池の浦シーサイド駅

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池の浦シーサイド駅
ホーム(2009年9月)
いけのうらシーサイド
Ikenoura-seaside
松下 (1.7 km)
(3.7 km) 鳥羽
地図
三重県伊勢市二見町松下1769-18[2][3]
北緯34度29分28.94秒 東経136度48分48.16秒 / 北緯34.4913722度 東経136.8133778度 / 34.4913722; 136.8133778座標: 北緯34度29分28.94秒 東経136度48分48.16秒 / 北緯34.4913722度 東経136.8133778度 / 34.4913722; 136.8133778
所属事業者 東海旅客鉄道(JR東海)[1]
所属路線 参宮線[1]
キロ程 25.4 km(多気[1]起点)
電報略号 イケ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線[1]
乗車人員
-統計年度-
8人/日(降車客含まず)
-2017年-
開業年月日 1989年平成元年)7月16日[1][2][4]
廃止年月日 2020年令和2年)3月14日[5]
備考 臨時駅[6]
2018年(平成30年)より営業休止[7]
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池の浦シーサイド駅(いけのうらシーサイドえき)は、かつて三重県伊勢市二見町松下にあった、東海旅客鉄道(JR東海)参宮線の臨時廃駅)である[1][2][3]

毎年夏期限定で開業していたが[1][3][4]2018年平成30年)から営業休止となった[7]2016年(平成28年)の営業日数は4日で、計16本(8往復)停車した[6]海水浴客の便宜を図って開業した駅、いわゆる請願駅であるが、駅前には干潟が存在するのみで、最寄り海水浴場「池の浦シーサイドパーク」までは徒歩で15分程度掛かり、利用者の殆どは鉄道ファンであった[8]2020年3月14日に行われるダイヤ改正に合わせて廃止された[5][9]。これにより、JR東海管内から臨時駅と駅名に片仮名が2文字以上入っている駅[10]が存在しなくなった。

歴史[編集]

1989年平成元年)7月、池の浦海水浴場への誘客を目指して地元の二見町と池の浦観光協会の要望を受けて開業した[11]。JR東海が設置する臨時新駅はナゴヤ球場正門前駅に次ぐ2例目であった[12]。当時、池の浦海水浴場の利用客は4万人おり[11]、東海旅客鉄道では1万人の利用を見込んでいた[12]。開業1年目の1989年(平成元年)は7月16日から8月31日まで(47日間)営業し、名古屋からの臨時快速列車を含む1日33本が停車した[12]

1990年(平成2年)には95日営業し、普通列車だけで無く、快速みえ」も停車し、海水浴客や潮干狩り客が利用した[11]1995年(平成7年)には30日間に縮小したが、1日当たりの停車本数は上下線各9本ずつあった[6]。しかし、急行快速急行が停車し、競争相手である近鉄池の浦駅の利用や海水浴客がマイカー利用に転移したことを背景に利用者が減少、2002年(平成14年)には海水浴客は殆どいなくなった[11]。この頃には年間停車日数が10日前後になった[11]

停車日数・本数が減少する中、二見町では駅の存続要望を続けて来た[11]。それどころか通常駅への昇格も要望していた[13]2008年(平成20年)時点で東海旅客鉄道は「わずかながらも利用者はいるので、当面廃止予定はない」としていた[11]。2016年(平成28年)の営業日は7月30日7月31日8月6日8月7日の4日で、1日当たりの停車は列車2往復(下りが10時58分と13時58分、上りが11時38分と14時33分)、即ち年間の停車数は16本であった[6]

2018年(平成30年)5月31日、JR東海は2018年の営業は行わないと中日新聞により報道された[7][14]。ピークの1991年には年間1,599人の利用があったが、2017年は年間で64人まで利用客が減少[9]し、今後の利用客の回復が見込めないためとしてJR東海は2020年をもって廃止すると発表した。2020年令和2年)3月14日に行われるダイヤ改正にあわせて正式に廃止された[5][9]

2022年7月現在、駅手前の黄色の駅名標識(「池の浦」と表記)が現存している。駅廃止後暫くの間、運転士が使うスタフには当駅を示す「池の浦」が残っていた(現在は削除)。[要出典]

年表[編集]

駅構造[編集]

単式ホーム1面1線を有する地上駅[1][2]。長さ約60 m(3両編成分)、幅約2 mあるホームだけを有し[12]、ベンチや待合室は無かった[1]駅舎は無く、ホームを隔てたフェンスの向こうは海であった[2]。駅入口付近には建物とベンチが長年手入れされない状態で放置されていたが、現在は撤去されている。営業期間外にはホーム入口がフェンスで閉ざされていた[3]。駅管理は伊勢市駅が行っていた。

利用状況[編集]

鉄道ファンには知られた場所で、鉄道撮影に訪れる者も少なくない[3]。2016年(平成28年)7月30日の1番列車で池の浦シーサイド駅に降り立った清水浩史によると、その時の降車客は20人弱で全員が鉄道ファンであり、海水浴客はいなかったと言う[15]。「三重県統計書」によると、年間乗車人員の推移は以下の通り。

年度 年間
乗車人員
1994年 675
1995年 351
1996年 200
1997年 143
1998年 74
1999年 126
2000年 30
2001年 24
2002年 19
2003年 5
2004年 9
2005年 4
2006年 8
2007年 13
2008年 13
2009年 7
2010年 15
2011年 17
2012年 17
2013年 17
2014年 20
2015年 16
2016年 24
2017年 31

駅周辺[編集]

近畿日本鉄道(近鉄)鳥羽線池の浦駅は南に約2 km離れている。

その他[編集]

隣の駅[編集]

東海旅客鉄道(JR東海)
参宮線
松下駅 - 池の浦シーサイド駅 - 鳥羽駅

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 清水 2017, p. 26.
  2. ^ a b c d e f 知られざる秘境駅”. トレたび. 交通新聞社. 2016年8月27日閲覧。 “Archive.isによる2016年8月27日時点のアーカイブページ。”
  3. ^ a b c d e 池の浦シーサイド駅”. 伊勢志摩観光ナビ. 伊勢志摩観光コンベンション機構. 2016年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月27日閲覧。
  4. ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 25号 紀勢本線・参宮線・名松線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年1月10日、24-25頁。 
  5. ^ a b c d 2020年3月ダイヤ改正について 〜「のぞみ12本ダイヤ」をスタートします!〜』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2019年12月13日、5頁。 オリジナルの2019年12月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20191213072536/https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000040172.pdf2019年12月13日閲覧 
  6. ^ a b c d 清水 2017, p. 152.
  7. ^ a b c 臨時駅、今年は営業せず JR参宮線「池の浦シーサイド駅」 - 中日新聞、2018年5月31日、同日閲覧
  8. ^ 清水 2017, pp. 152–154.
  9. ^ a b c d “さらば、池の浦シーサイド駅 伊勢の臨時駅、3月廃止”. 中日新聞. (2019年12月20日). オリジナルの2019年12月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191220172743/https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019122002000250.html 2019年12月20日閲覧。 
  10. ^ JR東海管内でカタカナが1文字入っている駅は飛騨一ノ宮駅(高山本線)等複数存在する
  11. ^ a b c d e f g h 山吉健太郎「年9日 海辺の臨時駅 にぎわい 今は昔 伊勢・JR池の浦シーサイド駅」朝日新聞2008年7月26日付夕刊、社会面9ページ
  12. ^ a b c d 「JR東海 快速列車も 池の浦海水浴場に夏だけの臨時駅」日本経済新聞1989年6月21日付朝刊、地方経済面中部7ページ
  13. ^ 中生加康夫「海原の道 満ち潮の上渡る 海上築堤(三重県伊勢市〜鳥羽市)」朝日新聞2006年7月19日付朝刊、28ページ
  14. ^ 中日BIZナビ(中日新聞の地域経済情報サイト)のツイート(2018年5月31日午後5時53分)”. 中日BIZナビ. 中日新聞社 (2018年5月31日). 2022年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月28日閲覧。
  15. ^ 清水 2017, p. 153.
  16. ^ 清水 2017, p. 154.
  17. ^ 清水 2017, pp. 154–155.
  18. ^ JR東海道線「御厨駅」開業、静岡県19年ぶり新駅”. 日刊スポーツ (nikkansports.com). 日刊スポーツ新聞社 (2020年3月17日). 2022年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月28日閲覧。
  19. ^ 「沿線の生産者を応援!「JR東海 いいもの探訪フェア」をジェイアール名古屋タカシマヤで開催」内容の訂正等について” (PDF). JR東海 (jr-central.co.jp). 東海旅客鉄道株式会社. p. 3 (2020年7月22日). 2022年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月28日閲覧。
  20. ^ いいもの探訪フェア”. いいもの探訪. JR東海 (東海旅客鉄道株式会社). 2020年9月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月28日閲覧。

参考文献[編集]

  • 清水浩史『海駅図鑑 海の見える無人駅』河出書房新社、2017年2月28日、277頁。ISBN 978-4-309-27812-4 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]