存在の力”を喰らって活動していた。尋常ならざる剣の達人であり、気配がないため実際に目にするまで存在に気付かれず、その間に突如として不意打ちを放ってくるため、“存在の力”の気配や流れを見極める感覚に優れた「強い」“徒”やフレイムヘイズほど危険になり、不意打ちを避けたとしても全ての自在法を無効化されるために白兵戦を強制され、弱い“徒”やフレイムヘイズでは到底敵わない。そうしたことから「史上最悪の“ミステス”」「化け物トーチ」「“紅世”に仇なすモノ」などの異名で半ば伝説化し、“徒”やフレイムヘイズからは非常に恐れられていた。
これらの特性は、核となっている宝具『贄殿遮那』を託すに相応しい、白兵戦に優れた強者を探すためのものであり、その目的で『贄殿遮那』の製作者の一人である人間の刀匠が自ら望んで“ミステス”と化した。そのため決定的な弱者である人間には見向きもせず(シャナはこの特徴を逆手に取り、彼に頼んで「人間」である自分をアラストールの元まで運ばせている)、また誕生時からそうだったのか、時間経過によって変化したのかは不明だが、『刀匠』『贄殿遮那』『鎧武者 天目一個』の3つの意識が混在している。
シャナがまだ人間だった頃、『天道宮』を隠す『秘匿の聖室』の割れ目から「強者」であるアラストールを感知、『天道宮』へ乗り込む。“琉眼”ウィネ“千征令”オルゴンも現れ『天道宮』が混乱する中、「強者と戦う」ためにシャナとアラストールの契約を助ける。そしてアラストールと契約した直後のシャナと戦い、その強さを認めて『贄殿遮那』を託すと、自発的に消失した(V巻)。しかし『贄殿遮那』の内には意思総体が残っており、後に『星黎殿』に幽閉されたシャナの『贄殿遮那』を求める意思に応じて復活。[仮装舞踏会]の構成員たちを襲撃して『星黎殿』中枢部を大混乱に陥らせながらシャナと邂逅、再び『贄殿遮那』を託し消失した(XVIII巻)。シャナのことを自身の使い手として認めており、彼女を「主」と呼んでいた。
“徒”やフレイムヘイズ達には長らく、落雷のような天災と同様に思われ、その活動地域である日本を始めとした東アジア諸国は多くの“徒”から避けられていた。しかし“天目一個”が消えたことで近年の東アジアには再びフレイムヘイズが流れ込み始めるようになり、[仮装舞踏会]による本格的な攻勢が始まるまでは“徒”にとっては非常に物騒な地域となっていた。
名の由来は日本神話の山神・鍛冶の祖神である、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)。
アニメ版では羽織を着ているなど外見が異なり、また気配がないのは使用している封絶が気配を遮断する特別な封絶だからということになっている。
ヨーハン
声 - アニメ 斎賀みつき
宝具『零時迷子』を核にするミステス。見た目は金髪黒眼の17歳の少年で、左耳の後ろに三つ編みがある。『零時迷子』の能力により、消耗した“存在の力”が午前零時に回復する特性を持つ。その特性から、通常のトーチやミステスと異なり“存在の力”が燃え尽きることがなく、永遠に17歳のままである。
気まぐれで人間の成長に興味を持った“彩飄”フィレスに赤児の頃から育てられた。いつしか互いに掛け替えのない存在となり、彼女と永遠に共に在りたいと望んで2人で『零時迷子』を創り、自ら“ミステス”となった。その後はフィレスと二人で『約束の二人エンゲージリンク)』を名乗るようになる。“徒”やフレイムヘイズには『永遠の恋人』の通称で知られる。炎の色はフィレスと同じ琥珀色
常に明るくあっけらかんとしており、多少の困難も楽しむ部分を持つ、風のように自由奔放で掴みどころのない性格。好奇心旺盛で頭が良く勉強家であり、冷静で客観的な価値観と優れた洞察力の持ち主でもある。愛するフィレスとは互いに尊重しあい基本的に相手を拘束するようなことはないが、行動の主体はヨーハンにある様子。フィレスが駄々をこねるときは、彼女が納得するまで言い聞かせるなど(本人は苦にしていないが)苦労人でもある。
幼少時から“存在の力”が身近であったため、人間時代から“存在の力”を感知でき、また好奇心から自在法や宝具などについても深く研究していた。感覚的にしか自在法を使わない者が多い中で、“ミステス”となった後も自在法に研究を重ねている努力型の自在師で、その腕前はマージョリーやサラカエルも認めるほど。“壊刃”サブラクに狙われるようになってからは、サブラクの不破の自在法『スティグマ』を破る『スティグマ破りの自在式』を研究しており、後にヴィルヘルミナがそれを受け継いで完成させている。
本編開始の数年前から“壊刃”サブラクに狙われており、間違われて襲われ重傷を負った『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルを助けて友人となる。本編開始の直前まで3人で行動しサブラクを撃退していたが、ナムが管理していた外界宿[故崖窟]廃墟の地下石窟に踏み込んだ際、サブラクの不意打ちを受けて瀕死の重傷を負い、緊急避難の為フィレスによって『零時迷子』に封じ込められる。しかし、サブラクが『零時迷子』に打ち込んだ自在式『大命詩篇』の影響で『零時迷子』から自力で抜け出すことは事実上、不可能となってしまう。
その直後、自身を封じた『零時迷子』が坂井悠二に転移。『大命詩篇』の影響で自我が断片化しており、自我が曖昧な状態ながらも残った自我をかき集め、変異の根源である『大命詩篇』を数十年単位で改造しようと目論む。そのため『零時迷子』に封じられた状態ながら、『零時迷子』の内側に走査と探索の網を常時展開する自在式を張り巡らし、フィレスが『零時迷子』にかけた『戒禁』と『暴君』の休眠していた吸収機能を掛け合わせ、“存在の力”が自身に統御できる分だけ流れ込むようにするなどの対策を採る。また宿主である“ミステス”坂井悠二を狙った“徒”の“存在の力”を吸収するため、悠二に鋭敏な感知能力を付与し“徒”に接近させようとしていた。しかし、そうした対策が間に合わないほど事態は早く進行してしまい、ヨーハンはすでに自身の復活を諦めていた(XXI巻)。
文化祭終了間際、『零時迷子』を見つけたフィレスの干渉によって意識が活性化する。その直前にマージョリーが『零時迷子』に施していた走査の自在式を利用し、悠二の体を一時的に乗っ取って顕現、フィレスと再会し、彼女に三つの頼み事をした(XIII巻)。
翌年2月、御崎市決戦の最中に『ヒラルダ』の起動によって悠二の前にフィレスが出現。フィレスへの一つ目の頼み事「とある巨大で複雑な銀色の自在式(おそらくは『大命詩篇』)の改変(XX巻)」を終わらせていたフィレスの助力と悠二が保持する膨大な“存在の力”を利用して悠二から分離する。悠二に愛について説いた後、二つ目の頼み事「[百鬼夜行]への仕事の依頼(XX巻)」により戦場から離脱。しかし自分が長く生きられないことを悟っていたため、最後の頼み事「死を唯一乗り越えられる生、子供を作る事」をフィレスに改変させた自在式によって為し、一緒に逃亡していた吉田一美へ『両界の嗣子』ユストゥスとなる捩れた球形のフラスコと遺言を託し、フィレスと共に消滅した(XXII巻)。
第2期アニメから登場し、クリスマス・イヴに『零時迷子』の『戒禁』が弛んだほんの僅かな間だけ『ヒラルダ』を通じて吉田一美に語りかけることができ、悠二から『零時迷子』が抜き取られたことをヴィルヘルミナたちに伝えるように頼んだ。
名称不明
宝具『パパゲーナ』を核にするミステス。ゲーム版などの外伝で登場。“戯睡郷”メアの『ゲマインデ』により、防衛機構の『戒禁』を解除され寄生されており、既に人間の代替物としての意識は持っていない。金髪の少女の姿をしている。メアの顔に変化した状態でしか登場していないため、元々の顔は不明。ミステスになった理由やその他の詳細は明かされていない。しかし、戦闘用ということから無理やりミステスにされた可能性が考えられる。第2期アニメにもメアとして登場していた。
異形の戦輪使い
『零時迷子』を作り出す前のフィレスとヨーハンが[宝石の一味]から奪った本に記述されていた、戦闘用の“ミステス”。自在法への高い適性に目をつけられて“ミステス”に変化させられたが、製作者が反抗を封じるためにかけた制御の自在法を自力で破り反逆、自分を“ミステス”へと変えた復讐として戦い続け、消滅までに製作者を含む“王”を2人、道連れにしたとされる。

フレイムヘイズ[編集]

世界のバランスの崩壊を危惧する異世界の住人“紅世の王”と契約し、得た異能を持って世界のバランスを護る(≒世界のバランスを崩す“紅世の徒”を討滅する)ことを使命とする元人間達。作中に登場するフレイムヘイズ達については、フレイムヘイズの一覧を参照のこと。

“紅世の徒”[編集]

“ぐぜのともがら”。“紅世”の住人の総称であり、人間と同様に意思や“存在の力”を持ち、それらを自在に操ったり、強い意思や感情と共感したりする能力を持つ種族。作中に登場する“紅世の徒”達については、“紅世の徒”の一覧を参照のこと。

両界の嗣子[編集]

かつて“紅世の王”である“棺の織手”アシズと、その契約者であったフレイムヘイズ『棺の織手』ティスという二つの存在を存在の『分解』と『定着』の自在式(『大命詩篇』の断篇)の起動によって融合させた『新たな在り様』たる存在。アシズが提唱する『壮挙』によって生み出されるはずだった。

中世の『大戦』の終盤、アシズの保有する莫大な“存在の力”によって支配した宝具『小夜啼鳥』によって、金属板に刻み込まれている本来起動が困難な『大命詩篇』の二つの自在式を次のように使い、誕生(完成)するはずだった。

  • 存在の『分解』の自在式により、アシズとティスの存在の一部を糸状に分解する。
  • 存在の『定着』の自在式により、糸状に分解された二つの存在の一部を青い結晶の形として注ぎ込む。
  • 両者を一つに融合させる。

しかし、神威召喚“天破壌砕”によって天罰神として顕現した“天壌の劫火”アラストールにより、『両界の嗣子』となるはずだった青い結晶は、『清なる棺』に収納されたティスの亡骸や『大命詩篇』の断篇が刻み込まれた金属板もろとも容易く握り潰されて、誕生(完成)前に破壊された。

数百年後の現代、フィレスが宝具『ノーメンクラタ』を使って改変した『大命詩篇』を核に、『分解』と『定着』の自在式で二人の存在を融合、新世界『無何有鏡』へと旅立った“徒”たちの残した膨大な“存在の力”を使って『両界の嗣子』ユストゥスを誕生させた。

ユストゥス
声 - アニメ版ドラマCD 浅倉杏美
ヨーハンとフィレスが生み出した、史上最初の『両界の嗣子』。炎の色は琥珀色
フィレスが改変した『大命詩篇』を核に、二人が融合した最初の時点では、捩れた球形のフラスコの中の脈動する心臓というものであった。命名者はヨーハン。
新世界『無何有鏡』創造後にヨーハンから吉田一美に託されたヴィルヘルミナへの伝言によって捩れた球形のフラスコの中の心臓が起動し、新世界へ旅立った“徒”たちの残した膨大な“存在の力”を吸収し、人間の生後三か月程の男の子の姿で誕生した。生まれながらに封絶の中を動くことができ、その養育はヨーハンの遺言でヴィルヘルミナに託され、ヴィルヘルミナに抱かれて『天道宮』に乗って新世界へ旅立った。
新世界へ旅立ってから一年後の春、『天道宮』で無邪気に自在式を玩具代わりに構成していじくることが可能になっており、早くも自在法を操る天稟の才を表している。生育速度は人間と変わりないようで、『天道宮』へやって来たシャナと剣術稽古に興じるなど、健やかに成長している。
ユストゥスの誕生はシャヘルの神意召還 “嘯飛吟声”によって全ての“徒”に周知されているため、ユストゥスは新世界創造と並ぶ伝説であり、共存の象徴となり得る存在でもある。

シャナたんシリーズの登場人物[編集]

アニメ版や漫画版の番外編に登場するちびキャラ(デフォルメ)化されたキャラクター。本編から逸脱したキャラクターであるため、このキャラが登場する作品は番外編として扱われている。ここでは主にちびキャラ化されたキャラクターのみ扱う。また、ちびキャラ化されていない登場人物も原作とはまったく違う性格になっている。

シャナたん
声 - アニメ 釘宮理恵
ちびキャラ化されたシャナ。外見同様に口調も幼く舌足らずなしゃべり方をする。そのためシャナの口癖「うるさいうるさいうるさい」が「うるちゃいうるちゃいうるちゃい」となっている。シャナに比べ、子供っぽく駄々っ子のような性格になっているため、悠二の頭の上に乗っては、食べ物を食い散らかしたり、手に持った太刀を悠二に突き刺したり、髪の毛をぬいたりして悠二を困らせている(ただし悠二本人は本心ではまんざらでもないようでいなくなった際は同サイズのぬいぐるみを握り締め、本気で悲しむ描写があり、それを見たシャナたんから気持ち悪がられた)。神出鬼没でとんでもない場所から現れることがある。大量のメロンパンを隠し持っており、自分で食べる他、マシンガンのように撃ち出すこともある。
アニメ版では単にシャナを小さくしたような感じだが、漫画版ではさらに猫耳と猫尻尾が生えていてアニメ版ほど喋らない。
ヘカテーたん
声 - アニメ 能登麻美子
ちびキャラ化されたヘカテー。『頂のヘカテーたん』に登場しシュドナイの頭の上に乗っている(その後ある理由で自ら降りた)。シュドナイと悠二の妖しい絡みが多かったため出番が少ないが、積み重ねたダンボール箱の上でシャナたんと壮絶なバトルを行った。終盤では、なぜかシャナたんと共に悠二の頭の上に乗っていた。
ナギたん
声 - アニメ 釘宮理恵
少年サンデーに連載されている漫画『ハヤテのごとく!』のヒロイン三千院ナギがちびキャラ化した姿。『灼眼のシャナたん リベンジ』に登場し、シャナたんの代わりに悠二の頭の上に乗っていた。やることはシャナたんとほとんど同じで衣装も同じだった他、悠二から声優ネタを突っ込まれていた。
インデックスたん
声 - アニメ 井口裕香
同じ電撃文庫原作・J.C.STAFF製作のおまけアニメシリーズ『とある魔術の禁書目録たん』からのゲスト出演で、『灼眼のシャナたん リベンジ』に登場した同作のヒロインであるインデックスがちびキャラ化した姿。ダンボール箱の上でシャナたんに「真似するな」と壮絶な言い争いを行う。口癖は「うっちゃいうっちゃいうっちゃい」。

脚注[編集]

  1. ^ 一美たちとの間では15、16歳ということにしてあった。