津軽弁
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独特の発音や語彙のため、他の地方の住人にはうまく聞き取れず、全国放送のテレビ番組では津軽弁に対して、共通語の字幕を付ける場合も少なくはない。
難解なことで全国的に有名であるが、津軽弁の話者は、青森県内でも南部弁、下北弁を使用する地域の住民との間でお互いの方言がわからず、相互の了解が困難となることもある。これを逆手に取り、青森県のテレビ番組には南部弁を話す人に、津軽弁の意味を当てさせるようなクイズ番組も存在する。
また津軽弁自体も弘前市周辺部、日本海沿岸部(深浦・鯵ヶ沢周辺部)など津軽弁を話す地域によって微妙に異なる「津軽弁」が存在している。
最も有名な表現は下にある「どさ」「ゆさ」である。長い文章を短く表現するという東北方言の特徴を端的に表しているが、道行く人にいきなり「どさ」と言っても言葉が足りないため通じないと思われる。ちなみにこれは「どごさ行ぐの」「湯さ行ぐどご」の省略形であり、「さ」はいわゆる「~へ」という方向を表す助詞。
津軽弁のルーツ
ルーツは6~7世紀頃の古代の大和言葉と言われている[誰?]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
津軽弁は大和言葉をベースに、当時北海道から北東北に掛けて居住していたアイヌ人のアイヌ語が少し入っている。
それ故に津軽弁の単語の中には、現在殆ど使われない古語が転訛したと見られるものがしばしば見受けられる。
大和言葉・古典漢語の転訛の顕著な例
- 「あげた・おどげ」→「上顎・下顎」の意→「顎門(あぎと)・頤(おとがい)」(大和言葉の転、「あぎと」の転訛した言葉は全国の方言に多く見られる)
- 「てぎ」→「面倒」の意→「大儀」(漢語の転)
- 「ほいど」→「強欲、けち」等の意→「陪堂(ほいと:現在はあまり使われていない仏教用語。物乞いの事)」(漢語の転)
アイヌ語に由来する単語
- 「ちゃぺ」→「ネコ」
- 「ばっけ」→「ふきのとう」
津軽弁の発音
- 「シ」と「ス」、「チ」と「ツ」、「ジ」と「ズ」の区別がない。 例)寿司→シシ 獅子→シシ
- 連母音「アイ」や「アエ」は融合して「エァ」になる。 例)タイコ(太鼓)→テァコ
- 語中、語尾のカ行、タ行が濁音化してガ行、ダ行になる。 例)イカ→イガ
- クヮ、グヮの発音が存在する。 例)元日(グヮンジツ)
代表的な津軽弁の表現
- 「どさ」「ゆさ」→A「どこにいくの?」B「いまから風呂にいくところだよ」
- 「~(し)ちゅー」→「~(し)ている」
- 「まいね」→「駄目」
- 「へば」→「それじゃぁ」「さようなら」
- 「さしね」 → 「うるさい」
- 「~(だ)はんで」→「~(だ)から」
- 「わ」→「私」
- 「たげ」→「とても」
- 「こい」→「疲れる」
- 「とろける」→「片付ける」
- 「~(だ)ばって」→「~(だ)けれど」
- 「かちゃくちゃね」→「いらいらする」
地域による津軽弁の表現の違いの例
津軽弁は、南部弁に比べて地域分化が小さいと言われるが[誰?]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、弘前市を中心とした地域と、五所川原を中心とした西北地域とは語彙等に若干の差がある。また、五所川原周辺>弘前周辺>青森周辺の順で、語感のきつさが異なり、五所川原や弘前の女性が発した津軽弁に、青森市の男性が「下品だなぁ」という不快感を抱いたり、青森市の男性が発した津軽弁に対し、五所川原や弘前の女性が「何いい気になっちゅんず(この場合「すかしてる」「格好つけてる」の意)」と眉をひそめ、合コンが失敗するケースがある。
- 弘前「んだねは」五所川原「んだきゃ」 → 同意、あいづちの表現
- 弘前「何しちゃんずよ」(「や」と「よ」が反転する → 何をしているのだ?の意
- 北津軽郡や五所川原市でよく使われる感嘆表現 → 「あっつぁ」「しっつぁ」 意味:「あらまぁ」
- 北津軽郡でのみ → 「か」 意味:ほら
- 弘前「たげ」五所川原「がっぱ」 → すごい、たくさんの意
- 弘前、黒石など「がも」浪岡「はど」 → 男性器の意
- 注)他地区でも使われているので、地区を限定して表記されてあっても、一概に正しいとは言えない
新しい津軽弁の例
津軽弁は主に青森の若者の間で微妙に進化している。逆に、昔からの津軽弁の意味をわからない人も増えている。ちなみに、新しい津軽弁と言っても津軽地方のすべての人に共通に利用し、理解できるというわけではないので注意が必要である。(新しいといっても、数十年前から使われている言葉も記載している)
- ふぇい→津軽弁の「さしね」と同じ意味。当時使われていた「うっふぇー」が変化したものと思われる。
- ひゃーろー(ひゃーなー)→「じゃあな」「またな」「さようなら」
- どひゃ→「どうすれば」
- どっひゃー(どひゃばー)→「どうしてる?」「元気してる?」
- なんした(なんしたば)→「どうした?」「一体何があった?」
- げる→「盗む」。「げっちゃー」は「盗んでる」、「げろ」は「盗め」、「げった」は「盗んだ」
- もぐ→「たばこ」
- まい→津軽弁の「まいね」の進化版。「まいよ」「まいじゃ」「まいはんで」と使うのが一般的。
- わや→「とても」。青森周辺で主に使われており、例えば身長が大きい時に「わや大きい」(とても大きい)というふうに使われる。ただし弘前周辺ではほとんど「たげ」が使われる。
- ひゃー→「では」「じゃあ」「そうしたら」「だったら」
- どすべ→問題が発生した時などの「どうしよう」、「どうしよう?」
- どっすー→「(これから)どうする?」「何しようか?」
- け→「ちょうだい」
- そい(こい)→「あれ」「それ」「これ」。例・・そいけ(そいけっさ)→それ(これ)ちょうだい。
- がへー(がふぇ)→「ださい」「かっこわるい」「古臭い」
- なへ(なへよ)→「なぜ?」「どうして?」
- はいる→「(番組が)放送される」
- むっつい→食べ物が口の中の水分を吸ってしまう状態。簡単に言うと「カステラを食べた時の、なんともいえない感じ」…「カステラめばって、むっついっきゃ。」(カステラおいしいけど、口の中の水分がなくなるよね)
- 記入者による人的感情による表現(下記の【感覚に根ざす独特の表現】参照)
- 注1)他地区でも使われているので、地区を限定して表記されてあっても、一概に正しいとは言えない。
- 注2)津軽弁としての【単語の書き方】が記入者によって違うので、あくまで【記入者の感覚】である。
津軽弁での会話の一例(若者編)
友人との会話の一例。地域によっては多少の違いがある。
1*A 「おぉ、おめこったどごでなーっちゃんず?」 (やあ、お前こんな所で何してるの?)
- B 「あ~、Aだばん。わー今けやぐどまぢあわせしちゃんだばって、まんだだもこね。おめは?」
(あ~、Aじゃん。私は今友達と待ち合わせしてるんだけど、まだ誰も来ていないんだよね~。Aは何してるの?)
- A 「わが?わっきゃ暇だはんでまぢあるいじゃ。てがもぐ一本け」
(俺?俺は暇だったから街歩いていたんだよ。それより、タバコ一本ちょうだい)
- B 「んで持ってねんずよ。しゃーねー。ろ!火っきゃ貸さねでぃや~」
(何で持っていないの?しょうがないな~。ほれ!ライターは貸さないよ~)
- A 「なっちゃんず。だばわー吸えねーばん。たのむはんでけっさ」
(何言ってるんだよ~。じゃあ俺吸えないじゃん。お願いだからライター貸してよ~。)
- B 「わったった。ひゃーやるはんであいんど来るまでわの相手してけ」
(わかったわかった。じゃあライター貸してあげる代わりに、友達来るまで私に付き合ってよ)
- A 「いいや。てが、きたくせぐね?あいんどだべ?」
(わかった~。てゆうか、友達来たんじゃない?あの子達でしょ?)
- B 「んだ。へばわーいぐはんで。ひゃーな」
(あ、本当だ。じゃあ私行くね。バイバイ)
- A 「おー、ひゃーろー」
(お~、それじゃあまた)
2五所川原編~待ち合わせ~
A「おめ、どさいってあったぁば?」
(B、どこに行っていたの?)
B「わり、ちょ腹いでしてや~。トイレさいだった。」
(ごめん、ちょっとお腹が痛かった。それでトイレにいた。)
A「お~んなんずな!たげまったいな~。」
(へ~そうだったのか。かなり待ったよ。)
B「まぢわり~。ちょ、もういがねばまいぐね?」
(本当ごめん。ちょっと、もう行かないとダメじゃない?)
A「お!んだべな。いぐべ!」
(あ!そうだね。行こう。)
B「お~急ぐべ~!」
(うん。急ごう!)
- 注)あくまで【記入者の表現】なので、最近の津軽弁と記入者本人が津軽弁だと思って使っているだけの部分が混ざっていると思われる。
津軽弁に対する誤解
津軽弁に限らず、地方の方言には同じようなケースが見られるが「津軽弁」というと「~っぺ」や「~だっぺ」という語尾を想像されるケースは非常に多い。 これはこれらの語尾が著しく田舎を連想させる為であると思われるが、語尾に「~っぺ」・「~だっぺ」を付けるのは茨城県の茨城弁をはじめとする仙台・関東地方東部の方言であり、津軽弁にはこのような語尾転訛は存在しない。 或いは津軽弁に見られる語尾「~だべ」と混同している可能性がある。
感覚に根ざす独特の表現
津軽弁には、他の方言にも見られるように、共通語に表現しなおすことが困難な独特の表現が見られる。主に状態を表す言葉に見られ、代表的なものに「あずましい(主に居心地がよく安心でき、落ち着く場所を表す)」「しねぇ(馬肉等において、噛んでもなかなか噛みづらい状態を指す)」「むっつい(甘食等において、口の中がいっぱいになり噛んで飲み込むのにつらい状態を指す)」などがある。