池袋ウエストゲートパーク

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池袋ウエストゲートパーク』(いけぶくろウエストゲートパーク)、通称『I.W.G.P.』は、石田衣良小説シリーズ。第36回オール讀物推理小説新人賞受賞。後にテレビドラマコミック化された。

概要[編集]

東京の池袋西口公園近くの果物屋の息子・真島 誠(マコト)は、“池袋のトラブルシューター”とも呼ばれ、依頼されて難事件を次々と解決し、住民の幸福と池袋の秩序を維持を目指す。

文体は1人称小説であり、主人公マコトの回想録の形態である。ほぼ全ての作品において、冒頭で謎めいた述懐が読者に語りかけられた後、事件の展開を追うという構成を取っている。舞台となるのは主に池袋で、登場人物は主役脇役を問わず、多くがいわゆる「負け組」や「サイレント・マイノリティ」に分類されるような、周縁的な存在である。

外伝として、本編に登場する「サル」が、マコトではない主人公と共に活躍する『赤(ルージュ)・黒(ノワール)』がある。番外編としては、こちら葛飾区亀有公園前派出所30周年記念企画の一環としての小説版に、「池袋⇔亀有エクスプレス」が収録されている。

書籍情報[編集]

  • 『池袋ウエストゲートパーク』 (発行:文藝春秋・1998年 ISBN 4-16-317990-9文春文庫・2001年 ISBN 4-16-717403-0
    • 「池袋ウエストゲートパーク」(初出:「オール讀物」1997年11月号)
    • 「エキサイタブルボーイ」(「オール讀物」1998年4月号)
    • 「オアシスの恋人」(「オール讀物」1998年7月号)
    • 「サンシャイン通り内戦(シヴィルウォー)」(書き下ろし)
  • 『少年計数機 池袋ウエストゲートパークII』(文藝春秋・2000年 ISBN 4-16-319280-8、文春文庫・2002年 ISBN 4-16-717406-5
    • 「妖精の庭」(「オール讀物」1999年9月号)
    • 「少年計数機」(「オール讀物」1999年12月号)
    • 「銀十字」(「オール讀物」2000年4月号)
    • 「水の中の目」(書き下ろし)
  • 『骨音 池袋ウエストゲートパークIII』(文藝春秋・2002年 ISBN 4-16-321350-3、文春文庫・2004年 ISBN 4-16-717408-1
    • 「骨音」(「オール讀物」2001年11月号)
    • 「西一番街テイクアウト」(「オール讀物」2002年2月号)
    • 「キミドリの神様」(「オール讀物」2002年5月号)
    • 「西口ミッドサマー狂乱(レイヴ)」」(書き下ろし)
  • 『電子の星 池袋ウエストゲートパークIV』(文藝春秋・2003年 ISBN 4-16-322390-8、文春文庫・2005年 ISBN 4-16-717409-X
    • 「東口ラーメンライン」(「オール讀物」2002年12月号)
    • 「ワルツ・フォー・ベビー」(「オール讀物」2003年1月号)
    • 「黒いフードの夜」(「オール讀物」2003年4月号)
    • 「電子の星」(「オール讀物」2003年7月号)
  • 『反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークV』(文藝春秋・2005年 ISBN 4-16-323770-4、文春文庫・2007年 ISBN 978-4-16-717412-5
    • 「スカウトマン・ブルース」(「オール讀物」2003年10月号)
    • 「伝説の星」(「オール讀物」2004年2月号)
    • 「死に至る玩具」(「オール讀物」2004年4月号)
    • 「反自殺クラブ」(「オール讀物」2004年8月号)
  • 『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークVI』(文藝春秋・2006年 ISBN 4-16-325030-1、文春文庫・2008年 ISBN 978-4-16-717413-2
    • 「灰色のピーターパン」(「オール讀物」2004年12月号)
    • 「野獣とリユニオン」(「オール讀物」2005年4月号)
    • 「駅前無認可ガーデン」(「オール讀物」2005年7月号)
    • 「池袋フェニックス計画」(「オール讀物」2005年11月・12月号)
  • 『Gボーイズ冬戦争 池袋ウエストゲートパークVII』(文藝春秋・2007年 ISBN 4-16-325910-4、文春文庫・2009年 ISBN 978-4-16-717414-9
    • 「要町テレフォンマン」(「オール讀物」2006年3月号)
    • 「詐欺師のヴィーナス」(「オール讀物」2006年6月号)
    • 「バーン・ダウン・ザ・ハウス」(「オール讀物」2006年9月号)
    • 「Gボーイズ冬戦争」(「オール讀物」2006年12月・2007年1月号)
  • 『非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII』(文藝春秋・2008年 ISBN 4-16-327210-0、文春文庫・2010年 ISBN 978-4167174170
    • 「千川フォールアウト・マザー」(「オール讀物」2007年5月号)
    • 「池袋クリンナップス」(「オール讀物」2007年8月号)
    • 「定年ブルドッグ」(「オール讀物」2007年11月号)
    • 「非正規レジスタンス」(「オール讀物」2008年2月・3月号、連載時のタイトルは「非正規難民レジスタンス」)
  • 『ドラゴン・ティアーズ 池袋ウエストゲートパークIX』(文藝春秋・2009年 ISBN 4-16-328350-1
    • 「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」(「オール讀物」2008年7月号)
    • 「家なき者のパレード」(「オール讀物」2008年10月号)
    • 「出会い系サンタクロース」(「オール讀物」2009年1月号)
    • 「龍涙──ドラゴン・ティアーズ」(「オール讀物」2009年4月・5月号)
  • 『PRIDE 池袋ウエストゲートパークX』(文藝春秋・2010年 ISBN 4-16-329810-X
    • 「データBOXの蜘蛛」(「オール讀物」2009年12月号)
    • 「北口アイドル・アンダーグラウンド」(「オール讀物」2010年5月号)
    • 「鬼子母神ランダウン」(「オール讀物」2010年2月号)
    • 「PRIDE」(「オール讀物」2010年8月・9月号)

外伝[編集]

アンソロジー[編集]

登場人物[編集]

真島誠(マコト)
通称「池袋のトラブルシューター」。血液型O型。身長は180近く。地元・池袋の工業高校を卒業後に「プータロー」(フリーター)となり、実家の果物屋を手伝って小遣いを稼ぎながら、池袋西口公園=池袋ウエストゲートパークで過ごしている。のちにファッション雑誌のコラムニストも勤めるようになる。池袋では名の知れた存在で、「キング」(後述)ですら彼には一目置いている。彼の家にはしばしば困難な依頼が持ち込まれるが、持ち前の好奇心と人の良さから首を突っ込む羽目になり破天荒な方法で解決する。元は有名な不良だったが、性格は母親の教育の賜物か意志が強い正義漢であり、また作品序盤に関わった事件がきっかけで、クラシック音楽鑑賞や読書などの文化的な趣味にも目覚める。愛車は店の仕入れ用のダットサン
安藤崇(タカシ)
池袋を勢力下に置くカラーギャング集団「G-Boys」(チームカラーは「青」)の「キング」。血液型A型。身長は175cm。色白で細身。天才的な反射神経と運動神経に裏打ちされた喧嘩の実力を持ち、自身のカリスマ性でストリートの不良少年少女たちをまとめ上げる。体型はマコト曰く「モデルのような細く薄い身体」で腕や脚は「ぎりぎりに絞りあげたワイヤーロープのように引き締まっている」。警察ですら目をむくほどの動員力を持ち、その存在は裏社会でも侮れないものとなっている。マコトとは工業高校の時の同級生で親友。高校時代からマコトの資質に注目し、何度か勧誘もしている。「凍えるほどにクールないい男」で、彼と一緒にいる時の誠は完全に女性の視界から消えてしまうほど。しかし、時として残忍とも呼べる“粛清”を平然と行う姿から、彼を尊敬・畏怖する者は多くとも、親しい友人と呼べる人物は少ない。
水野俊司(シュン)
初登場は第一巻第一話。血液型B型。イラストが得意な専門学校生。マコトやマサとは本屋でフランスのアニメ画家の画集を万引きしている所を見つかり、カツアゲ目的で喫茶店に連れ込まれるもその不思議なノリ故に解放されたが、それ以降勝手にマコトの周りに居座るようになり、仲間となった。自閉気味で、人見知りが激しいが何故かマコトには懐く。アニメオタク。マコトがラジオと知り合うきっかけを作った。同じく「あきれたボーイズ」。
おふくろ
マコトの母。池袋西口公園商店街のはずれにある果物屋「真島フルーツ」を営み、女手ひとつでマコトを育ててきた。マコトにとっては目の上のタンコブであり、全く頭の上がらない強者。チンピラの脅し程度では眉一つ動かす事は無い。マコト曰く「最終兵器」。たまにその視線は「冷酷な殺人者」のものに変わることすらも。原作において彼女の名前は不明(一度もフルネーム・ファーストネームで呼ばれない)。
吉岡
池袋署生活安全部少年課の平刑事。池袋に古くから勤務しており、池袋に詳しい。マコトとは彼が13歳で補導された時以来の付き合い。背が低く、毛髪の薄さが悩みの種。始終頭を掻いてはフケを飛ばしまくっている。マコトによく偽名としてその名を騙られている。『小説版こち亀』において両津勘吉が「警察学校の同期」と発言。
横山礼一郎
池袋署の署長。東京大学文 I 卒のキャリア警視正。マコトが子供の頃からマコトとは面識があり、彼にとっては「ご近所のお兄さん」だった。好青年だがマコトが舌を巻く程の切れ者。ただし、署では現場サイドに押され気味で、実権はあまりない。そのため犯罪学の論文執筆に勤しんでいる。住所は目白の高級マンション。初登場は第一巻第四話「サンシャイン通り内戦」。
斉藤富士夫(サル)
池袋を仕切る暴力団「羽沢組」の構成員。血液型O型。組長の娘である「姫」こと天野真央の付き人だった。マコトの中学の同級生。昔はいじめられっ子だった。身長155cmの小柄な体躯だが非常に闘争心が強く、冷静な判断力も持ち合わせている。行方不明の姫捜索を組長がマコトに依頼したことが再会のきっかけ。その一件以来マコトに恩義を感じ、情報の提供などで便宜を図っている。初登場は第一巻第二話。「外伝 赤・黒」より後は本部長代行・若頭に出世している。
波多野秀樹(ラジオ)
電波マニア。血液型A型。盗聴・盗撮・映像編集その他諸々電波絡みの達人であり、その特技でマコトを手助けしている。目までかかるマッシュルームカットが特徴。コンビニで働いている。マコトの「あきれたボーイズ」のメンバー。初登場は第一巻第三話「オアシスの恋人」。江古田在住。
ゼロワン
凄腕のハッカー。ファミレスを根城に年がら年中ハッキングし続けている情報屋。ガス漏れのような声が特徴。頭髪はスキンヘッドだが、いつ「メッセージ」が送られてきてもいいようにと、頭部に二本の細長い金属片をインプランティングしている。ファミレスメニューにないラーメンが好物で七生のラーメンを出前してもらったことがある。
氷高善美
関東賛和会羽沢組の財務担当。氷高組組長。サルの直属の上司。表向きには「株式会社氷高クリエイティブ」の社長。羽沢組組長の後継者候補の一人。見た目は怜悧な銀行員といった雰囲気の人物であり、それに違わぬ頭脳派。「外伝 赤・黒」での小峰・サルの活躍により、関東賛和会の後継者としての地位を確固たるものにした。
羽沢辰樹
関東賛和会羽沢組組長。初登場は第一巻第二話。鷲のような鋭い鼻筋が特徴。
砂岡賢治(ケンジ)
初登場は第一巻第三話。シュンのバイト友達にしてコンピュータの師匠。「人はよさそうだが、1本足りないような笑顔」の持ち主。「あきれたボーイズ」としてマコトに協力。
森永和範
初登場は第一巻第二話「エキサイタブルボーイ」。マコトの中学の同級生。学年1番の秀才だったが、重度の引きこもりとなる。しかしマコトの1週間に渡る訪問と会話により、復帰を果たした。「あきれたボーイズ」のメンツ。張り込みに関してはプロ顔負けの忍耐力を有する。
ツインタワー1号・2号
初登場は第一巻第二話「エキサイタブルボーイ」。Gボーイズメンバーの双子の兄弟。本名は小倉保(1号)と実(2号)。タカシのボディガード。アダ名の由来は身長(保は196cm、実は195cm)。その体躯に似合わぬ俊敏さを有する。お互い以外の人間をなかなか信用しない。4巻収録の『東口ラーメンライン』ではGボーイズを卒業し、ラーメン屋「七生」(読み仮名は「なお」。7月生まれのため、命名)を開店した。父は洋食屋のコック。形見は使い込まれた牛刀
小峰渉
「外伝 赤・黒」の主人公。売れない映像制作者。横浜出身の33歳。眼で見た景色を写真を撮るように記憶する能力の持ち主。賭博に溺れた挙句に多額の負債を抱え、狂言強盗に加担する。しかし、仲間の裏切りによって儲けを全て奪われた上、被害カジノの元締めたる氷高組に捉まり、「奴隷」契約を強制される。彼が解放されるには、儲けの全てを取り戻す他に道は無く、監視役のサルと共に、当ての無い捜査を始めることとなった。

ドラマ[編集]

宮藤官九郎の脚本により、2000年4月14日から同年6月23日にかけて、TBSでテレビドラマ化された。後にスペシャル版として2003年3月28日に「スープの回」(原作:『骨音』『東口ラーメンライン』)も放送された。一部のキャラクター設定が大きく異なる等、原作との相違点が多い。

コミック[編集]

CD[編集]

  • 『池袋ウエストゲートパーク Classic Edition』(ワーナーミュージック・ジャパン、2005年) WPCS-11850
作中、度々に登場するクラシック音楽の中から、原作者が全面監修して選んだコンピレーション・アルバム。曲目解説も石田が執筆。

外部リンク[編集]