決戦・日本シリーズ
『決戦・日本シリーズ』(けっせん・にほんシリーズ)は、1974年に発表されたかんべむさしの短編小説。早川書房のハヤカワ・SFコンテストに応募、選外佳作を受賞して「SFマガジン」に掲載された。
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[編集] 作品概要
兵庫県西宮市に本拠地を置いていた二つの球団、阪急ブレーブス(現:オリックス・バファローズ、本拠地:阪急西宮球場)と阪神タイガース(本拠地:阪神甲子園球場)が日本シリーズで戦うことになったら…という、(実際には起こらなかった)プロ野球球団の戦いを想定して描いた短編である。
阪急電鉄と阪神電気鉄道という、大正期以来阪神間にて輸送を競い、それぞれ独自の文化を築いていた両社の沿線の様子の違いを、指し示した作品でもある。奇抜な発想に濃厚な関西弁、個性豊かな登場人物、上方落語の影響を受けた語り口など魅力ある一編となっている。
また阪急ブレーブスや阪急西宮球場、今津駅の連絡線が過去のものとなり、さらには阪急・阪神が阪急阪神ホールディングスという同一企業の傘下となった2009年現在では、読む者にある種の郷愁感を覚えさせる作品ともなっている。
[編集] 内容
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
大阪市のスポーツ新聞社が、発足25周年を記念してイベントを企画した。おりしも阪急・阪神の両社が保有する野球球団、「阪急ブレーブス」と「阪神タイガース」が開幕以来独走態勢に入っていたことから、「日本シリーズで両球団が戦い、敗北した方の会社の路線を勝利した会社の電車が凱旋走行する」というものであった。
両社の路線は今津駅で接しており、そこに設けられた連絡線を用いて車両を融通させることになった(なお当時も現在も神戸高速鉄道に両者は乗り入れており、同線を通じての融通も可能であるが、作中では言及されるものの採用しなかった)。そのため「今津線シリーズ」とこの対決は呼ばれるようになり、各チームのファン、応援団、芸能人からマスコミ、企業、文化人、さらには阪神間の各都市、すなわち大阪市・尼崎市・西宮市・芦屋市・神戸市では住民・商店街も巻き込んで、日本シリーズ直前からにわかに活気付くことになった。そして日本シリーズは第7戦までもつれ込んで引き分けとなり、最終決戦となる第8戦では、熱球的ファンである作家・喜多北杜夫が怪しげな呪文を唱え、観客5万人同士の乱闘沙汰となった…。
なお結末は、「阪急が勝利した場合」と「阪神が勝利した場合」の二つに分かれていて、凱旋列車の走行を住民・応援団が妨害しようとする姿を描いている。
[編集] 書誌情報
本作を表題作とする短編集
- 早川書房(ハヤカワ文庫) 1976年6月15日初版 ISBN 4150300798