湘南ライナー

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湘南ライナー
おはようライナー新宿
ホームライナー小田原
185系による湘南ライナー
185系による湘南ライナー
運行事業者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
列車種別 ホームライナー快速列車
運行区間 新宿駅東京駅品川駅 - 小田原駅
経由線区 山手線(山手貨物線)・東海道本線(一部列車は品鶴線東海道貨物線経由)
使用車両
(所属区所)
215系国府津車両センター所属)
251系大宮総合車両センター所属)
185系(大宮総合車両センター所属)
運行開始日 1986年昭和61年)11月1日

湘南ライナー(しょうなんライナー、Shonan Liner、Shonan Rapid Liner)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内の東海道本線を運行するホームライナーおよび快速列車愛称。また、湘南新宿ラインと同様に東海道貨物線山手貨物線を介して新宿駅に乗り入れるおはようライナー新宿(おはようライナーしんじゅく)・ホームライナー小田原(ホームライナーおだわら)についても本項で詳述する。

運転の経緯[編集]

JR東日本の前身である日本国有鉄道(国鉄)は1984年昭和59年)、私鉄各社で通勤時間帯に運行されていた特急列車をヒントに、東北線上野駅 - 大宮駅間、次いで総武快速線東京駅 - 津田沼駅間において座席定員制の「ホームライナー」を登場させた。これらが好調であったことを受けて、東海道線東京口においても通勤ライナーを設定することとなり、1986年(昭和61年)11月1日ダイヤ改正で登場したのが「湘南ライナー」である[1]

この改正の前、東海道線では特急用185系電車をラッシュ時間帯には普通列車として運用していたが、2扉の同系列は混雑の激しいラッシュ時の輸送では遅延を招いていた。「湘南ライナー」はこの185系電車のラッシュ時間帯の有効活用を図るために設定されたものであり、それまでの東北線や総武快速線のような“回送列車の有効活用”とは異なった背景での登場であった。列車名は神奈川県内在住者からの公募で決められ、セーラー服を着たカモメの絵柄のヘッドマークが採用された。画期的であったのは、寝台特急を含めすべての列車が停車していた横浜駅を通過とした点である。運転開始から利用状況は良く、ライナー乗車整理券を販売する駅には常に行列ができるほどの人気ぶりとなった[1]

185系電車では1編成当たりの座席定員が不足することから、JR東日本発足後には2階建電車である215系電車を当列車用として製造した。これは、登場以来最混雑列車に使用されている。付け加えて東京発の下りを見ると、運行開始当初19時30分発から1時間毎に23時30分発にまで4本であったものが、現行のダイヤでは18時34分から21時30分までは26 - 30分毎の7本、以降は23時30分まで1時間毎に2本の計9本が運転されている。

運行概況[編集]

全列車平日のみの運行である。上り列車は朝に、下り列車は夕方に運行される。「湘南ライナー」は上り列車が7本、下り列車が9本運行され、所要時間は1時間11分-1時間31分である(東京 - 小田原駅間)。

「おはようライナー新宿」は上り列車3本の運行で、所要時間は1時間17分-1時間22分、「ホームライナー小田原」は下り列車2本の運行で、所要時間は1時間28分(21号)と1時間20分(23号)である。(2013年3月16日現在)

運行区間[編集]

「湘南ライナー」は東京駅 - 小田原駅間である。下り列車は1号、上り列車は4・6・8・10・12号が東海道貨物線を経由し、そのうち4・10号は品川駅終着。6・8・12号は東京駅総武地下ホーム着である。

「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」は新宿駅 - 小田原駅間である。(2013年3月16日現在)

停車駅[編集]

  • 停車駅が同じ列車は同一の欄にまとめて記載
停車駅一覧(東京発着)
運行本数/駅 東京駅 新橋駅 品川駅 大船駅 藤沢駅 辻堂駅

崎駅
平塚駅 二宮駅 国府津駅 小田原駅 備考
下り1本 東海道貨物線経由
下り7本
下り1本
上り2本
上り2本 東海道貨物線・横須賀線経由、1本は品川行き
上り2本 茅ヶ崎より東海道貨物線・横須賀線経由、1本は品川行き
上り1本 東海道貨物線経由
停車駅一覧(新宿発着)
列車名 新宿駅 渋谷駅 藤沢駅

崎駅
平塚駅 二宮駅 国府津駅 小田原駅 備考
ホームライナー小田原 下り2本 茅ヶ崎まで東海道貨物線経由
おはようライナー新宿 上り2本 東海道貨物線経由
上り1本 茅ヶ崎より東海道貨物線経由
記号凡例
●:停車(乗降可能)
乗:停車(乗車専用)
降:停車(降車専用)
←・→:矢印の方向に通過
=・無印:経由せず
経路
:東海道本線経由
:東海道貨物線経由
:湘南新宿ライン経由
:横須賀線経由


上記の停車駅一覧を見れば分かるように、停車駅パターンには以下の法則がある。

  1. 東京・品川・藤沢・茅ヶ崎・小田原と新宿・渋谷には必ず停車。
  2. 新橋には横須賀線経由の上り列車が停車。
  3. 大船・辻堂には東海道本線経由の列車が停車。
  4. 平塚には経由は問わず、茅ヶ崎以西は東海道本線を走行する列車が停車。
  5. 二宮には東海道本線経由の下り列車1本と、東海道貨物線経由で茅ヶ崎以西は東海道本線を走行する列車が停車。
  6. 国府津には東海道本線経由の下り列車と、東海道貨物線経由で茅ヶ崎以西は東海道本線を走行する列車が停車。

その他[編集]

新宿発着の列車および品川・東京発着列車の一部は、東海道貨物線の活用により混雑を緩和するという目的を兼ねて設定された。このため、藤沢駅茅ヶ崎駅では貨物線に10両分の旅客ホームが設置され、この列車の発着ホームとなっている。なお、「ホームライナー小田原」号と「おはようライナー新宿」号にE351系が1往復充当されていた当時は12両編成のため、同ホームでは1 - 3号車をドアカット扱いとしていた。

215系で運転される上り「湘南ライナー」は横須賀線経由で新橋駅の地下ホームに停車し、東京駅総武地下ホーム終着となる。また同車で運転される下り「湘南ライナー」は貨物線経由となっていたが、その座席構造により敬遠される傾向にあり、利用客が減少したため、2006年3月18日のダイヤ改正より、停車駅を増加させる目的で旅客線経由に変更された。

朝の6・8号は乗車前日の16時頃にはライナー券が完売するほどの人気列車である。また2号は早朝に運転されるライナーのうち唯一旅客線経由で運転されるため、貨物線にホームのない辻堂駅大船駅等では前日早々に完売する。

旅客線経由の下り「湘南ライナー」は、3・5・9・13・15号が平塚(5号は加えて国府津)で先行の普通列車を追い抜く。旅客線経由の上り「湘南ライナー」も14号が平塚で普通列車を追い抜く。(2013年3月16日現在)

2014年3月15日のダイヤ改正より、下りの「湘南ライナー」全列車が大船駅、「ホームライナー」全列車が藤沢駅以西は種別を「快速」に変更し、ライナー券がなくても乗車可能とされた。

乗車制度[編集]

普通車への乗車については、定期券または普通乗車券の他にライナー券(一律510円)を必要とする。詳細は「乗車整理券#ライナー券」の記事を参照。なお、上り(東京方面行)のライナー券については、1か月単位として発行し、乗車券と組み合わせるライナーセット券が販売されている。グリーン車は全車自由席で、満席の場合でもグリーン車内に限って立席乗車が可能とされているが、グリーン券を必要とする。この場合、ライナー券は必要としない。また、Suicaグリーン券でも乗車可能である。なお、車内にはグリーン車Suicaシステムは設置されていないが、検札の際、車掌用携帯端末で確認できるため、券売機で磁気券を購入する必要はない。

上り列車は大船駅または藤沢駅までの停車駅が乗車専用駅で、上りライナー券売機が設置されている。品川駅・新橋駅・東京駅・渋谷駅・新宿駅は降車専用駅であり、これらの駅から乗車することは不可とされている。下り列車は東京駅・品川駅・新宿駅・渋谷駅が乗車専用駅で、下りライナー券売機が設置されている。大船駅・藤沢駅(貨物線経由のみ)以西からは種別が「快速」に変更となるため、降車専用駅の取り扱いはなく快速区間内はライナー券が無くても乗車可能とされている。なお、2014年3月のダイヤ改正以前でも大船駅・藤沢駅以西の各駅は降車専用駅として取り扱われていなかったが、これらの駅からの乗車が制度上可能なのかについては明確化されていなかったため[2]、ライナー券を購入せずに乗車する行為が常態化していた。[3]

使用車両・編成[編集]

2011年3月13日現在の編成図
湘南ライナー
おはようライナー新宿
ホームライナー小田原
← 小田原
東京・新宿 →
185系12両編成
1 2 3 4 5 6 7 11 12 13 14 15
G
  • 1 - 7号車のみで運転する列車あり
185系15両編成
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
G G
  • 1 - 10号車のみで運転する列車あり
251系
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
PG G 定P
GL G個4 Ch
  • 1・2・10号車は2階建車両
  • 3 - 9号車はハイデッカー車両
215系
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
G G
  • 全車2階建車両(1号車と10号車の下部室は機械室で座席なし)
  • 全列車全席禁煙
記号凡例
G=グリーン車自由席
G個4=グリーン個室(締切り扱い)
GL=グリーン車専用ラウンジ
定=普通車定員制車両(利用にはライナー券が必要)
P=展望席
Ch=子供用プレイルーム

特急用の185系電車251系電車、および近郊形の215系電車が用いられる。いずれの列車もグリーン車が併結されている。グリーン車を除き全車座席定員制になっており、利用者は購入した「ライナー券」に指定された車両に乗車することになる(座席は指定されていない)。

185系電車は運転当初より使用されている。現在は基本編成のみの7・10両編成、および附属編成の5両を連結した12・15両編成の4種類で運用される。

251系は2004年3月15日から使用されており、現在は新宿便のみに運用される。2号車1階のグリーン個室は締切り扱いとなっている。

215系は1992年4月20日から使用されている。東京駅で横須賀線地下ホームに到着する列車は、運行開始当初はATC搭載の関係上当系列が限定使用されていた。2011年現在は3・6・7・8・9・24号で使用されている。

過去の使用車両[編集]

  • 183・189系(- 2002年6月)
  • E351系(新宿便のみ、1996年3月18日 - 2008年3月14日)
  • E257系(2002年7月1日 - 2008年3月14日)

沿革[編集]

以下では、東海道線東京口における通勤ライナーの沿革について記す。なお、車両はすべて電車である。

  • 1986年昭和61年)11月1日 : 「湘南ライナー」運行開始。朝上り2本、夜下り4本(20時台から23時台まで1時間間隔)の運行。停車駅は小田原駅平塚駅茅ケ崎駅辻堂駅藤沢駅大船駅品川駅東京駅。車両は特急「踊り子」と兼用の185系7両・10両編成で、下り列車は大船駅以降をフリー乗車とする。当初は車内販売サービスも行われた。乗車整理券は300円(1989年4月の消費税導入以降は310円)[1][4]
  • 1988年(昭和63年)
    • 3月13日 : 朝に上り1本、夜19時台に下り1本を増発して上り3本・下り5本とする。増発された上り列車は東海道貨物線横浜羽沢貨物駅品鶴線西大井駅(いずれも通過)経由で、品川駅終着とする[1]
    • 7月6日 : 新宿駅発着の「湘南新宿ライナー」を上り・下り各2本新設。平塚駅以東は貨物線経由とされたが、当時の茅ケ崎駅・藤沢駅は貨物線ホームがまだなかったため通過とされた。設定当初、車内では英会話教室が開かれた。また「湘南ライナー」が二宮駅への停車を開始[1]
  • 1989年平成元年)3月11日 : 「湘南ライナー」上り1本を増発して上り4本・下り5本とする。「湘南新宿ライナー」1往復に中央本線特急「あずさ」用の183系を投入[1]
  • 1990年(平成2年)3月10日 : 下り「湘南ライナー」の東京駅発車時刻を毎時30分に統一[1]
  • 1991年(平成3年)3月16日 : 品川駅発着の「湘南ライナー」を貨物線経由で上り・下り1本ずつ増発(休日運休)。上り5本・下り6本となる[1]
  • 1992年(平成4年)3月14日 : 全車2階建ての215系1編成を新製投入。品川駅発着列車1往復を東京駅まで延長。下り「湘南新宿ライナー」2本の時刻を繰り上げ[1]
  • 1993年(平成5年)12月1日 : 藤沢駅の貨物線上にライナー専用ホームを設置し、貨物線経由のライナーを全列車停車とする。215系3編成を追加投入し、「湘南ライナー」「湘南新宿ライナー」を各1往復増発し、前者は上り6本・下り7本、後者は3往復となる。また、2往復を除き平日のみの運行とする。貨物線の設備改良により最高速度を95km/hから120km/hに変更し、最大10分の時間短縮が図られる[1][5]
  • 1994年(平成6年)12月3日 : 茅ケ崎駅にもライナー専用ホームを設置。下り「湘南新宿ライナー」の時刻を繰上げ。旅客線経由の「湘南ライナー」の1部を15両編成に増強[1]
  • 1996年(平成8年)3月16日 : 埼京線恵比寿駅延伸に伴い、山手貨物線上に設置された渋谷駅埼京線ホームに「湘南新宿ライナー」が停車開始。「湘南新宿ライナー」に特急「スーパーあずさ」用E351系を投入[1]
  • 1997年(平成9年)3月22日 : 平日に上り「湘南ライナー」を臨時列車として増発し、上下7本ずつとする[1]
  • 1999年(平成11年)
    • 3月1日 : ライナー料金を改定し、310円の乗車整理券を500円のライナー券に変更。「湘南ライナー」「湘南新宿ライナー」を臨時列車として各1往復増発し、前者は8往復、後者は4往復の体制となる[1]
    • 12月4日 : 列車号数の整理が行われる[1]
  • 2002年(平成14年)
    • 7月1日 : 183系使用列車2往復をE257系に置き換え[1]
    • 10月1日 : 平日の下り「湘南ライナー」1本を臨時列車として増発し、上り8本・下り9本となる。新宿駅発着列車をあわせた本数は、この改正から2008年3月14日までが現在までにおけるピークである[1]
    • 12月1日 : 列車号数の整理が行われる。湘南新宿ライン(前年運行開始)とのまぎらわしさ解消のため、「湘南新宿ライナー」を上り「おはようライナー新宿」、下り「ホームライナー小田原」に改称[1]
  • 2004年(平成16年)3月13日 : 新宿発着列車に特急「スーパービュー踊り子」用の251系を投入[1]
  • 2008年(平成20年)3月15日 : 新宿発着列車を4往復から3往復に削減[6]。「湘南ライナー」の下り5・9号と上り14・16号で行われていた土曜・休日運転を廃止。
  • 2010年(平成22年)12月4日 : 「ホームライナー小田原」を1本削減し、新宿発着列車は2.5往復となる。
  • 2013年(平成25年)3月16日 : 上りの「湘南ライナー」16号を廃止[7]
  • 2014年(平成26年)
    • 3月17日 : 下りの大船・藤沢 - 小田原間の種別を快速に変更[8]。また「湘南ライナー17号」のみ、運転曜日によって編成が変わるようになる(月曜日〜木曜日は185系10両、金曜日は185系15両)。
    • 4月1日 : ライナー料金が500円から510円に値上げされる。またライナー券売機でSuica等のICカードが利用できるようになる。

参考文献[編集]

  • 「【特集】通勤ライナー」、『鉄道ピクトリアル』第747号、電気車研究会、2004年6月(脚注ではRP2004-06と略記)
  • 「【特集】東海道本線今昔」、『鉄道ピクトリアル』第751号、電気車研究会、2004年9月(脚注ではRP2004-09と略記)

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 「首都圏の国鉄-JR 通勤ライナー運転変遷史」RP2004-06 52-63頁
  2. ^ JR側は厳密にはライナー券またはグリーン券を購入しなければ乗車できないとの考えであったが、下りホームにおけるライナー券の販売や確認の体制は取られていなかった。
  3. ^ 「業務部情報 No.110」 (PDF)
  4. ^ 「JR各社のライナー輸送 歴史と概況 JR東日本 東京圏」RP2004-06 10-15頁
  5. ^ 「JR東日本東海道線 近年の輸送・運転の動向」RP2004-09 41-45頁
  6. ^ 2008年3月ダイヤ改正について (PDF) - プレスリリース(東日本旅客鉄道)、2007年12月20日付、2012年12月9日閲覧。
  7. ^ 2013年3月ダイヤ改正について (PDF) - プレスリリース(東日本旅客鉄道)、2012年12月21日付、2012年12月23日閲覧。
  8. ^ 「東海道方面下りライナー号の大船以西快速化に伴う対応について」 (PDF)

関連項目[編集]