流線

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流線(りゅうせん、: streamline)とは、ある瞬間における、流れ場の速度ベクトルを接線とする曲線(群)のことである。

概要[編集]

速度場u = (u , v , w ) の流れの中に1本の曲線をとり、曲線状の各点において速度ベクトルが曲線の接線となるようにしたとき、この曲線を流線という[1][2]。流線の線要素をdx = (dx , dy , dz ) と表せば

\frac{\mathrm{d}x}{u(\mathbf{x},t)} = \frac{\mathrm{d}y}{v(\mathbf{x},t)} = \frac{\mathrm{d}z}{w(\mathbf{x},t)}

となる。この式によって流線は流れの中で一意的に定まり、2本以上の流線が1点で交差する事はない。ただしu = 0 となるよどみ点は例外で、この点では流線の方向が決まらないから、複数の流線が交わることが起こる。

定常流では流線は変化せず、流線と流れの軌跡は一致する。よって、流れの流体と色が異なり交わりにくいものを流れの中の特定の位置に注入し続けると(水流に油性インクを注入したり、気流に煙を吹き込んだり)、流線を可視化できる。

磁束密度などと異なり、流線の密度は圧力などとは関係ない。

流線型[編集]

流線型(流線形)とは、(想定している範囲の)流体の相対的流れに対し、乱流を生じないあるいは少ない物体形状であり、(少なくとも)特定の方向からの層流の定常流の中で、流線が変化しない。

一般に抗力が小さい形状である。

流れの方向に対する断面積の変化が小さく、流れを乱す原因となる余計な凹凸が無いものをいう。

流管[編集]

流れの中に任意の閉曲線をとり、線上の各点を通る流線によって作られる曲面を流管stream tube)と言う。流管を横切る流れはなく、流管内の質量流束(単位時間に通過する流体の質量)は一定、すなわち流管についての不変量になる。

流跡線[編集]

流体内の任意の1つの流体粒子が時間の経過とともに移動する軌跡を流跡線または流れの道筋particle path)という。数式で表すと

\frac{\mathrm{d}x}{u(\mathbf{x},t)} = \frac{\mathrm{d}y}{v(\mathbf{x},t)} = \frac{\mathrm{d}z}{w(\mathbf{x},t)}  = \mathrm{d}t

である。流線がオイラー的なものである一方、流跡線はラグランジュ的なものということができる。流跡線は各時刻における流線の線要素を連ねたもの、すなわちそれらの流線の包絡線になる。定常流においては流跡線と流線は一致する。

流脈線[編集]

流れの中の固定点を各時刻に通過する全ての流体粒子が時刻t に到達した点を連ねる曲線を流脈線streak line)という。定常流においては流脈線と流線、流脈線は一致し、この場合は色つき流線とも呼ばれる。

参考文献[編集]

  1. ^ 巽友正 『流体力学』 培風館、1982年、17-22頁。ISBN 4-563-02421-X 
  2. ^ 今井功 『流体力学(前編)』 裳華房、1997年、38-40頁。ISBN 4-7853-2314-0 

関連項目[編集]