イソプロパノール
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| イソプロパノール | |
|---|---|
| 一般情報 | |
| IUPAC名 | Propan-2-ol |
| 別名 | イソプロピルアルコール |
| 分子式 | C3H8O |
| 分子量 | 60.10 g/mol |
| 形状 | 無色液体 |
| CAS登録番号 | [67-63-0] |
| SMILES | CC(O)C |
| 性質 | |
| 密度と相 | 0.78084 g/cm3, 液体 (25 ℃) |
| 融点 | −89.5 ℃ |
| 沸点 | 82.4 ℃ |
| pKa | 16.5 |
| 粘度 | 1.77 cP (30 ℃) |
| 屈折率 | 1.3749 (25 ℃) |
イソプロパノール (isopropanol) は分子式 C3H8O、示性式 CH3CH(OH)CH3 で表される、第二級アルコールの一種である。プロパノールの 2種類の構造異性体のうちのひとつである。無色透明で芳香を帯びた液体。分子量 60.10、融点 −89.5 ℃、沸点 82.4 ℃。CAS登録番号 [67-63-0]。
目次 |
[編集] 化合物名
IUPAC命名法により名付けられる化合物名には、化合物の構造から系統的に決まる組織名(系統名)と、いくつかの基本的な化合物や構造に使用が認められた慣用名(許容慣用名とそれ以外)とがある。イソプロパノールの場合、2-プロパノール (Propan-2-ol) が組織名で、イソプロピルアルコール (isopropyl alcohol;基官能命名法)は許容慣用名から誘導した化合物名である。IUPAC命名法では双方とも利用は認めているが、組織名(2-プロパノール)を使用することを推奨している。また、許容慣用名は化合物名の誘導に際して制限される場合が多い。イソプロパノールの名称は慣用名であるが、IUPAC命名法上の許容慣用名とはされていない。
IUPAC命名法外の化合物名として、s-プロパノール(secondary propanol)、s-プロピルアルコール(secondary propyl alcohol)と呼ばれることもあるが、今日では使用は推奨されていない。
[編集] 特性
1-プロパノール(n-プロピルアルコール)の構造異性体であるため、物性、化学反応性は異なる。ヒドロキシ基による水素結合性を持つことから水、アルコールなどの極性溶媒に溶ける。同時に、相対的に大きな疎水性基(イソプロピル基)を持つためにエーテルなどの非極性溶媒にも溶ける両親媒性を示す。
可燃性であり、引火点 11.7 ℃(常温で引火する)、発火点 460 ℃ である。
メールワイン・ポンドルフ・バーレー還元、あるいはベンゾフェノンなどの光化学的還元反応において、還元剤兼溶媒としてはたらく。
この種の、第二級アルコールは光の作用で空気中の酸素と反応して、微量ながら過酸化物を生じることが知られている。 イソプロパノールの場合は過酸化アセトンを生じる。 よって、保存には日光が当たらないところで保存し、定期的に過酸化物が生じていないかチェックする必要がある。 二日間屋上で、日に晒すと過酸化物の濃度が0.003mol/lから0.026mol/lにも達した事例があるので、 日光には極力晒さないことが必要である。 ケトンは光増感剤として働くために、ケトン系化合物を含有したイソプロパノールは長期保存すべきではない。
環状イミドオキシム触媒などを用いて、積極的に酸化させて過酸化水素を製造する手法が研究されている。
[編集] 用途
[編集] 工業原料・有機溶剤
アセトン合成の中間原料として重要。グリセリンの合成原料としても用いられる。イソプロパノールはキシレンなどの有機溶剤にくらべ環境負荷が小さい。イソプロパノールはプラスチックやゴムを侵す場合もあるので、使用に際してはよく確認する必要がある。印刷用・文具用インクの基材として利用されている。模型や玩具等の愛好家には改造する時の塗装剥離に使用できる。その場合、入手しやすい自動車用の脱水剤を使用するが、含まれる成分によっては問題が起きることがあるため、純度の高いものの使用が望ましい。
[編集] 消毒・清掃用品
医療機関等で消毒用としてエタノールと並び広く利用されている。湿式のVHS/CD/DVDレンズクリーナーのクリーニング液、コピー機のサービスマンがコンタクトガラスやレンズの清掃のために使用する溶剤もイソプロパノールである。エタノールに比べてやや毒性があるが、酒税が掛けられるエタノールに比べ安価で殺菌力も強い。消毒用アルコールの製品としてはエタノールとイソプロパノールの混合物やイソプロパノール単独でも用いられる。匂いはエタノールと比べて若干強いとされるが、個人差もあり、どちらが使われているかわからない場合も多い。
[編集] 燃料用水抜き剤
水抜き剤とは、燃料タンク内に入り込んだ水分を排出するために使用される。一般的に、主成分はイソプロパノールで、水と油分の両方に親和性があることから、混入した水分を乳化させ、燃料と共に燃焼させて水分を排出する。自動車のガソリンや軽油の燃料タンク、灯油のタンク(屋外設置型)で使用される。 用途や商品によって防錆剤やエンジン保護剤、イソブタノール(ディーゼル用)を混合している物もある。
燃料タンク内の燃料が消費されるにつれてタンクの中に空気が入り、気温の低下とともにその空気中の水分が結露して、タンク内に水分を生じる。
しかし、タンク内に支障を来すほどの水分は発生しないため、水抜き剤は必要ないとする意見もある。
一方で、イソプロパノールを始め濃度の高いアルコール類は、ゴムや樹脂類を膨潤させて劣化させる性質を持つ。燃料系統には、樹脂やゴム製の部品も存在するため、水抜き剤を添加することによるデメリットも考えられるため、添加する場合には指定の濃度を守る必要がある。
[編集] 塗装剥離
趣味の世界では、塗装済みの模型の塗装を剥離する為に利用されている。前述の自動車用脱水剤を流用することが多い。 特に鉄道模型の場合はABS樹脂が素材に使われているものが多く、ラッカーで剥離するとひび割れ等によるダメージが大きいが、イソプロパノールの場合はひび割れ破損のリスクが小さい。数時間から1週間ほど漬け込み、歯ブラシなどでこすると剥離できる。
塗装剥離のためにイソプロパノールをケースに入れたものはしばしば「IPA槽」と呼ばれ、慣例的に「シンナープール」と呼ばれることもあるが、シンナーと違いイソプロパノールはベンゼン環を持たないので、「シンナープール」と言う呼称は厳密には誤りである。
[編集] 製法
フーゼル油を分留することで得ていた 1-プロパノールとは異なり、プロピレンの水和反応(水分子付加反応)でほぼ 100% 生産されている。水和反応には 2種類あり、日本国内では酸化タングステンや酸化チタンなどの金属酸化物を触媒として用いる直接水和法が多用されている。2000年の日本国内における生産量は 15万トンである。もう一つは硫酸化後に加水分解を行う間接水和法であり、世界的には間接水和法が主力である。1920年、最初に工業的な合成が始まったときから採用されている伝統的な製法でもある。硫酸を媒介とする水和反応は求電子的付加反応の形式で進行する。
C3H6 + H2O = CH3CH(OH)CH3
イソプロピルアルコールの2007年度日本国内生産量は 188,086 t、工業消費量は 1,327 t である。


