湯 (中華料理)

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(タン、拼音: tāng簡体字朝鮮語文化観光部2000年式:tang、マッキューン=ライシャワー式:t'ang) は中華料理および朝鮮料理におけるスープである。朝鮮半島の固有語ではクク(ク)ともいう。

概要[編集]

特徴としては以下が挙げられる。

  1. 材料をだしがらとしない場合が多い - 取り出して別の料理に使うためだしがらにするまで煮出さない。(江西料理広東料理の壷で蒸すスープではだしがらとなる。)
  2. 浮いたを取らない - 特殊な場合でない限り油を取らない。
  3. くさみ抜き - だしが動物性の場合、ネギ生姜の薄切りを入れる。

種類[編集]

  • 材料による分け方
  • 濃度、とろみによる分け方
    • 濃湯(ノンタン、nóngtāng)
      豚皮、羊肉、牛の尾を使ったような濃厚なスープ。水溶き片栗粉でとろみをつけたスープをいう場合もあるが、多くは「」(ゴン、gēng)と呼ばれる。とろみをつけると、スープが冷めにくくなり、具が沈まず、口当たりもよくなる。
      現代中国語ではシチューを含む煮込み料理も含む。
  • 色による分け方
    • 清湯(チンタン、qīngtāng)
      澄んだスープのこと[2]で味をつけた食欲を誘う為のスープであり、彩りも大切であるため、灰汁は丁寧にとる。
      現代中国語ではブイヨンを指すこともある。
      • 高湯(カオタン、gāotāng)もしくは上湯(シャンタン、shàngtāng)
        清湯の中でも高級とされるスープ。金華ハムと丸鶏、牛肉、豚肉を長時間煮込み、塩で味を調えたスープ。
        元々は「上湯」の語は広東語由来(soeng6tong1)の表記である。
        現代中国語ではフォンや日本の出汁(日式上湯)を指すこともある。
    • 白湯(パイタン、báitāng)
      白いスープ。魚介類や豚骨などを強い火力で長時間煮込み、白濁させて仕上げる。麺類のスープに使われることが多いが、アクをとって白濁をかなり薄めて調理されることが多い[3]

料理としての湯[編集]

中国および朝鮮には、料理名として「湯」の文字が多く使用されている。それらは単なるスープではなく、煮込んだ様々な具材とともに提供され食されるもの、あるいはスープである湯に、食材を加えて調理し提供されるものなどさまざまである。スープである湯と料理としての湯の概念の区別は、必ずしも明確にされているとは言えない。また、生薬を煮出した煎じ薬も「湯」と呼ばれ、中には甘い味を付けるものもあるが、生薬は料理にも入れる場合があるため、それらの境界には曖昧さが残る。

脚注[編集]

関連項目[編集]